夏の関西を代表する味覚「鱧(ハモ)」。その主な漁場である兵庫県の淡路島でブランド鱧「べっぴん鱧」の水揚げが始まりました。
地元のリゾートホテルではさっそく夕食に鱧料理が登場するなど、淡路島に初夏の到来を告げています。
豊かな漁場と料理人の技が織りなす淡路島の「べっぴん鱧」
関西地方では古くから、夏に欠かせない食材として珍重されている鱧。ビタミンAやコンドロイチンなどを豊富に含み、肌のアンチエイジングや夏バテ対策によいとされています。
7月の京都を彩る有名な「祇園祭(ぎおんまつり)」は、鱧の旬の時期に開かれることから、地元では別名「鱧祭(はもまつり)」と呼ばれるなど、鱧は関西の暮らしと密接に関わってきました。その歴史は信長や秀吉が天下を治めた安土桃山時代までさかのぼると言われています。
また、江戸時代の庶民の食文化を伝える元禄10(1697)年の書物『本朝食鑑(ほんちょうしょっかん)』に記された内容からも、「淡路島の鱧」は当時から高級食材として扱われていたことがうかがえます。
「鱧鍋」発祥の地と伝えられる淡路島の南あわじ市沼島(ぬしま)近海は、エサとなる甲殻類や魚が豊富であることから、良質な鱧の一大漁場となっています。なかでも初夏の鱧は、秋の産卵に向けて身に十分脂が乗っていて、体長70〜80cmほど、重さ1kg近くまで育ち、まさしく食べ頃です。
沼島の鱧漁は、伝統のはえ縄漁で1匹ずつ丁寧に釣り上げるため、身を傷つけることなく、美しい姿のまま水揚げされます。
丸々太った胴に小顔の魚体が「別嬪(べっぴん)」で、さらに味も旨みたっぷりの「別品」であることから、「べっぴん鱧」の愛称で親しまれています。
たくさんの硬い小骨を持つ鱧の身は調理が難しく、「骨切り」という高度な技術が求められます。熟練の料理人は一寸(約3cm)に対して実に20〜25回、皮ギリギリまで細かく包丁を入れます。この職人技が、骨の存在を感じさせない独特の食感を生み出します。
この骨切りは、習得まで10年はかかると言われるほど難度の高い調理法ですが、島内の宿泊施設や料理店には確かな腕で骨切りを行う料理人が多くそろっていて、それが淡路島の鱧料理を有名にした理由のひとつであると言えます。
淡路島島内のホテルで味わう「べっぴん鱧」のフルコース
南あわじ市のリゾートホテル「休暇村南淡路」では2024年5月20日から9月15日までの期間限定で、べっぴん鱧を使用した会席料理が提供されています。
鱧の子玉締め、マリネ、昆布締めの先附三種に始まり、鱧の造りや鱧すき鍋、陶板焼き、茶碗蒸し、天ぷら、巻き寿司など、まさに鱧づくしのフルコースです。
特に、新鮮な淡路島産玉ねぎとの相性が抜群の鱧すき鍋は、上品な甘みが口いっぱいにひろがる極上の一品。鍋の〆には淡路島産の手延べそうめんも用意されます。
休暇村南淡路
- 住所
- 兵庫県南あわじ市福良丙870-1
- 総部屋数
- 81室
- アクセス
- 【車】神戸淡路鳴門自動車道「西淡三原」ICから約17分
【バス】「福良」バス停から無料シャトルバスで約10分 - 駐車場
- あり(無料)
同じく南あわじ市にある全室オーシャンビューのオーベルジュ「ホテルアナガ」でも、6月1日から夕食にべっぴん鱧と淡路島産玉ねぎを使った鱧鍋会席を堪能できる宿泊プランがスタート。
鱧鍋に加えて、鱧の落とし(湯引き)や天ぷら、鱧鮨など、前菜から〆まで存分にべっぴん鱧を楽しめます。
ホテルアナガ
- 住所
- 兵庫県南あわじ市阿那賀1109
- 総部屋数
- 44室
- アクセス
- 神戸淡路鳴門自動車道「淡路島南」ICから車で約7分
- 駐車場
- あり(無料)
さっぱりとした旨みが特徴の初夏の「べっぴん鱧」。秋にかけてはさらに脂が乗った「なごりハモ」も楽しめます。ウナギやアナゴとはまた一味違った夏の滋養食、鱧。その本場の味を求めて、淡路島を訪れてみませんか?
▼淡路島の観光情報