芸術鑑賞は美術館で作品と対峙するものという概念を覆す展覧会が、東京・六本木で2021年3月22日から8月31日までの期間限定で開催されています。
「チームラボリコネクト:アートとサウナ 六本木」は、アートとサウナを一体化した実験的な試み。仕掛けるのは、プロジェクターを駆使して空間全体に世界観を表現した作品を手掛けることで知られるアート集団・TeamLab(チームラボ)。昨今ブームとなっている、サウナで「ととのう」ことで鑑賞者が最高の状態になってアートに触れ、その世界と一体となる感覚を味わえるといいます。
注目の同展をサウナ道をたしなむ編集部スタッフが体験、レポートします。
水着でアート体験!充実のレンタル品で手ぶらでもOK
「チームラボリコネクト:アートとサウナ 六本木」は、六本木駅から徒歩約5分。テレビ朝日にほど近い、けやき坂通りと環状三号線が交わる交差点に8月までの期間限定でオープンしました。
「チームラボリコネクト」の鑑賞には作法があります。サウナ(5~10分)→冷水シャワー(1~2分)→アート浴の順番で体験する。これを3セット繰り返すこと。
まず本館に入る前にレンタル品の貸し出しスペースがあります。館内では水着を着用しますが、わざわざ持参しなくても無料のレンタル水着が用意されているので手ぶらで来ても大丈夫。サイズ別に男性は館内着と短パン、女性は水着。もちろんバスタオル・フェイスタオルの用意もあります。
館内は更衣室とサウナ室以外は写真撮影OK。スマートフォンを首から下げておける防水ケースなどもあり、必要なものを棚から取っていきます。
また新型コロナウイルス感染症対策のため、マスクを着用する必要がありますが(一部スペースを除く)、万が一なくしてしまったり、着けていたマスクが濡れてしまっても不織布のマスクが用意されているので安心です。
ロッカーで着替えてアートの旅へ。アメニティも万全
必要なものを持って更衣室へ。男女別の更衣室には専用のロッカーが用意されています。ここで水着に着替えてアートの旅へ出発です。隣の温水シャワーで体を洗い流しておくこともできます。
更衣室にはアート体験後の退館の支度にありがたいドライヤーやくし、女性にはメイク落としや化粧水なども用意されており、これらの利用も入館料に含まれているのはうれしいところ。
サウナは温度や香りごとに全7室。100℃の超高温も!
更衣室を出ると、館内の人の動きに呼応して色が変わるランプがぶら下がった待ち合いスペースが用意されています。同展は男女一緒でも楽しめるように企画されていて、着替えた後にここで合流してサウナ室へ向かえるようになっています。
サウナ室は全部で7室。それぞれ温度・湿度・アロマの香り・色・音楽の組み合わせが異なり、女性専用のサウナ室も設置されています。部屋によっては約15分おきに、サウナストーンにアロマ水をかけて水蒸気を発生さるロウリュが行われます。
設定温度は70~100℃までの中温・高温・超高温の3段階。この日は超高温で男女兼用の「マゼンタ」という部屋を体験しました。中は赤くライトが明滅する神秘的な空間。この明かりはチームラボのスタッフが、サウナにこもり2時間かけて心地よく感じる明度に調整したのだとか。
ストーブを含め、サウナ室もすべてMETOS(メトス)社の監修で共同制作したこだわりよう。二段に組まれた座席は密にならないように、一人置きに座わります。
100℃となると最も熱が溜まりやすい上段に腰かけながらじっと瞑想していると、ジリジリと耳が痛くなるほどの熱さ。普段からサウナに入り慣れている人でなければ、まずは無理をせず中温のサウナから入ることをおすすめします。
ちなみにこの部屋のアロマは珍しい「ほうじ茶」の香り。佐賀県の有名な嬉野茶で、特別に作られた茶葉から抽出しているのだとか。充満した香ばしいほうじ茶の香りを鼻から胸いっぱいに吸い込めば、気分も一気にリラックス。
部屋によって「白樺」や「松」、「ジュニパー」など様々な香りが用意されているので、お気に入りの部屋を見つけてみるのも楽しみ方の一つです。
気になる空き状況は、サウナ室の外にあるモニターでわかります。ドアに設置されたセンサーが入室人数を検知しているので、定員になると満室の表示に変わります。空きあるか確認して部屋に入りましょう。
スマートフォンやカメラを保管しておけるミニロッカーもあります。
水と光のベールを抜けて冷水シャワー室へ
サウナで十分に汗をかいたら冷水シャワーへ。2つのシャワースペースがありますが、これもアート作品です。
水煙に誘われながら進むと光の円が見える仕掛けも。水と光のベールを通り抜けた先にシャワーがあります。
サウナ通にはうれしい約16℃に保たれた冷水が頭上のシャワーヘッドから流れ落ち、まるで滝行のように一気に体を冷まします。冷水が苦手という人は、正面にもあるシャワーヘッドに切り替えて肩からゆっくりと浴びて、徐々に身体を慣らしていきましょう。1~2分を目安に、それまでは我慢!
ちなみに、なぜ水風呂ではないのか?と疑問に思うかもしれませんが、「チームラボリコネクト」はあくまでアート展。風呂を設置するには公衆浴場法に従わなければならず、様々な制約を受けてしまうからだそうです。
3つの幻想的な世界の中でアート浴
サウナと冷水シャワーの交代浴を終え、いよいよメインの「アート浴」に移ります。
エリアは3つに分かれ、『空中浮揚』『生命は結晶化した儚い光』『降り注ぐ雨の中で増殖する無量の生命』とそれぞれのアート空間が広がります。
『空中浮揚』は青や赤に移り変わる大きな球体が、空中をゆっくり上下したり、途中で静止したりを繰り返します。これはチームラボのスタッフが、ウイルスとは何か?を考え、行きついた超自然現象を表現したものだそう。
『降り注ぐ雨の中で増殖する無量の生命』は、空間の壁面いっぱいに咲いては散る花々がデジタル映像で映し出されます。花は向き合った人の動きで変化し、その瞬間だけにしか見ることのできない絵になります。
『生命は結晶化した儚い光』は、水と光のシャワー。まるで光の結晶のような水の白糸に触れると、結晶は弾け、光の原色が手のひらに映し出されます。
3つの作品群をそれぞれ椅子に腰かけながら呆然と眺め、または身体ごと作品空間に入り込んでみると、不思議とその世界の一部になったような感覚にとらわれます。あくまで個人的な感想として、動くものを目で追わず、一点だけに視点を定めて集中すると特にその感覚が味わえました。
これがサウナ・冷水・休憩(アート浴)を繰り返す超温冷交代浴によって生まれる、「ととのった」状態がもたらす「リコネクト」。ととのうことで頭がクリアになり、感覚が研ぎ澄まされて、脳科学的にも特殊な自分にとって最高級にいい状態でアート作品を鑑賞する。すると美しいものはより美しく、その時々で作品は表情を変えて見えるという。これは体験してみないとわからない不思議な感覚でした。
いつまでもこの空間にいたくなりますが、体験時間は入館から退館まで100分。8月31日までの期間限定開催なので、東京観光の隙間時間にサウナで汗を流し、「ととのった」アート体験をしてみませんか?
チームラボ & TikTok, チームラボリコネクト:アートとサウナ 六本木
- 住所
- 東京都港区六本木5-10-25
- 会期
- 2021年3月22日(月)~8月31日(火)
- 時間
- 10:00~23:00 ※日時指定の予約制
- 定休日
- 不定休
- 料金
- 平日4,800円、土日祝・特定日5,800円 ※レンタル品代込
- アクセス
- 地下鉄日比谷線・大江戸線「六本木」駅から徒歩約5分
地下鉄大江戸線「麻布十番」駅から徒歩約5分 - 詳細・チケット購入
- チームラボリコネクト公式ページ