2024年1月からスタートしたNHKの大河ドラマ『光る君へ』は、吉高由里子さん演じる主人公・まひろ(紫式部)の生涯を描いた物語。毎週楽しみにしている方も多いのではないでしょうか?
今回は、紫式部ゆかりの地である滋賀県大津市にオープンした「光る君へ びわ湖大津 大河ドラマ館」と「源氏物語 恋するもののあはれ展」、そして大津市歴史博物館で開催されている特集展示「源氏物語と大津」をのぞいてきました!
目次
衣装や出演者の直筆サインも!「光る君へ びわ湖大津 大河ドラマ館」
まず向かったのは、石山寺(滋賀県大津市)。紫式部が『源氏物語』を書き始めたのが、ここ石山寺と言われています。
寛弘元(1004)年、新しい作品を執筆するために石山寺に一週間こもっていた紫式部。石山寺の一室から琵琶湖に映る十五夜を眺めていたとき、都から遠く離れた地で、貴公子が月を見ながら都を恋しく想う様子が浮かび、『源氏物語』を書き始めたと言われています。それが、かの有名な「今宵は十五夜なりけり」で始まる『源氏物語』須磨の一節です。
そんな紫式部ゆかりの地であり、『源氏物語』の聖地とも言える石山寺に、大河ドラマの世界観を体感できる「光る君へ びわ湖大津 大河ドラマ館」がオープンしました。
境内にある明王院が「大河ドラマ館」の会場です。入口では、書道家・根本知(さとし)さんによる題字と、主人公のまひろ(紫式部)演じる吉高由里子さんのビジュアルがお出迎え。
一歩足を踏み入れると、そこはまさしく紫式部が生きた平安時代の世界です。まひろが身に着けていた衣装や硯や筆などの小道具が飾られています。
奥へ進むとキャストの等身大パネルが。紫式部と清少納言の間に挟まれて記念撮影できるなんて、いとおかし!
ほかにも、ドラマの人物相関図やキャストの直筆サイン、独自インタビューやメイキング映像が見られる4Kシアターもあり、『光る君へ』の世界に没頭できます。
多くの人物相関図から平安文化解説まで、ドラマファンはもちろん、源氏物語や歴史好きの方も大満足の内容です。
光る君へ びわ湖大津 大河ドラマ館
- 開館期間
- 2024年1月29日(月)~2025年1月31日(金)
- 開館時間
- 9:00~17:00(最終入場16:30)
※期間中は原則無休 - 会場
- 石山寺境内 明王院(滋賀県大津市石山寺1-1-1)
- アクセス
- 京阪電車「石山寺」駅から徒歩約10分
- 入館料
- 大人(中学生以上)600円/小人(小学生)300円/未就学児 無料
※源氏物語 恋するもののあはれ展と共通 - 主催
- 大津市大河ドラマ「光る君へ」活用推進協議会
イラスト×音楽で平安時代の文化を楽しむ!「源氏物語 恋するもののあはれ展」
「大河ドラマ館」のすぐ隣にある世尊院では、「源氏物語 恋するもののあはれ展」が同時開催されています。こちらで楽しめるのは、「紫式部と源氏物語」「恋の決め手は、美のセンス」「千年の時を超える恋の歌」の3つの空間。
「紫式部と源氏物語」には、紫式部が眺めた満月をバックに写真が撮れるフォトスポットが。床に目を移すと、『源氏物語』が100倍楽しめる豆知識がいっぱいです。
「恋の決め手は、美のセンス」には、色・香り・花の世界を体験できる展示が並びます。たとえば「色の世界」展示には、平安を彩る色彩が。『源氏物語』の登場人物に関係する色のカードを持ち帰ることもできます。筆者が選んだのは「桜色」。さて、誰をイメージした色でしょうか?
「千年の時を超える恋の歌」では、人気イラストレーター・日菜乃さんによる描き下ろしイラストや、いま注目のバンド・あたらよによるオリジナル楽曲が楽しめます。
源氏物語に登場する恋の和歌をテーマにしたイラストは、まさに平安時代の恋を令和風に描いた傑作ばかり。特に筆者が心を奪われたのは、光源氏と空蝉が互いに詠んだ「逢坂の関所」の和歌。展示の配置も相まって、すれ違う男女の気持ちを見事に表しています。心地よく耳になじむあたらよの曲が、この世界観にピッタリ。
まさに、五感すべてで『源氏物語』の世界と平安時代の恋を味わえる、趣ある展示内容でした。会場の様子をSNS投稿すると、展示イラストのシールがもらえる来場者限定特典もあるので、ぜひチェックしてみてくださいね。
源氏物語 恋するもののあはれ展
- 開館期間
- 2024年1月29日(月)~2025年1月31日(金)
- 開館時間
- 9:00~17:00(最終入場16:30)
※期間中は原則無休 - 会場
- 石山寺境内 世尊院(滋賀県大津市石山寺1-1-1)
- アクセス
- 京阪電車「石山寺」駅から徒歩約10分
- 入館料
- 大人(中学生以上)600円/小人(小学生)300円/未就学児 無料
※光る君へ びわ湖大津 大河ドラマ館と共通 - 主催
- 大津市大河ドラマ「光る君へ」活用推進協議会
紫式部と源氏物語をイチから学べる!大津市歴史博物館「源氏物語と大津」
続いては、石山寺から電車で約20分、京阪電鉄「大津市役所前」駅下車徒歩5分の場所にある大津市歴史博物館に向かいました。こちらでは、特集展示「源氏物語と大津」が開催されています。(2025年2月2日まで)
館内入ってすぐのロビーから『源氏物語』の世界一色。石山寺にある、紫式部が『源氏物語』を起筆したと言われている「源氏の間」を再現した一角では、着物の着付け体験も予定されているのだとか。紫式部の気分を味わえること間違いなし!
紫式部になりきって机の前に座ると、遠くに見えるのは琵琶湖。そして何やら黄色くて丸い物体が……そう、満月です!粋な演出に気分も一層盛り上がります。
こちらは、四季折々の『源氏物語』の世界が体感できるデジタルコンテンツ。床の画面に隠れているシャボン玉を足で踏むことで、光源氏が詠んだ和歌の1コマが前方スクリーンに映し出されます。光源氏が歌を詠んだ年齢に応じたナレーションの声色の違いにも注目です。
ここからは、チケットを購入して展示室へと進みます。
「源氏物語と大津」には、紫式部や『源氏物語』にゆかりの深い資料が所狭しと並びます。1年強の会期中6期にわけて展示品が替わり、何度訪れても新しい発見があるこの特集展示。1回の会期で23件ほどの点数があるので、会期ごとに訪れたら全部で130から140件ほどの貴重な資料が見られます。
そのほとんどが、石山寺が所蔵しているもの。石山寺でも「石山寺と紫式部展」が開催されていますが、それぞれで展示品が異なるので、ぜひ両方を訪れて「源氏物語」の世界を堪能してくださいね。
本展示のもうひとつのお楽しみは、オリジナルグッズ。大津市歴史博物館のスタッフにデザイナー経験がある人がいて、今回のためにデザインしたキュートなアイテムがいっぱいです。特に人気はふせんとマスキングテープだそう。パンフレットは、もはや資料集と言っても過言ではないほど充実した内容です。
なお、大津市歴史博物館には「歴博カード」があり、一般なら2,000円で展覧会の観覧・図鑑・聴講会などの割引といった特典があります(1年間有効)。何度も訪れたい人は、こちらもぜひチェックを。今年は『源氏物語と大津』の特別デザインです!
特集展示 源氏物語と大津
- 開館期間
- 2024年1月10日(水)~2025年2月2日(日)
- 開館時間
- 9:00~17:00(展示室への入場は午後4時30分まで)
- 休館日
- 月曜(祝日を除く)・祝日の翌日ほか
- 会場
- 大津市歴史博物館(滋賀県大津市御陵町2-2)
- アクセス
- 京阪電鉄 石山坂本線「大津市役所前(旧駅名:別所)」駅下車徒歩約5分、JR湖西線「大津京」駅下車徒歩約15分
- 観覧料
- 一般330円/高校生・大学生240円/小学生・中学生160円
今回は石山寺と大津市歴史博物館をまわりましたが、大津市にはまだまだ紫式部と『源氏物語』に関連した聖地がたくさんあります。毎週日曜の大河ドラマを楽しみながら、ぜひ一度滋賀県大津市に足を運んでみてくださいね。
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取材・撮影・文/水谷映美