提供:テレビ大分
大分の別府観光といえば外せないのが「地獄めぐり」。コバルトブルーが美しい海地獄や大迫力の龍巻地獄など10カ所ほどの地獄があり、多くの観光客で賑わっています。
その地獄について、「別府の歴史の生き字引」こと、平野資料館の平野館長と深掘りします。
別府の地獄の歴史
平野館長によると、「別府の地獄」は1000年以上前の『豊後国風土記(ぶんごのくにふどき)』に記されたのが最初とされ、江戸時代の紀行文にも地獄の様子が記録されているといいます。
そもそも、噴気が立ち上る場所をなぜ別府では地獄と呼ぶようになったのでしょうか?
「悪いことをすると地獄に落ちる」などと言いますが……
別府ではいたるところから熱湯や噴気が噴き出し、耕作も困難だった当時の状況が地獄のイメージと重なったため「地獄」と呼ばれるようになったとのこと。
そして、発想の転換で地獄を観光地へ。
「別府に行けば地獄を見ることができる」
そんな噂を聞いて好奇心を掻き立てられた人々が全国から集まるようになり、昭和初期の地図を見ると15カ所の地獄が確認できます。
15カ所のうち、今は見ることができない地獄も、その痕跡はあるそうです。
そこで、今はなくなってしまった幻の地獄の痕跡を探すため最初に向かったのは……
今は公園になっているとある場所。
ここにはかつて間歇泉(かんけつせん)があったといいます。
それが「前八幡地獄間歇泉(まえはちまんじごくかんけつせん)」。
昔の写真と見比べると、石積みの痕跡も確認できます。
その手前で約40メートルほどの高さまで間歇泉が沸いていたということですが、湧出量の低下などにより昭和初期に閉鎖されたといいます。
その「前八幡地獄間歇泉」の隣にあったのが「八幡地獄」。
現在は私有地になっているのでこの公園からしか見ることができませんが、戦前は多くの観光客でにぎわった場所でした。
平野館長によると、その理由はここに「怪物館というものがあったから」。
その「怪物館」には鬼やカッパ、人魚(?)などが展示されていたとか……。
大正時代からの歴史をもつ「鶴見地獄」は、昭和初期に大人気だった地獄で、立派な門を抜けると迫力ある地獄が迎えてくれました。そして今でも、その痕跡が残されています。
今でも温泉が沸き出ている鶴見地獄、そこには鬼が。ここも私有地のため 現在は非公開となっていますが…今でも衰え知らずの迫力です!
その鶴見地獄には こんな一面も。
鶴見園という遊園地もあり、当時は鶴見園から鶴見地獄へというのが定番コースだったとか。
鶴見園の中には温泉プールもあったということですが、所有者が変わるなどして閉鎖されたということです。
続いて幻の地獄をまとめて紹介します。
九州横断道路沿いで現在は「鉄輪地獄地帯公園」がある場所には「十万地獄」という巨大な地獄が。そのほかにも、昭和初期に消えた「紺屋地獄」は現在、別府温泉保養ランドになりましたが実はバス停にはいまだ名前を残しています。
そして「今井地獄」は、現在は地元の人に愛される今井温泉に。大きな観音像があった「鉄輪地獄」は現在、湯治宿として人々を癒やし続けています。
歴史ある別府の地獄の数々。失われた地獄も、カタチを変えて今も人々に寄り添い続けています。
別府地獄めぐり
- 住所
- 大分県別府市鉄輪559-1
- 営業時間
- 8:00~17:00
- 定休日
- 年中無休
- 問い合わせ
- 0977-66-1577
- 公式サイト
- 別府地獄めぐり
※この記事は、2023年11月30日にテレビ大分「TOSオンライン」で公開された記事を転載したものです。
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