鎌倉駅から徒歩約10分の「鶴岡八幡宮(つるがおかはちまんぐう)」。古都鎌倉の中心にあり、鎌倉の山を背に建つ美しい社殿が魅力です。鎌倉の人気観光スポットである鶴岡八幡宮のおすすめ参拝コースから境内の見どころをご紹介します。
立派な鳥居をくぐって参拝へ
東京都心から電車で約1時間で行ける鎌倉は、女子旅やカップル旅行にも人気の観光地。中でも鶴岡八幡宮は定番で、境内への入り口の鳥居周辺は多くの人で賑わっています。
実はこの鳥居は、鶴岡八幡宮の「三ノ鳥居」。由比ヶ浜から鶴岡八幡宮へと真っ直ぐ続く参道に、海側から一ノ鳥居・二ノ鳥居が立っています。この一直線にのびる全長1.8kmもの参道が、多くの観光客で賑わう若宮大路です。
二ノ鳥居から八幡宮へ向かう道は若宮大路の真ん中が少し高くなっており、段葛(だんかづら)という道を通って、そのまま三ノ鳥居まで歩くことができます。
こちらの段葛は源頼朝の正室であった北条政子の安産を祈願して造られた参道で、春には桜やつつじの花のトンネルとなります。
若宮大路沿いには様々な店舗が並ぶので立ち寄ってみたくなりますが、参拝の際は真ん中の段葛を通って境内へ向かいましょう。
三ノ鳥居をくぐった少し先にある手水舎(ちょうずや)で手と口を清め、まずは鶴岡八幡宮の中心的な御社殿である本宮へ。
本宮は大石段の上にある上宮と、大石段向かって右手にある若宮(下宮)の上下両宮という形で1191年に整えられたものです。
現在の本宮は1828年に江戸幕府11代将軍徳川家斉の命により再建されたもので、屋根に曲線を与えた流造(ながれづくり)と、本殿と拝殿を一体化した権現造(ごんげんづくり)、その両方の特徴を兼ね備えた、流権現造の代表的な江戸建築です。
本宮に向かって大石段の右側にそびえる若宮は1624年に修復したもので、建物は上宮よりも古く国の重要文化財に指定されています。
若宮は仁徳(にんとく)天皇、履仲(りちゅう)天皇、仲姫命(なかつひめのみこと)、磐之媛命(いわのひめのみこと)をお祀りしている御社殿です。
こちらは大石段の前にある「舞殿」。下拝殿とも呼ばれ、義経を慕う静御前が舞をおさめたとされる若宮回廊跡に建てられています。
毎年4月に行われる鎌倉を代表する観光行事「鎌倉まつり」では「静の舞」が演じられることでも有名。神事や結婚式が行われる場所としても利用されています。
鳩のおみくじ・御朱印は祈祷受付へ
また大石段を降りたすぐそばには祈祷受付と授与所があり、おみくじや御朱印を求める場合はこちらで選ぶことができます。おみくじは2種類あり、通常のものと鳩みくじがあります。
鳩みくじ(初穂料200円)には、かわいい鳩の根付ストラップがついているので、こちらの方がより人気なのだそう。おみくじは全部で7色あり、好きな色のものをとることができます。
境内で参拝したい摂末社
商売繁盛のご利益が期待できる「丸山稲荷社」へ
では、ここからは鶴岡八幡宮の境内にある様々な歴史ある摂末社(大きな神社の境内に建てられている小規模な神社)をご紹介していきます。
まずは御本殿の西側にある丸山稲荷社。商売繁盛のご利益があるとされ、全国より奉納された旗で囲まれています。赤い旗と鳥居が特徴的で、御社殿は鶴岡八幡宮の中で最も古く室町時代に建てられたものとされています。
必勝・学業成就で信仰の厚い「白旗神社」
大石段を降り、舞殿から東へ進むと白旗神社があります。御社殿は黒塗りとなっており、赤が強い丸山稲荷社とは印象が違うように感じられます。
源頼朝公、実頼公をお祀りしており、必勝や学業成就の信仰の厚い神社となっています。
白旗神社は手水舎にもご注目ください。こちらの手水鉢に使われているのは蓮華座のある基礎石で、石の下に蓮の彫刻が見られるのです。
また白旗神社の周辺を見渡すと、境内の自然の豊かさに気づかされます。自然を感じながらの参拝は清々しくリフレッシュできます。
白旗神社と若宮の間には柳原神池があり、緑に囲まれた心地よい空間です。元々は柳の名所だったことからこの名前が付けられており、蛍や鈴虫の放生などの祭事が行われています。
現在は池の上にモミジが見られます。秋は紅葉を見に訪れた人で賑わい、夏には新緑のモミジも楽しむことができます。
三ノ鳥居のそばには柳原神池よりも大きな池、源平池があります。春は桜、夏には紅白の蓮が咲き、季節を感じながら散策できるスポットとして人気です。
池を埋め尽くすほどの蓮の花が開花する7月中旬~8月中旬、緑の大きな葉の中にピンクの花が咲き、美しい景色を堪能できます。
さらに源平池には小さな島があり、その中には旗上弁財天社が鎮座しているので、こちらもぜひ立ち寄ってみましょう。
源氏池に浮かぶ「旗上弁財天社」
こちらの御社殿は八幡宮の創建800年記念となる1982年に、古図を元に復元されたものです。御社殿前は藤棚になっていて、春には白い藤の花が咲き誇ります。藤の白と御社殿の赤のコントラストがとても美しいので、その時期を狙って訪問するのもおすすめです。
弁財天社の裏手にある、もう一つの見所がこちらの政子石(まさこいし)。源頼朝が妻の政子の安産を祈願したとされる石です。夫婦円満の祈願石で姫石とも呼ばれ、子宝や安産のご利益もあるとされています。
ツルッとした形が特徴的な政子石、触ってみたい場合は、神社の方に聞いてみてくださいね。
ここまでご紹介してきた御社殿以外にも、後鳥羽・土御門・順徳の三天皇がお祀りされている今宮や、上下宮と同様に重要文化財に指定されている武内社など、全てを回るには時間がかかるので、事前にどこを参拝するか決めておくと良いでしょう。
ランチやカフェは茶寮「風の杜」へ
参拝の合間の休憩におすすめなのが、三ノ鳥居をくぐったところにある茶寮「風の杜」。食事メニューや甘味が充実しているので、お昼頃ランチをしてから参拝したり、参拝が終わってからスイーツ休憩を楽しんだりしても良いでしょう。
大きなガラス窓の外には源平池を望むことができます。ぜひ窓側の席に座って、静かなひと時をお楽しみください。
見どころいっぱいの鶴岡八幡宮へ行こう
鎌倉に来たら立ち寄りたい鶴岡八幡宮。境内の見所が多く何度行っても新しい魅力に気づくことができる素敵な場所です。
駅と八幡宮の間に位置する小町通りも飲食店やお土産屋が並ぶ活気あるエリアなので、併せて楽しんでみてください。
鶴岡八幡宮
- 住所
- 神奈川県鎌倉市雪ノ下2-1-31
- アクセス
- JR鎌倉駅東口より徒歩約10分、江ノ電鎌倉駅より徒歩約10分
- 拝観時間
- 10月~3月 6:00~21:00、4月~9月 5:00~21:00
- 拝観料
- 無料
鶴岡八幡宮のアクセスマップ
取材・文・写真/岡本 大樹
取材協力/鶴岡八幡宮