恐竜に月の石、それに動物も!地球と人類がテーマの「国立科学博物館」見どころ徹底ガイド

国立科学博物館

東京・上野にあり、「科博(かはく)」という呼び名で親しまれている「国立科学博物館」。化石、鉱物、標本、発明品など収蔵している標本・資料は500万点にもおよびます。「想像力の入口」をテーマに、あらゆる切り口で自然科学にまつわるものを展示していますが、恐竜や動物の見せ方にも実は工夫が。迫力あり、美しさあり、驚きありと好奇心がかき立てられる光景が次から次へと目の前に広がっていきます。

 

 

博物館は「地球館」と「日本館」の2館

国立科学博物館

上野動物園に国立西洋美術館など名だたる施設がひしめく上野公園の一角に「国立科学博物館」があります。

 

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レンガ造りの堂々とした佇まいの建物、そして地球上で最も大きな動物とされるシロナガスクジラが目印です。

 

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敷地内には2つの建物があり、地球生命史と人類について幅広くふれている「地球館」、日本列島や日本人といった私たちに身近なテーマの「日本館」に分かれています。

 

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常設展に展示されている標本・資料は2万5千点以上あり、じっくり見るには最低2日間は必要といわれるほど。午後に比べて午前中の早い時間の方が来館者が比較的少ないので、ゆっくり見たいなら開館と同時に訪れるのがおすすめです。

 

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「年代順に見たいなら日本館は上から古い順に展示されていますが、ルートや巡り方については特に決まっていません。ぜひ自由気ままに自分の興味のあるところから好きに巡っていただきたいですね」と、職員の原田さん。

 

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展示エリアによっては1日3回、ボランティアによる解説が行われるので、その時間に合わせてまわるという方法も。「かはくのモノ語りワゴン」では実験に参加したり、疑問を聞いてみたりと対話によって理解を深めることができます。

 

大迫力!地球館の地下1階「地球環境の変動と生物の進化 -恐竜の謎を探る-」

国立科学博物館

太古のロマンを感じさせる「地球環境の変動と生物の進化 -恐竜の謎を探る-」は、博物館の中でも人気のエリア。巨大な恐竜の化石を目の当たりにし、その予想以上の大きさに驚きます。

 

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恐竜を代表するティラノサウルスもいますが、ポーズとしてはめずらしい座っている状態なのは展示へのこだわりから。

 

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実は今まで役に立たないと思われていた短い前足ですが、しゃがんだ状態から素早く起き上がるのに必要だったとも考えられることが判明。その事実を踏まえて、ティラノサウルスはしゃがんで待ち伏せをして、今にも向かい側のトリケラトプスに襲いかかろうとしているのです。

 

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ただ標本を置くだけでなく、実際に起きたかもしれないシーンを想像させる展示に「国立科学博物館」は取り組んでいます。

 

ビジュアルが美しい、1階「地球の多様な生き物たち」

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ひとつの祖先から徐々に枝分かれし、生き物たちが独自に発展していく。そんな進化の様子を美しく、ビジュアルで表現しているのが「地球の多様な生き物たち」の「系統広場」です。

 

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床には系統ラインが示され、緑は植物界、青は動物界を意味しています。ラインが分かれているところには、それぞれ特徴が書かれていて、その先には該当する生き物たちが集まっています。系統を大まかに眺めたり、特徴を細かく確認したりとさまざまな視点で生き物たちの進化をたどることができます。

 

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ほかにも「地球史ナビゲーター」では、138億年前のビッグバンで始まる宇宙史、海から生き物が誕生する生命史、そして人類が出現する人間史が巨大スクリーンに映し出されます。まるで地球館全体を象徴するかのような空間。映像を見ていると地球誕生から現代まで続く壮大な流れの中に自分たちも存在していることに気付かされます。

 

動物たちが大集合、3階「大地を駆ける生命」

国立科学博物館

標本・資料が持つ魅力を最大限に引き出した展示方法は、まるでドラマを見ているように引き込まれ、それは「大地を駆ける生命」でも然り。動物たちと視線が合うように意図された配置のおかげで、今にも動き出しそうな躍動感が感じられます。

 

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野生動物の魅力を伝えるために収集された剥製は、ハワイから海を渡って寄贈されたもの。ヨシモトコレクションといわれ、現在は調査が困難な地域の標本も含まれています。

 

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ジャイアントパンダのフェイフェイとトントン父娘や、ニホンオオカミも。ニホンオオカミは既に絶滅しているため、剥製として残っているだけでも十分貴重なものです。

 

子どもの興味が育つ、3階「親と子のたんけんひろば コンパス」

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「大地を駆ける生命」のすぐ隣にはカラフルな展示室があります。「親と子のたんけんひろば コンパス」は、0歳から12歳までの子どもが大人と一緒に遊びながら、色々なものに興味を持ち、かけがえのない時間を過ごしてもらえるようにとデザインされました。

 

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こちらの入室には、入館料とは別に料金がかかり、事前予約による完全入れ替え制(1回あたり45分間)です。週3回(水・土・日)の13時と14時からはワークショップも開催。すべり台や吊り橋など、子どもが大好きな仕掛けがたくさんあり、かっこいい・かわいい動物たちを間近で見ることもできます。

 

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絵本や図鑑が用意されたライブラリも完備。子どもが手に取れる位置まで本がぎっしりと並び、博物館の研究者がすすめる本もあるなど品ぞろえが豊富です。

 

国立科学博物館
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「みるみるテーブル」と呼ばれる場所は、花や虫、魚などの標本をカメラの前に置くと拡大されてテレビに映るという仕組み。普段は気付かない細かな部分まで見ることができ、身近なものへの興味も高まりそう。

 

地球館の他の見どころ

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化石や剥製など、動物にまつわるものが多い印象ですが、他の階に行くと科学に関する分野も。例えば2階「科学と技術の歩み」では、江戸時代から現代までの発明品や機械などを紹介しています。

 

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特に宇宙開発の分野では、小惑星イトカワのサンプルを持ち帰った探査機「はやぶさ」の再突入カプセルを実物で展示。表面に刻まれた傷からも困難な道のりだったことがうかがえます。

 

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同じフロアの「科学技術で地球を探る」には、自分たちで震源地を予測するシミュレーターがあり、同時に6人まで参加可能。地震が発生すると椅子が揺れ、その時間差で震源地の位置を探っていくもの。誰が一番震源地に近かったかと結果も表示されるので、楽しみながら学ぶことができます。

 

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地下3階「自然のしくみを探る」には、アポロ11号と17号が持ち帰った「月の石」の実物が。石の傍らには日本の国旗も展示されていますが、実は宇宙船と一緒に飛び、月まで往復したという唯一無二の経緯を持つ日の丸なのです。

 

国立科学博物館
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「月の石」のすぐ近くには授業で目にした元素の周期表があり、よく見るとそれぞれの元素には実物も飾られています。世界的にも珍しく、より元素を身近に感じてもらえるようにと作られました。

 

日本館の建物は国の重要文化財

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日本館に訪れたのなら、まずは吹き抜けの空間で天井を見上げてみてください。白亜色のドームからやわらかな光が注ぎ、ステンドグラスが鮮やかに輝きます。

 

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1931年に完成したネオ・ルネサンス様式の建物は国の重要文化財にも指定。ステンドグラスは、日本人初のステンドグラス作家である小川三知氏のアトリエで製作されたもの。国内にある作品の中でも傑作だと称賛されています。

 

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そして視線を大理石の壁に向けるとアンモナイトが隠れていることも。壁の正体はジュラ紀の石灰岩という、博物館にぴったりな素材が使用されています。

 

日本で発見された化石が並ぶ、3階「日本列島の生い立ち」

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日本館で人気なのも化石を展示している「日本列島の生い立ち」です。展示室に入ると、謎の首長竜といわれたフタバスズキリュウが早速にもお出迎え。新種として発表するまで38年もかかり、高校生が発見した当時の様子も紹介されています。

 

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さらに日本最古の化石や1978年に日本で初めて発見された恐竜の化石など、日本で発見された化石の数々が並びます。

 

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奥にはアンモナイトだけを集めたコーナーもあり、見比べてみると形が平面だったり、立体だったりと大きさもさまざま。実は500種以上のアンモナイトが日本で発見されているのだから驚きです。

 

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1mを超える大きなアンモナイトの化石は実際に触ることもできます。

 

まるで宝石箱のように輝かしい、3階「日本列島の素顔」

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日本列島の気候や地形に注目した「日本列島の素顔」では、黄色や青、赤など色鮮やかな鉱物が整然と並んでいて、その美しさにほれぼれしてしまいます。

 

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展示数は400近くあり、その大半が個人で収集された「櫻井鉱物コレクション」。日本屈指の鉱物収集家で、研究者としても知られていた櫻井欽一博士から寄贈されたものです。発掘元も記載されているので、ぜひ自分の出身地にまつわる鉱物を探してみてください。

 

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その横には日本で発見された隕石について紹介。861年に落下した世界最古ともいわれる隕石に始まり、日本では約50件の隕石が確認されていますが、これは国の面積に比べて多いのだとか。大きいもので100kgを超すものも展示されています。

 

忠犬ハチ公もいる、2階「日本人と自然」

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日本列島に人が居住したのが約4万年前のこと。そこから縄文、弥生、中世、近世を経て、いかに日本人は自然と共に進化していったのかを探るのが「日本人と自然」です。それぞれの年代ごとに日本人が再現され、縄文人の家族はごちそうを前に大はしゃぎ。この時から既に犬は猟には欠かせないパートナーになっています。

 

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犬といえば、世界的に有名でアメリカの映画でも話題になったのが「忠犬ハチ公」こと秋田犬のハチです。こちらでは実物を見ることができ、予想以上に大きく、たくましい体格に驚き。南極の昭和基地で生き延びた「カラフト犬のジロ」も併せて展示されています。

 

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ほかに海外から日本に持ち込まれてきた生き物たちが紹介され、アライグマ、ヘラクレスオオカブトといった身近な名前も。実は日本由来ではないことに新発見です。

 

ひと休みは博物館内のレストランで

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博物館を意味するミュージアムが語源のレストラン「ムーセイオン」。地球館の中2階にあり、味だけでなく博物館にちなんだ見た目も楽しめるメニューをいただけます。

 

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広々としたレストランの奥に向かうと、視線の先にはマッコウクジラの標本が。レストラン最奥は展示室を眺められる特等席です。

 

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お料理は、明治期に日本で西洋料理の草分け的存在として創業し、今も変わらず伝統の洋食を提供している上野精養軒によるもの。こちらでは恐竜をモチーフにしたプレートがいただけます。

 

恐竜の足跡を模したハンバーグの「ジュラ紀ハンバーグプレート」は、弾力があり肉の旨味をしっかりと味わえます。

 

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骨付き肉を恐竜がかぶりついている肉食恐竜カレーの「ダイナソープレート」もボリューム満点。どちらもソースにコクがあり、洋食店の本格的な味を堪能できます。

 

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デザートに人気なのは「かはくホエールプリン」。博物館のシンボルであるクジラのクッキーがプリンの上に乗っていて、プリンの甘さとカラメルのほろ苦さのバランスが抜群です。

 

限定グッズがかわいい!ミュージアムショップ

国立科学博物館

帰る際は、出口近くのミュージアムショップもお忘れなく!ここにしかない限定アイテムも多数あり、例えばパステルカラーの手ぬぐいは多くの生物たちが描かれていますが、食物連鎖を表現しているのです。

 

国立科学博物館
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「国立科学博物館」には4種類のオリジナルマスコットがいて、秋田犬ハチ、フタバスズキリュウ、シロナガスクジラ、猿人ルーシーはキーホルダーとして販売。カバンに付けるのにちょうど良い、手のひらサイズです。秋田犬ハチとフタバスズキリュウは、大きなサイズとしてぬいぐるみも置いてあります。

 

国立科学博物館

地球誕生から現代までと長きにわたる題材を扱っている「国立科学博物館」は、あらゆる知的好奇心がくすぐられるテーマパークのよう。どんなワクワク、ドキドキと出会えて、自分は何に興味を持つのか。地球や動物だけでなく、自分に対しても新たな発見を見つけに訪れてみてはいかがでしょうか。

 

国立科学博物館

住所
東京都台東区上野公園7-20
アクセス
JR「上野」駅(公園口)から徒歩約5分、東京メトロ銀座線・日比谷線「上野」駅(7番出口)から徒歩約10分、京成線「京成上野」駅(正面口)から徒歩約10分
開館時間
9:00 ~17:00(入館は16:30まで)
料金
大人630円、高校生以下 無料
公式サイト
国立科学博物館

 

 

取材・撮影・文/浅井みら野

 

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