世界遺産の屋久島、県のシンボルでもある桜島、亜熱帯に属する奄美群島など、雄大な風景が多くの人を魅了する鹿児島県。自然豊かな風土や薩摩藩から息づく進取の気風が、多様な食文化も育んできました。そんな鹿児島県のご当地グルメを、飲食店情報サイト「楽天ぐるなび」の会員にアンケート調査しました。郷土の味から注目のグルメまで、鹿児島の旅めし人気トップ10をご紹介します。
※「旅行・観光の際に食べたことがある/食べたい料理」「おすすめしたい郷土料理」の結果を合わせたランキング(楽天ぐるなび調べ)
※アンケート調査期間:2023年11月13日~20日
黒豚
鹿児島の黒豚は、アグーで有名な琉球(沖縄)から江戸時代に移入された豚がルーツ。交配や改良を重ねて現在のブランドを確立しました。トンカツやステーキなど多彩な味わい方がある中で、「鹿児島といえば黒豚しゃぶ!」の声も寄せられたように、しゃぶしゃぶは特に人気。黒豚のさっぱりした旨みや肉質のやわらかさを堪能できます。
鶏飯(けいはん)
鹿児島と沖縄の間に位置する、奄美地方で生まれた郷土料理。ほぐした鶏ササミ、しいたけ、パパイヤの漬物、錦糸卵などをご飯の上に彩りよく盛り付け、温かい鶏ガラスープをかけて食べます。食欲の出ない夏場でもサラサラと食べやすい、南国の気候が生んだ料理です。近年は奄美だけでなく、鹿児島市内でも鶏飯を出す飲食店が増えていて気軽に楽しめます。
しろくま
今や全国区の知名度を誇る鹿児島発祥のスイーツ。削った氷に練乳をかけ、色とりどりのフルーツや小豆、寒天などをトッピングしたかき氷です。SNS映えする華やかなビジュアルも人気の理由。鹿児島の繁華街・天文館にある「むじゃき」が特に有名で、「並んでも食べる価値あり」との声も聞かれるほど、行列の絶えない人気店です。
鹿児島ラーメン
豚骨ラーメンが主流の九州で、やや異端ともいえる鹿児島ラーメン。豚骨に加えて鶏ガラや香味野菜も使用したスープは、あっさりとやさしい味わいが特徴です。麺は柔らかめに仕上げる店が多く、少し甘めのスープとよく合います。明確に決まった定義はなく、各店の個性やこだわりが詰まった1杯に出会えるのも、鹿児島ラーメンの魅力。
かるかん
かるかんは漢字で「軽羹」と書き、文字通り軽くふんわりとした食感と、真っ白な見た目が特徴的なご当地銘菓です。鹿児島のシラス台地で多く自生していた自然薯(山芋)を使い、江戸時代に考案されたとか。四角い型で生地を蒸し上げ、切り分けるのが一般的。かるかん生地の中に小豆餡を入れ、丸く仕上げたかるかん饅頭も人気です。
鹿児島黒牛
鹿児島県内で育てられた黒毛和牛のブランドです。明治期より薩摩半島や種子島などで牛が飼育されていた鹿児島は、現在でも和牛肉の生産量が全国トップ。中でも鹿児島黒牛はきめ細かく柔らかな肉質と、赤身と霜降りのバランスの良さで知られ、凝縮された旨みは格別。黒牛と黒豚を一度に楽しめるしゃぶしゃぶなども人気です。
つけあげ
全国的に「さつま揚げ」の名で知られる魚のすり身の揚げ物を、鹿児島では「つけあげ」と呼びます。鹿児島近海で獲れるアジやサバ、タラなどのすり身に豆腐や地酒を加え、甘めの下味を付けて油で揚げます。芋焼酎との相性もよく、鹿児島の居酒屋ではおつまみの定番。県内のスーパーでも、目移りするほどさまざまな種類が並びます。
さつま汁
鹿児島県の薩摩地方の郷土料理、さつま汁。かつて薩摩藩で盛んに行われた闘鶏で、負けた鶏をその場でしめて汁物として食したことが起源とされています。今では手軽な家庭料理として親しまれ、鶏肉と根菜類を入れて味噌で仕立てます。皮付きのサツマイモを切って入れることもあり、皮の赤い色が華やかなアクセントになります。
鶏刺し
鹿児島や宮崎では昔から鶏の生食文化があり、飲食店だけでなく家庭でも鶏の刺身やたたきはおなじみのメニュー。甘味と独特の歯応えは、刺身でしか味わえないおいしさです。鶏の部位ごとに異なる旨みや食感も魅力。鹿児島県では通常の鶏肉とは別に生食用に厳しい基準が設定され、これをクリアした加工場や店でのみ提供されています。
キビナゴ
キビナゴは体長10cmほどのニシン科の小魚で、鹿児島の北西に浮かぶ甑島(こしきしま)列島は、日本有数の産地として有名。地元では唐揚げや南蛮漬けなど多彩な調理法で親しまれています。特に4~6月にかけての旬の時期に、酢味噌で味わう刺身は絶品。鮮度が落ちるのが早いキビナゴを刺身で堪能できるのも、鹿児島旅行の醍醐味です。
鹿児島の風土と歴史が生んだサツマイモ&芋焼酎
鹿児島のお酒といえば焼酎。県内の蔵元の数は100以上、銘柄は2,000以上とまさに焼酎天国で、そのほとんどが芋焼酎です。鹿児島の本土は、大半がシラス台地と呼ばれる火山灰などが堆積した土地で、台風の襲来も多く稲作に不向きでした。18世紀に琉球からサツマイモが伝わると、土質がイモに適していたことから栽培が一気に拡大。芋焼酎も作られるようになり、当時の藩の奨励もあって特産品となりました。
地元ではお湯割りが人気で、湯気とともに立ちのぼる豊かな香りは芋焼酎ならでは。つけあげやキビナゴなどの郷土料理とも、文句なしの相性のよさです。