【山形県山形市】里山の絶景に心がととのう。天空の古刹「山寺」を参拝

【山形県山形】里山の絶景に心が整う。天空の古刹「山寺」を参拝

天空の聖地・山寺。山形県を代表する名刹(めいさつ)のひとつで、絶景スポットとしても有名な霊山です。かつて松尾芭蕉が訪れた際、この地に感銘を受けて句を詠んだと言われています。

そんな山寺の見どころと、参拝前後に立ち寄るべきおすすめスポットをご紹介。1,015段の石段を登った先には、心洗われる光景が待っています。

 

 

山寺ってどんなところ?

断崖絶壁にお堂がたたずむ、絶景の寺

山寺

山形県屈指の名刹である「山寺」。860(貞観2)年に慈覚大師・円仁(じかくだいし・えんにん)が開山したと伝わる天台宗の霊山で、古くから悪縁切りの寺として信仰を集めています。

「山寺」という呼び名は通称で、正式な名前は「宝珠山 立石寺(ほうじゅさん りっしゃくじ)」。約33万坪もある広大な山の斜面に、大小約30もの堂塔が点在する様子は壮観です。

 

山寺

1689(元禄2)年に来訪した松尾芭蕉が、名句「閑(しずけ)さや 岩にしみ入る 蝉の声」を詠んだと言われている場所でもあります。

 

五大堂

山頂近くにある「五大堂」は、里山の大パノラマが望める絶景スポットです。

 

山寺へのアクセス

山寺

首都圏から向かうには、所要時間は3時間30分程度。まずは東京駅からJR東北新幹線に乗り、2時間50分ほどで山形駅へ。山形駅からJR仙石線仙台行きに乗り換えて、約20分の山寺駅にて下車。そこから5分ほど歩けば、登山口に到着します。

 

参拝の所要時間や服装は?

山寺

山寺を参拝するには、往復1時間30分~2時間ほどかかります。参拝前後に予定を入れている場合は、写真を撮ったり、休憩したりする時間を考慮して、余裕を持ったスケジュールを立てたほうが良いでしょう。

 

山寺

参道は整備されていますが、歩きやすい靴や服装で訪れましょう。

 

山寺を登ってみよう

1,015段の石段を進み、絶景を目指す

修業の道

山寺といえば、美しい景観と並んで有名なのが参道の石段の数です。登山口から山頂の「奥の院」まで続く石段の数は、なんと1,015段。一段登るごとに身が清められる「修業の道」とも言われています。

1,015段と聞くとハードルが高いように感じますが、緑きらめく樹木を眺めながらの参拝は、心洗われるような清々しさを感じられます。とはいえ、平地ではないため、無理のないペースで楽しみましょう。

 

まずは「根本中堂」を参拝

根本中堂

登山口の正面に建っているのが、立石寺の本堂にあたる「根本中堂(こんぽんちゅうどう)」。国の重要文化財に指定されており、ブナ材を使った建築物としては、日本最古なのだとか。

堂内では、開山の際に比叡山延暦寺より分灯された「不滅の法灯(ふめつのほうとう)」が、約1200年もの間、途絶えることなく灯されています。

 

根本中堂

お堂の入り口にある木像「招福布袋尊(しょうふくほていそん)」は、頭や体をなでるとご利益があると言われています。光沢があるのは、それだけたくさんの人になでられてきたからこそ。願いを込めながら、そっと触れてみましょう。

 

山門をくぐり、山頂へ

山門

山頂への入り口である「山門」で入山料を納めたら、いよいよ山頂を目指して出発です。「山門」から「奥の院」まで、800段以上の石段を登ります。

 

山門

参道には、見どころが数多く点在。そのひとつが、芭蕉の句をしたためた短冊が納められている記念碑「せみ塚」です。かつて芭蕉の弟子たちが山寺を訪れた際に、「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」の着想をこの場所で得たのではないかと推察し、建てたと言われています。句に重ねて、山寺の静寂と自然の声に耳を傾けてみましょう。

 

仁王門

「せみ塚」近くにある、けやき材の門「仁王門(におうもん)」も見応え十分。1848(嘉永元)年に再建された門の左右には、一本造りの仁王像と十王尊(じゅうおうそん)像が安置されています。

 

仁王門

また、参道の終着点である「奥の院・大仏殿」の手前に建つ「中性院(ちゅうしょういん)」も要チェック。賽銭箱の上に鎮座する仏様は、長寿を授ける「おびんずるさま」です。なでると病気が治るといわれています。

 

山寺のハイライト「開山堂・納経堂」と「五大堂」

開山堂・納経堂

仁王門を過ぎ、参道からそれて左へ進むと見えるのが、円仁をまつった「開山堂(かいざんどう)」と写経を納める「納経堂(のうきょうどう)」です。天空に向かってそびえ建つお堂は、どこか神秘的な雰囲気。また、切り立った奇岩や背後に広がる山々の景色から、ここが断崖絶壁であることを改めて思い知らされます。

 

五大堂

さらに、「開山堂」の右側にある階段を登った先にあるのは、空中に張り出すような舞台式のお堂「五大堂」。舞台の上からは、里山の絶景が見渡せます。

 

五大堂

周囲には遮るものがないため、時折吹き込む風がひんやりとした空気や木々の香りをそっと運んでくれます。

 

最奥にたたずむ「奥の院」

奥の院

参道の終着点は、「奥の院・大仏殿」。通称「奥の院」と呼ばれている「如法堂(にょほうどう)」には、円仁が修業中に持ち歩いたと言われる釈迦如来像(しゃかにょらいぞう)と多宝如来像(たほうにょらいぞう)がまつられています。

 

奥の院

「大仏殿」には、高さ約5mの阿弥陀如来像を安置。境内にたつ巨大な金燈籠(かなどうろう)も必見です。終着点からの景色を堪能したら、足元に気をつけながら来た道を下っていきましょう。

 

四季折々の絶景も見事

山寺

新緑の春、青々とした緑が美しい夏、山全体が色づく秋、雪化粧が見事な冬と、どの時期に訪れても絶景と出会えるのが、山寺の魅力。

春から秋にかけてが参拝のベストシーズンと言われますが、水墨画のような光景が広がる冬も、旅情をかきたてる景観が見られる季節です。

 

山寺

ただし、冬に訪れる際はブーツや長靴の着用が必須。除雪はされていますが、石段は滑りやすいため、注意して参拝しましょう。

 

山寺(宝珠山立石寺)

住所
山形県山形市山寺4456-1
開門時間
4~9月/8:00~16:00、12~3月/8:00~15:00(閉門は16:00)
入山料
大人(高校生以上)300円、中学生200円、4歳以上100円
アクセス
JR「山寺」駅から徒歩約6分
公式サイト
宝珠山立石寺

 

参拝前後のお楽しみはこちら

「山門売店」で山形グルメを堪能!

山門売店

参拝前には、山門前に建つ「山門売店」で、名物の「力こんにゃく」(100円)を味わいましょう。

「力こんにゃく」とは、玉こんにゃくを醤油で煮込んだ山形のご当地グルメ。プリッとした食感と、しっかりと染み込んだ醤油のまろやかな風味がクセになる一品です。カラシをつけて食べるのがおすすめ。

 

山門売店

店内ではお菓子や雑貨なども販売されているので、参拝後のお土産探しにも最適です。

 

山門売店

住所
山形県山形市大字山寺4456-1
営業時間
8:30~17:00
定休日
不定休(12月~3月は冬季休)
アクセス
JR「山寺」駅から徒歩約8分

 

「日枝神社」で運試し

日枝神社

登山口にある「根本中堂」の隣に建つ「日枝神社(ひえじんじゃ)」。ここで引ける「水みくじ」(200円)は参拝者に人気です。

 

日枝神社

真っ白なおみくじを色とりどりの花を浮かべた桶に浸すと、ゆっくりと文字が浮かび上がります。季節の花を愛でながらおみくじの結果を待ちましょう。

 

日枝神社

ビッグサイズの「大きいお守り」(1,000円)など、販売されているお守りの種類も豊富。叶えたい願いごとや目標に合ったお守りがきっと見つかるはずです。

 

日枝神社

住所
山形県山形市大字山寺4449-4
参拝時間
9:00~17:00
アクセス
JR「山寺」駅から徒歩約7分
公式サイト
日枝神社

 

山寺周辺の立ち寄りスポット

パワースポット「峯の浦」

峯の裏

山寺から少し東に行ったところにあるのが「峯の浦(みねのうら)」。通称「裏山寺(うらやまでら)」とも言われており、このエリアも見どころが満載です。

 

峯の裏
垂水遺跡

なかでも、「垂水遺跡(たるみずいせき)」は山形の新絶景やパワースポットとして、近年注目を集めています。円仁が山寺を開山するにあたって、構想を練った場所だと言われているそう。

 

峯の裏
円仁宿跡

すぐそばには、円仁が修行した宿跡「円仁宿跡(えんにんしゅくあと)」もあります。

 

峯の裏
千手院観音

山寺参拝後に垂水遺跡へ訪れるには、山寺の登山口から歩いて約15分の場所に建つ「千手院観音」を目指しましょう。千手院観音の境内の脇にある入口から山道を登って行くことができます。入り口からの所要時間は徒歩約10~15分です。

自由に散策できますが、ガイド付きの瞑想ツアーに参加することで、峯の浦をより深く感じられます。

 

峯の浦

住所
山形県山形市山寺千手院
アクセス
JR「山寺」駅から徒歩約17分

 

「山寺芭蕉記念館」で数々の名句に触れる

山寺駅から南東へ約10分歩くと、「山寺芭蕉記念館」が見えてきます。ここは、松尾芭蕉が山寺に訪れてから300年を迎えたことを記念し、1989(平成元)年に建てられたものです。

館内では、芭蕉や門人の作品が展示されているほか、企画展も開催されています。

 

山寺芭蕉記念館

常設展示には、貴重な芭蕉直筆の句も。各句に解説が書かれているのもうれしいポイントです。

 

山寺芭蕉記念館

展示を見学した後は、併設の喫茶コーナーで「抹茶」(季節の和菓子付き 500円、入館券とのセットは770円)を味わうのもおすすめです。

 

山寺芭蕉記念館

住所
山形県山形市大字山寺字南院4223
開館時間
9:00~16:30
休館日
不定休、年末年始(そのほか、展示替えにより臨時休館の場合あり)
入館料
400円、高校生以下無料
アクセス
JR「山寺」駅から徒歩約10分
公式サイト
山寺芭蕉記念館

 

参拝後は「ふもとや 本店」でひとやすみ

ふもとや 本店

山寺のふもとに建つ「ふもとや 本店」は、古くより観光客に親しまれている食堂兼お土産店。平日・休日問わず、にぎわっています。

 

ふもとや 本店

おすすめは「さくらんぼソフトクリーム」(350円)。さくらんぼ果汁と果肉入りピューレをミックスした、山形らしさあふれるソフトクリームです。

頬張った瞬間に広がる爽やかな香りとみずみずしさは、まるで摘みたてのさくらんぼを味わっているよう。すっきりとした甘みは、山寺参拝後のひと休みにぴったりです。

 

ふもとや 本店
「蝉もなか」(6個入り1,400円)
ふもとや 本店
「100%ストレートジュース」(りんご800円、ぶどう・ラフランス900円)

店内には、お菓子や加工品、お酒、雑貨など、バラエティ豊かな山形土産が充実しています。なかでも松尾芭蕉の句にちなんだ、蝉がモチーフの「蝉もなか」や、ラフランスやぶどうといった地元産のフルーツを使った「100%ストレートジュース」など、この場所ならではの商品が人気です。

山寺の旅の思い出に、ぜひお気に入りの品を見つけてください。

 

ふもとや 本店

住所
山形県山形市大字山寺4429
営業時間
8:00~17:00
定休日
無休
アクセス
JR「山寺」駅から徒歩約5分
公式サイト
山寺 ふもとや

 

山寺周辺には、今回ご紹介した以外にも、グルメやショッピングを楽しめるスポットが盛りだくさん。また、山形市の中心部までは車で30分ほど、温泉やスキー場で有名な蔵王へも40分ほどで行けるため、楽天トラベルを利用して街中や蔵王に宿泊し、次の日は別の山形の観光スポットを楽しむのもおすすめです。見どころたっぷりの山形の魅力を、思う存分体感しましょう!

 

 

取材・文/菅原 聡子 撮影/株式会社Harty 川島 啓司

 

 

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