2022年9月23日に開業した西九州新幹線。新たに佐賀・武雄温泉駅から長崎駅までの66kmが新幹線で結ばれたことで、九州一のターミナル・博多駅から長崎駅までの所要時間が、最速1時間20分となりました。また、走行する「かもめ」の車内外のデザインも注目を集めています。
沿線には、武雄や嬉野といった温泉地や、美しい海を望む大村や諫早、歴史ロマンを感じる長崎まで、観光スポットが多数あるのはもちろん、開業に合わせてニュースポットも誕生。そこで、西九州新幹線が停車する5駅のおすすめスポットやグルメをご紹介します。
目次
謎を秘めた楼門や佐賀牛を使った弁当にも注目!「武雄温泉駅」
「武雄温泉駅」周辺には、1300年の歴史ある武雄温泉や、四季折々の景観やイルミネーションで注目の「御船山楽園」などがあり、「北方ちゃんぽん」や特産「レモングラス」使用の地元グルメも楽しめます。今回は、謎を秘めた楼門(ろうもん)や九州1位の駅弁、さらに新幹線開業に合わせてオープンした、駅構内の新しいスポットを紹介します。
武雄温泉楼門
温泉街奥にある竜宮城のような建物が、国指定重要文化財の「武雄温泉楼門」です。武雄温泉は1915年、宮原忠直氏によって「テーマパーク的な娯楽施設を」と誕生し、かつては遊園地も。現在は複数の温泉施設や、同じく国指定重要文化財で、現在は資料館である「新館」があります。なかでも近年、注目を集めているのは楼門2Fの天井にある干支のレリーフです。
東西南北に卯・酉・午・子が配されたレリーフ。2012年にかつての東京駅が復元された際、ドーム天井の干支のレリーフが8つだったため、残り4つの所在を調査した結果、ここで発見されました。楼門を設計したのは、東京駅と同じ、佐賀県出身の辰野金吾氏。十二支を2カ所に分けた理由は諸説あるものの、その真相は謎のままのようです。
天平式の独創的な楼門、干支のレリーフとも一見の価値があり、楼門2Fは時間限定で見学可能なので、真相を推理しながら見てみては。現存する日本最古の温泉施設「元湯」などの入泉券付きで、武雄温泉も堪能できます。また「新館」では、当時貴重だったマジョリカタイルを使用した浴室や、朝鮮出兵時、武雄温泉を利用する兵士たちに向けた豊臣秀吉の掟書などを無料で見学できます。そのほか、かつて領主の専用風呂だった「殿様湯」など人気の貸切風呂も。ただし、貸切風呂は予約できないので、混雑状況を電話で確認してから出かけるのがおすすめです。
武雄温泉楼門
- 住所
- 佐賀県武雄市武雄町7425
- 電話
- 0954-23-2001
- 見学時間
- 9:00~10:00 ※受付9:30まで
- 休業日
- 毎週火曜日
- 料金
- 一般:大人450円、子ども220円
※元湯及び蓬莱湯入泉券付き(文化財保護協力費として)
※町内宿泊施設前泊者は割引あり(入浴券なし) - アクセス
- JR「武雄温泉」駅より徒歩約12分
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カイロ堂
武雄温泉駅併設のカフェ「カイロ堂」。西九州新幹線開業による駅改装に伴って店舗をリニューアルしましたが、「カイロのように、おいしいものを食べて温かな気持ちになってほしい」という店名に込めた想いはそのまま。地元食材を使った手づくりの料理を楽しめます。店内で食事を楽しむのはもちろんですが、こちらのお店ではもうひとつ注目したいものがあります。
それは「九州駅弁グランプリ」で優勝している弁当。なかでも「佐賀牛すき焼き弁当」(1,620円)は、第8回、9回と2連覇している大人気商品です。地元の醤油を使った割り下で煮込んだすきやきは、肉がとてもやわらか。佐賀牛の旨味もしっかり感じることができます。野菜の惣菜や大根の桜漬けなど、食感の違いや彩りも楽しめる弁当です。
そのほか、2種類の焼肉が楽しめる、同第10回大会1位の「佐賀牛極上カルビ焼肉弁当」(1,944円)なども。佐賀ならではの味わいを新幹線の車内で楽しむのもおすすめです。また、店内では佐賀のブランド鶏「ありたどり」のチキン南蛮やカレーなどが味わえます。ソースやドレッシングも手づくりという料理を味わいながら、ほっこりと温かなひと時を過ごしてみては。
カイロ堂
- 住所
- 佐賀県武雄市武雄町大字富岡294
- 営業時間
- 8:30~18:00
- 定休日
- 不定休
- 公式サイト
- カイロ堂 | 九州駅弁グランプリ優勝の佐賀牛弁当
- アクセス
- JR「武雄温泉」駅構内
武雄 旅 書店
「Books&Cafe/Bar」スタイルの「武雄 旅 書店」。書籍は武雄や西九州の旅にまつわるものを中心にセレクト。新幹線のスタート駅ならではのラインナップが充実しています。コンセントやフリーWi-Fiも利用できるカフェでは、オリジナルブレンドのコーヒーや、武雄特産レモングラスの「レモン緑茶」、地酒・地ビールなどを、武雄焼や有田焼の器で飲めるのも特徴。地元食材のサンドイッチやスイーツなども味わいながら、ゆっくり過ごすことができます。
「食」や「暮らし」がテーマのセレクトショップも併設しており、武雄や佐賀、西九州でしか購入できない、厳選した物産品がそろいます。「知らない魅力に出会う場所」がコンセプトの店内では、旅人だけでなく、地元の人々もこれまで気づかなかった魅力に出会えそうです。また、在来線駅舎内には観光案内や手荷物預かりなど旅のサポート、種類豊富なお土産を販売する「武雄温泉駅観光案内所」も同時オープン。こちらも立ち寄ってみて。
武雄 旅 書店
- 住所
- 佐賀県武雄市武雄町大字昭和13-21
- 営業時間
- 8:00~21:00
- 定休日
- 年末年始
- アクセス
- JR「武雄温泉」駅新幹線改札口よりすぐ
神社で美肌を願い、老舗の和菓子に舌鼓!「嬉野温泉駅」
「嬉野温泉駅」は、西九州新幹線開業とともに新設された駅です。嬉野市は日本三大美肌湯の温泉や嬉野茶などで知られ、全国から訪れる人も多く、温泉街は西日本最大級という規模。駅前の開発も進み、今後さらに賑わいを増すことが期待されています。周辺エリアの歴史ある神社や老舗菓子店、そして、駅前にできた新しいスポットを紹介します。
豊玉姫神社
嬉野で古くから尊崇されてきた「豊玉姫(とよたまひめ)神社」。水の恵みをつかさどる御祭神の「豊玉姫大神」は、縁結びや安産の神として、また、美肌の神としても信仰されています。その由来は豊玉姫の遣いの「なまず様」が、皮膚病の「しろなまず」によいと信じられてきたからだそう。手水舎(ちょうずや)でも「なまず様」に見守られながら、温泉でお清めできます。
境内の「なまず社」には白磁の「なまず様」が鎮座。水をかけてからなでて「肌が美しくなるように」「皮膚病が治るように」などと祈願する風習があるそう。すぐそばで絵馬の奉納もできます。御朱印は受け付けていませんが、参拝客に好評な白磁の「なまず様」根付(800円)や、2022年秋から頒布予定の「美肌御守」もあるので、社務所も訪れてみては(社務所が不在の場合は電話で問い合わせてください)。
2022年夏には、国道側に壁画が完成。地元出身で龍を描き続けているアーティスト・矢野億子(やのやすこ)氏が制作したもので、御祭神・豊玉姫大神と父・海神の象徴である龍、豊玉姫大神の遣いとされる白なまずが描かれています。青い潮満珠(しおみつのたま)で豊かな水の恵みを、赤い潮干珠(しおひのたま)で水害から地域を守る御神徳を表しているそう。ありがたく拝見を。
豊玉姫神社
- 住所
- 佐賀県嬉野市大字下宿乙2231-2
- 電話
- 0954-43-0680
- 公式サイト
- 豊玉姫神社
- アクセス
- 嬉野バスセンターより徒歩約2分
JR「嬉野温泉」駅より徒歩約24分
橋爪菓子舗
東京の「塩瀬総本家(しおせそうほんけ)」で修業した初代が、1921年に兵庫・神戸で創業。1954年に嬉野に移転した「橋爪菓子舗(はしづめかしほ)」は、100年以上続く老舗菓子店です。初代が生み出した「塩味まんじゅう」(1個100円)や二代目による「糸切り羊羹」(1本350円)など、歴代当主の菓子も長く愛されていますが、現当主・三代目の橋爪秀樹さんが開発した、はちみつたっぷり、サクッとしっとり生地の「丸ぼうろ」(1個95円)は、遠方から注文があるほどの人気商品です。
また、四代目による「佐賀まんまるカステラ」(1個160円)も人気。長崎から佐賀、福岡・小倉へと続く長崎街道「シュガーロード」由来のカステラと丸ぼうろを合わせた、外はサクッ、中はしっとり、底のザラメがサクサクと心地よい、思わず笑顔になる新食感のお菓子です。バターと卵の風味を感じる「プレーン」と、香り高いお茶の風味がフワーッと広がる「嬉野茶」の2種類があります。
村上美術株式会社が手がけた、レトロモダンなパッケージデザインも魅力。箱に詰め合わせても美しいので、幅広い世代へのお土産におすすめです。これからも、「おいしかったよ」と喜んでいただき、食べれば幸せになるお菓子づくりをという「橋爪菓子舗」。次はどんなお菓子で楽しませてもらえるのか、嬉野温泉を訪れるたびに立ち寄りたくなるお店です。
橋爪菓子舗
- 住所
- 佐賀県嬉野市大字下宿乙937-1
- 営業時間
- 9:00~18:00
- 定休日
- 水曜
- アクセス
- 嬉野バスセンターより徒歩約5分
JR「嬉野温泉」駅より徒歩約20分
道の駅「うれしの まるく」
「癒しの玄関口」をコンセプトに、駅前でゆっくり過ごしてほしいと誕生した道の駅「うれしの まるく」。駅を出た正面の手湯と、その先の公園の足湯は無料で利用可能。嬉野ならではのとろみある湯を、源泉かけ流しで楽しめます。また、駅のそばにある「まるくアイズ」では、嬉野や周辺の観光・イベント情報や特産品などを紹介。嬉野温泉街や周辺へ向かう前に、旅をより楽しむための観光やグルメ情報を収集できます。
新幹線開業とともにオープンしましたが、まだ完成ではないそう。2022年11月上旬に佐賀や嬉野のセレクト商品を販売するショップやカフェ、2023年3月にはレストランと続々オープン予定。そして、2023年夏には宿泊特化型の「フェアフィールド・バイ・マリオット佐賀嬉野温泉」も開業予定です。
道の駅「うれしの まるく」
- 住所
- 佐賀県嬉野市嬉野町大字下宿甲4370-2
- 営業時間
- 9:00~19:00(足湯、手湯は8:00~23:00)
- 休業日
- なし
- 公式サイト
- うれしの まるく
- アクセス
- JR「嬉野温泉」駅西口からすぐ
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キラキラ輝く映えスポットや名物グルメを堪能!「新大村駅」
大村湾沿いに広がる大村市。キリシタンの地として今でも各所に史跡が残る街に、西九州新幹線開業と同時に新設されたのが、「新大村駅」です。実は、長崎空港もこの大村市にあります。藩主の城跡で、さくらの名所100選にも選ばれた「大村公園」など観光スポットも点在するなか、今回は人気の写真映えスポットや、伝統の地元グルメを紹介します。
森園公園
1994年に現在の位置に整備された海辺の「森園(もりぞの)公園」。芝生広場やピクニック広場、親水水路などがあり、散歩や遠足などにも利用される、市民の憩いの場です。 園内には「天正遣欧少年使節顕彰之像」も。ヨーロッパからキリスト教文化や技術を持ち帰った少年たちの歴史的・文化的功績を称えるために建てられたもので、大村の歴史を感じることができます。
そして、森園公園といえば、大村湾や長崎空港を望むこの美しい景色。地元の人だけでなく、観光客にも人気です。時間によっては飛行機の離発着も見られます。公園の中心付近から、海と空港、ヤシの木をバッグに見る景色が特に美しく、夕暮れ時はまた違った雰囲気を楽しめるので、夕方まで公園でゆっくり過ごすのもおすすめです。
公園のそばには、人気の撮影スポット「ガラスの砂浜」も。廃棄されたガラス瓶など加工した再生砂を使用しているので、砂浜がさまざまな色にキラキラ輝きます。これは、大村湾の自然環境を取り戻すと同時に、「もっと大村湾に興味をもってほしい」と、長崎県が2016年から始めた取り組み。安全性に考慮した加工をしているものの素足では立ち入らず、ゴミを落とさないなどマナーを守りながら、キラキラ輝く砂浜の撮影を楽しんで。
森園公園
- 住所
- 長崎県大村市森園町1484(ガラスの砂浜:森園公園地先)
- 詳細
- 森園公園 - 大村市
- アクセス
- JR「新大村」駅より車で約7分
元祖 大村角ずし やまと
大村名物「角(かく)ずし」は、戦国時代に大村領を奪還した将兵たちを歓迎するため、木箱に広げた炊き立てご飯に魚の切り身や野菜のみじん切りなどをのせて、即製の押しずしを作ったのがはじまり。現在でも、お祝いの席やおもてなしの際に作られている郷土料理です。この「角ずし」を最初に商品化し、商標登録のもと伝統を守り続けているのが「やまと」です。
繊細な錦糸卵が華やかで美しい正方形の「角ずし」に、ピンクと緑色のはんぺんが、さらに彩りを添えています。125年前から変わらないという、やわらかな酸味の酢飯を噛みしめると、しいたけやかんぴょう、香ばしいごぼうなど、次々異なる味わいと食感が楽しめます。ご飯もたっぷりで大満足の「角ずし」は、吸物付きで1,070円。
人気の「角ずし定食」(1,300円)など、店内メニューも充実。テーブル席や小上がり、座敷と、席タイプも豊富な店内でゆっくり味わえます。現在、五代目の永田隆利さんが守り続ける「角ずし」は持ち帰り需要も高く、商品が豊富。新幹線の車中から大村湾を眺めつつ、伝統の郷土料理を味わってみるのもおすすめです。
元祖 大村角ずし やまと
- 住所
- 長崎県大村市本町474-5
- 営業時間
- 食事10:00~20:00(L.O.19:30)、持ち帰り8:00~20:00
- 定休日
- 火曜※祝日の場合は翌日
- 公式サイト
- 角ずしやまと
- アクセス
- JR「大村」駅より徒歩約10分
JR「新大村」駅より車で約10分
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九州の守り神に参拝し、人気のスイーツを味わう!「諫早駅」
「諫早(いさはや)駅」のある諫早市は、大村湾や橘湾、諫早湾と海に囲まれ、新鮮な魚介類や「伊木力(いきりき)みかん」などの名物のほか、砂糖文化を広めた長崎街道「シュガーロード」の名残を感じる銘菓もたくさん。この土地ならではのさまざまなグルメが楽しめます。美しい御朱印でも話題の、由緒正しき九州総守護の神社や、モンブランが人気のパティスリーを紹介します。
諫早神社(九州総守護 四面宮)
奈良時代の728年、聖武天皇の勅願により行基(ぎょうき)菩薩がこの地に石祠を祀ったのが始まりと伝わる、九州総守護の神々が御祭神の「諫早神社」。古来より諫早の氏神様として歴代領主からも篤く信仰され、この地方の中心社寺として崇敬を受けています。健康・病気治癒のご利益で知られ、疫病退散の妖怪・アマビエにゆかりがあり、日本一大きなアマビエの木像も奉安されています。
境内には、創建時に行基菩薩のお手植えと伝わる樹齢1200年のご神木のほか、6本の大クスが群生。長崎県の天然記念物に指定されています。また、2022年には参道の右手に「御神苑」も誕生。1957年の水害で消失した「龍池」を新たな形で復元し、ご神体である雲仙をかたどった「雲仙塚」も新たに鎮座。諫早神社ならではの景観を楽しむことができます。
授与所では、季節・暦に合わせたものや草木染めの和紙などオリジナルの御朱印、お守りが種類豊富にそろっています。また、「地元文化の発信を」という宮司・宮本健一さんの想いから、長崎発祥のショウガを使ったオリジナル御神饌(ごしんせん※神様に献上するお食事)も充実。御朱印を受けた時にいただけるほか、「神社エール」や「神社アイス」は初穂料350円(※2022年9月時点)で受けることもできます。
諫早神社(九州総守護 四面宮)
- 住所
- 長崎県諫早市宇都町1-12
- 公式サイト
- 諫早神社 | 九州総守護の神社(いさはやじんじゃ)
- アクセス
- JR「諫早」駅東口より徒歩約6分
ケーキ&ティールーム シェリール
いくつものコンテストで受賞している鈴木陽子シェフのパティスリー「ケーキ&ティールーム シェリール」。アールグレイの風味豊かな「紅茶のシフォンケーキ」(テイクアウト388円、イートイン396円)をはじめ、種類豊富なシフォンケーキは、ふんわり軽やかで口どけがよく、カロリーも控えめ。より多くの人々が食べられるものをと、栄養士でもある鈴木シェフが学生時代から研究を重ねて作り上げた、渾身のシフォンケーキです。
秋冬の一番人気は、2019年長崎洋菓子コンテスト・モンブラン部門金賞の「蒸し栗のモンブラン」(テイクアウト561円、イートイン572円 )。四万十栗ならではの高い香りを感じるまろやかなクリームと、中のミルキーなクリームや黒糖ロールが、芳醇なハーモニーを奏でながら溶けていくよう。シナモンがほのかに香るサブレがアクセントのモンブランです。毎年9月1日~3月頃まで1日30個限定で販売。電話で予約するのがおすすめです。
諫早駅から徒歩圏内にあり、ゆっくりスイーツを味わえるティールームも併設。日本紅茶協会の「おいしい紅茶の店」認定店でもあり、紅茶メニューも充実しています。ケーキセットならドリンクは50円引きに。素材のおいしさたっぷりで優しい、ひとくち味わえば幸せに包まれるシフォンケーキなどを味わいながら、旅の途中でひと休みしてみませんか。
ケーキ&ティールーム シェリール
- 住所
- 長崎県諫早市永昌町19-15
- 電話
- 0957-25-2655
- 営業時間
- 10:00~19:00(L.O.18:00)
- 定休日
- 月曜日、月2回火曜日 ※ホームページで確認
- 公式サイト
- シェリール
- アクセス
- JR「諫早」駅西口より徒歩8分
文化や食、絶景を楽しみ、新たなスポットで地元の魅力を発見!「長崎駅」
昔から外国との交流が盛んだった長崎市には、数多くの史跡があり、独自に生まれた文化を体感することができます。西九州新幹線の開業とともに、新しい駅舎もオープンした「長崎駅」。その中に誕生した新スポットのほか、かつての街並みを復元した施設や長崎ならではのグルメ、世界的な夜景の名所などを紹介します。
出島
1636年に築造され、鎖国していた江戸時代に日本で唯一ヨーロッパとの窓口だった「出島」。開国と同時にその役目を終え、明治時代に周辺が埋め立てられてから、扇形の原型を失ったままでしたが、長崎市の市制100周年事業の一環として、1990年の出島表門復元を皮切りに当時の建物が次々と復元され、現在ではその姿がよみがえっています。
なかでも人気なのは、オランダ商館長の生活などが再現された「カピタン部屋」。唐紙の壁紙が美しい、写真映えスポットです。当時から残る唯一の建物「長崎内外倶楽部」もおすすめ。1Fのレストランでは、長崎県産食材の料理やオランダスイーツが味わえます。当時の出島を再現した15分の1の模型「ミニ出島」も、撮影スポットとして人気です。
出島の貿易を支えていた「乙名部屋(おとなべや)」は、まるで時代劇のセットのよう。洋館とは違う雰囲気が楽しめる建物も必見です。ほかにも、出島限定商品がそろうミュージアムショップや、夜のライトアップなど、見所はたくさん。2022年に史跡指定100年を迎えましたが、復元整備事業は続くそうで、今後も楽しみなスポットです。
出島
- 住所
- 長崎県長崎市出島町6-1
- 営業時間
- 8:00~21:00(最終入場20:40)
- 定休日
- 年中無休
- 入場料
- 大人520円、高校生200円、小・中学生100円
- 公式サイト
- 出島〜dejima〜
- アクセス
- JR「長崎」駅よりながさき観光ルートバス「出島表門橋」下車すぐ、
または、路面電車「崇福寺行き」に乗車して「出島」停留場下車、徒歩約4分
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中国名菜 京華園
北京の故宮博物院・養心殿(ようしんでん)がモチーフの印象的な入口。福建省出身の初代・劉金福氏が1944年に大浦で創業し、1949年に現在の長崎新地中華街に移転した、約80年続く老舗が「中国名菜 京華園(きょうかえん)」です。本場の料理を心ゆくまで堪能してほしいと、厳選素材を使ったちゃんぽんや皿うどんをはじめ、種類豊富な中国料理を提供。宴会向けのコースや個室、大広間も充実しています。
人気メニューは「皿うどん・太麺」(950円)。あんかけタイプではなく、キャベツなど野菜や、豚肉、海鮮など具と炒めたものです。ポイントは、しょうゆ味を加えたちゃんぽんスープと、一度揚げたちゃんぽん麺を使うこと。野菜や具と一緒に炒めたちゃんぽんスープを麺に吸わせることで、旨味たっぷりのもちもち麺に。一度食べたら、やみつきになります。
ほかに、黄ニラ香るオリジナルの「ニラパンメン」(950円)なども人気。1Fフロアは予約不可なので、電話で混雑状況を確かめてから行くのがおすすめです。また、麺料理をはじめテイクアウトメニューもありますが、混雑時は対応できないこともあるので、こちらも電話で確認を。
中国名菜 京華園
- 住所
- 長崎県長崎市新地町9-7
- 電話番号
- 095-821-1507(15:30~17:00はアナウンスのみ)
- 営業時間
- 11:00~15:30(最終入店14:50)、17:00~20:30(最終入店19:30)
- 定休日
- 不定休
- 公式サイト
- 長崎新地中華街【中国名菜京華園(きょうかえん)】
- アクセス
- JR「長崎」駅より路面電車「崇福寺行き」に乗車し、「新地中華街」停留場下車、徒歩約1分
長崎街道 かもめ市場
長崎の魅力をしっかり伝えていく「長崎ファースト」をコンセプトに2022年3月、JR長崎駅改札前に誕生した商業施設「長崎街道 かもめ市場」。長崎の波立つ海をイメージしたタイルが迎える入り口の先には、観光で訪れた人々へ紹介したい長崎名物やグルメが集合。長崎ならではの定番から、新たなものとの出会いも楽しめるスポットです。
施設内中央は、市内最大級の27店舗が集まったお土産ゾーン。長崎市内だけでなく、県全域のお土産が購入できるのも特徴です。西九州新幹線「かもめ」をモチーフにした商品を販売する店舗もあるので、チェックしてみては。また、このうち8店舗は、豚まんや揚げたてのかまぼこなどを実演販売。イートインコーナーでアツアツを味わえます。左奥はご当地レストランゾーンで、各店ともメイン料理のみを提供。長崎のご当地グルメを、気軽に味わいたい時におすすめです。
右奥の「かもめ横丁」は、個性ある8つの専門店がそろう横丁ゾーン。フリースペースでいろいろなお店のメニューを楽しめたり、それぞれのお店でゆっくり過ごすことも。長崎街道の旧宿場町名が入った提灯が、旅気分をさらに盛り上げてくれます。ほかに銀行ATMやコンビニなどもあるので、帰りはもちろん、長崎の食文化のチェックや準備と、旅のはじめにも立ち寄ってみては。
長崎街道 かもめ市場
- 住所
- 長崎県長崎市尾上町1-67
- 営業時間
- 土産・物販/8:30~20:00、
ご当地レストラン/11:00~22:30、かもめ横丁/11:00~23:00 - 定休日
- ※アミュプラザ長崎に準ずる
- 詳細
- 長崎街道 かもめ市場
- アクセス
- JR「長崎」駅新幹線改札口よりすぐ
稲佐山公園
1951年に誕生した市民憩いの公園。毎年約8万本が咲き誇るツツジの名所としても知られ、野外音楽堂では著名なアーティストのライブも行われます。そして、山頂の稲佐山展望台は「世界新三大夜景」に再認定された長崎の絶景を堪能できるスポットとして有名。長崎港を中心に、周囲の山々に囲まれたすり鉢状の地形が生みだす「1,000万ドルの夜景」を鑑賞しようと、国内外から多くの人が訪れます。
2020年1月には、中腹と山頂をつなぐ「長崎稲佐山スロープカー」が運行開始。車両は「長崎ロープウェイ」と同じ「KEN OKUYAMA DESIGN」が手がけたもの。周囲の自然との調和を重視し、外装は木々が映り込むよう鏡面塗装。内装は森をイメージしたデザインになっています。長崎ロープウェイとは違った景色を楽しみながら山頂へ向かう、新たな移動手段です。
稲佐山展望台のある山頂エリア「INASA TOP SQUARE」は、2021年7月にリニューアル。長崎の旬の魚や野菜などを使った料理が味わえる「稲佐山レストランITADAKI」がオープンしました。ご当地グルメをITADAKI風にアレンジした「稲佐山トルコライス」(1,430円)も人気。稲佐山ならではの絶景と長崎ならではの味が楽しめる、注目のレストランです。
稲佐山公園
- 住所
- 長崎県長崎市淵町407-6
- 営業時間
- 長崎ロープウェイ/9:00~22:00
長崎稲佐山スロープカー/9:00~22:00
稲佐山展望台/9:00-22:00(屋上は24時間)
稲佐山レストランITADAKI/11:30~22:00 - 休園日
- なし
- 料金
- 長崎ロープウェイ/大人730円、中高生520円、小学生・幼児410円※片道料金
長崎稲佐山スロープカー/大人300円、中高生220円、小学生・幼児150円※片道料金
山頂駐車場/最初の20分無料(以降30分100円) - 詳細
- アクセス
- 稲佐山公園/JR「長崎」駅よりバス「稲佐山」バス停下車
稲佐山展望台/JR「長崎」駅よりバス「稲佐山バス停」下車、徒歩約3分、
淵神社駅よりロープウェイ搭乗、もしくは稲佐山中腹駅よりスロープカー搭乗
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新幹線開通でさらにアクセスが良くなった西九州エリアには、さまざまなスポットや魅力的なグルメがたくさんあります。佐賀県から長崎県へと広域にわたるので、西九州新幹線停車駅周辺にある宿を拠点にしながら、ゆっくり旅してみてはいかがでしょうか。
取材・文/辻 美穂 撮影/井上 由紀子