関東有数の観光地である鎌倉。多くの神社仏閣やおしゃれなレストラン、カフェなどがあるこの場所には、年間で約1,900万人(※2019年 鎌倉市発表)もの観光客が訪れます。
そんな鎌倉は、源頼朝の家臣である北条義時が主人公のドラマの舞台となっていることもあり、2022年は歴史好きやドラマファンの間でもますます注目が高まっています。今回は、人気観光地の鎌倉にある、幕府の合議制を構成した13人の御家人とドラマゆかりの地をご紹介! 歴史に関係するグルメやカフェなども含め、鎌倉観光に役立つ情報をたっぷりとお伝えします。
街のいたるところにゆかりの地が点在する、古都・鎌倉
鎌倉は古くから関東地方の政治・経済の中心地として栄えてきました。
源頼朝がこの地で鎌倉幕府を開いてからは、街が整備されて多くの神社仏閣なども造られました。1333年に鎌倉幕府は滅亡してしまいますが、後世でも「源氏ゆかりの地」として親しまれてきました。
鎌倉は三方を山、一方を海に囲まれた狭い土地だったため、頼朝を含め鎌倉幕府に仕えた武士たちの邸宅や神社仏閣は密集して建てられました。実際、意識して源氏ゆかりの地を探さなくても、住宅街のなかでいきなり史跡に出合えるほど。
源氏ゆかりの地は全国に点在しますが、鎌倉の場合はスポット間の距離が非常に近く、めぐるのには最適です。
都内からアクセス良好!公共交通機関と徒歩移動がおすすめ
鎌倉は、都心からのアクセスが便利なのも特徴です。観光の拠点となる「鎌倉駅」には、JR総武線快速、湘南新宿ラインと2つの路線が乗り入れており、東京駅からは乗り換えなしで約1時間と日帰りも可能。
車でアクセスする場合は横浜横須賀道路を利用することになりますが、交通渋滞が多いうえ、鎌倉市内は道幅も狭いので、公共交通機関の利用がおすすめです。
また、鎌倉は非常にコンパクト。今回ご紹介するスポットも徒歩と路線バスだけで観光でき、少し足を延ばす場合も、JRや江ノ電など公共交通機関を利用するだけで十分でしょう。
ただし、鎌倉はアップダウンが激しく、特に石段の上り下りなどで体力を使います。動きやすい格好と水分補給は忘れずに。
人気観光地のため混雑していることも多く、午前中からの行動を心がけたり、混雑に疲れた際は適宜休憩を取ったりするといった工夫も大切です。
源氏が崇敬した武士の守護神「鶴岡八幡宮」
ドラマゆかりの地の中には、鎌倉の有名観光地から、ひっそりとたたずむ通好みのものまであります。各スポットの由緒や見どころ、アクセスなどをご紹介します。
鎌倉駅から徒歩約10分の場所に位置しているのが、鎌倉の人気観光スポットの一つ「鶴岡八幡宮」。源頼朝が崇敬したことでも知られ、境内にはドラマゆかりの見どころも多く点在します。
境内にある2つの池は、頼朝が源氏の繁栄と平氏の滅亡を祈って造られたことから「源氏池」「平家池」と名付けられたと伝わり、源氏池に浮かぶ島には「旗上弁財天社(はたあげべんざいてんしゃ)」という小さな神社も創建されました。
旗上弁財天社の裏には頼朝が政子の安産を祈願したと伝わる「政子石」もあり、良縁・夫婦円満・子授(こさずけ)にご利益があるとされます。
頼朝とその子・源実朝を祀る「白旗神社」や、源義経を慕う静御前(しずかごぜん)が舞を舞った跡地に建てられた「舞殿」などもドラマゆかりの地とあって、ファンにはたまらない神社です。
鶴岡八幡宮
- 住所
- 神奈川県鎌倉市雪ノ下2-1-31
- 開門時間
- 6:00~21:00
- アクセス
- 鎌倉駅より徒歩約10分
- 公式ページ
- 鶴岡八幡宮
大河ドラマの魅力がたっぷり!「鎌倉殿の13人 大河ドラマ館」
鶴岡八幡宮の境内には、博物館の「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム」があります。鶴岡八幡宮の歴史を軸としながら、季節ごと、テーマごとに展示を行うミュージアム。
この施設が2022年3月1日~2023年1月9日までの期間限定で「鎌倉殿の13人 大河ドラマ館」となっていて、大河ドラマの魅力に触れられます。
大河ドラマ館で楽しめるのは、最新のデジタル技術を存分に活かした展示。ドラマの出演者がデジタルサイネージで表示されるコーナーや、観客参加型のインタラクティブ機能を備えた大型スクリーンなどが用意され、見ているだけでも圧倒されます。
撮影で実際に使用された衣装や小道具などの展示、ここでしか見られないオリジナルムービーなどファンのためのコンテンツが満載で、ドラマにハマった方なら絶対に一度は訪れたいスポットです。
お土産にはドラマをモチーフにしたグッズを
鶴岡ミュージアム1階にあるミュージアムショップには、大河ドラマをモチーフにしたお菓子やアクセサリー、タオルなど、ここでしか買えない限定グッズも。鎌倉観光の記念品、あるいは歴史好きな方へのお土産を選んでみては?
大河ドラマ館
- 住所
- 神奈川県鎌倉市雪ノ下2-1-53
- 営業時間
- 9:30~17:00(最終入館16:30)
- 入館料
- 高校生以上 1,000円、小・中学生 500円
※大河ドラマ館入館パンフレットの提示で、鎌倉国宝館・鎌倉歴史文化交流館へ各1回無料入場可能 - アクセス
- 鎌倉駅より徒歩約10分
- 公式ページ
- 大河ドラマ館
源氏の盛衰を見守った親銀杏とともに、境内でカフェタイム!
源氏ゆかりの地である鶴岡八幡宮の中には、おしゃれなカフェも。大河ドラマ館があるミュージアムに併設されている「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム カフェ&ショップ」です。
木目を活かした開放感のある店内が特徴で、注文・支払いはセルフレジ対応。
窓の外には美しい緑や池が広がり、店内には2010年に強風により倒伏した樹齢およそ1000年ともいわれる鶴岡八幡宮の親銀杏の一部が展示されています。
本来、境内の大石段のふもとにあった親銀杏。鎌倉三代目将軍だった源実朝を暗殺した際、公暁(くぎょう)が身を隠していた銀杏とも伝えられています。
オリジナルの和スイーツやドリンク、軽食などがある中で、今回は「オリジナルブレンド白檀」(650円)の紅茶と「宇治抹茶プリンのアーモンドスープ仕立て」(700円)を注文。
白檀が香る紅茶と濃厚な宇治抹茶プリンの相性は抜群で、和と洋の融合が見事です。
鶴岡ミュージアム カフェ&ショップ
- 住所
- 神奈川県鎌倉市雪ノ下2-1-31(鶴岡八幡宮境内)
- 営業時間
- 10:00~17:00(ラストオーダー16:30)
- アクセス
- 鎌倉駅より徒歩約10分
- 公式ページ
- 鶴岡ミュージアム カフェ&ショップ
頼朝と義時のお墓参りができる「法華堂跡」
源頼朝のお墓「法華堂跡(ほっけどうあと)」は、鶴岡八幡宮から住宅街を抜け、徒歩約10分の場所にあります。
法華堂の建物自体は衰退して現存していませんが、頼朝の血縁とされる薩摩藩・島津忠久の末裔である島津重豪(しげひで)が江戸時代に整備した塔が残されています。
また、頼朝のお墓から2分ほど歩くと、北条義時のお墓(法華堂跡)が。2つのお墓は合わせて国指定史跡になっています。
こちらも法華堂は現存していないものの、かつて法華堂があった場所は整備され、杭や囲いによって当時の建物の規模が分かるように。
スマートフォンにアプリをダウンロードし、この場所でAR機能を使うと、スマホ越しに当時の法華堂の再現CGを映すことも可能です。2人の生涯に思いをはせ、お墓参りをしてみるのもいいですね。
法華堂跡
- 住所
- 神奈川県鎌倉市西御門2-5
- アクセス
- 鎌倉駅より路線バス「岐れ道」下車、徒歩約5分
- 公式ページ
- 法華堂跡(鎌倉市)
比企一族の悲劇の舞台「妙本寺」
鎌倉駅から徒歩約8分の閑静な住宅街の中にある「妙本寺」。現在は鎌倉の喧騒から離れて落ち着いて過ごせるお寺ですが、実は鎌倉の歴史に残る悲劇が生まれた地です。
妙本寺のある一帯は、合議制を構成する13人の1人に数えられた比企能員(ひきよしかず)とその一族が住んだことから、「比企谷(ひきがやつ)」と呼ばれます。
比企能員は北条政子・北条時政との権力争いに敗れ、殺害されます。比企谷にいる比企一族も北条氏の軍勢に襲撃され、一族は滅亡しました。
その後、鎌倉を離れていたため生き残った比企能本(よしもと)が、日蓮宗の開祖・日蓮に自らの屋敷を献上。妙本寺が誕生しました。
境内には比企一族の墓も建てられており、比企氏の悲劇を今に伝えています。
妙本寺
- 住所
- 神奈川県鎌倉市大町1-15-1
- アクセス
- 鎌倉駅より徒歩約8分
- 公式ページ
- 妙本寺
北条氏の慰霊のためのお寺「宝戒寺」
比企一族を滅ぼした北条氏。しかし彼らの天下も永遠ではなく、後醍醐天皇とその家臣たちの手によって北条氏一族は滅亡しました。そんな北条氏の慰霊のため、かつての北条氏屋敷跡に建てられたのが「宝戒寺(ほうかいじ)」です。
鎌倉駅から徒歩13分程度と市街地の中にありながら、不思議と静けさに包まれた境内。
自害に追い込まれた鎌倉幕府の執権・北条高時を祀る「德崇大権現堂(とくそうだいごんげんどう)」や、戦没者を慰霊する「宝篋印塔(ほうきょういんとう)」などが建てられています。
わびしさを感じられるお寺で、ゆかりの地めぐりの最後に訪れるのがおすすめです。
宝戒寺
- 住所
- 神奈川県鎌倉市小町3-5-22
- 開門時間
- 9:30~16:30(10~3月は9:30~16:00)
- 拝観料
- 高校生以上300円、中学生200円、小学生100円
- アクセス
- 鎌倉駅より徒歩約13分
- 公式ページ
- 宝戒寺
ランチも頼朝・政子にゆかりのお寺で!境内の絶品洋食
鎌倉は神社仏閣が多いだけでなく、グルメの街としても知られますが、2つの魅力が融合しているのが「石窯ガーデンテラス」です。
洋風の建物から美しいガーデンを眺められるこのレストランがあるのは、鎌倉駅からバスで10分程度の「浄妙寺」の境内。
北条政子や源実朝に敬われた高僧・退耕行勇(たいこうぎょうゆう)にゆかりがあり、鎌倉五山の第五位にあたる浄妙寺。その境内でレストラン&カフェ利用ができる、なんともぜいたくなお店です。
注文したのは、お店の定番メニューである「ガーデンプレート」(2,700円)。シェフ特製キッシュを始めとした手作り料理を少しずつワンプレートで楽しめます。スイスで修行を積んだシェフの作るお料理は、ガーデンの風景との調和を意識して生み出されたといいます。鎌倉産を中心に、新鮮な食材を活かしたシンプルながら深みのある味わい。
毎朝石窯で焼かれる自家製パンも人気。レストランの裏にある富士山溶岩を使った窯で焼かれていて、テイクアウトも可能です。アフタヌーンティーも好評で、素敵なガーデンを見ながらお茶をすれば旅の疲れも癒されます。
- 住所
- 神奈川県鎌倉市浄明寺3-8-50(浄明寺境内)
- 営業時間
- カフェメニュー:10:00~16:00(LO)
ランチ、アフタヌーンティー:11:00~15:00(LO) - アクセス
- 鎌倉駅より路線バス「浄明寺」下車、徒歩約5分
- 詳細
- 石窯ガーデンテラス
ドラマファンや歴史好きにはたまらないスポットが満載の鎌倉。源氏ゆかりの地をめぐり、遠い昔に激動の時代を駆け抜けた武士たちの生き様に思いをはせてみませんか?
今回ご紹介した「鎌倉でめぐる幕府ゆかりの観光スポット」MAP
取材・撮影・文:齊藤颯人