嬉野温泉といえばお茶の名産地であり、島根県・斐乃神(ひのかみ)温泉、栃木県・喜連川(きつれがわ)温泉と並び「日本三大美肌の湯」のひとつ。独特のとろみが特徴の美肌の湯を求めて、全国各地から温泉ツウが集まってきます。また、佐賀県を舞台にしたアニメ『ゾンビランドサガ』の聖地巡礼地として、さらに2022年秋には九州新幹線長崎ルート開業に合わせて嬉野温泉駅が誕生し、ますます盛り上がりを見せています。
そんな嬉野温泉の街は、小さいながらも公衆浴場のシーボルトの湯や足湯スポットが充実。また、車いすで入浴できる公衆浴場や足湯スペースもあり、シニアに優しい温泉地としても有名です。家族で、カップルで、女子旅や一人旅で…どんな旅にも対応してくれる、日帰り温泉や名物の嬉野温泉湯どうふなどのグルメも! 今回はゆっくりと温泉宿に宿泊しながら、または近隣から出かけても、歩いて半日で存分に楽しめる、嬉野温泉のおすすめ観光モデルコースをご紹介します。
嬉野温泉へのアクセス
嬉野温泉は長崎空港から長崎自動車道を経由して車で約50分。高速バスを利用する場合は、福岡天神バスセンターからは約1時間40分、長崎県営バスターミナルからは約1時間で嬉野バスセンターに到着します。
また、2022年秋には、長崎駅と佐賀県の武雄温泉を結ぶ九州新幹線長崎ルートの駅のひとつ、嬉野温泉駅が開業する予定。長崎・福岡などからのアクセスがぐっと便利になりそうです。
「湯遊嬉野チケット」を入手してお得に湯めぐりを楽しむ
まず向かったのは嬉野バスセンター内にある嬉野温泉観光協会観光案内所。ここでは嬉野温泉観光に役立つ地図や近隣のレジャースポットの情報を入手できます。
温泉好きで何度も嬉野温泉に通いたい!と思っている人や、家族で日帰り温泉を楽しみたい!という人におすすめなのが観光協会で販売している「湯遊嬉野チケット」。1,500円、12枚つづりで「シーボルトの湯」をはじめ、嬉野温泉内の17の温泉施設で使えるお得な温泉チケットです。さらに入浴1回につき1個のスタンプがもらえて、10個ためるとうれしいプレゼントも!
湯遊嬉野チケット
- 価格
- 価格1,500円、12枚綴り ※湯遊チケット加盟店のみで使用可能
- 有効期限
- 発行日より1年間
- 販売場所
- 嬉野温泉観光協会観光案内所(嬉野市嬉野町大字下宿乙2202-55)ほか
また、嬉野温泉観光協会内では自転車の貸し出しサービス「観チャリ」も。少し足を延ばして、町はずれのお茶畑まで、心地よい風を感じながら自転車で嬉野温泉街をめぐるのもおすすめです。
観チャリ
- レンタル料金
- 通常の自転車 500円/1日、電動自転車1,000円/1日
- 利用時間
- 9:00~17:00
- 定休日
- 木曜日
- 問い合わせ
- 0954-43-0137(嬉野観光協会)
美肌になりたい!「豊玉姫神社」のなまず様に祈願
嬉野温泉バスセンターから歩いて5分ほどに位置するのが、海神の娘こと竜宮城の乙姫様を祀っている豊玉姫(とよたまひめ)神社。ここは全国でも珍しい美肌祈願ができる神社として有名です。
参道には美肌?な猫がのんびりお昼寝中。歩いているだけでも気持ちいいのどかな空気が流れています。
手水には贅沢にも嬉野温泉のお湯を利用。お清めするだけで、美肌の湯パワーで手まですべすべ。
お水をかけてお願いをすると美肌になるというご利益がある白なまず様が境内に祀られています。地肌のパワースポットとして、美肌を目指す多くの女性がお参りに訪れるそう。お水をかけた白なまず様のお肌は真っ白でつるつる! 絵馬には「キレイになれますように」「美肌になれますように」など、この神社ならではの願い事がたくさん書かれていました。
豊玉姫神社
- 住所
- 嬉野市嬉野町大字下宿乙2231-2
- アクセス
- 嬉野温泉観光協会観光案内所から徒歩約5分
- 問い合わせ
- 0954-43-0680(社務所)
オレンジの屋根は嬉野温泉のシンボル「公衆浴場シーボルトの湯」
嬉野温泉でしか味わえない美肌の湯を堪能するために「公衆浴場シーボルトの湯」へ。温泉公園から塩田川沿いにひときわ目立つレトロな建物が目に入ります。そこがシーボルトの湯。ドイツ人医師・シーボルトが文政9(1826)年に江戸参府の途中で嬉野温泉に立ち寄ったことにちなんで名づけられました。大正ロマンを感じさせるゴシック風の姿とオレンジ色の屋根は町のシンボルです。
木造2階建ての建物の入り口を入ると、中は吹き抜けになっていて開放感のある空間。市民の憩いの場として、温泉入浴後はおしゃべりをしたり、軽食を食べたり、ゆっくりと時間を過ごす人が多いそうです。
嬉野温泉のお湯は、ナトリウムを多く含む重曹泉。美容液のようにとろみのあるお湯は、皮脂や分泌物を乳化して洗い流す作用があるため、入浴後のお肌はしっとりすべすべです。
大きな窓からたっぷりと光りが降り注ぐ男女別の大浴場でゆったり美肌の湯を堪能できます。
ひのき風呂や車いすで入浴ができるバリアフリー風呂など5つの貸切風呂もあります。
公衆浴場シーボルトの湯
- 住所
- 嬉野市嬉野町大字下宿乙818-2
- 営業時間
- 6:00~22:00(最終入場時間21:30)
- 定休日
- 第3水曜日
- 料金
- 大人420円、小人210円
貸し切り風呂2,100円(50分)※大人5人まで。別途入湯税大人1人50円 - アクセス
- 嬉野温泉観光協会観光案内所から徒歩約5分
- 問い合わせ
- 0954-43-1426
温泉に入る時間がない時は、無料の足湯施設で美肌の湯を味わう
嬉野温泉の街中には、無料で美肌の湯を楽しめる3つの足湯施設があります。温泉に入る時間がない時は、足湯施設で美肌の湯を味わいましょう。
湯遊広場 シーボルトのあし湯
シーボルトの湯のそばには、無料で美肌の湯を体感できる「シーボルトのあし湯」があります。温泉に入る時間がなければ、足だけでも嬉野温泉の美肌の湯を堪能してみて。つい長居をしてしまいたくなるほどの気持ちよさです。
湯遊広場 シーボルトのあし湯
- 住所
- 嬉野市嬉野町大字下宿乙822-1
- 営業時間
- 24時間利用可
- アクセス
- 嬉野温泉観光協会観光案内所から徒歩約5分
湯宿広場(足蒸し湯・足湯)
温泉街のほぼ中央、本通筋にある「湯宿(ゆしゅく)広場」では、温泉の蒸気で足を温める足蒸し湯と足湯が無料で楽しめます。
足蒸し湯は、両足を穴に入れたら箱をひざにかぶせて10~15分蒸すというもの。日本初の温泉ミストによる足蒸し湯で体を芯から温めて足元から美肌に。
シニアにやさしい温泉地としても有名な嬉野温泉は、車いすに乗ったまま足湯を楽しめるスペースも。
湯宿広場
- 住所
- 嬉野市嬉野町大字下宿乙2185
- 営業時間
- 足湯8:00~23:00、足蒸し湯9:00~20:00
- アクセス
- 嬉野温泉観光協会観光案内所から徒歩約3分
湯っつら広場(手湯・足湯)
嬉野温泉街3つ目の足湯スポットとして2021年1月に誕生したのが「湯っつら広場」。愛称は一般投票で選ばれました。足湯だけでなく、手湯も楽しめます。
湯っつら広場
- 住所
- 嬉野市嬉野町大字下宿乙759-1
- 営業時間
- 7:00~23:00
- アクセス
- 嬉野温泉観光協会観光案内所から徒歩約8分
感動モノの不思議食感!嬉野名物とろとろ温泉湯どうふに舌鼓
嬉野温泉の名物といえば、乳白色のスープに浮かんだとろとろ食感の嬉野温泉湯どうふ。嬉野温泉の絶妙なバランスの温泉成分が豆腐のたんぱく質を分解して、とろりとした湯どうふになるのだとか。栄養満点、胃腸にもやさしい健康フードです。
漫画『美味しんぼ』にも登場した「宗庵よこ長」の特選湯どうふ定食(写真・1,150円)。スープに秘伝のだしが使われているので、薬味をすべて入れたら味を加えずそのままいただきます。舌にのせるととろける、とろとろ食感はこれまで食べた豆腐の常識を覆す、やみつきになるおいしさです。
「宗庵よこ長」では、自宅で湯どうふを楽しめるように地方発送もあります。自家製もめん豆腐2丁入り、調理水、特製うまみだれのセット(1,750円・送料別)。
宗庵よこ長
- 住所
- 嬉野市嬉野町下宿乙2190
- 営業時間
- 10:30~21:00(L.O. 20:30)
- 定休日
- 水曜日
- 問い合わせ
- 0954-42-0563
- アクセス
- 嬉野温泉観光協会観光案内所から徒歩約3分
- 詳細
- 宗庵よこ長公式ページ
嬉野茶スイーツとオリジナルのお土産が見つかるレストランカフェ
塩田川の遊歩道沿いに面したログハウス風のおしゃれなカフェ&ショップ「Restaurant&Shop kihaco」は、老舗旅館・吉田屋がプロデュースしたお店。大きな窓のある居心地のいいカフェスペースで、地元産の食材を使った軽食や嬉野茶を使ったスイーツやドリンクを食べながら、ほっこりひと休み。春には満開の桜を、夏には青々とした木々を眺めながら、ゆったりとした時間を過ごせます。
人気の嬉野茶パフェ(1,100円)は抹茶ブラウニー、抹茶の生チョコ、抹茶アイスと、抹茶づくしのパフェ。濃厚で深みのある抹茶味は、甘すぎずちょっぴりほろ苦い大人のパフェといった感じ。嬉野茶のロールケーキとドリンクセット(1,100円)も人気のメニューです。
ショップスペースには、嬉野の名物がずらり。地元の吉田焼などの陶器も充実。オリジナルパッケージのお茶やお菓子はどれもおしゃれで、お土産として喜ばれそうです。
オリジナルの嬉野茶もいろいろそろっています。和紅茶(写真左・864円~)など、手ごろな価格なのでさまざまなフレーバーのお茶をそろえてキッチンに並べたら素敵。
嬉野の地図をプリントした「うれしのオリジナル手ぬぐい」(写真右・1,760円)も人気のお土産のひとつ。
Restaurant&Shop kihaco
- 住所
- 嬉野市嬉野町岩屋川内甲382
- 営業時間
- 10:00~18:00(L.O.17:00)
- 定休日
- 不定休
- アクセス
- 嬉野温泉観光協会観光案内所から徒歩約7分
- 問い合わせ
- 0954-42-0178
- 詳細
- kihaco公式ページ
お酒好きなら明治元年から続く井手酒造の日本酒をお土産に
温泉街の中心部にある大きな蔵造の建物が明治元年から続く「井手酒造」です。創業以来、一日も休まずに造り続けられているという銘酒「虎之児」は、数々の日本酒の鑑評会で金賞を受賞しています。
この嬉野銘酒「虎之児」は俳人・種田山頭火がそのおいしさを詠い、そのラベルは宇宙航空研究開発機構(JAXA)の性能計算書の表紙にも使われたという逸話も残る、知る人ぞ知る日本酒です。
お店には「虎之児」をはじめ、地元産の米にこだわった井手酒造が心をこめて造ったお酒がずらりと並び、何をお土産にすればよいか迷ってしまうほど。希望すれば利き酒もできるので、日本酒好きならぜひ車に乗らずに歩いて行くのがおすすめです。
井手酒造
- 住所
- 嬉野市嬉野町大字下宿乙806-1
- 営業時間
- 8:30~19:00
- 定休日
- 日曜日
- 問い合わせ
- 0954-43-0001
- アクセス
- 嬉野温泉観光協会観光案内所から徒歩約8分
- 詳細
- 井手酒造公式ページ
美肌の湯につかった後は、緑豊かな川沿いの遊歩道をお散歩。おなかがすいたら、名物の嬉野温泉湯どうふを食べて、うれしの茶を飲んで、足湯でまったり。ちょっと時間ができたら、心と体の休息に嬉野温泉に出かけてみませんか?
撮影/田辺エリ 取材・文/山本美和