佐賀県西部の有田町(ありたちょう)は、日本で初めて磁器が焼かれた町。窯業とともに発展した有田内山地区には今も、漆喰壁の商家や町家、レトロな洋館が軒を連ね、それらの古い建物を利活用したギャラリーや工房、カフェなどが点在します。
今回は、お気に入りの器が見つかるお店に加えて、四季折々の美しい景色を見せてくれる絶景ポイントなども紹介。風情あるやきものの町の散策を堪能してみてください。
目次
有田町へのアクセス、有田町での交通手段
遠方から有田町をめざす場合は「佐賀空港」「長崎空港」および「福岡空港」が起点となります。
佐賀空港からのルート
飛行機を利用して最短時間で有田へ向かうなら、佐賀空港がおすすめ。希望日前日までの予約が必要ですが、空港リムジンタクシー(乗合)に乗って、所要時間約1時間30分で到着できます。運賃の目安は3,000円ほど。乗り換えのないストレスフリーな移動ができます。
※空港リムジンタクシー(乗合)の詳細・予約は「九州佐賀国際空港リムジンタクシー」の公式サイトでご確認ください。
長崎空港・福岡空港からのルート
電車の運行本数が多く、移動がスムーズになるのが福岡空港からのルートです。福岡空港から「JR博多駅」まで市営地下鉄で約5分、そこから特急に乗り換え約1時間30分で「JR有田駅」に到着することができます。
電車やバスなどの公共交通機関ではなく、レンタカーを利用して訪れる場合には、有田まで約1時間で移動できる長崎空港からのルートが便利です。
有田町での交通手段
有田町内は徒歩、もしくは車が主な移動手段となります。公共交通機関を利用する際の最寄り駅は「JR有田駅」と、「JR上有田駅」の2つです。
「JR有田駅」から出発する場合は、主要スポットが集まる有田内山の入り口までは徒歩約15分、中心部までは約30分かかります。そのため、レンタサイクルを利用する方法もあります。
「JR上有田駅」を起点として、有田内山以外に周辺部も観光するなら、徒歩に加え、適宜タクシーの利用を検討しましょう。
レンタサイクルは「KILN ARITA」が便利
JR有田駅前に建っているのは、複合施設「KILN ARITA(キルン アリタ)」です。目を引くこの斬新な建物は登り窯がモチーフなのだとか。
ここでは、クロスバイクと、ママチャリタイプの電動アシスト付き自転車、そしてヴェロ・ミシュランシリーズのシティサイクル「パリ・ブレスト・スポールV2」の計3種類がラインナップ。自転車の好みや目的に合わせて車体が選べます。
館内には観光案内所を併設しているので、観光の情報収集や列車の待ち時間に立ち寄るのにぴったりなスポットです。
KILN ARITA(キルン アリタ)
- 住所
- 佐賀県西松浦郡有田町本町丙972-31
- 営業時間
- 9:00~17:00
- 定休日
- 無休
- 料金
- 電動アシスト付き自転車1回1,000円、シティサイクル1回500円(いずれも別途保証料1,000円。自転車返却時に返金)
- 駐車場
- なし
- アクセス
- 【電車】JR「有田」駅から徒歩すぐ
【車】西九州自動車道「波佐見・有田」ICから約7分 - 公式サイト
- ありたさんぽ 観光ご案内窓口
やきものファン待望!おトクで品ぞろえ豊富な有田焼イベント
有田町が特ににぎわうのは、春と秋に開催される陶磁器のイベントシーズン。とりわけ「有田陶器市」が開催されるゴールデンウイークには、毎年約100~120万人のやきものファンが全国から訪れます。
春の「有田陶器市」
全国的にも有名な「有田陶器市」は、「JR有田駅」から「JR上有田駅」までの約3キロメートルの通りに、約450店の出店がずらりと並ぶ大きなイベントです。
出品されている陶器の価格は市価の約3割引き。アウトレット品であれば5割引きのものも多いというから驚きです。
期間中は、スタンプラリーや写真コンテスト、テーブルコーディネート展などの催し物も開催されています。
朝6時から販売される名物「朝がゆ」が好評で、早朝から訪れる来訪者も多いのだそう。提供される飯碗にはその年の干支の絵が描かれており、食べた後はそのまま持って帰ることができます。
毎年5月4日に催される「陶祖李参平之碑(とうそりさんぺいのひ)」「陶祖祭(とうそさい)」も見逃せません。
有田焼の生みの親・李参平をたたえる祭りで、有田焼産業の発展を祈願するほか、小学生による巫女舞が奉納されます。
この期間は隣町の長崎県・波佐見町(はさみちょう)でも「波佐見陶器まつり」が開催。両区間を行き来するシャトルバスが運行しているので、肥前を代表する2つのやきものの町で、お気に入りの器探しを楽しんではいかがでしょうか。
有田陶器市
- 会場
- 有田町内一円(主にJR有田駅~上有田駅周辺)
- 開催期間
- 毎年4月29日~5月5日
- 入場料
- 無料
- 公式サイト
- 有田陶器市
「秋の有田陶磁器まつり」
毎年11月下旬に、5日間にわたって開かれる「秋の有田陶磁器まつり」。春の陶器市より規模が小さいため、ゆっくりと回ることができます。
10月初旬~12月中旬に行われる「きもので秋のありたさんぽ」という、着物で有田散策を楽しむイベントとも時期が重なるので、和服をレンタルして町をめぐるのも良いかもしれません。
このほか、柿右衛門窯、今右衛門窯をはじめ有田を代表する窯元では、薪を使った窯焚きを特別公開。食事処では秋の期間限定メニューが堪能できます。
期間中は、22社の陶磁器店などが集まる「アリタセラ」でも、お得なセールやイベントが開催されるので、そちらも要チェック。会場では「茶わん供養神事」を行っているため、欠けたり割れたりした器を持参すれば供養してもらえますよ。
秋の有田陶磁器まつり
- 会場
- 有田町内一円・アリタセラ
- 開催期間
- 毎年11月下旬の5日間
- 入場料
- 無料
- 公式サイト
- ありたさんぽ 秋の有田陶磁器まつり
有田焼専門の22店が集まる「アリタセラ」へ
有田駅から北西へ車で約5分の場所にある「アリタセラ」は、有田焼卸団地協同組合が運営する複合施設。約2万坪の広大な敷地には、その中央をまっすぐに貫く大通りがあり、通りの左右に22軒の陶磁器専門商社のショップが並んでいます。
繊細で艶やかな伝統柄から現代的なデザインまで、ここに来れば多種多様な有田焼を一度に見ることができるスポットです。窯元や工房めぐりの下見を兼ねて、気になるショップをのぞいてみるのもいいですね。
敷地内にはカフェやレストランのほか、オーベルジュ「arita huis(アリタハウス)」も併設。ここではまるで実際に暮らすように食事やインテリアを満喫しながら「やきものの町・有田」の魅力を体感できます。
アリタセラ
- 住所
- 佐賀県西松浦郡有田町赤坂丙2351-169
- 営業時間
- 10:00〜17:00(店舗により異なる)
- 定休日
- 無休(店舗により異なる)
- 駐車場
- 800台
- アクセス
- 【電車】JR「有田」駅から「赤坂団地東口」バス停下車後徒歩約5分
【車】西九州自動車道「波佐見・有田」ICから約10分 - 公式サイト
- アリタセラ
有田焼に囲まれてブランチが楽しめる「MARUBUN SHOP & BAKERY CAFE」
「MARUBUN SHOP & BAKERY CAFE(マルブン ショップ アンド ベーカリー カフェ)」は、有田焼の総合商社「まるぶん」がプロデュースする器とベーカリーカフェのお店です。
気鋭の建築家・吉田愛氏と谷尻誠氏が率いる「SUPPOSE DESIGN OFFICE(サポーズ デザイン オフィス)」が設計した店内は、木の温もりが心地よいナチュラルモダンな造りで、品ぞろえの豊富さが魅力です。
約100社の取引先の中から、季節や年中行事に合わせてセレクトした器が店内に並んでいます。
写真は、熟練の職人による手書きの染付が美しい「福泉窯」の器の数々。現代人の暮らしに寄り添ったサイズや形になっており、レトロな伝統柄が施されています。
多種多様な品ぞろえを誇るこのお店の1番人気は「究極のラーメン鉢」。2004年の発売以来、大人気のロングセラー商品です。
フォルム、重さ、そして口が当たる縁の厚さも考え抜かれた究極の形で、12の窯元が釉薬や絵付けを違えて製作。ラインナップは全部で約130種類です。見た目や価格もそれぞれ異なり、2,000円台のものから30,000円台のものまで販売されています。
写真の鉢はくすみカラーがかわいい「瑞峯窯(ずいほうがま)」のColors(カラーズ)シリーズ。鉢は各3,630円、おそろいのレンゲは1,540円です。
店内では、赤絵の技法を生み、柿右衛門(かきえもん)様式を確立した「柿右衛門窯」の製品も。ここに並んでいるのは十五代酒井田柿右衛門の濁手(にごしで)※作品で、取材時に展示されていたコーヒーカップは1客93,500円でした。
訪れた際は、ぜひ間近で見てみてください。
※佐賀地方の方言で米の研ぎ汁のことを「にごし」といいます。「濁手(にごしで)」は米の研ぎ汁のように温かみのある白色の地肌をもつ色絵磁器で、柿右衛門窯独特のもの。有田の泉山陶石等を使用した特別な原料とその配合、および独自の製法で作られています。(出典:柿右衛門窯)
併設のベーカリーカフェには、焼き立てのパンがたくさん並んでいます。棚には、香り豊かなシナモンロール(230円)やミニチョコクロワッサン(80円)といったスタンダードなものから、ご当地食材を使ったオリジナルまで、約35種類のパンがずらり。
写真のカットされたパンは「カレーパン」(380円)。牛すじをトロトロに煮込んだカレーの中には、ウズラの卵と、地元の「ありたぶた」のボローニャソーセージがたっぷり入っています。表面のサクサク、カリッと香ばしいクルトン付きの生地との相性が抜群です。
その左にあるのは「有田名物ごどうふのパイ」(330円)。ごどうふとは葛を使った豆腐で、ぷるんとした食感が特徴です。有田町のソウルフードで、ごま醤油をかければ食事として、黒蜜をたらせばスイーツとしても楽しめるのだそう。
甘いごま醤油に、チーズ、バジルを合わせたパンは、塩味と甘みのバランスが絶妙です。
奥にあるキューブ形のパンは「ブリュレチョコデニッシュ」(380円)。チョコを練り込んだデニッシュ生地の中にチョコクリームを詰め込んだもので、キャラメリゼされた表面が香ばしく、コクのある甘みがたまりません。
MARUBUN SHOP & BAKERY CAFE
- 住所
- 佐賀県西松浦郡有田町赤坂丙2351-169(アリタセラ内)
- 営業時間
- 11:00〜17:00(土・日曜、祝日10:00〜)
- 定休日
- 12月31日、1月1日
- 駐車場
- 800台
- アクセス
- 【電車】JR「有田」駅から「赤坂団地東口」バス停下車後徒歩約5分
【車】西九州自動車道「波佐見・有田」ICから約10分 - 公式サイト
- MARUBUN
暮らしのシーンを想像しながら器が選べる「百田陶園(ももたとうえん)」
「アリタセラ」のなかでも、シックな雰囲気が特徴的な「百田陶園」。有田焼を世界に広めるために誕生したブランド「1616/arita japan(イチロクイチロク アリタジャパン)」をプロデュースするお店です。
内装やインテリアは、このブランドを立ち上げたクリエイティブディレクター・柳原照弘氏の手によるもの。床にはデンマークから取り寄せたフローリング材を採用し、天井と壁には陶石を配合して左官仕上げにするなど、建材にも加工方法にもこだわり抜いた洗練された空間です。
約100坪以上の広々とした空間は、リビング、キッチン、バスルームなどライフシーンごとにコーナー分けされています。実際の暮らしをイメージしながらアイテムを選べるのもポイントです。
ディスプレイ棚にも注目。「1616/arita japan」では、柳原照弘氏を筆頭に、世界各地で活躍する5人のデザイナーが、4つのシリーズを展開しています。
こちらは、柳原照弘氏の代表作「1616/TY "Standard"」シリーズの「TYパレスプレート グレイ」。花びら型が重なることによる陰影とマットな質感が特徴の美しいお皿です。
繊細な薄い形状ですが、なんと電子レンジ使用可。日常使いしやすいところも人気の理由です。
フランス人のピエール・シャルパンによる「1616/PC "Outline"(ピーシーアウトライン)」シリーズからは、有田焼の伝統的な装飾をベースに独自に創作した食器、花器、小物などをラインナップ。使い方は自由自在で、花器にもカトラリー立てにもぴったりです。
デンマークやフランスなどで数々の名誉ある賞を受賞している実力派デザイナーのセシリエ・マンツ。彼女による「1616 / CMA "Clay"」シリーズは、何度もスケッチし、試作を繰り返して生まれたもの。ナチュラルな色合いでありながら、ユニークなフォルムが存在感を放っています。
オランダ人のステファン・ショルテンとキャロル・バーイングスが手がける「1616 / S&B "Colour Porcelain"」は、日本の伝統色を再解釈して独自に生み出したもので、色の組み合わせ、グラデーションの美しさに目を奪われます。
百田陶園
- 住所
- 佐賀県西松浦郡有田町赤坂丙2351-169(アリタセラ内)
- 営業時間
- 10:00〜17:30
- 定休日
- 年末年始
- 駐車場
- 800台
- アクセス
- 【電車】JR「有田」駅から「赤坂団地東口」バス停下車後徒歩約5分
【車】西九州自動車道「波佐見・有田」ICから約10分 - 公式サイト
- 1616/arita japan
目でも舌でも楽しめる「ギャラリー有田」の数量限定ランチ
「アリタセラ」から車で約6分進んだ先にある「ギャラリー有田」は、やきものファンにはたまらないカフェレストラン。その理由は、なんと壁一面に2,500客以上もの有田焼のコーヒーカップが並んでいるのです。
1986年の創業当初、オーナーが約300客のコーヒーカップを趣味で集めだして以来、年を経るごとにどんどん増えて今の数に。不定期に追加し、入れ替えするものもあるため、正確な実際の数はもはやオーナーにも分からないそう。
なかには「柿右衛門窯」「今右衛門窯」「源右衛門窯」といった、有田を代表する「三右衛門」の高価なものや、今は廃業した窯の入手困難なものまでそろっています。そこから、好きなカップを指名してホットドリンクを注文できるシステムです。
ランチは数量限定の「有田焼五膳」(1,800円)がおすすめです。弁当箱風の四角い有田焼の器に、うやうやしく献上紐をかけた玉手箱のような見た目で、食べる前から特別な気分に。
器の中に詰められているのは、焼きもの、酢のもの、煮もの、蒸しもの、揚げものの5つの調理法で作ったご当地銘柄「ありたどり」の料理たちです。それに、プリンのようなつるりとした食感の有田名物「ごどうふ」、有田産棚田米をふっくら炊き上げたごはん、味噌汁、香の物が添えられています。
食後には日替りのデザートとコーヒー。こちらも指定した好みのカップに注いでもらえます。
写真の赤富士と桜が描かれたカップは、取材時に店内で一番高価だったもので、なんと1客500,000円。真上から見ると桜の形をした特注品です。
ギャラリー有田
- 住所
- 佐賀県西松浦郡有田町本町乙3057
- 営業時間
- 11:00~17:00 (L.O.16:30)※有田五膳は~14:00まで
- 定休日
- 不定休
- 駐車場
- 25台
- アクセス
- 【電車】JR「有田」駅から徒歩約7分
【車】西九州自動車道「波佐見・有田」ICから約5分 - 公式サイト
- ギャラリー有田
猫モチーフの有田焼雑貨が話題!「FLOWERS ART STUDIO」へ
食事の後は「ギャラリー有田」からJR上有田駅方向へ車で約6分のところにある、「FLOWERS ART STUDIO(フラワーズ アート スタジオ)」へ。
このお店はどちらもアーティストである、戸川夫妻が営む雑貨店です。元々は鹿児島県屋久島で創作活動をしていた2人ですが、陶芸に挑戦したいという妻・みどりさんの発案で、2018年に有田町に移住してきたのだとか。
写真は、みどりさん作・有田焼の猫の雑器。夫・五十生(いそお)さんが手がけた立ち猫の木彫人形とともに、SNSで話題となったアイテムです。
一番大きな猫花器は10,450円、一輪挿しの小さな猫花器は4,070円~、爪楊枝立てにも花器にもなる猫の顔は1,650円。
店内には、猫モチーフのやきもの製品のほか、木彫製品、布製品なども並んでいます。
夫・五十生さんが手彫りした人形の優しい表情を見ていると、ほっこりした気分に。
イベント時は五十生さんが手製の猫の被りものをして、お客を楽しませてくれることもあるそうです。
FLOWERS ART STUDIO
- 住所
- 佐賀県西松浦郡有田町泉山1-10-12
- 営業時間
- 10:00~17:00
- 定休日
- 不定休 ※公式SNSにて要確認
- 駐車場
- 7台
- アクセス
- 【電車】JR「上有田」駅から徒歩約9分
【車】西九州自動車道「波佐見・有田」ICから約10分 - 公式サイト
- FLOWERS ART STUDIO
江戸・明治・大正・昭和、各時代の建物が軒を連ねる「有田内山」を散策
江戸時代、有田町には磁器製造の技術が流出しないよう内山地区の東と西に2つの番所が置かれていました。この地で生まれた磁器は世界中の王侯貴族を魅了し、東西約2キロメートルの通りは「有田千軒」と呼ばれるほど建物が密集。大変繁栄したといわれています。
漆喰壁の商家、意匠を凝らした木造家屋、情緒漂う洋風建築など、江戸時代から昭和初期の各時代を象徴する建物が混在して建ち並んでいます。こうした有田の独特な町並みはその希少性が認められ、1991年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。
ちなみに、有田内山東口にあたる上の番所跡へは「FLOWERS ART STUDIO」から徒歩すぐの距離です。ぜひこちらにも足を延ばしてみてください。
有田内山
- 住所
- 佐賀県西松浦郡有田町有田内山
- アクセス
- 西九州自動車道「波佐見・有田」ICから下の番所跡付近まで車で約6分またはJR「有田」駅から徒歩約14分
- 公式・関連サイト
- 佐賀県公式観光サイト あそぼーさが
サステナブルなやきものの町に延びる「トンバイ塀のある裏通り」
路地裏には、デコボコと無骨な形のレンガを積み上げた「トンバイ塀」が。「トンバイ」とは登り窯を築く際に使った耐火レンガのことで、昔から有田ではその廃材や使い捨ての窯道具を赤土で塗り固め、敷地を囲む塀として使っていました。
主に上の番所跡近くの大公孫樹(おおいちょう)から、大樽の有田陶磁美術館までの裏通りで見ることができます。
トンバイ塀のある裏通り
- 住所
- 佐賀県西松浦郡有田町上幸平
- アクセス
- 【電車】JR「上有田」駅から徒歩約10分
【車】西九州自動車道「波佐見・有田」ICから約10分 - 公式・関連サイト
- ありたさんぽ
有田の豪商が築いた「旧田代家西洋館」は土日祝限定オープン
有田内山の大通りのほぼ中央、札の辻から少し横道に入ったところに建つ「旧田代家西洋館」。貿易商として財を成した豪商・田代紋左衛門の子の助作が、外国人の接待や宿泊のために築造した1876年築の洋風建築物で、国指定の重要文化財となっています。
平日は外観のみ、土日祝は内観を無料で見学できます。
アーチ形の鎧戸にステンドグラスを嵌め込んだ窓や、らせん階段を用いる一方で、桟瓦葺きの屋根に漆喰塗りの外壁、居室には畳を敷き詰めるなど、和洋折衷の造りが見どころです。館内では有田内山地区の解説や幕末から明治期の有田の様相を紹介しています。
旧田代家西洋館
- 住所
- 佐賀県西松浦郡有田町幸平1-2-6
- 開館時間
- 10:00~16:00
- 定休日
- 月~金曜※祝日・イベントなどの際は開館
- 料金
- 見学料 無料
- 駐車場
- なし(近隣の町営駐車場を利用)
- アクセス
- 【電車】JR「上有田」駅から徒歩約13分
【車】西九州自動車道「波佐見・有田」ICから約9分 - 公式・関連サイト
- ありたさんぽ
鳥居の前を列車が走り抜ける「陶山(すえやま)神社」
「旧田代家西洋館」から徒歩約5分の高台にある「陶山神社」は、その名の通り、やきものの神様が奉られている神社。「すえやまじんじゃ」が正しい読みですが、地元では「とうざんじんじゃ」の名で親しまれています。
鳥居や灯籠をはじめ、境内にあるあらゆるものが陶磁器製。2023年12月の取材時は、白磁に青い染付を施した狛犬が、1887年に奉納されて以来初めての修復作業中でした。綺麗な姿で戻ってくるのが楽しみです。
陶磁器尽くしの陶山神社は、お守りも御朱印帳も陶磁器製ですが、実はデザインも製造も神主さんのハンドメイド。写真右の御朱印帳は専用箱付きで8,000円、有田焼ミニ絵馬は700円、有田焼交通安全お守りは1,000円。
実はこの神社、鉄道ファンにとっても見どころのあるスポット。なんと参道の一部、鳥居前にJRのレールが通っており、その前を行き交う列車を見ることができるのです!
取材時も、時刻表で電車が通る時間を調べながら、カメラを持った人々が見られました。
陶山神社
- 住所
- 佐賀県西松浦郡有田町大樽2-5-1
- 駐車場
- 20台
- アクセス
- 【電車】JR「上有田」駅から徒歩約14分
【車】西九州自動車道「波佐見・有田」ICから約9分 - 公式サイト
- 陶山神社
「ARITA PORCELAIN LAB CAFE」でラグジュアリーなティータイム
有田内山の大通り沿いにある「ARITA PORCELAIN LAB CAFE(アリタ ポーセリン ラボ カフェ)」は、伝統技法と現代のライフスタイル感覚を融合させた「弥左ヱ門窯」がプロデュースするショールーム&カフェレストランです。
陶磁器製造工房をイメージしたような、鉄製の梁をそのまま見せたシンプル&モダンな店内では、ごどうふ、ありたどり、佐賀県産牛などご当地食材を使ったランチとスイーツが味わえます。
写真は「ケーキ・ドリンクセット」(1,320円)。内容は日替りですが、2種類のケーキに小さなアイスがセットになっており、好みのドリンクが選べます。写真はレモンピールを練り込んだレモンケーキと濃厚でリッチな味わいのガトーショコラ、ドリンクは和紅茶です。
もちろん、器は「ARITA PORCELAIN LAB」製。取材時は七代目弥左ヱ門の代表作、JAPANシリーズの「SNOW」でサーブしてもらいました。
粉雪をコンセプトに随所にプラチナをあしらったラグジュアリーモダンな器で、リッチな気分でティータイムが過ごせます。
ARITA PORCELAIN LAB CAFÉ
- 住所
- 佐賀県西松浦郡有田町上幸平1-11-3
- 営業時間
- 11:00〜16:30(L.O.~16:00、ショップ~17:00)
- 定休日
- 火曜
- 駐車場
- 2台
- アクセス
- 【電車】JR「上有田」駅から徒歩約9分
【車】西九州自動車道「波佐見・有田」ICから約9分 - 公式サイト
- ARITA PORCELAIN LAB
西欧の宮殿がランドマークの「有田ポーセリンパーク」でおみやげ探し
「ARITA PORCELAIN LAB CAFE」から車で約11分の場所にある「有田ポーセリンパーク」は華麗な西洋風宮殿を中心に、おみやげ店、やきもの体験施設、酒蔵見学スペースを設けた複合施設です。
敷地内に建つ宮殿は、ドイツ・ツヴィンガー宮殿をモデルに建造されたもの。宮殿の奥にあるバロック式庭園とともに、写真映えするスポットとしても人気を集めています。
有田ポーセリンパークを運営するのは「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」で金賞を受賞したこともある地元の宗政酒造。そのため、みやげ処には種類豊富な地酒が並びます。特に、蔵限定酒やここでしか手に入らない希少酒は狙い目。お酒の無料試飲も好評です。ほかに佐賀、長崎を中心に九州の特産品、銘菓が購入できます。
敷地内の「有田焼工房」ではやきもの体験を実施。団体を除いて、1人から予約なしで体験できます。
有田ポーセリンパーク
- 住所
- 佐賀県西松浦郡有田町戸矢乙340-28
- 営業時間
- 9:00~17:00(施設により異なる)
- 料金
- 入場料無料 ※やきもの体験は各コースにより異なる
- 駐車場
- 200台
- クセス
- 【車】西九州自動車道「波佐見・有田」ICから約5分
- 公式サイト
- 有田ポーセリンパーク
ひと足延ばして!水鏡が美しい「岳の棚田(たけのたなだ)」の絶景
有田から少し距離はありますが、せっかくなら「日本の棚田百選」に選定された「岳の棚田」まで足を延ばしましょう。「有田ポーセリンパーク」から車で30分ほどです。
田植え直前の5~6月には幾重にも重なる田に水が張られ、周囲の風景が水面に映し出されます。紫陽花やコスモスが彩りを添える花のシーズンも見どころです。
岳の棚田
- 住所
- 佐賀県西松浦郡有田町岳地区
- 駐車場
- なし
- アクセス
- 【車】西九州自動車道「三川内」ICから約20分または「波佐見・有田」ICから約25分
- 公式・関連サイト
- ありたさんぽ
やきものの町・有田の観光はいかがでしたか?
やきもの探訪はもちろん、食事も有田焼の器も楽しめるグルメ処やおしゃれなカフェ、陶磁器尽くしの神社など、やきものの町ならではの魅力が詰まったスポットです。
今回は日帰りモデルプランをご紹介しましたが、有田を含め肥前地方には波佐見焼、伊万里焼、三川内焼といった有名どころの窯元が集中しています。車で30分の圏内にはハウステンボスや嬉野温泉もあるので、それらを組み合わせて連泊してみてはいかがでしょうか。
取材・文/古賀 由美子 撮影/井上 由紀子
有田町の観光と一緒に巡りたいおすすめ観光スポット
①波佐見町
有田駅から波佐見やきもの公園まで、車で約20分/電車で約2時間
②武雄温泉
有田駅から武雄温泉駅まで、車で約30分/電車で約45分
③ハウステンボス
有田町からハウステンボスまで、車で約35分/電車で約1時間