2015年の北陸新幹線金沢延伸により、首都圏からさらに身近な場所となり、多くの観光客が訪れている石川県。金沢はもちろんですが、輪島や和倉温泉などが有名な能登半島にも風光明媚なスポットが点在し、魅力が満載です。金沢からは無料の自動車専用道路「のと里山海道」を使えば、気軽に行くことができます。「能登はやさしや土までも」という言葉に象徴されるように、雄大な自然や人々の優しさに触れることができる能登。そんな能登を中心に思わず写真に撮りたくなるスポットを、写真家の高橋智裕さんが撮影テクニックとともにご紹介します。
写真家
高橋 智裕(たかはし ともひろ)さん
1973年4月生まれ、福島県いわき市出身。現在、長野県上田市在住。JPU 協同組合日本写真家ユニオン理事/JSPA 日本風景写真家協会会員。内閣官房・内閣府主催 伊勢志摩サミットフォトコンテストで優秀賞を受賞し、首相官邸にて表彰を受ける。「写真」は「写心」の気持ちを忘れることなく、自然との共存、自然からの声をテーマに、情景的な風景を求めて全国をまわり、作品作りに尽力している。防災啓発活動をする「防災ジャーナリスト」としての顔も持つ。
目次
能登の絶景スポット【1】千里浜なぎさドライブウェイ
日本国内で唯一、波打ち際を車で走ることが認められているのが、能登半島の玄関口とも呼ばれる羽咋(はくい)市の観光道路「千里浜(ちりはま)なぎさドライブウェイ」。全長約8kmの砂浜を車はもちろん、バイクや自転車でも走行でき、日本海に沈む夕日をゆっくり眺められるおすすめのスポットです。
夕日や海を撮影するときは、波打ち際にできている水たまりを利用してみてください。水が鏡のように空や波を映し出し、南米ボリビアの「ウユニ塩湖」で撮ったような写真に仕上がります。
夕日の形をくっきり出したいときは、露出補正をマイナス側に調整しましょう。また、人物を入れる場合は思い切って暗くすることでドラマチックな写真に仕上がります。このとき、中途半端に暗くするのではなく、しっかり黒く潰すことでシルエットの輪郭が強調できます。
「千里浜なぎさドライブウェイ」では、乾いた砂地を走るとスタックする(車のタイヤが埋まってしまい、動けなくなる)可能性もあるので、十分気をつけてください。
千里浜なぎさドライブウェイ
- 住所
- 石川県羽咋市千里浜町〜宝達志水町今浜
- アクセス
- 【電車】JR「羽咋」駅より車で約5分
【車】のと里山海道「今浜」IC、「千里浜」ICよりすぐ - 詳細
- 千里浜なぎさドライブウェイ - 羽咋市
能登の絶景スポット【2】石動山
古くから山岳信仰の拠点として栄えた石動山(せきどうざん)。能登の修験道の中心としての痕跡が今もひっそりと佇み、山頂には貴重な史跡である「伊須流岐比古神社(いするぎひこじんじゃ)」と「天平寺跡(てんぴょうじあと)」があります。冬、雪が降ったときには荘厳な風景が撮影できるでしょう。
石動山
- 住所
- 石川県鹿島郡中能登町石動山
- アクセス
- 【電車】JR「良川」駅より車で約30分
能登の絶景スポット【3】大沢の間垣集落
NHK朝の連続テレビ小説「まれ」のロケ地としても有名になった、輪島市大沢町にある集落。海からの強い風から集落を守るため、竹で作られた「間垣」という垣根で囲われています。同じ輪島市の上大沢町にある間垣集落とともに「重要文化的景観」に選定された風景は、高台から全容を望むことができます。
大沢 間垣の里
- 住所
- 石川県輪島市大沢町
- アクセス
- 【車】輪島市内より約30分
- 詳細
- 大沢・上大沢の間垣集落景観 | 全国文化的景観地区連絡協議会
能登の絶景スポット【4】七尾城跡
日本五大山城の一つである七尾城は、能登の守護・畠山氏によって築かれました。ここからの眺望は戦国武将・上杉謙信が絶賛したことで知られ、展望台からは七尾市街や七尾湾の絶景が見渡せ、夜景もおすすめです。
七尾城跡
- 住所
- 石川県七尾市古城町、古屋敷町竹町入会字大塚14-124ほか
- アクセス
- 【電車】JR「七尾」駅より循環バス「まりん号」で「城史資料館前」下車、徒歩約40分
【車】能越自動車道「七尾城山」ICより約10分 - 詳細
- 史跡七尾城跡
能登の絶景スポット【5】旧福浦灯台
日和山(ひよりやま)の断崖絶壁に立つ、日本最古の木造洋式灯台です。真っ白な灯台に夕日が反射して、美しいオレンジ色に染まる時間を待って撮影してみてください。夏季・冬季限定でライトアップも楽しめます。
旧福浦灯台
- 住所
- 石川県羽咋郡志賀町福浦港
- アクセス
- 【車】のと里山街道「西山」ICより約25分
- 詳細
- 旧福浦灯台・祭祀遺跡石仏山 - 石川県
能登の絶景スポット【6】機具岩
中能登の福浦港から関野鼻までの海岸線・能登金剛では、険しい断崖と荒波が作り出した奇岩が続いており、機具岩(はたごいわ)もその一つ。機織りの道具のような岩々からなっていることから名付けられ、2つの岩が太いしめ縄で結ばれています。能登屈指の夕景スポットでもあり、岩の幻想的なシルエットを狙ってみましょう。
機具岩
- 住所
- 石川県羽咋郡志賀町七海
- アクセス
- 【電車】JR「羽咋」駅よりバス「七海」下車、徒歩約10分
【車】のと里山海道「西山」ICより約20分
能登の絶景スポット【7】見附島
弘法大師が布教のために佐渡から能登へ渡る際、「見つけた」ことが名前の由来と言われる見附島(みつけじま)。形が軍艦に似ていることから、別名「軍艦島」とも言われています。
夜明け直前、この島で休んでいた鳥が一気に飛び立つ様子は圧巻です。ただし主役は見附島なので、撮影するときはピントは島に合わせておきましょう。またシャッタースピードを上げておきたいので、ISO感度を少し高めにしておきましょう。
見附島
- 住所
- 石川県珠洲市宝立町鵜飼
- アクセス
- 【電車】JR「金沢」駅より高速バス「南鵜飼」下車、徒歩約8分
【車】のと里山海道「のと里山空港」ICより約40分
能登の絶景スポット【8】ゴジラ岩
西の空に向かって今にも炎を吹き出しそうな姿から、「ゴジラ岩」と呼ばれている奇岩。夕日が沈むときに劇的な風景が浮かび上がることが多いので、落陽から30分ほど粘りながら、空を多めに入れた構図でおさめてみましょう。
ゴジラ岩
- 住所
- 石川県珠洲市馬緤町
- アクセス
- 【車】のと里山海道「のと里山空港」ICより約60分
金沢のおすすめ撮影スポットも紹介
ひがし茶屋街
金沢観光の定番スポットであるひがし茶屋街も、日が落ちた後は日中の喧騒とは無縁の、しっとりとした雰囲気を味わえます。三脚を使用して、ISO感度を上げずにきれいな写真を狙ってください。
ひがし茶屋街
- 住所
- 石川県金沢市東山
- アクセス
- 【電車】JR「金沢」駅よりタクシーで約10分
【車】北陸自動車道「金沢東」IC、「金沢森本」ICより約15分
太陽が丘のメタセコイア並木
金沢市郊外の丘陵地、太陽が丘に約1km続くメタセコイア並木は、秋の紅葉をはじめ、新緑や雪景色など、四季折々の風景が魅力。一世を風靡した韓国ドラマ「冬のソナタ」に出てくるような場所としても人気です。
太陽が丘のメタセコイア並木
- 住所
- 石川県金沢市太陽が丘
- アクセス
- 【電車】JR「金沢」駅よりバス「太陽が丘ニュータウン」下車
卯辰山公園
金沢市の東にある標高141.2mの卯辰山は自然豊かな公園として整備され、山頂の展望台「望湖台(ぼうこだい)」からは金沢市内や日本海、白山連峰などを望めます。夜景スポットとして有名ですが、日が沈んだ直後の撮影もおすすめ。まだ黒潰れせず、明りが灯る街並みがくっきりと浮かび上がります。
卯辰山公園
- 住所
- 石川県金沢市卯辰町
- アクセス
- 【電車】JR「金沢」駅よりタクシーで約15分
【車】北陸自動車道「金沢東」IC、「金沢森本」ICより約15分 - 詳細
- 卯辰山公園施設案内 - 金沢市
金沢のご当地グルメに舌鼓
キッチンユキ
金沢に来たなら、ぜひ寄ってほしいのが地元で人気のお店「キッチンユキ」。ご当地グルメ「金沢カレー」などを味わえる、昭和41年創業の老舗洋食屋さんです。
濃厚な味わいが特徴で、見た目の色も黒に近いことから名付けられた「金沢ブラックカレー」のほか、石川県のソウルフード「ハントンライス」をアレンジした「ハントンべーキライス」なども楽しめます。
キッチンユキ
- 住所
- 石川県白山市幸明町331-1
- 営業時間
- ランチ/11:00~15:00、ディナー/17:00~22:00
- 定休日
- 木曜日 ※変更の月もあり
- アクセス
- 【電車】JR「松任」駅より徒歩約19分
- 公式サイト
- 金沢洋食・洋食屋「キッチンユキ」
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撮影・文/高橋 智裕