熊本県阿蘇にある「鍋ヶ滝(なべがたき)」は、滝から流れ落ちる水がまるで緑のなかにある水のカーテンのように見え、その美しさからテレビCMのロケ地などにも使われる話題の絶景スポット。ゆっくり森の中を散策しながら、マイナスイオンたっぷりの空気に癒されに行きましょう。
鍋ヶ滝とはどんなところ?
鍋ヶ滝は、昔の阿蘇山の噴火により蓄積した火砕流蓄積物が、長い年月をかけて川に侵食されて形成されたものです。その滝と周辺の自然を合わせた一帯は、鍋ヶ滝公園と呼ばれています。落差約10メートル、幅約20メートルと、鍋ヶ滝は小規模な滝ながら、静かな流れと周辺の自然と調和した様子がとても美しい絶景スポットです。
鍋ヶ滝公園の入り口から鍋ヶ滝までの道のりは意外と楽で、女性や子どもでも気軽に訪れられるほど。ただ、滝のそばは滑りやすく水しぶきも浴びるので、スニーカーにタオルを必ず持っていきましょう!
鍋ヶ滝までのアクセス
車を利用する場合
・熊本駅から約1時間50分…熊本駅→県道339号線(ミルクロード)→国道212号線経由→鍋ヶ滝
・博多駅から約2時間…博多駅→福岡南バイパス(国道3号線)→国道387号線経由→鍋ヶ滝
公共交通機関を利用する場合
・熊本駅から約3時間30分…熊本駅(JR豊肥本線)→肥後大津駅(特急バスやまびこ号)→阿蘇駅(産交バス 杖立温泉行き)→小国ゆうステーション(タクシー)→鍋ヶ滝
・博多駅から約4時間30分…博多駅(JR九州新幹線)→熊本駅(上記と同じ)→鍋ヶ滝
・博多バスターミナルから約2時間30分…博多バスターミナル(高速バス)→小国ゆうステーション(タクシー)→鍋ヶ滝
鍋ヶ滝までは公共交通機関を使うと時間もかかり乗り換えが多く、鍋ヶ滝周辺は本数も少ないため大変です。鍋ヶ滝と合わせて周辺スポットも巡るなら、熊本駅や博多駅からレンタカーを利用するのがおすすめですよ。
鍋ヶ滝の散策に行ってみよう!
まずは入園受付!
鍋ヶ滝公園に到着したら、まず受付で入園料(大人300円、子ども150円)を支払います。
滝までは、およそ5分の道のり
受付の裏手から、木製の階段を下りて鍋ヶ滝公園の中へ。整備された通路の左右には、濃い緑の森が広がっています。
可愛らしい野草を愛でながら、ゆっくりと進むこと約5分。
滝までにはもっと険しい道のりなのかと思っていたのですが、散歩気分で進める行程で到着しました!足元が滑りやすくなっているのさえ気をつければ、どなたの足でも大丈夫。実際に、撮影日は女性や高齢の方もたくさんいましたよ。
鍋ヶ滝の静かな流れに癒される
静かに流れる滝とそれを囲うように茂る緑、まさに心休まる癒しの景色です。鍋ヶ滝は写真愛好家たちの人気スポットと言うことで、撮影にも挑戦!絹のように流れる滝は周りの緑とのコントラストがとても美しく、インスタ映えすること間違いなしです。
滝を撮影するときは、手ブレしやすい被写体なので三脚の使用がおすすめ。
このようにシャッター速度を変えて、高速にすると荒々しく、低速(1秒以上)にすると絹のような滝が撮影できます。同じ角度からでも、シャッター速度を変えるだけで表情がころころ変わるので面白いですよ。
なかなか迫力のある一枚が撮影できました!いろんな角度やシャッタースピードで、ベストショットを狙ってみてくださいね。
滝の裏側にも入れちゃう!
鍋ヶ滝は滝裏に空間ができており、回って間近で眺めることができます。静かな水の流れに耳を傾ければリラックスでき、滝越しの景色は自然のパワーを感じさせてくれます。
ただ、裏側は水しぶきがかなり吹き込むので、濡れるのが嫌なら折りたたみ傘くらいは必要です。もしカメラで撮影するなら、濡れてもすぐに拭けるようタオルも用意しておきましょう。
毎年春には幻想的にライトアップ!
画像提供:小国町役場 情報課
例年春になると期間限定で滝が七色にライトアップされます。
画像提供:小国町役場 情報課
滝の裏側から色とりどりのライトに照らされた様子は、とても幻想的。開催日時は毎年変動するので(2019年は3月29日~4月3日に開催)、春に鍋ヶ滝公園を訪れるときは「小国町役場 情報課(0967-46-2113)」に問い合わせてみましょう。
鍋ヶ滝公園
- 住所
- 熊本県阿蘇郡小国町黒渕
- 開園時間
- 9:00〜17:00(最終入園16:30)
- 定休日
- 年末年始(12月28日〜1月3日)
- 料金
- 大人 300円、小中学生 150円
- 駐車場
- あり(123台)
鍋ヶ滝周辺の人気グルメも堪能!
鍋ヶ滝で身体を動かして小腹が空いてきたら、次は周辺グルメもチェック!鍋ヶ滝周辺には、そばやパン、スイーツなど、様々な地元名物のグルメがあります。
木々に囲まれたメルヘンな雰囲気のパン屋「そらいろのたね」
ちょっとした軽食におすすめしたいのが、「そらいろのたね」。国道387号線沿いにあるパン屋です。周りを木々に囲まれた一軒家で、まるでおとぎ話の中に出て来そうな雰囲気。
店内に入ると、焼きたてパンのいい香りが。食パンにクロワッサン、メロンパンなどの定番から、そらいろサンドやグリーンカレーパンなどの変り種まで、様々なパンが並んでいます。取材時は開店直後でしたが、地元の人だけでなくツーリングを楽しむライダーから観光客のカップルまで、途切れることなくお客さんが訪れていました。
今回、購入したのは「クリームパン」(180円)、「ウィンナパン」(230円)、「レーズンパン」(110円)。クリームパンは、自家製カスタードクリームがたっぷりでボリューム満点。
ウィンナパンのウィンナーは、店内でスモークされた自家製。豆類や野菜も入っていてポトフのような味わいです。
レーズンがたっぷり練り込まれたレーズンパンは、一口頬張ると口の中にレーズンの香りが広がります。
鍋ヶ滝に行く前に立ち寄って、鍋ヶ滝散策前の朝ごはんに食べるのもおすすめです。
そらいろのたね
- 住所
- 熊本県阿蘇郡小国町西里3223-20
- 営業時間
- 10:00〜17:00(売り切れ次第終了)
- 定休日
- 水、木曜日
- 駐車場
- あり
- アクセス
- 鍋ヶ滝より車で約20分
数量限定!ブランド牛・あか牛を使ったそば屋「吾亦紅」
鍋ヶ滝公園から車で15分ほどの場所にあるそば屋「吾亦紅(われもこう)」。そば粉の産地で伏流水にも恵まれるなど、阿蘇はおいしいそばのできる条件が揃う土地。南小国町にはそば屋が多く集まる「そば街道」があり、こちらのお店もその一角にあります。
今回いただいたのは、数量限定の「あか牛南蛮そば」(1,650円)。熊本県のブランド牛である「あか牛」のランプ肉(牛の腰あたりの肉)が入った、秘伝の付けダレで味わうそばです。
醤油ベースの甘辛い付けダレで煮込まれたあか牛の肉は、濃い目の味付けながら旨味がしっかり感じられます。濃厚な付けダレと爽やかな風味のそばとの相性が良く、意外と後味はさっぱりとしていました。
吾亦紅(われもこう)
- 住所
- 熊本県阿蘇郡南小国町赤馬場3220
- 営業時間
- 10:30〜17:30(売り切れ次第終了)
- 定休日
- なし
- 駐車場
- あり
- アクセス
- 鍋ヶ滝より車で約15分
リンゴぎっしりの名物アップルパイが味わえる「茶菓房 林檎の樹」
画像提供:茶菓房 林檎の樹
鍋ヶ滝公園から車で約15分、南小国町役場のすぐ近くにある喫茶店「茶菓房 林檎の樹(ちゃかぼう りんごのき) 南小国町店」。樹齢100年ほどの小国杉が使われた店内には、温かみのある居心地の良い空間が広がります。アップルパイや林檎カレーなどをメインに、リンゴを使った様々なメニューを提供しています。
画像提供:茶菓房 林檎の樹
こちらが人気メニューの「あっぷるパイ」(432円)。自家製のサクッとしたパイ生地の中には、三温糖で甘さ控え目に炊かれたリンゴがたっぷり。一口いただくと、リンゴのジューシーな味わいが口の中に広がっていきます。
茶菓房 林檎の樹 南小国町店
- 住所
- 熊本県阿蘇郡南小国町赤馬場137
- 営業時間
- 10:00〜18:00、土日祝10:00〜19:00
- 定休日
- 火曜日
- 駐車場
- あり
- アクセス
- 鍋ヶ滝より車で約15分
鍋ヶ滝周辺の注目スポットもチェック!
「鍋ヶ滝」の周辺にはほかにも見どころのある観光スポットが満載!せっかく訪れたので、足を延ばして立ち寄ってみましょう。
全国でも珍しい!全館畳敷の「坂本善三美術館」
「坂本善三美術館」は、鍋ヶ滝公園から車で約5分の距離にあります。地元出身の抽象画家・坂本善三(さかもと ぜんぞう・1911~1987年)の家屋を小国町に移築して、1995年に開館した美術館です。坂本氏の作品のほか、抽象画を中心に約1,300点の作品が収蔵されています。
館内は、全国的にも珍しい「全館畳敷」。畳に腰をおろして、ゆっくりと作品を鑑賞できます。
展示内容は定期的に替わり、こちらは取材当日に開かれていた「十人十色の風景画」と題した作品展。美術館は比較的小規模ながら、建物から収蔵品まで見どころが多くおすすめです。
ちなみに、鍋ヶ滝公園の半券を提示すると、入館料が100円割引になるのでお得ですよ!
坂本善三美術館
- 住所
- 熊本県阿蘇郡小国町黒渕2877
- 営業時間
- 9:00〜17:00
- 定休日
- 月曜日(休日にあたるときは翌日休館)、年末年始(12月29日〜1月3日)
- 料金
- 大人500円、大学生・高校生 400円、中学生・小学生 200円
- 駐車場
- あり
- アクセス
- 鍋ヶ滝より車で約5分
- URL
- 坂本善三美術館公式ページ
小国町の土産物が集まる「道の駅 小国 ゆうステーション」
小国町でお土産を買うなら、立ち寄りたいのが「道の駅 小国 ゆうステーション」。鍋ヶ滝公園から車でおよそ10分。ダイヤモンド型の特徴的な外観が目印です。
実は、この建物に主となる柱はありません。小さな骨組みを組み合わせた構造が採用されていて、古くなった骨組みだけを取り替えることで理論上は永久的に使用できるそうです。
店内では、小国町を中心に熊本県内の様々な特産品が販売されています。店員さんがおすすめしてくれた「阿蘇小国ジャージー のむヨーグルト」(160円)と「シルクスイート 干し芋」(250円)、変り種として「阿蘇小国ジャージー プリンジャム・塩ジャム」(各650円)を購入してみました。
さっそくのむヨーグルトを一口。阿蘇周辺のしぼりたての新鮮な牛乳が使われていて、一般的なのむヨーグルトとは違った独特なとろみがある濃厚な味わいです。
標高約700メートルの阿蘇小国町の高原にある畑で作られた、「干し芋」は、シルクスイートというその名の通りに滑らかな食感のサツマイモを使用。試行錯誤を繰り返してしっとり甘く仕上げた干し芋は、噛むほどに豊かな芋の風味がしっかりと感じられます。
プリン味のジャム!?と聞いて思わず購入してみたのがこちら。濃厚な阿蘇小国ジャージー牛乳を使ったジャムは、まさにプリンの味そのもの。パンに塗るものですが、そのままデザートに食べたくなりそうです。塩バタージャムは、阿蘇小国ジャージー牛乳のまろやかなミルク感をたっぷり味わえる一品です。
道の駅 小国 ゆうステーション
- 住所
- 熊本県阿蘇郡小国町大字宮原1754-17
- 営業時間
- 8:30〜18:00
- 定休日
- なし
- 駐車場
- あり
- アクセス
- 鍋ヶ滝より車で約10分
縄文時代の聖地とされる「押戸石の丘」
時間が許すならぜひ立ち寄りたいのが、「押戸石(おしといし)の丘」です。鍋ヶ滝公園から車で約30分かかりますが、入り口から山頂にある押戸石までは5分ほどで着きます。
押戸石の丘は「縄文時代の聖地」だったとも言われていて、周囲には不思議な線刻文様が刻まれた巨石が点在しています。ユネスコ岩石芸術学会をはじめ、国際学会でも承認された遺跡です。
巨石は磁力を帯びているそうで、方位磁石を近づけると不自然な動きをすることが。管理小屋で受付をすると、パンフレットと一緒に必ず方位磁石を貸してもらえるので、ぜひ試してみてくださいね。パワースポットとして人気があり、丘の上でヨガや瞑想をする人もいるそうです。
押戸石の丘は周囲が開けていて、360°の大パノラマで遠くの阿蘇山や九重連山を見渡せて、とても気持ちの良い場所。あらかじめお弁当などを準備しておけば、ピクニックも楽しめますよ。
押戸石の丘
- 住所
- 熊本県阿蘇郡南小国町中原511
- 営業時間
- 8:30〜17:00(時間外でも出入り自由)
- 定休日
- なし
- 料金
- 200円
- 駐車場
- あり
- アクセス
- 鍋ヶ滝より車で約30分
- URL
- 押戸石の丘公式ページ
阿蘇の自然やグルメをたっぷり楽しむ!
今回ご紹介した熊本県の小国町周囲のエリアでは、滝と緑の調和が美しい鍋ヶ滝で森林浴をしたり、ブランド牛であるあか牛を使用した贅沢なそばを味わったり、パワースポットの丘に登ったりと、阿蘇の自然や豊かな恵みを1日たっぷり堪能できます。
このエリアは黒川温泉や杖立(つえたて)温泉のような人気の温泉地からも車でなら20分程度と近いので、温泉地で1泊して鍋ヶ滝と一緒に楽しむのもおすすめですよ。
取材・撮影・文/堀本一徳