餃子の街として知られる栃木県の宇都宮ですが、日本遺産に認定されたことがきっかけとなり、「石の町」という新たな一面が注目されています。巨大な地下迷宮や日本最古の石仏、荘厳な教会からは悠久なる時の流れが感じられ、まるで日本ではないよう。1泊して、ゆっくりじっくりと探索。栃木県民は付き合いが深まるにつれて味が出ると聞きますが、どうやら宇都宮の土地も同じことが言えそうです。
目次
東京から約1時間、JR宇都宮駅から出発!
栃木県の県庁所在地でもある「宇都宮」が位置するのは、県の真ん中あたり。東北新幹線が停まるJR宇都宮駅へは、東京駅から約1時間の近さです。宇都宮駅を降りると、ショッピングモールやホテルなど高層ビルが並び、にぎやかな様子。レンタカー会社も複数あります。今回は駅の近くで車を借りて、宇都宮の郊外を目指します。
巨大な地下迷宮が広がる「大谷資料館」
最初に向かったのは、宇都宮駅から約30分の「大谷資料館(おおやしりょうかん)」。大谷石(おおやいし)はこの地域で採掘できる凝灰岩(ぎょうかいがん)で、熱に強く、加工もしやすかったことから、江戸時代より建材として採掘が本格化。最盛期には250カ所にもおよぶ採石場があり、そのうちのひとつが大谷資料館になっています。
冷気の流れに逆らいながら、暗い坑道を下りていくと一気に視界が開け、飛び込んできたのは石に囲まれた巨大な空間。まるで冒険映画の主人公さながらの気分を味わえ、地底に降り立ちます。夏でも冬でも気温は9~10℃前後に保たれ、天井高は一番高い地点でビル5階分(高さ約15m)にも。
一般の観光ルートとは別に、普段立ち入れないところでは結婚式を行える場所があり、県外からの申し込みも多いと聞きます。音が反響する空間に讃美歌が響き渡る様子は壮麗で、何万年もかけて形成された自然の産物に立ち会ってもらえれば縁起も良さそう。
昭和中期まで手作業で石を切り出し、一塊り150kgもの石材を運び出してきたのだから驚き。機械が導入されると石に縦線の掘り跡が残るようになるなど、壁面から時代の変化を見て取れるのも魅力です。夏は湿気があるため、陽の光が差し込むと霞がかり、より神秘的な光景を望めます。
資料館の目の前にはレストランとショップが並び、大谷石のお土産も手に入れることができます。軽くて水はけが良い性質を活かした植木鉢やコースター、キャンドルホルダーやマルチプレートなど豊富な種類がそろっています。
大谷資料館
- 営業時間
- [4月~11月]9:00~17:00(最終入館16:30)
[12月~3月]9:30〜16:30(最終入館16:00)※1月2日、3日は、10:00~16:00(最終入館15:30)の短縮営業 - 休み
- [4月~11月]無休
[12月~3月]火曜(祭日の場合翌日休館)、年末・年始 12月26日~1月1日
※1月2日、3日は、10:00~16:00(最終入館15:30)の短縮営業 - 料金
- 大人800円、小中学生400円、未就学無料
- 住所
- 栃木県宇都宮市大谷町909 ※カーナビを使用の場合は住所ではなく、施設名「オオヤシリョウカン」もしくは電話番号「028-652-1232」で検索
- アクセス
- 【車】東北自動車道「宇都宮IC」から車で約12分
【電車・バス】JR「宇都宮駅」西口6番乗場から大谷・立岩行き乗車約30分「資料館入口」下車徒歩約5分、もしくは、東武線「東武宇都宮駅」東武駅前バス停で大谷・立岩行きに乗車約20分、「資料館入口」下車徒歩約5分 - 駐車場
- 第1駐車場(10台)※団体バス及び歩行が困難なお客様専用
第2駐車場(大駐車場200台)、第3駐車場(40台)、第4駐車場(70台) - 公式サイト
- 大谷資料館
シルクロードの最果ての地「大谷寺」
大谷石について知ったら、今度はすぐ近くにある「大谷寺(おおやじ)」へ。眼前に大谷石の層がそびえ立ち、そのくぼみを利用して建てられた本堂からは威厳が感じられます。この本堂の中に安置されているのが、大谷寺のご本尊・大谷観音です。
※大谷寺の内部は一般撮影禁止になりますのでご注意ください。
山肌の岩に直接彫った大谷観音の起源は今から1200年ほど前の平安時代にまでさかのぼります。シルクロードの石仏と同じ起源を持ち、日本では珍しいスレンダーな8頭身が特徴で、背の高さは3m89cmもあります。
千の手と千の目で大勢の人たちを救うと言われ、完成時は生漆(きうるし)や粘土を何層にも重ね、最後に金箔が全身に貼られていたそう。現在の姿からも当時の細やかな手仕事が伝わりますが、境内の宝物館で往時の復元映像を見ることができるので、そちらも必見です。
宝物館の前には弁天堂があり、隣には白蛇の姿がひょっこり。伝説によると、この池に暮らす毒蛇が弘法大師の秘法により、心を入れ替えて白くなったのだとか。その後、弁財天に仕えるようになり、弁天堂をお参りした後に白蛇の頭をさするとご利益があると言われています。
大谷寺から目と鼻の先にあるのが、高さ約27mの平和観音です。第2次世界大戦で犠牲になった方々の供養と、世界平和を祈って1954年に完成。平和観音の目線と同じ高さに展望台があり、近くから拝むこともできます。
大谷寺(大谷観音・平和観音)
- 営業時間
- [4月~9月]8:30~16:30、[10月~3月]9:00~16:30(最終受付20分前まで)
※平和観音は見学自由(無休) - 休み
- 木曜(祝日は営業)、毎年12月26日~31日
- 料金
- 大人500円、中学生200円、小学生100円
※平和観音は見学無料 - 住所
- 栃木県宇都宮市大谷町1198
- アクセス
- 【車】東北自動車道「宇都宮IC」から車で約10分
【電車・バス】JR「宇都宮駅」西口6番乗場から大谷・立岩行き乗車約30分「大谷観音前」下車徒歩約3分 - 駐車場
- 大谷寺前駐車場:50台(バス3台)※大谷観音を参拝の方は駐車場料金無料 ※ご乗車人数分の参拝料が必要となります
宇都宮市営無料駐車場:100台(バス10台) - 公式サイト
- 大谷寺(大谷観音・平和観音)
「若竹の杜 若山農場」で竹林散策
大谷寺から車で走ること約10分。岩肌の景色から笹の葉が幾重にも重なる緑の風景が見えてきます。「若竹の杜(もり) 若山農場」では、真竹(まだけ)、孟宗竹(もうそうちく)、亀甲竹(きっこうちく)などの竹が丹念に育てられ、その数は10万本も。
竹林を満喫するさまざまなアクティビティを実施していて、ハンモックを竹に張ってのんびりしたり、巨大ブランコで遊んだり。土日祝日には竹を器にした抹茶体験も。抹茶体験では、そのまま竹器をお持ち帰りすることができ、お土産になると好評です。
土日祝日の夜にはライトアップも行われ、竹あかりの空間演出を手掛ける「CHIKAKEN(ちかけん)」の作品も並びます。竹の柔らかな光が灯る世界は幻想的で、日中とは異なる竹の美しさにほれぼれするはず。
さらに竹の魅力を体感してほしいという想いから、ハンモックテントによる宿泊も行っています。通常のテントとは異なる宙を浮く浮遊感を味わえ、さらに竹を使ってご飯を炊く体験はここならでは。風が吹くと笹がさらさらと揺れる「笹鳴り」に包まれながらの一夜は希少な体験です。
敷地内には2階建てのギャラリースペースも。さまざまな竹細工を展示していて、竹のしなやかさを活かした作品は曲線的で優美さが感じられます。
ショップでは筍の加工品をはじめ、竹を原料にしたノートやアウトドアシーンにも活躍するお皿、地元の農家がつくる商品などのお土産が並びます。スイーツでは、若山農場が自然循環型農法にこだわって栽培している栗を使った栗菓子「御栗」も見逃せません。栗本来の風味が味わえるよう丁寧につくられた一品で、1個入りから購入可能です。
若竹の杜 若山農場
- 営業時間
- 平日:9:00~17:00、土日祝:9:00~20:00(最終受付は閉園30分前まで)
※2023年6~8月の土日祝日は21:00閉園 - 料金
-
[入場料]
大人 750 円、小中学生 500 円、未就学児(3~5歳)250 円(当日に限り再入場可)
[土日祝日・竹林ライトアップ時(入場料込み)]
大人 1,500 円、小中学生 1,000 円、未就学児(3~5歳)500 円
※ライトアップは、土日祝日の日没~20:00 に実施
※土日祝日は「竹器でお抹茶」、「竹工作体験」の体験オプションもあり - 前売りチケット
- 若竹の杜 若山農場 前売りチケット(楽天トラベル 観光体験)
- 住所
- 栃木県宇都宮市宝木本町2018
- アクセス
- 【車】東北自動車道「宇都宮IC」から車で約10分
【電車・バス】JR「宇都宮駅」西口52・56・58系統バス乗車、約30分「野沢寺前」下車、徒歩約10分(宇都宮駅からタクシー利用の場合約20分) - 駐車場
- あり(無料)
- 公式サイト
- 若竹の杜 若山農場
近隣の食材を使ったランチで栃木グルメを堪能
そのまま同じ敷地内の「若竹の杜 Cafe & Restaurant」にて、ランチを。近隣で育てられた食材を使うことにこだわりを持ち、野菜だけでなく、フルーツやお米、お豆腐など幅広く仕入れています。お店では各生産者の案内表があり、「そこらの食材で農家ごはん」と称していることからも、地域への愛着がうかがえます。
春夏秋冬で内容が異なり、この日は夏仕様。「季節の若竹重」(1,800円)には、色鮮やかなおかずがぎっしり。ジューシーな和牛ハンバーグに添えられたソースには、こちらで栽培されたブルーベリーを隠し味で入れたり、絹ごし豆腐には竹の粉と塩を独自にブレンドした若竹塩を付けたりと、食材の魅力を引き立たせる工夫が満載です。
「季節のカレー ~牛肉とトマトのスパイシースープカレー~」(1,300円)は、夏野菜のトマトに、旨味が凝縮した「ウマロッソ」という品種を使用。牛肉もヨーグルトとターメリックを合わせて漬け込んでいて、噛むごとにスパイスの風味が爽やかに広がります。
そして味だけでなく、見た目もかわいいデザートにも注目。宮っこたまごのプリンに森林ノ森牧場のソフトクリームを組み合わせた「プリンソフト」(700円)は、どちらも濃厚な味わいが特徴で、さらにイタリア製カルピジャーニ社のソフトクリームサーバーを使うことで、なめらかな食感に仕上がり、食材のおいしさがより際立っています。
夏にぴったりなドリンクなのが、「水出しアイスコーヒー」と「自家製ゆずみつソーダ」(各400円)。苦味と酸味のバランスが取れたコーヒーはゴクゴクと飲みやすく、上品な甘さのゆずみつはソーダと一緒にいただくことで、のど越しも良いです。
Cafe & Restaurant
- 営業時間
- 平日:10:00~17:00 (L.O.16:30)、土日祝日:10:00~19:00 (L.O. 18:45)
※お食事の提供:11:30~14:30 (L.O. ) - 休み
- 火曜、不定休
- 住所
- 栃木県宇都宮市宝木本町2018(若竹の杜 若山農場内)
- アクセス
- 【車】東北自動車道「宇都宮IC」から車で約10分
【電車・バス】JR「宇都宮駅」西口52・56・58系統バス乗車、約30分「野沢寺前」下車、徒歩約10分(宇都宮駅からタクシー利用の場合約20分) - 駐車場
- あり(無料)
- 公式サイト
- 若竹の杜 若山農場
「道の駅うつのみや ろまんちっく村」でお土産チェック&夕食
1日目の最後に立ち寄るのは、46ヘクタールの広大な敷地面積を誇る「道の駅うつのみや ろまんちっく村」です。提携している農家の朝採れ野菜やフルーツが並ぶ直売所は、地元住民と観光客でいつも大にぎわい。
冷凍餃子をはじめとした宇都宮のお土産も多く取りそろえていて、特に道の駅内に醸造所を持つクラフトビールは圧巻の品ぞろえ。大正時代より栃木は、ビールの原料となる麦の名産地。宇都宮産麦芽100%でつくった「麦太郎」(550円)、宇都宮餃子会と協同開発した「餃子浪漫」(550円)など個性的なビールが並びます。
こちらには大谷石の魅力を発信する場所として、入場無料のギャラリー「無事カエル館」があります。かつて旅行の安全を願って細工された大谷石のカエルが、活き活きとした状態で復活。大谷石を自ら運び出す姿など、表情豊かなカエルに癒やされるはず。
醸造所に併設しているレストラン「麦の楽園」で、この日は夕食。テーブルからビールタンクなど内部の様子が見られ、地元食材をふんだんに使ったメニューが自慢。ブランド牛・豚をそれぞれ使ったハンバーグプレートや、地元野菜のカレーなどをいただけます。
夕食後は天然温泉「湯処あぐり」が同じ敷地内にあるので、そのまま一日の疲れをリフレッシュ。内風呂と露天風呂の両方を完備し、最終受付が20:30と遅くまで利用できるのもポイント。受付ではオリジナルタオルも販売しています。
道の駅うつのみや ろまんちっく村
- 営業時間
- ・あおぞら館:平日 8:30~17:00、土日祝 8:30~18:00まで
・総合案内所:平日 9:00~17:00、土日祝 9:00~18:00まで
・ファーストフードDELI:ドリンク・フードコーナー:15:30 L.O./ ソフトクリームコーナー16:00まで
・パン工房:10:00~16:00
・そば処 くにもと:10:00~16:00(15:00 L.O.)
・ラーメン・餃子 にっさと:10:00~16:00(15:00 L.O.)
・お食事処 ゆず庵:11:30~14:30(14:00 L.O.)、17:00~21:00(20:30 L.O.)
・村の食堂・畑の台所 麦の楽園:11:00~15:30(15:00 L.O.)、17:00~21:00(20:30 L.O.)
・スパ施設「アグリスパ」:10:00~21:00(最終受付時20:00)
・天然温泉「湯処あぐり」:10:00~21:00(最終受付時20:30) - 休み
- 毎月第2火曜(8月は無休)※冬季(1月または2月)に施設点検のため1週間程度の休園あり
- 料金
- 入園無料
スパ施設「アグリスパ」:大人1,020円、中学生510円、3歳~小学生まで460円
天然温泉「湯処あぐり」:大人510円、中学生250円、3歳~小学生まで200円
「アグリスパ」&「湯処あぐり」セット券:大人1,230円、中学生610円、3歳~小学生まで560円 - 住所
- 栃木県宇都宮市新里町丙254
- アクセス
- 【車】東北自動車道「宇都宮IC」から車で約5分
【電車・バス】JR「宇都宮駅」西口51番乗場から仁良塚・ろまんちっく村行き乗車約35分「ろまんちっく村」下車すぐ - 駐車場
- あり(無料/1,100台)
- 公式サイト
- 道の駅うつのみや ろまんちっく村
2日目のスタートは「宇都宮美術館」でアート鑑賞&公園散歩
宇都宮の自然を堪能した1日目に引き続き、2日目は自然と芸術がとけ込む「宇都宮美術館」へ。26ヘクタールの広さを持つ「うつのみや文化の森公園」の中に築かれた美術館で、高さを抑え、周りにとけ込んだデザインからも景観への配慮がうかがえます。
駐車場から美術館への道のりは森や草原を通り抜けていくよう道が整備され、つやめく朝の空気で気分も爽快に。公園内には巨大な彫刻アートも展示してあり、記念撮影にもおすすめ。ぶらりぶらりと鳥のさえずりに耳を傾けながら美術館を目指してみてください。
20世紀以降の美術・デザインに加え、宇都宮にゆかりのある美術作品を収集し、公開している「コレクション展」と、幅広いテーマのもと国内外の作品を集めた「企画展」を同時に実施。さらに企画展に合わせた講演会や学芸員によるギャラリートーク、森のコンサートに自然観察会などイベントも豊富です。
ミュージアムショップには、ポストカードなど定番のアイテムはもちろん、贈り物にもぴったりなオシャレな雑貨も販売。大谷石を使ったグッズも取りそろえているほか、「大谷石採掘の痕跡」や「きぶなのぼり」など地域ならではの文化をデザインしたオリジナルの手ぬぐいもあり、自分用だけでなく、アート好きな友人にもお土産に買いたくなるかわいさです。
ひと通り見て回ったら、レストラン「fruit dining 8010(フルーツ ダイニング パレット)」でひと休み。フルーツサンドが有名な宇都宮出身のお店で、フルーツの甘さを優しく包み込む生クリームが絶品。大きな窓からは木漏れ日が差し込み、くつろぎのひとときを過ごせます。
宇都宮美術館
- 営業時間
- 9:30~17:00(最終入館16:30)
- 休み
- 毎週月曜(祝日の場合は開館、翌日休館 ※翌日が土日祝日の場合は開館)
- 料金
- コレクション展:一般310円、大学生・高校生210円、中学生・小学生100円
※企画展の観覧料は、企画毎に変わります - 住所
- 栃木県宇都宮市長岡町1077
- アクセス
- 【車】東北自動車道「宇都宮IC」から車で約15分
【電車・バス】JR「宇都宮駅」西口5番バス乗場から豊郷台・帝京大学経由宇都宮美術館行き乗車(約25分)終点下車(宇都宮駅よりタクシー利用の場合約20分) - 駐車場
- あり(普通車約200台、大型バス10台/無料)※利用可能時間:6:00~22:00
- 公式サイト
- 宇都宮美術館
ランチは多種多様な宇都宮餃子に舌鼓
宇都宮に訪れたなら、やっぱり定番の餃子は外せません。白菜など野菜が多めの宇都宮餃子はさっぱりとした味わいで、2~3店舗で食べ比べしてみるのがおすすめ。
市街地から郊外まで多くの餃子店がありますが、迷ったら「来らっせ 本店」へ。常時10店舗以上の餃子を提供しており、5店舗分の餃子を一皿に盛り合わせたメニューもあります。時間がない旅行者も存分に宇都宮餃子を満喫できるスポットです。
来らっせ 本店
- 営業時間
- <常設店舗>
月~金曜:11:00~20:30(L.O. 20:00)
土・日曜、祝日:11:00~21:00(L.O. 20:30)
<日替わり店舗>
全日:11:00~21:00(L.O. 20:30) - 休み
- 年中無休
- 住所
- 栃木県宇都宮市馬場通り2-3-12 MEGAドン・キホーテ ラパーク宇都宮 地下1階
- アクセス
- 【車】JR「宇都宮駅」から車で約4分(駐車は周辺の提携駐車場、またはコインパーキングを利用)
【電車・バス】東武線「東武宇都宮駅」より徒歩約6分、もしくはJR「宇都宮駅」西口から10・43・50・51・55系統バス乗車、約3分「馬場町」下車、徒歩約2分 - 駐車場
- なし(近隣に有料駐車場あり)
- 公式サイト
- 来らっせ 本店
「カトリック松が峰教会」で過ごす、穏やかな時間
午後は宇都宮の市街地を散策。建物が密集する中にひっそりと佇む「カトリック松が峰教会」は、1932年に竣工したカトリック教会です。ふたつの塔を持つ教会は国内でも珍しく、均整のとれた建物正面からは優美さが漂います。
さらにこの教会を特別な存在にしているのが、建物に大谷石がふんだんに使われていること。大谷石の淡い色合いと複雑な模様が全面に彩られた外観は大胆な印象ですが、玄関のポーチには繊細なレリーフが彫られ、大谷石が加工に向いている石材だったことを思い出させてくれます。
聖堂内に入ると、赤いじゅうたんを境に木製の長椅子が均一に配され、大谷石の柱、白亜の天井が頭上に広がり、左右対称の内部は落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
柱には幾何学文様が彫られていますが、これは建築様式の中でも11世紀~12世紀前半に起源を持つロマネスク様式を基調にしている証。斜塔で有名なイタリアにあるピサの大聖堂、ドイツのシュパイアー大聖堂も同じ様式です。
奥に見えるパイプオルガンは、1978年に設置されました。ドイツのアルビーツ社が初の日本の教会向けに製作するということで社長自らが現地を視察し、5年以上の準備期間を要したのだそう。多くの人たちの想いと願いが託されたパイプオルガンは優しい光を放ち、今も訪れた人たちを歓迎しています。
カトリック松が峰教会
- 住所
- 栃木県宇都宮市松が峰1-1-5
- アクセス
- 【車】JR「宇都宮駅」から車で約7分
【電車・バス】東武線「東武宇都宮駅」より徒歩約3分、もしくはJR「宇都宮駅」西口から10・31・45・55系統バス乗車、約6分「東武西口」下車、徒歩約4分 - 駐車場
- あり(無料)※駐車場は大きくありません。数台のみの駐車スペースの為、混雑時は近隣の有料駐車場をご利用ください。
- 公式サイト
- カトリック松が峰教会
旅の締めくくりは「石の蔵」でひと休み
最後は教会から車で約10分、宇都宮駅からも約1kmの場所にある「石の蔵」へ。砂糖や小麦粉を保管する倉庫として使われていた蔵の趣ある外観を活かし、内装をカフェやレストラン、ショップとしてリノベーション。壁一面に覆われたツタの小道を歩いていると、別の世界に迷い込んだ夢心地になります。
ギャラリー・ショップでは、栃木県を中心におすすめの器や雑貨が並び、素朴であたたかみのある風合いが日常に彩りを添えてくれそう。オリジナルのスイーツやハーブティーなども取りそろえているので、ちょっとしたお土産も購入できます。
ギャラリー・ショップのらせん階段で2階に上がると、まるで隠れ家のようなラウンジが出現。カフェとして利用でき、無農薬栽培にこだわった那須野紅茶、黒胡麻豆乳ラテ、バナナミルクなど種類も豊富。特にコーヒーは淹れ方をフレンチプレス、ハンドドリップ、サイフォンの3種類から選択でき、ゆっくりとした時間を過ごせます。
特別なドリンクには、ぜひスイーツも一緒に。人気のシフォンケーキは、プレーンとラムレーズンの2種類から選べ、その一切れの大きさはご褒美感たっぷり。しかし、ふわっと軽い口あたりなので、罪悪感もなく完食できます。
17:30から始まるディナータイムは、ラウンジとは別の本館でコース料理を提供。和食を中心とした7~8品は、季節感を大切に、とちぎ軍鶏やとちぎ和牛など地域の名産を味わえる内容です。食事の最後には、土鍋で炊いたご飯が登場するなど最後までご馳走をいただけます。
石の蔵
- 営業時間
- ランチ:11:30~14:30(L.O.13:30)
カフェ:11:30~17:30 (L.O.17:00)
ディナー:17:30~22:30 (L.O.21:00)
ショップ:11:30~22:30 - 住所
- 栃木県宇都宮市東塙田2-8-8
- アクセス
- 【車】東北自動車道「鹿沼IC」から約25分
【電車】JR「宇都宮駅」から徒歩約15分(宇都宮駅からタクシー利用の場合約6分) - 駐車場
- あり(無料/58台)
- 公式サイト
- 石の蔵
大地の恵みが息吹く、宇都宮
「大谷資料館」の巨大地下空間から始まった、今回の旅。「大谷寺」や「カトリック松が峰教会」といった名所を辿ると、いかに大谷石が好まれ、街の歴史と共に歩んできたのかがうかがえます。そして、その想いは昔の面影を残す「石の蔵」やギャラリーを創設した「道の駅うつのみや ろまんちっく村」など、新たな形として継続中です。
大谷石にうっすらと浮かび上がる緑色ですが、これにはゼオライトという成分が含まれ、癒やし効果があるのだとか。偶然にも「若竹の杜」の竹林、「宇都宮美術館」に広がる森も同じ、緑の自然に囲まれたリラックスできる場所です。石や植物といった自然由来の美しさにふれる宇都宮の旅。きっと家路に向かう頃には、いつもより気持ちもリフレッシュしているはず。次の旅の候補にしてみませんか。
このページで紹介中の観光スポット一覧MAP
取材・写真・文/浅井みらの