憧れの登場人物と同じ世界を共有できる。そんな魔法とも言える夢を叶えてくれるのが、2023年夏にオープンした「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 ‐ メイキング・オブ・ハリー・ポッター」(以下、「スタジオツアー東京」)です。映画「ハリー・ポッター」シリーズのセットを間近で見られ、制作の舞台裏をのぞけるほか、主役気分を味わえる体験エリアも充実。世界を魅了し続ける魔法ワールドにどっぷりと浸ることができます。
「スタジオツアー東京」とは?
2001年に初上映された『ハリー・ポッターと賢者の石』を皮切りに最終作の『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』に至るまで、作品賞から衣装デザイン賞、作曲賞など数々の賞にその名を刻んだ映画「ハリー・ポッター」シリーズ。その後、魔法ワールドは「ファンタスティック・ビースト」へと舞台を移していきますが、「スタジオツアー東京」は両作品のセットや小道具が展示され、どのように映画が作られていったのかという制作過程も紹介されています。
「ハリー・ポッター」をテーマにした屋内型施設としては世界最大の規模で、自分のペースで見て回れるのが特徴。途中でセットと一緒に記念撮影や、特殊撮影に欠かせないグリーンスクリーンを使った体験も楽しめます。「スタジオツアー東京」は映画制作の魅力を伝える博物館であり、魔法使い気分を味わえるエンターテイメント施設でもあるのです。
始まりは数々の名シーンが生まれた「大広間」から
見覚えのあるセットが数多くそろっている中でも、新入生のハリーが到着するやいなや寮の組分けが行われたホグワーツ魔法魔術学校の「大広間」はスタジオツアーの始まりに相応しい場所。全生徒を収容できる空間は、その圧倒的な巨大さに思わず興奮してしまいます。
ダンブルドア校長が使用したフクロウの演台や、獅子にヘビなど寮を象徴する動物をかたどった燭台(しょくだい)など、隅々まで目を向けたいところですが、あっという間に時間が過ぎていくので、早めの写真撮影がおすすめです。
教壇にはマクゴナガル先生やスネイプ先生、それにハグリッドなど大御所の教職員が勢ぞろいしているのも「大広間」だけ。ぜひお気に入りの先生と一緒にツーショットを撮りましょう。
「ホグワーツの動く肖像画」に自分も参加
まるで映画『ハリー・ポッターと賢者の石』の流れを汲むように、セットは「大広間」から「動く階段」へ。組分けされた生徒たちがそれぞれの寮へ向かう際に通る場所ですが、こちらでは映画同様に階段が気まぐれに動く様子も眺められます。ゴゴゴォーっと音を立てながら重厚な階段が回転する様子は迫力があり、初めて目の当たりにしたハリーやロンと同じ気持ちになれそう。
さらに壁に掛けられている肖像画が動いているのも映画と同じ設定ですが、こちらでは自分もその肖像画の一員として参加できるのです!
セットの近くには撮影ステーションがあり、背景は5種類から選べます(参加費は無料)。人数は制限していませんが、ステーションA・Bは横長な背景なので大人数でも撮りやすく、1~2人ならステーションC・D・Eがきれいに収まります。
撮影が始まったらカメラに向かって得意のポーズを披露!約10秒の動画なので、動いた方が見応えのある一枚に仕上がります。事前にポーズを決めなくとも、「おびえたポーズ」「決めポーズ」など案内が表示されるので、その時のひらめきに任せてみるのも面白い体験になりますよ。
撮り終わった動画はランダムでどこかの肖像画に登場します。肖像画の中には、映画プロデューサーのデイビッド・ヘイマンさん、美術監督のスチュアート・クレイグさんがモデルのものもあるので、その空間に自分も加わっていると思えば感動もひとしお。事前に2次元コードをスマートフォンに登録しておくと、撮った動画を持ち帰ることもできます。
手に汗握る「クィディッチ エクスペリエンス」
ハリーたちが過ごすグリフィンドール談話室や男子寮などのセットが見られる「ホグワーツ・ライフ」にも、自分がホグワーツの生徒気分を味わえる体験があります。
魔法界で大人気スポーツのクィディッチの観戦シーンに出演できる体験ができます。スリザリン対グリフィンドールの試合を応援する動画を撮影するのですが、その様子を映画のシーンと組み合わせることで、あたかも自分たちがその場で試合を見ているような映像が完成するのです(動画はダウンロード可能)。
体験を通して知る、映画制作の秘話
ハーマイオニーがユールボールのシーンで着用したドレスなどが展示された「衣装と小道具」では、華やかな雰囲気が一転して不穏な空気が漂う一角も。映画の中で多くの魔法使いを襲い、見ている私たちさえも恐怖におとしいれてきたヴォルデモートの従者である死喰い人(デス・イーター)の仮面が不気味に並んでいるのです。
実は仮面はそれぞれ違っていて、美術チームが持ち主の個性が伝わるようにデザインし、それを小道具チームが緻密に再現したものだと判明。そういった事情を知ることで、敬遠していた対象も興味がそそられるアート作品へと昇華します。
こちらではオリジナルの仮面を作成する体験もでき、改めて仮面の奥深さに気付くはず。マスクの型、模様、色を選んでいきますが、選択することでマスクが劇的に変化し、その変貌ぶりにワクワク。完成品はコレクションに一定時間飾られるので、ほかのマスクと見比べてみるのも楽しいですよ。
「ホグワーツ・レッスン」で学校生活を満喫
スタジオツアー中盤に通る「ホグワーツ・レッスン」は、魔法薬学の教室や図書室、闇の魔術に対する防衛術の教室などがあり、実際に椅子に座ったり、映画さながらの写真が撮れたりできるのが魅力です。
闇の魔術に対する防衛術は、作品ごとに先生が変わることがお決まりになっていますが、こちらでは『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』のルーピン先生が指導していた時のもの。ハリーに守護霊呪文「エクスペクト・パトローナム」を伝授し、評判も良かった先生との別れを惜しんだファンも少なくないはず。
普段は静かな教室ですが、不定期に開催される「ワンド・コンバット」は見逃せない体験です。映画制作の舞台裏の秘密をよく知るインタラクターさんが杖の振り方や身体の動かし方を教えてくれ、全員一緒になって「エクスぺリアームス」と「ステューピファイ」を練習します。
すると突然、教室が闇に包まれ、死喰い人(デス・イーター)が乱入!習い立ての呪文を発揮する絶好の機会で、ノリノリになって杖を構えてしまいます。果たして呪文は死喰い人に効くのでしょうか…?
「ワンド・コンバット」は約15分ごとに不定期で開催されるので、気になる方は教室付近のインタラクターさんに聞くのがおすすめ。誰でも無料で参加できますが、制服のローブと魔法の杖があれば気分がより盛り上がります。
グッズはエントランス近くのメインショップで購入できるので、おみやげチェックを兼ねて、スタジオツアー前にぜひのぞいてみてください。更衣室も完備なので、購入後すぐに着替えることもできます。
魔法の杖は、魔法薬学の教室でも雰囲気のある写真を撮るのに役立ちます。お鍋の中をぐるぐると棒が回っているので、その近くで杖をかざせば、まるで魔法で道具を操っているような一枚になります。
『ハリー・ポッターと賢者の石』で登場する、みぞの鏡も人気の撮影スポットです。見る者の強い望みを映し出すと言われる鏡ですが、ダンブルドア校長いわく「世界一の幸せ者がその鏡を見るといつも通りの自分の姿が見える」のだとか。鏡の中の自分がどうだったのか、思わずお互いに聞いてみたくなります。
さまざまな出会いが待つ「禁じられた森」
にぎやかな「ホグワーツ・レッスン」から一転、エリアは不気味さが漂う「禁じられた森」へ。ホグワーツの生徒たちは立ち入り禁止なぶん、余計に入るのにドキドキします。
ケンタウルスと遭遇したり、ハリーとヴォルデモートが対峙したりと、各作品で印象強いシーンを生み出してきた舞台ですが、こちらでは『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』から魔法生物飼育学の授業で登場したハグリッドと半鳥半馬の美しい魔法動物のバックビークが姿を現します。
バックビークは気位が高いので、初対面は丁寧な挨拶が大切。目の前のライトが当たる位置でおじぎをすること数秒、するとバックビークもおじぎを返してくれるのです。
さらに森の奥へと進んでいくと、今度は吸魂鬼(ディメンター)が飛び交う光景が目に入ります。ここは映画同様に「エクスペクト・パトローナム」の出番。馬や牡鹿など自分の守護霊が目の前に現れ、撃退してくれる様子は爽快です。
今まさに動き出しそうな「9と3/4番線のホグワーツ特急」
ホグワーツ関連のエリアが続きますが、スタジオツアー後半には物語の出発点とも言える「9と3/4番線」が登場します。ロンドンに実在するキングス・クロス駅で映画の大部分を撮影しましたが、『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』では一部をセットで撮っています。
レンガ造りの情緒あふれる駅舎に、蒸気を上げながら出発を待つ機関車の姿に胸を弾ませたファンもいるはず。とっておきの写真をホグワーツ特急と一緒に撮影することができます。
反対側には手押しカートが壁を通り抜けているスポットがあり、こちらも映画を象徴する一枚が撮れる絶好の場所。怖がらず、勢いをつけているポーズだと、より雰囲気が伝わりますよ。
本物のオフィスのような「イギリス魔法省」
フルスケールならではの圧倒的な巨大さを体感できる日本限定の「イギリス魔法省」も人気のエリアです。高さ10メートル超えの空間は、映画「ハリー・ポッター」シリーズで作ったセットの中でも最大級の大きさになります。
壁には赤と緑のタイルが数千万枚も使用されていますが、実は木製なのだから驚き。細部まで手作業で行い、完成に至るまでかかった月日は5カ月以上など、「イギリス魔法省」には魔法以上に美と情熱が宿っています。
「イギリス魔法省」では欠かせない暖炉もあり、魔法省の職員さながら煙突飛行粉(フルーパウダー)で出勤する様子を体験できます。その一部始終も自分のスマートフォンで持ち帰ることができ、さらに緑の炎が揺らめいた迫力ある演出が加わっています。
動画用とは別に写真用の暖炉ももうけられています。こちらでは煙突飛行粉(フルーパウダー)は登場せず、自分の好きなタイミングでベストショットを狙えます。
「ほうきエクスペリエンス」で体験を持ち帰り
「スタジオツアー東京」のトリを飾る体験は、ハリー・ポッターの世界と映像技術の両方を堪能できる内容になっています。「ほうきエクスペリエンス」では、グリーンスクリーンの前で、ほうきに乗りながら様々なポーズに挑戦。
その様子をCG画像と組み合わせることで、まるで自分がホグワーツ城の上空を飛行したり、ロンドンの街中を颯爽と飛び回ったりと、映画のようなシーンに仕上がっているのです。
動画に加えて、こちらでは写真も撮影。体験後はカウンターでデータを購入でき、その場で写真をプリントアウトしてくれるプランも。
パッケージプランだとグループ全員分の写真と動画が含まれるので、人数が増えるほどお得になります。自分が映画の登場人物になれる体験は滅多にない機会なので、役になりきって思う存分楽しみましょう!
アクセス&チケット情報
「スタジオツアー東京」への行き方は、西武池袋線・豊島線「豊島園駅」または都営地下鉄大江戸線「豊島園駅」から。どちらの駅からも徒歩2分ほどの場所にあります。車の場合は、東京外環自動車道「大泉IC」から約20分、関越自動車道「練馬IC」から約15分という距離。専用パーキングも完備されていますが、利用する際には予約(1日1,800円)が必要です。
チケットは現地で直接購入することはできないのでご注意ください。公式サイトより日時指定でチケットは販売されていて、予約時間の1時間前からスタジオに入れます。
ファンはもちろん、映画好きにもおすすめの理由
「映画の舞台裏を隠さずに展示しているのがこの施設ならではの特徴だと思います。例えば、ひとつのシーンが出来上がるのにどれだけの音響を組み合わせて制作されたのかといった過程を知ることで、次回から映画を観る時に別の視点で楽しむこともできます」と、スタッフの長野さんと矢原さん。
映画「ハリー・ポッター」と「ファンタスティック・ビースト」シリーズの世界に浸れる「スタジオツアー東京」。魔法ワールドが魅せるファンタジーな雰囲気はもちろん、映画を陰で支え続けてきたクリエイターの真髄に迫れる希少な場所です。
ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 ‐ メイキング・オブ・ハリー・ポッター
- 住所
- 東京都練馬区春日町1-1-7
- 営業時間
- 時期により異なる
<例>
スタジオツアーオープン 8:30
ファーストツアー開始 9:00
ファイナルツアー開始 15:30
スタジオツアークローズ 19:30 - アクセス
- 【電車】西武豊島線「豊島園駅」(西武池袋駅から直通で約17分)から徒歩約2分、または都営地下鉄大江戸線「豊島園駅」から徒歩約2分
【車】東京外環自動車道「大泉I.C.」から目白通り沿いに約20分 - 駐車場
- あり(1日1,800円)※チケット購入時にあわせてパーキングも要予約
- 公式サイト
- ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 ‐ メイキング・オブ・ハリー・ポッター
‘Wizarding World’ and all related names, characters and indicia are trademarks of and © Warner Bros. Entertainment Inc. – Wizarding World publishing rights © J.K. Rowling.
取材・撮影・文/浅井みら野
関連記事