提供:ことりっぷ
童話『銀河鉄道の夜』の作者・宮沢賢治を生んだ岩手は、天文ファンにとってひとつの聖地。県内各地には見晴らしのよい魅力的なスポットが点在しています。雫石のナイトロープウェーで星空を眺めたり、賢治の出身地・花巻を散策したりする岩手の旅にでかけてみませんか?
夜のロープウェーに乗って気軽に星空観賞へ
ロープウェー山頂駅の上にかがやく天の川
雫石スキー場にある「雫石銀河ロープウェー」。ここではオフシーズンとなる春から秋にかけて、標高730mから星空を観賞するナイトロープウェーを開催しています。
チケット(往復2,200円)の販売は、ロープウェー山麓駅の目の前にある雫石プリンスホテル。ロープウェーに乗って約7分間の空中散歩を楽しんだら、観賞会場のある山麓駅に到着です。会場では自由な姿勢でリラックスして星空を眺めることができます。知識豊富な星空案内人の解説があるのもうれしいですね。
寝転んで星を眺めるなら、レジャーシートの持参がおすすめです。有料でリクライニングチェアの貸し出しもあります。標高が高く街灯りの影響も少ないので、星の姿がくっきり。心ゆくまで美しい星々を堪能しましょう。
(左)満天の星の下を進むロープウェー (右上)星空案内人がレーザーポインターでわかりやすくガイド (右下)リクライニングチェアは数量限定のため、先着順
岩手山を望むのどかな農場で思いっきり遊ぶ
雄大な岩手山が眺められる「のんびりひつじのさんぽ道」
ナイトロープウェーの開始まで時間があるなら、ロープウェーから車で15分ほどのところにある「小岩井農場」で遊びましょう。明治24(1891)年に開設された民間総合農場で、岩手山南麓に約3000haの広大な敷地が広がっています。観光エリア「まきば園」では農場ならではの体験やアクティビティ、グルメが楽しめるほか、チーズケーキなどの乳製品を使ったおみやげも人気です。
天文ファンなら「まきばの天文館」は見逃せません。2階に天体ドームがあり、20cm屈折望遠鏡が展示されています。土・日曜、祝日は太陽の黒点の観察会が行われているので、ぜひ参加してみましょう。
展示を楽しめる「まきばの天文館」 おみやげにぴったりの「小岩井チーズケーキ」
夢があふれる宮沢賢治の世界にふれる
ファンタジックホールは「賢治の椅子」がいくつも置かれた不思議な空間
星空観賞の翌日は、盛岡の南に位置する花巻に足をのばすのがおすすめ。宮沢賢治の故郷であり、関連する施設で賢治の世界に浸れます。
例えば、賢治の描いた童話の世界を楽しく学べる「宮沢賢治童話村」。敷地内にはファンタジックホールなどで童話の世界を体感できる「賢治の学校」(入館料は一般350円)と、植物、星、石などに関する展示を行う「賢治の教室」があります。フォトジェニックなスポットも多いので、素敵な写真を狙ってみるのも楽しそうです。
(左上)巨大な昆虫のジオラマに圧倒される「大地の部屋」 (右)星をモチーフにしたライトアートを展示 (左下)5つのテーマごとに部屋が分かれている「賢治の学校」
色とりどりの花が咲く日時計花壇
花壇設計は賢治の創作活動のひとつ
賢治の童話に登場する広場から名付けられた「ポランの広場」もおすすめです。一度は花巻温泉遊園地のために設計し実現したが、経済的な理由で維持ができず失われた日時計花壇と南斜花壇。それらが賢治の設計図や手紙をもとに再現されています。宮沢賢治記念館からイーハトーブ館に向かう坂道の途中にあり、森に囲まれた静かな場所です。花壇に咲き誇る四季の花々を眺めながら、心和む時間を過ごしましょう。
(左)童話『どんぐりと山猫』をモチーフにしたモザイク画もあります (右)賢治作品に多く登場する、かわいいフクロウのオブジェ
星好きなら訪れておきたい、宮沢賢治の愛した岩手。賢治も見上げたかもしれない星空を眺め、故郷の花巻でゆかりのスポットをめぐれば、幻想的な童話の世界に没入することができます。ぜひ賢治の本を片手に、岩手の旅を満喫してみましょう。
文:谷川 梓