東京・お台場にある「森ビルデジタルアートミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」(以下「チームラボボーダレス」)は、様々なデジタルアートを楽しめる「地図のないミュージアム」です。新感覚の体験型アートの楽しみ方から、豆知識、フォトスポットまで、「チームラボボーダレス」のコミュニケーションズ・ディレクターの工藤岳さんに案内してもらいました。
※お台場のチームラボボーダレスは2022年8月31日で閉館しました。詳しくは、公式ページをご確認ください。
「チームラボボーダレス」ってどんなところ?
「チームラボボーダレス」は、その名の通り「Borderless=境界のない」作品を、歩きながら模索していくことができる体験型ミュージアム。アメリカのニュース雑誌、TIME誌の「World's Greatest Places 2019(世界で最も素晴らしい場所 2019年度版)」にも選ばれ、世界から注目されています。
季節限定作品など常に進化しているので、何度行っても楽しめるのも魅力。来場者自身が自分の足で「さまよい 探索し 発見する」ことがテーマなので、館内にマップはありませんが、常時スタッフが巡回しているので、出口やお手洗い、授乳室の場所などを案内してもらえます。
館内では約10,000平方メートルと広大なエリアを歩くので、歩きやすい靴で行くのがおすすめ。チケットは完全予約制なので事前にウェブサイトで日時指定チケットを購入しましょう。
ミュージアムにはベビーカーやスーツケース、傘なども預けることができるので、お子さん連れや旅行中も安心です。
また、新型コロナウイルス対策として、入館口にアルコール消毒・使い捨てビニール手袋を用意。除菌剤使用による巡回清掃の実施、館内の換気強化、館内滞在人数を通常時の半分以下に制限するなどの取り組みも行っています。
「チームラボボーダレス」の作品紹介
地図がないミュージアムでは、気持ちのままに歩き、アートの一部となってさまよいましょう。
様々な作品が存在していて、空間内を移動しています。そして他の作品がある部屋に入った時、そこでは特別な演出が始まります。そんな奥深いアートの見どころや、アートと一緒に美しい写真を撮るコツもご紹介します。
♯花と人の森、埋もれ失いそして生まれる
「花と人の森、埋もれ失いそして生まれる」
入場してすぐ広がるのは、「花と人の森、埋もれ失いそして生まれる」。壁や床一面に四季の花々が咲き、人が壁に触れたり、「チームラボボーダレス」内に存在する蝶やカラスが近づいたりすると、花が散る仕掛けになっています。
「The Way of the Sea, Flying Beyond Borders - Colors of Life」
そして時間が経つとまた新たな花が咲き誇り、ゆっくりと流れる時を感じることができます。
「追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして境界を越えて飛ぶ」
作品はコンピュータプログラムによってリアルタイムで描かれ、鑑賞者のふるまいの影響を受けながら変容し続けます。以前の状態が複製されることがないので、「この瞬間の絵は二度と見ることができない」というのも魅力です。
「花の森で生まれ、花と共に生きる動物たち」
花の集合体によって描かれた動物がいることもあるので、探してみてくださいね。
「花と人の森、埋もれ失いそして生まれる」
このエリアには小さな部屋がいくつか存在し、その中では「Fleeting Flower」シリーズを見ることができます。
「菊虎」「蓮象」「向日葵鳳凰」「牡丹孔雀」
「菊虎」は、菊の花々によって虎が描かれています。それぞれの花は、散る瞬間にそこに描かれていた絵の部分ごと散っていき、常に変化し続けます。他にも、「蓮象」や、「向日葵鳳凰」、「牡丹孔雀」などの作品があるのでじっくり鑑賞してみましょう。
写真を撮るのにおすすめの場所・服装は?
「花と人の森、埋もれ失いそして生まれる」
作品ときれいに一体化した写真を撮るなら、白やライトグレーの服を着ていくのがおすすめ。映像が服に映り込み、より幻想的な雰囲気になります。
壁に触れたり、床を歩いたりすると花が散ってしまうので、たくさんの花が咲くまでは動かずに同じ位置に立ち、花が集まった後に動くと、躍動的な動画を撮ることができます。壁の角に立つと、壁と床の境界線がなくなったような無数の花を、簡単に撮ることができますよ。
♯「Light Sculpture - Line」シリーズ
「Light Sculpture - Line」シリーズは、光の線による空間全体を使った立体的なアートです。動き続ける光の線によって、身体ごと没入するような感覚を味わえます。
「Aurora Lights II」
光は、色や動き、リズムなどが変化します。見続けていると光の世界に吸い込まれてしまいそうです。
「神々」
「靄の彫刻」
ここで写真を撮るなら立つ位置や撮る角度を変えると、違った雰囲気になるので、部屋の隅や中央など、様々な場所や角度から撮ってみましょう。
♯人々のための岩に憑依する滝
「人々のための岩に憑依する滝」
「チームラボボーダレス」の中で最大級の広さのエリアを誇る部屋の奥には、立体的に再現した「人々のための岩に憑依する滝」があります。
天井から流れている滝は、上の階にある「運動の森」フロアの谷に流れている水と連動しているので、上の階の水がなくなると、この部屋の滝が止まることもあります。
穏やかに流れ広がっていく滝ですが、人が作品の上に立ったり作品に触れたりすると水の流れが変化する不思議なアートです。岩の上に登って、アートの一部になってみましょう。
♯追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして超越する空間
「追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして超越する空間」
こちらは空間の中央に立って見る作品で、「チームラボボーダレス」内を自由に飛び回っているプログラムのカラス達が、通路の途中にある「くぼみにある宇宙」に入ってくることで始まります。
カラスが互いに追い追われ、ぶつかると散って花となります。予測することのできないカラスの軌跡が描く線が立体的に描かれるので、だんだんと壁や床が動いているかのような錯覚に陥るでしょう。
♯秩序がなくともピースは成り立つ
「秩序がなくともピースは成り立つ」
「無限の透明」のエリアに、楽器を奏でたり踊ったりしている「Walk, Walk, Walk:探し、遠ざかり、また 出会う」の肖像群が入ってくると、この作品は始まります。
ぜひ、作品の中の人の前に立ってみてください。たまに来場者に気づき、奏でることを止めて挨拶などの反応をしてくれます。そしてしばらくすると、また適当に楽器を奏で始めます。
「Walk, Walk, Walk: 探し、遠ざかり、また 出会う」
作品中の人々は、常にこのエリアに滞在しているわけではなく、時々、空間を抜け出して外へと歩いていきます。
この人々は、他の作品へ影響を与えながら、このフロア全てのエリアを一周して戻り、またおのおの楽器を奏で踊り始めます。
♯クリスタルワールドに舞い込んだ境界のない群蝶
「クリスタルワールドに舞い込んだ境界のない群蝶」
光の点の立体的な集合によって、地上世界を表現した作品です。「チームラボボーダレス」内に存在する他の作品がこのエリアに入ると、光の色が変わり、様々なアートへと変化します。
例えば、「クリスタルワールド」に「The Way of the Sea」の魚の群れが入ってくると、光の点で描かれた魚群が空間を自由無礙に泳ぎます。
点の集合で絵画表現を行っている点描とは違い、奥行きもある立体的な光の点の集合体なので、平面だけでない視覚的錯覚によって自分自身が世界に溶け込んだ一体感を感じることができます。
事前に「teamLab」アプリをダウンロード
ミュージアムにはほとんど作品の説明がなく、直感的に楽しめますが、深く作品を理解したい方は事前にガイドアプリをダウンロードしましょう。このエリア内でアプリを開くと、このように「火」や「月」、「鳥」、「山」などの絵が画面に表示されます。
「Wander through the Crystal World」
この構成要素をスマートフォンから選択すると、光の色や動きが変化します。
写真を撮るならあえて逆光に撮り、人のシルエットを写り込ませると幻想的。常に色が変化するので、お気に入りのコントラストを見つけましょう。
撮った写真を逆さにすると、目の錯覚が起こり、よりSNS映えする写真になりますよ。
♯Black Waves
「Black Waves」
壁一面、波のように見えるこの作品は、水の粒子の挙動で線を描いています。コンピューターが水の動きをシミュレーションし、水の粒子の連続体で表現して波を構築しています。
♯地形の記憶
「地形の記憶」
視覚的錯覚によって、キャンパスの中に迷い込んだような体験をすることができます。季節によって作品のテーマが変わるので、アプリで作品をチェックすると、もっと楽しめそうです。
高低差のある空間で、様々な景色を描いているアートです。人が動き回ることで作品の色が変わります。
♯呼応するランプの森 – ワンストローク
「呼応するランプの森 – ワンストローク」
数式を具現化したランプの部屋で、無数のランプが展示されています。このランプは人に反応して、人から一番近くのランプが光り、さらにそのランプの一番近くのランプがまた光るという、光の連鎖が始まります。
作品が展示されている部屋は交代制で入ることができます。短時間で人があまり写り込んでいない写真を撮るには、少し上向きに撮りましょう。
角に立って鏡の反射を利用すると、どこまでもランプの世界が続いているかのような幻想的な雰囲気になります。
撮った写真を逆さにするのも、雰囲気の違う写真に見えるのでおすすめです。
アクティブに楽しもう!~運動の森~
上のフロアは、「身体で世界を捉え、世界を立体的に考える」をコンセプトに、実際に体を動かしながら楽しむことができます。複雑で立体的な空間を動き回ることで、脳の海馬を成長させ、空間認識能力を鍛えましょう。
♯グラフィティネイチャー 山山と深い谷、レッドリスト
「グラフィティネイチャー 山山と深い谷 、レッドリスト」
高低差のある立体的な大空間に、みんなが描いた様々な生きものたちが生息する世界です。生きものたちは、他の生きものを食べたり食べられたりしながら、共に同じ1つの生態系をつくっています。
人に踏まれると散って消えたり、他の生きものを食べると増えたり、生物の食物連鎖や生死を体感することができます。
動物や花の輪郭が描かれた紙が用意されているので、自分で好きな色をお絵かきし、オリジナルの動物を作りましょう。
♯マルチジャンピング宇宙
「マルチジャンピング宇宙」
宇宙空間のような「マルチジャンピング宇宙」は、チームラボが開発した特殊な布が張り巡らされていて、普段より高く飛び跳ねられたり、近くの人が飛ぶことで自分が跳ね上げられたりして、普段とは違う重力を感じることができます。
♯重力にあらがう呼応する生命の森
「重力にあらがう呼応する生命の森」
重力に逆らったように自由に空中を浮遊する、様々な光の物体に埋め尽くされた空間です。人が光の物体に触れると、色が変化し音色が響きます。その影響を受けて、近くにある光の物体の色も変化し、連鎖が広がります。
♯小人が住まうテーブル
「小人が住まうテーブル」
このテーブルは小人たちが住んでいる世界です。テーブルの上に手を置いたり物を置いたりすると、小人たちが気づいて寄ってきます。置く物の形によって、ジャンプしたり、すべったり、よじ登ったり、大喜びで遊んでくれます。
♯ティーハウス「EN TEA HOUSE 幻花亭」
「EN TEA HOUSE 幻花亭」
ティーハウス「EN TEA HOUSE 幻花亭」では、オリジナルブレンドの緑茶やゆず緑茶、カモミールほうじ茶ラテ、玉緑茶のアイスクリームセットなどを食べることができます。
お茶のアイスクリームも実は作品!テーブルに運ばれてくると花が咲いたり、茶の木が芽吹いたり、一服するたびに新たな命が生まれる…そんな幻想的な作品を楽しみながら、足を休めることができます。
非日常なアートを体験しに行こう
東京・お台場にある「チームラボボーダレス」は、今までに経験したことのない新体験をさせてくれるミュージアムです。言葉では言い表せないような最新テクノロジーアートを、ぜひ実際に体感してみてくださいね。
案内してくれたのはこの人
工藤岳さん
チームラボ コミュニケーションズ・ディレクター
チケット予約・住所の詳細
開館時間・休館日・その他注意事項などは、来館前に必ず公式ウェブサイトをご確認ください。
- 住所
- 東京都江東区青海1-3-8 お台場パレットタウン2階
- 営業時間
- 7月1日~7月17日/11:00~19:00
7月18日~31日/平日 10:00~19:00、土日祝 10:00~19:00
8月/10:00~19:00
- 休館日
- 第2・第4火曜日※7月は14日と28日、8月は25日
- 電話
- 03-6368-4292(10:00~18:00)
- エントランスパス
- 大人 高校生以上 3,200円
子ども 中学生以下 1,000円 ※3歳以下無料
障がい者割引 1,600円
手帳お持ちの本人様と同伴者1名まで購入可(入場には1人1枚チケットが必要となります)
- チケット詳細
- 「公式チケットサイト」
※EN TEA HOUSE - 幻花亭は、施設開館1時間後から営業。ラストオーダーは施設閉館の30分前です。
※最終入館は閉館の1時間前です。
※開館時間はシーズンによって異なります。
※入館日時指定制チケットです。入館後の滞在時間に制限はありません。