「こども本の森 中之島」やレトロ建築を巡る、大阪中之島のアートなおさんぽへ

「こども本の森 中之島」やレトロ建築を巡る、大阪中之島のアートなおさんぽへ

提供:ことりっぷ

 

かつては水運に支えられ、文化や経済の中心地として発展してきた大阪中之島。堂島川と土佐堀川に挟まれた緑豊かな水辺には、2022年2月にオープンした「大阪中之島美術館」のほかにも、歴史的建築物や文化施設などが集積しています。今回は「こども本の森 中之島」やエリアを象徴するレトロ建築など、アートな中之島を楽しむおさんぽへ。わざわざ立ち寄りたいカフェや話題のランチもご紹介します。

 

大人も夢中になれる物語の聖地「こども本の森 中之島」へ

大人も夢中になれる物語の聖地「こども本の森 中之島」へ 3階分の吹き抜けから、天井まで届く書架。施設は寄付によって運営されている

大阪中之島で立ち寄りたいひとつ目のアートスポットが、2020年7月に開館した「こども本の森 中之島」です。建築家・安藤忠雄が「本を手に取り無限の創造力や好奇心を育んでほしい、世界には自分と違う人や暮らしがあることを知ってほしい」との想いから設計し、大阪市に寄贈した文化施設です。

現在は、国内外から寄贈された本を含め約2万冊の書籍が収蔵されており、館内はもちろん、すぐ近くの「中之島公園」に持ち出して自由に読むことができます(貸し出しは不可)。

 

本を手に取りたくなる仕掛けや工夫がいっぱい

本を手に取りたくなる仕掛けや工夫がいっぱい 書棚には本の中から印象的な一節を抽出した「言葉の彫刻」をディスプレイ。1階には、物語に出てくる言葉やシーンを上映する空間もある

3つのフロアすべての壁が本で埋め尽くされた「本の森」には大階段や回廊がめぐらされ、まるで立体迷路のよう。階段の端や隠れ家のような空間など、思い思いの場所で読書に夢中になる子どもたちの姿も印象的です。

ブックディレクター・幅允孝(はばよしたか)が、「自然と遊ぼう」「食べる」など12のテーマで選書・配架した本は、子どもだけでなく大人にも興味深いラインナップ。偶然手にした本に、人生や心を豊かにしてくれるヒントが散りばめられているかもしれません。

現在、入館するには公式HPからの事前予約が必要(各回定員100名・90分の入れ替え制)。入館方法については公式HPを確認してくださいね。

 

本の壁のすき間や席からは堂島川が眺められる オリジナルグッズも思わず手に取りたくなるデザイン。(左)軽くて丈夫なポリプロピレン製マグカップ1650円 (右)水を弾く工業用の再生紙を使ったピクニックラグ 2200円(90×135cm) 安藤忠雄がデザインしたオブジェ「青いりんご」が目印。「目指すは甘く実った赤リンゴではない。未熟で酸っぱくとも明日への希望へ満ち溢れた青りんごの精神」というメッセージも寄せている

 

世界でも珍しい完全地下型の美術館「国立国際美術館」

世界でも珍しい完全地下型の美術館「国立国際美術館」 世界的な建築家のシーザー・ペリが設計。外観は竹の成長と現代美術の発展を表現

戦後の現代美術を中心に収集・展示を行う「国立国際美術館」。地下2・3階の展示室、地下1階のパブリックスペースからなる世界的に珍しい地下型の美術館です。約8200点の作品からコレクション展を開催し、特別展では国内外の美術の動向も発信しています。

「大阪中之島美術館」に隣接し、2022年10月22日から2023年1月9日までは、「国立国際美術館」と「大阪中之島美術館」の2会場で、「すべて未知の世界へ ― GUTAI 分化と統合」を開催。兵庫県の芦屋で結成された美術家集団「具体美術協会(具体)」解散後50年の節目となる2022年、「国立国際美術館」では「統合」を、「大阪中之島美術館」では「文化」をテーマに彼らの歩みや作品を紐解きます。

大阪のアートシーンを牽引する2つの美術館が初めて共同開催する企画展だけに、全国から注目が集まっています。本企画展の料金は2館共通で一般2500円、「国立国際美術館」のみだと一般1200円、大学生700円。開催期間も長いのでぜひ足を運んでみては。

 

地下2階から地下1階の吹き抜けには、1970(昭和45)年の大阪万博のために制作されたジョアン・ミロの陶板壁画『無垢の笑い』(1969年)を展示

 

日本の近代建築を代表する「大阪市中央公会堂」へ

日本の近代建築を代表する「大阪市中央公会堂」へ 風格あるたたずまい。現在も市民の文化・芸術の活動拠点として親しまれている

大阪中之島は、歴史ある名建築が点在するエリアとしても知られています。その代表的なスポットのひとつが「大阪市中央公会堂」。1918(大正7)年に竣工したネオ・ルネサンス様式の建物です。赤レンガが映える壮麗な外観や内部意匠が評価され、公会堂建築物として西日本で初めて国の重要文化財に指定されました。地下の展示室は自由に見学でき、不定期で館内のガイドツアーも開催されています(有料・要予約)。

地下にはレストラン「中之島ソーシャルイートアウェイク」もあり、昼間はランチやカフェを楽しむ人々で賑わいます。星付きレストランのシェフが監修した料理や自家製スイーツも評判。名建築で憩いのひと時を過ごしてみてはいかがでしょう。

 

一番人気のメニュー、名物 牛肉煮込みのオムライス800円〜。お店の詳細は公式HPからチェック

 

明治を代表する建築が美しい「大阪府立中之島図書館」へ

明治を代表する建築が美しい「大阪府立中之島図書館」へ 1922(大正)年に左右両翼部分を増築し現在の形に

大阪中之島を象徴する建築といえば「大阪府立中之島図書館」も見逃せません。1904(明治37)年に開館した公共図書館で、現在はビジネス支援や大阪資料・古典籍に特化しています。建物は国の重要文化財に指定。正面玄関はギリシャ神殿を、中央ホールは教会を思わせる壮大な造りとなっており、その建築美に惹きこまれます。

館内にはギャラリーや会議などに利用できる貸室やライブラリーショップがあり、北欧の郷土料理「スモーブロー」が楽しめる専門店も併設しています。旬の素材をふんだんに使ったフォトジェニックなパフェやスイーツも評判なので、休憩がてらぜひ立ち寄ってみてくださいね。

 

オープンサンド「スモーブロー」が楽しめる、図書館2階にある「スモーブローキッチン中之島」。営業日時や事前予約はSNSで確認を

 

衣食住を豊かにするデザインを発信する「graf」のカフェがリニューアル

衣食住を豊かにするデザインを発信する「graf」のカフェがリニューアル 生産者の顔が見える食材にこだわった「本日の定食」1300円

大阪を拠点に家具制作や店舗の内装設計、ブランディングなどを行い、関西のものづくりを牽引してきたクリエイティブユニット「graf」。中之島を流れる土佐堀川沿いに、「graf」が手がけるインテリアショップ&カフェ「graf studio」があります。その人気カフェが、2022年1月にオープンキッチンにリニューアル。ヴィーガンをはじめとする「フードダイバーシティ(食の多様性)」に対応したメニューも登場しました。
ランチやカフェを楽しんだあとは、併設するショップでお買い物。ものづくりのストーリーや作り手の想いが宿るオリジナルのインテリアやプロダクト、雑貨など、心ときめくモノとの出会いを楽しんで。

 

ライブ感あふれるオープンキッチンにリニューアル 「graf」オリジナルの家具やインテリアなどが並ぶショップ

 

中之島エリアは、休憩しながらのんびり巡りましょう

アートスポットやレトロ建築などが集積する、大阪を代表するカルチャーゾーン・中之島。今回ご紹介したスポットは、東西約3kmのエリアに点在しているので、ひと休みしながらのんびり巡るのがおすすめです。川沿いには緑豊かな遊歩道があり、リバービューが楽しめるカフェもあるので、散策にもぴったり。ぜひ、話題の「大阪中之島美術館」もコースに含めながら、巡ってみてはいかがでしょう。

 

 

文:山本恵里 写真:保志俊平、小川康貴

 

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