大阪・東大阪市にあるカンカン工場の敷地内に、デジタルアート集団「チームラボ」が手がける体験型の作品群「チームラボ:風と雨と太陽の草原」が2024年10月5日にオープン。
工場併設のカフェ「カンカン工場の草原のカフェ」も同時にオープンし、ものづくりの現場とアートが融合した珍しい「工場のアートカフェ」が展開されています。
ものづくりの町に“自然が生み出す芸術空間”が誕生
全国でも有数の工場数を誇るものづくりの町・大阪府東大阪市に本社を構える1948年創業の老舗洋菓子製缶メーカー「大阪製罐(おおさかせいかん)」。その工場の敷地内に、構想から4年の歳月をかけ、地域活性化の新スポットとしてカフェ「カンカン工場の草原のカフェ」が誕生しました。
風と雨と太陽の草原 / Field of Wind, Rain and Sun
工場の敷地の一部は草原のようになっていて、チームラボによる作品群「チームラボ:風と雨と太陽の草原」が常設で展示されています。
カフェの利用者は、実際に草原の中に入って作品を体感することも。場所や歩く速度によって変化する音楽が訪れた人を楽しませてくれます。
この作品群のコンセプトは「環境現象」。人の手だけではなく、日常にありふれた風や雨、太陽などの自然環境が作品を創り出し、こうした環境によって存在意義をもたらされるというアートの形を表現しています。
太陽の円相 / Enso of the Sun
作品のひとつ《太陽の円相》は、風のない晴天の正午頃(11:30〜12:30)にだけ虹が現れるという体験型のアート。草原の中にある「太陽のための階段」を上って下をのぞくと、噴き出した水によって発生した真円の虹を見ることができます。
さまざまな自然条件が重なることで生まれる現象は、見る人の意識を作品そのものから自らを取り巻く環境全体へと広げてくれます。
夜には光のアートが幻想的な世界を演出
太陽の海 / Sea of the Sun
ガラス工場の溶鉱炉から出る残留ガラスを使った作品《太陽の海》。晴天の午後には、それぞれのガラスが太陽の光を受け止め、さながら太陽の海といった光景を見せてくれます。
そして、夜にはライトアップされ、ガラスの岩石の中の光が溶け合います。日中とはガラリと雰囲気を変えた、幻想的な空間が広がります。
風と太陽の空書 / Spatial Calligraphy of Light and Wind
工場建物の上空には、風が吹くときだけ出現する作品《風と太陽の空書》が。太陽も下では輝き、日没後は光ります。作品自体は決まった形を持たず、自然現象の力によって初めてアートとして現れる作品です。
雨の儚い結晶 / Ephemeral Crystallized Rain
強い雨が降る夜には、光と雨が生み出す作品《雨の儚い結晶》が見られます。とめどなく降る雨が、2色の光に姿を変え、草原一帯を儚くも美しく彩ります。
チームラボ作品が楽しめる「工場のアートカフェ」
共鳴する茶 - 動的平衡色 / Tea in Spontaneous Order - Dynamic Equilibrium Color
「カンカン工場の草原のカフェ」の店内でも、草原を望むほか、光のアートを楽しめます。
夜に楽しめる作品《共鳴する茶 - 動的平衡色》は、お茶が入ったカップが互いに影響し合いながら、光や音のリズムが形作られていくというもの。利用者自身の振る舞いが作品の一部になる体験型のアートです。
大阪製罐の工場が立地するエリアは、古くは大和川と淀川が合流する自然豊かな入り江で、「草香江(くさかえ)」という地名で万葉の和歌にも詠まれた土地でした。
自然環境が織りなす芸術作品と、地域のものづくり文化が融合した新感覚のカフェは、東大阪の新たなスポットになること間違いありません。訪れた季節や日、時間によって姿を変えるアートを求めて、ぜひ足を運んでみませんか?
大阪製罐「カンカン工場の草原のカフェ」
- 営業時間
- 【1部】10:30〜16:30(1枠50分 計6枠)
【2部】18:30〜21:30(1枠50分 計3枠)
※時期により変更の場合あり
※事前予約制 - 住所
- 大阪府東大阪市若江東町1-1-15
- アクセス
- 【電車】近鉄奈良線「若江岩田」駅より徒歩約12分
【車】阪神高速13号東大阪線「中野」出口から約10分 - 詳細
- 「チームラボ:風と雨と太陽の草原」公式サイト
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