仙台駅西口から徒歩約5分、戦後の露店市が起源とされる「仙台朝市」。現在も新鮮な地元宮城の食材を取りそろえた店舗が多数立ち並び、「仙台の台所」として愛されています。飲食店も豊富なので、旅行の際にランチやディナー目的で訪れるにも最適。仙台ならではの食材やグルメを堪能できます。
また、市場のグルメを楽しむなら、仙台市中央卸売市場近くの「仙台場外市場 杜の市場」もおすすめ。あわせてご紹介します。
「仙台朝市」とは
「仙台朝市」は、仙台駅から徒歩約5分の裏通りにある商店街。1945年に空襲で焼け野原となった仙台駅前には、戦後の復興期に多くの露店が集まり、新鮮な食品や日用品を提供しました。それがいつしか「青空市場」と呼ばれ、「仙台朝市」の起源となります。
その後、高度経済成長期を迎え急速に都市化する中で、仙台駅前には商業施設も並ぶようになりますが、「仙台朝市」は新鮮な食品を提供する市場として存続しました。その後、1985年に「仙台朝市通り商店街連合会」が発足。商店街として組織化されました。
現在ではメインストリートの「朝市通り」に軒を連ねる「仙台朝市商店街」やその周辺も含めて「仙台朝市」と呼ばれ、地元の人はもちろん、観光客にも親しまれています。
昭和の雰囲気をそのまま残したレトロな景観の通りには、青果店から鮮魚店、惣菜店、乾物店など約60店舗が並び、朝7:00頃から夕方まで活気にあふれたムードが漂います。
飲食店も充実していて、近海でとれた鮮魚を使った海鮮丼やずんだスイーツなど、仙台ならではのグルメを堪能できるでしょう。
「仙台朝市」の注目グルメスポット
仙台朝市界隈の飲食店は、市場から仕入れた新鮮素材を使ったメニューが自慢の店が多数。40年近く愛されてきた老舗の居酒屋から、おしゃれなカフェまで、さまざまなお店がそろいます。
ずんだを使っただんごが人気「花笠だんご本舗」
朝市通り沿いにある「花笠だんご本舗」は、朝市で40年以上続く老舗。だんごやおこわ、おにぎりなどを販売しています。朝8:00前後から販売を開始するだんごは、地元の人はもちろん、観光客からも人気の高いおやつ。特に「ずんだ」(1本150円)はお昼前に売り切れてしまうことが多いそう。
「花笠だんご本舗」の「ずんだ」は、枝豆と砂糖、塩だけで作った自慢のずんだ餡がたっぷり。余計なものが入っていないずんだ餡は、色鮮やかでさわやかな枝豆の風味がしっかりと感じられます。適度に粒感が残り、なめらかな舌触りのだんごと相性抜群です。
おにぎりは、おこわとうるち米の2種類があり、大体毎朝9:00前後に販売されます。だんごと同じく人気で、1日に300~500個仕込んでも完売するほど。
電話での取り置きもできるので、絶対に食べたい人はあらかじめ連絡しておくといいでしょう。
花笠だんご本舗
- 住所
- 宮城県仙台市青葉区中央4-3-27
- 電話
- 022-261-7803
- 営業時間
- 8:00~売り切れ次第閉店
※おこわなどは9:00以降販売 - 定休日
- 水・日・祝日
- アクセス
- JR「仙台」駅から徒歩約5分
- 詳細
- 花笠だんご本舗
ランチ限定メニューは必食!「地酒と旬味 東家」
ランチにぴったりなのが、37年続く老舗食事処「地酒と旬味 東家」。旬の食材を使った料理をリーズナブルに提供するお店です。仙台朝市の入口(仙台パルコ2の向かい)に建つ「新仙台駅前ビル」の地下1階にあります。
一押しは、「おみくじ丼A」(1,950円)。店主が目利きした12種類前後の新鮮な刺身をたっぷりと丼に盛り付けたサービスメニューです。刺身は日によって変わりますが、近海マグロは必ずのっていて、ひと口味わえば脂が舌でとろけるぜいたくなおいしさを堪能できます。
丼だけでなく、「ほしがきとバターのミルフィーユ」(990円)といった一品メニューもぜひ味わいたいところ。バターのコクが引き立てる、濃厚な干し柿の甘みは日本酒のアテにもぴったりです。
ランチタイムは、ランチ分の魚介がなくなり次第終了するので、なるべく早めに訪問しましょう。
17:00からのディナータイムは刺身やつまみとなる一品メニューが中心。新鮮魚介をふんだんに使った丼メニューを味わいたいときは、「海鮮丼」(時価)がおすすめです。ただし、予約必須なので事前に電話することをお忘れなく。
また、日本酒のラインナップも豊富で、福島や山形など近県の地酒はもちろん、全国から常時30~40種の酒を用意。ウイスキーや焼酎もあります。アルコールメニューはディナーはもちろん、ランチでも注文可能です。
地酒と旬味 東家
- 住所
- 宮城県仙台市青葉区中央3-8-5 新仙台駅前ビルB1
- 電話
- 022-211-5801
- 営業時間
- 11:00~14:00、17:00~23:00(L.O.21:30)
- 定休日
- 日曜日
- アクセス
- JR「仙台」駅から徒歩約5分
- 公式サイト
- 地酒と旬味 東家
食事のあとは「イトーコーヒー」でほっと一息
「イトーコーヒー」は、「毎日飲めるコーヒー」がコンセプトのコーヒーショップ。「花笠だんご本舗」の隣に建つ「仙台朝市ビル」の奥にあります。
朝8:00から営業しているのもうれしいところ。ハンドドリップで淹れた自家焙煎のコーヒー(450円~※アイスコーヒーに変更の場合はプラス50円)を味わえます。
豆の銘柄が、その時々で変わるのも特徴。注文に迷ったときは、バランスの良い「ブレンド」(450円)、深煎りの「グアテマラ」(500円)や中煎りの「ケニア」(500円)など、好みの焙煎加減で選ぶのも良いですね。
「レモンスカッシュ」(500円)など、自家製シロップを使ったドリンクもあります。
店内で提供されるスイーツは、岩手県一関市に店を構える「ベーカリー飛行船」が作ったもの。日によって内容は変わりますが、チーズケーキやビスコッティなどが登場することが多いそうです。
ちなみに、店内のイートインスペースでは、「イトーコーヒー」で注文したメニューだけでなく、仙台朝市内で購入したものをいただくこともできます。もちろん、テイクアウトも可能です。
イトーコーヒー
- 住所
- 宮城県仙台市青葉区中央4-3-28仙台朝市ビル1F
- 営業時間
- 8:00〜16:00
- 定休日
- 第2・4月曜日、日・祝日
- アクセス
- JR「仙台」駅から徒歩約5分
- 詳細
- イトーコーヒー
「齋藤惣菜店ころっけや」の名物コロッケも!
「花笠だんご本舗」に隣接する「齋藤惣菜店ころっけや」では、揚げ物を中心に惣菜を取りそろえています。
終日行列ができていることが多く、特に看板商品の「じゃがじゃがころっけ」(90円)は1日に1,000個も売り上げるほどの人気。旨みを閉じ込めるために皮ごとふかした北海道産のジャガイモを、牛ひき肉、玉ねぎとあわせ、ザラメで甘めに味つけしています。
ほかにも、「うずら4兄弟」(130円)や「キャベツめんち」(140円)など、およそ20種類ものメニューがあります。
コロッケは16時頃になくなってしまうこともあるので、要注意。ここで購入したコロッケを「イトーコーヒー」に持ち込んで、ドリンクと一緒にゆっくり味わうのもおすすめです。
齋藤惣菜店ころっけや
- 住所
- 宮城県仙台市青葉区中央4-3-27
- 営業時間
- 9:00〜17:00
- 定休日
- 日曜日、祝日
- アクセス
- JR「仙台」駅から徒歩約5分
- 詳細
- 齋藤惣菜店ころっけや
屋内で芋煮を楽しめる「東四芋煮ガーデン」
東四市場ビルの屋上にある「東四芋煮ガーデン」は、テントが設置された全天候型のルーフトップレストラン。夏はビアガーデン、秋は芋煮会場、冬はこたつガーデンとして営業しています。天候を気にせず、ビールや芋煮鍋などを楽しめます。
「芋煮」とは、宮城県や山形県など東北地方で食べられる里芋を入れた汁物のこと。毎年秋になると、各地域の川沿いで芋煮鍋を作る「芋煮会」が開催されるほど、東北地方の人にとってはなじみの深い郷土料理です。
「東四ビアガーデン」では、この秋の風物詩「芋煮会」を駅近くの屋上で再現。具材セットや鍋がすでに用意されているので、手ぶらで気軽に満喫できます。
基本プランは、「芋煮セット+焼肉BBQ食べ放題+飲み放題(120分)」(大人1名4,900円)。芋煮は仙台風の味噌味か山形風の醤油味を選んだら、具材を入れて自分たちで作っていきます。里芋やネギなど具材の旨みが溶け出した、滋味深い味わいを堪能しましょう。
芋煮のほかにBBQ、ビュッフェスタイルで用意されている食べ放題メニューもあります。食べ放題ではサラダや唐揚げ、カレー、スイーツなどさまざまなメニューがあるので、子ども連れでも安心です。
別料金で、海鮮コーナーと炭火焼コーナーも利用できます。また、レシートを提示すれば仙台朝市から購入した食材の持ち込みも可能。市場で購入した食材をすぐに味わえるのもうれしいポイントです。
東四芋煮ガーデン
- 住所
- 宮城県仙台市青葉区中央4-3-1 東四市場ビル3F
- 営業期間
- 2024年9月28日~11月10日
- 営業時間
- 月~金/17:00〜21:30、土・日・祝日/13:00〜21:30(最終入店20:00)
- 定休日
- 月曜日(祝日の場合は翌日)
- アクセス
- JR「仙台」駅から徒歩約5分
- 公式サイト
- 東四芋煮ガーデン
屋根付き「仙台場外市場 杜の市場」もおすすめ
仙台駅の東口、仙台朝市から車で約20分の場所には「仙台場外市場 杜の市場」もあります。すぐ近くにある「仙台市中央卸売市場」はスーパーや飲食などの卸市場ですが、こちらは一般向けに開かれている市場です。
屋内700坪のフロアには、生鮮食品や乾物などを扱う約30のお店が並びます。飲食店も充実しており、特に東北の新鮮な魚介を使った海鮮メニューは必食。丼や寿司など、いろいろなスタイルで味わうことができます。
生マグロを厳選した「魚河岸処 仙」の海鮮丼
「魚河岸処 仙」は、仙台市内に多数出店している老舗鮮魚専門店「仙令平庄」直営のお店。専門店ならではのルートで仕入れた鮮度抜群な魚介を、「美味い!早い!びっくり!」をコンセプトに提供しています。
グループ内の飲食ブランドの中でも、「魚河岸処 仙」は特にリーズナブルな価格設定。「海鮮丼」はブリや海老、イクラなど9種の新鮮魚介がふんだんにのって1,180円。マグロは冷凍ではなく生のものを使用しているので、凝縮した旨みと弾力のある食感を楽しめます。
ほかにも「店長のきまぐれ丼」(時価)や「日替わり丼」(780円)など、日によって内容の異なるメニューが満載です。
丼メニューは、おかわり自由の味噌汁とデザート付き。さらに、ご飯は普通盛り(230g)から特盛り(400g)まで無料。お腹いっぱい食べたい人も、小食な人も満足できるうれしいサービスですね。
魚河岸処 仙
- 住所
- 宮城県仙台市若林区卸町5-2-6
- 営業時間
- 月~金/10:00~14:45、土・日・祝日/9:00~16:45
- 定休日
- 年中無休
- アクセス
- 【電車】地下鉄東西線「卸町」駅から徒歩約15分
【車】仙台東部道路「仙台東」ICより約10分 - 詳細
- 魚河岸処 仙
「寿しや甲子園」でおまかせコースを
「寿しや甲子園」は、「仙台場外市場 杜の市場」内にある鮮魚店「魚甲子園」直営の寿司店。板前の目利きで仕入れた宮城県産を中心とする魚介を堪能することができます。
おまかせの「大統領」(3,630円)は、旬のネタ7貫と、汁物が付くコース。取材時の握り寿司は、宮城産のホタテ、ツブ貝、「三陸塩竈ひがしもの※」のメバチマグロなどでした。どれも身厚で、食べ応え十分。ひと口頬張ると魚介の旨みが口いっぱいに広がります。
※三陸塩竈ひがしもの…産地や漁獲時期など厳しい条件を満たした生のメバチマグロのこと
ウニの握りは、殻から身をすくい、自分で軍艦にのせていただきます。新鮮なウニは甘みたっぷり。カニの刺身や、うなぎの焼き串といった豪華な食材がコースに入ることもあるそうです。
お土産としてもおすすめなのが「はらこ飯」(2,200円)。サケとはらこ(イクラ)の上に煮ダレがとろりとかかり、味に深みがプラスされた一品に仕上がっています。
予約制でおまかせコースの注文が基本ですが、予約なしの場合でも「海鮮漬け丼」(1,280円)、「季節の海鮮天丼」(1,280円)などのメニューが注文可能。気軽に相談してみてください。
寿しや甲子園
- 住所
- 宮城県仙台市若林区卸町5-2-6
- 営業時間
- 11:30〜14:00頃
- 定休日
- なし
- アクセス
- 【電車】地下鉄東西線「卸町」駅から徒歩約15分
【車】仙台東部道路「仙台東」ICより約10分 - 詳細
- 寿しや甲子園
新鮮なウニに感動!「片倉商店 杜の市場店」
「片倉商店 杜の市場店」は、宮城県石巻市の洋上に浮かぶ島「金華山(きんかさん)」周辺の沿岸でとれたウニや天然ホヤ、牡蠣、ナマコなどを専門に扱うお店。自社潜水漁による水揚げから出荷まで徹底管理されたウニは、保存にミョウバンが使われていないため、自然そのままの味を堪能できます。
ここでぜひ食べてほしいのが、2~9月限定の「生うに丼」(並盛り2,580円)や10~1月限定の「牡蠣ご飯」(800円)など、季節限定メニュー。粒が際立つウニや牡蠣は、旬ならではの格別な味わいです。
「うに炊込みご飯」(並990円)は、通年味わうことができます。醤油ベースの甘じょっぱい味つけの濃厚な蒸しウニやイクラはご飯と相性抜群!
「杜の市場」場内ではウニや牡蠣などの販売も。お土産はもちろん、自分用に購入して自宅でゆっくり堪能するのもいいですね。
片倉商店 杜の市場店
- 住所
- 宮城県仙台市若林区卸町5-2-6
- 営業時間
- 飲食/11:00~15:30(材料がなくなり次第終了)、販売/9:00~19:00
- 定休日
- 1月1日
- アクセス
- 【電車】地下鉄東西線「卸町」駅から徒歩約15分
【車】仙台東部道路「仙台東」ICより約10分 - 公式サイト
- 片倉商店
仙台駅周辺の食べ歩きグルメもチェック
市場だけでなく、仙台駅周辺も名産の食材を活かしたお手軽なグルメがそろいます。散策に疲れたら、手軽に食べられるテイクアウトグルメでひと休みしましょう。
「ずんだ茶寮」のひんやりずんだシェイクでひと休み
「ずんだ茶寮 ずんだシェイクエクスプレス店」は、ずんだシェイクのテイクアウト専門店。仙台駅西口に広がるペデストリアンデッキ(歩行者専用高架橋)から、駅内に入った在来線中央改札口近くにあります。
バニラテイストのシェイクに特製のずんだをブレンドした「ずんだシェイク」(レギュラー380円、ラージ490円)は、適度な甘みとつぶつぶ感が楽しいスイーツ。
「ずんだ餅 ぷち」(1カップ420円)もおやつにぴったりです。ひと口サイズのお餅4つに、ずんだ餡がしっかり絡んで、手軽にずんだのおいしさを堪能できます。
「ずんだ茶寮 ずんだシェイクエクスプレス店」はテイクアウト専門店ですが、仙台駅3階にある「仙台駅ずんだ小径店」では、店内でゆっくりずんだスイーツを食べることができます。席に座ってゆっくり味わいたい人は、足を運んでみてください。
ずんだ茶寮 ずんだシェイクエクスプレス店
- 住所
- 宮城県仙台市青葉区中央1-1-1 仙台駅2F
- 営業時間
- 9:00〜19:30
- 定休日
- なし
- アクセス
- JR「仙台」駅直結
- 公式サイト
- ずんだ茶寮
老舗「阿部蒲鉾店 本店」の名物グルメ
仙台といえば「ひょうたん揚げ」(300円)も見逃せません。「ひょうたん揚げ」とは、ボール状の蒸しかまぼこを2つ並べ、甘い衣をつけて揚げた仙台市民のソウルフード。笹かまぼこの名付け親でもある老舗「阿部蒲鉾店」が生み出した名物グルメです。衣のほんのりとした甘さにかまぼこの塩味がアクセントになっています。
串にアタリと書かれていれば、もう1本サービスされるおまけ付き。食べ終わったあとに串をチェックするのをお忘れなく。
阿部蒲鉾店 本店
- 住所
- 宮城県仙台市青葉区中央2-3-18
- 営業時間
- 10:00〜18:30
- 定休日
- 年中無休
- アクセス
- JR「仙台」駅から徒歩約5分/JR「あおば通」駅から徒歩約5分
- 公式サイト
- 阿部蒲鉾店 本店
「仙台朝市」と「仙台場外市場 杜の市場」のおすすめグルメを紹介しました。仙台の市場では、新鮮魚介をはじめとする地元の素材を活かしたグルメを手軽に楽しめます。テイクアウトのおやつ片手に杜の都を歩きながら、仙台グルメを心ゆくまで堪能してください。
取材・文/星 マチコ 撮影/川島 啓司