近年、県内の写真映えスポットが増え、どんどん注目度が上がってきている香川県ですが、昔から変わらず人気がある神社が「金刀比羅宮(ことひらぐう)」です。今回は、そんな1000年以上の長い歴史を紡ぐ由緒ある神社の魅力と、その周辺で立ち寄りたいスポットをご紹介します。
目次
- 1.金刀比羅宮とは?
- 2.まずは表参道から境内まで
- 3.ついに御本宮へ!最後の階段を上ろう
- 4.余裕があればさらに上の奥社へ
- 5.金刀比羅宮のお守りにはどんな種類がある?
- 6.参拝の際に立ち寄りたいスポット
1.金刀比羅宮とは?
香川県の西部、琴平(ことひら)町に位置している金刀比羅宮。全国に600ほどある金刀比羅神社(あるいは琴平神社)の総本宮でもあります。「ことひらぐう」という読み方が正式ですが、「こんぴらさん」と愛称で呼ばれることも多く、香川を代表する観光地として親しまれています。
御本宮の社殿の正確な創建年はわかっていませんが、1001年に改築された記録は残っており、1000年を超える長い歴史を持っています。
参拝に際しては、ぜひ心と体の準備をしていくことをおすすめします。金刀比羅宮があるのは、象頭山(ぞうずさん)という山の中腹で参道はほとんど階段です。かなり傾斜の激しいところもあるので、服装には注意。特に、靴は使い慣れた歩きやすいもので臨みましょう。ちなみに、御本宮までは785段、奥社までは1368段上ることとなります。
とはいえ、参拝するのが大変な分、登り切った際の達成感は大きく、眺望にも癒されること間違いなしです。
もし体力的に不安がある方は、「こんぴら参拝登山シャトル」という有料の送迎サービスもあるので、有効に活用しましょう。御本宮までの半分ほど、階段だと365段の場所まで専用道路を使ってのアクセスが可能。事前予約が必要ですが、JR琴平駅などを乗車場所として選び、片道から利用できますよ。
- 公式サイト
- こんぴら参拝登山シャトル
2.まずは表参道から境内まで
では、早速お店が左右に並んでいる表参道から歩いていきましょう。
写真のように階段の数を書いてあるところもあります。まだまだこの辺りまでは序の口です。とはいえ、場所によってはかなり傾斜があるため、疲れたら無理をせず休みながら進みましょう。左右にお店が並んでいる中を通っていくので、休憩がてら店内を覗いてみるのもよいかもしれません。
実際に113段目から金刀比羅宮の総門である大門までは、「一之坂」と呼ばれている急な階段を歩くことになります。ここまでの所要時間は10分ほどですが、かなりの体力が必要。なお、大門を抜けた先は神域とされ、基本的にお店はなくなります。杖を貸し出しているお店もあるので、ここまでに杖を借りておくと上り下りが少し楽になりますよ。
大門の先は神域と説明しましたが、足を踏み入れるとその意味がわかります。150メートルほどの石畳が続いている「桜馬場」は、その名前通り桜の木が並んでいる道ですが、道の脇には苔むした灯篭も立っており、ここまでのにぎやかさとは打って変わって厳かな雰囲気が漂う空間となっています。
桜馬場周辺は宝物館や書院などが並ぶエリアとなっていますが、ここで注目してほしいのは、金刀比羅宮での風習に深い関わりのある「こんぴら狗(いぬ)」の銅像です。
江戸時代には、犬が飼い主の代わりに金毘羅大権現(現在の金刀比羅宮のこと)へお参りするという風習がありました。その犬のことを「こんぴら狗」と呼んだそうです。木札には飼い主の名前が書かれ、初穂料や旅の資金などを入れた袋と一緒に犬の首にかけられていたと言われています。
3.ついに御本宮へ!最後の階段を上ろう
さらに10分ほど進んで旭社を過ぎれば、御本宮まではもう少し。最後の階段となる「御前四段坂」を上り切りましょう。上りの一方通行のため人とすれ違うことはありませんが、傾斜はかなり急なため足元に十分に気をつけながら進んでくださいね。
ここを上り切れば、ついに御本宮に到着です!スタート地点からここまでは休憩なしでも30分ほどかかります。階段の数は785段と、その数からも参拝自体がかなり大変なことが伝わるのではないでしょうか。
到着したら、一度ゆっくりと息を整えてから参拝を行いましょう。ここまでにも多くの見所があった参道ですが、やはり御本宮の存在感は圧倒的です。御祭神は大物主神と崇徳天皇(すとくてんのう)で、五穀豊穣や商売繁盛などのご利益があるとされています。創建年については不明となっていますが、現在の社殿になった1878年から変わらずこの地に鎮座しているその迫力を、じっくりと堪能してみてください。
御本宮そのものに加えて、広場からの眺望にも注目です。この場所の標高は251メートルと、平地が多い香川県ではかなりの高台となり、清々しい景色を楽しむことが可能です。天気が良ければ瀬戸大橋まで見渡せるので、ここまでの疲れを美しい景色で癒すことをおすすめします。
4.余裕があればさらに上の奥社へ
御本宮への参拝で引き返してもいいのですが、体力や時間に余裕がある方はさらに上へと向かってみましょう。御本宮の右手より先へと進むと、奥社への道が見えてきます。奥社は金刀比羅本教の教祖である厳魂彦命(いずたまひこのみこと)が祀られていて、御本宮に次ぐパワースポットとして注目されている場所でもあります。体力がある場合は、ぜひ御本宮とセットでの参拝をおすすめします。
山の中腹ということもあり、その日の天候によっては境内全体が濃霧に包まれるのも金刀比羅宮の特徴のひとつです。御本宮から奥社への道のりはさらに山の深い方へ上っていくため、とても濃い霧に包まれながらの道中となることも。御本宮までよりも参拝者が少なくなるため、神聖な空気感を存分に味わいながら進むことができますよ。
御本宮から歩いて30分ほどで、奥社に到着です。ここまで来ると上った階段の総数はなんと1368段となります。下から御本宮までの方が多いとはいえ、奥社までも相当な段数の階段を上り続ける必要があるため、無理はせず可能な範囲で参拝しましょう。
奥社というのは通称で、正式には「厳魂神社(いづたまじんじゃ)」という名前のこの社。御祭神である金毘羅信仰の礎を築いた厳魂彦命は、「死して永く当山を守護せん」と言い残した後に、天狗となり忽然と姿を消したと伝えられています。
その伝説にちなみ、社に向かって左側の岩壁には天狗と烏天狗の彫り物があります。看板は設置されているものの、岩肌との色合いが近く、知らないと見逃してしまいがちなので、訪問の際は忘れずにチェックしてみてください。
5.金刀比羅宮のお守りにはどんな種類がある?
御本宮、奥社ともに授与所ではお守りを受けることができます。それぞれの特徴が違っているため、ご紹介します。
御本宮で取り扱われているのは、健康と幸福のご利益がある「幸福の黄色いお守り」(中央・1,000円)と、宮司さんが純粋無垢な子どもをイメージして描いたイラストが印刷された「笑顔元気くん守り」(左・500円)という二つのお守り。
奥社と天狗の関係はすでにご紹介しましたが、その天狗が描かれた「天狗御守」(右・1,000円)は、諸々の災厄から身を守ってくれる、まさに守護神のようなお守りです。
6.参拝の際に立ち寄りたいスポット
では、ここからは金刀比羅宮の参拝をした際に、立ち寄りたいスポットをご紹介します。
カフェ&レストラン「神椿」
「神椿(かみつばき)」は、境内にあるカフェ&レストランです。ちょうど石段の500段目に位置していて、休憩するのにピッタリなスポット。しっかりとした食事はレストランで、軽食はカフェで食べることができます。
香川の自然の恵みを活かしたコース料理やアラカルトメニューを楽しめるレストラン、「神椿バーガー」などの軽食を注文できるカフェと分かれていますが、スイーツはどちらでも提供されています。
スイーツの中でも特に人気なのは「神椿パフェ」(1,230円)。香川県産の食材や伝統菓子を使っていて、味だけでなく見た目にもこだわった逸品です。
ロケーションも抜群なのがうれしいポイント。山の中腹にあたる場所のため、豊かな緑に囲まれていてリラックスした時間を過ごせること間違いなし。季節にもよりますが、オープンテラスが解放されているタイミングには、ぜひ緑の下でのカフェタイムを楽しんでみてください。
お土産も見逃せません。ケースもおしゃれでプレゼントにピッタリな「こんぴらさんのこんぺいとう」(600円)はここでしか買えない商品、他にも「幸福五色豆」(760円)といった琴平ならではの商品も購入可能ですよ。
カフェ&レストラン「神椿」
- 住所
- 香川県仲多度郡琴平町892-1
- 営業時間
- カフェ 9:00〜17:00(L.O.16:30)、レストラン 11:30〜15:00(L.O.14:00)
- 定休日
- カフェ 年中無休、レストラン 水曜日
骨付鳥はインパクト抜群のご当地グルメ
ご当地グルメとしては、うどんが超がつくほど有名な香川県ですが、それに負けないくらい地元で人気があるのが「骨付鳥」です。その名前通り、下味をつけた骨付きの鳥もも肉を焼いた豪快なメニューとなっています。
金刀比羅宮周辺のエリアでは「骨付鳥 田中屋」で提供されています。プリプリの食感でかみごたえ抜群の「おや」と、油がのって柔らかめな「わか」の2種類から選ぶことができますよ。
骨付鳥 田中屋
- 住所
- 香川県仲多度郡琴平町685-11
- 営業時間
- 11:00~15:00(L.O.14:30)、17:00~24:00(L.O.23:00)
- 定休日
- 年中無休
食べ歩きにピッタリなスイーツを
表参道の食べ歩きにピッタリなスイーツとしては、ソフトクリームが人気。「しょうゆ豆本舗 表参道店」の「おいりソフト」(350円)は、和三盆糖の優しい甘さが特徴的で、香川の伝統菓子である「おいり」の食感と一緒に楽しめます。カラフルなおいりがのっているソフトクリームの写真は、SNSでも人気の商品なので、撮影も楽しんでみてはいかがでしょうか。他にも、うどん風の「かまたまソフト」や「金箔ソフト」など、さまざまなメニューが用意されています。
しょうゆ豆本舗 表参道店
- 住所
- 香川県仲多度郡琴平町811
- 営業時間
- 10:00~17:00
- 定休日
- 年中無休
金刀比羅宮のご利益を分けられるお土産を「池商店」で
創業1245年、日本最古の飴屋さんである「五人百姓 池商店」は、先祖代々金刀比羅宮の神事のお手伝いを続けてきたことから、境内での商売が特別に許されている五人百姓のひとつ。ご利益飴である「加美代飴(かみよあめ)」を製造販売されています。
訪問のタイミングにもよりますが、午前中であれば飴を作っている様子を店内で見られるかもしれません。黄金色の熱々の飴を型に注いでいく様子は見応えがありますよ。
店内には他にも、丸亀うちわや讃岐一刀彫など、県を代表するお土産も揃っています。帰り道に寄って、香川県訪問の思い出に持って帰ってみてはいかがでしょうか。
池商店
- 住所
- 香川県仲多度郡琴平町933
- 営業時間
- 9:00~18:00
- 定休日
- 年中無休
7.無理はせず可能な範囲で金比羅宮を楽しもう
金刀比羅宮の魅力や参拝の際の注意点をご紹介しましたが、絶対に奥社まで行かなければいけないということはありませんし、ご自身のペースで無理のない範囲で参拝を楽しんでくださいね。
また、表参道は県内外から多くの訪問客が来ることもあり、香川のさまざまな魅力が詰まった場所でもあります。訪問の際は、金刀比羅宮と一緒にご当地グルメも堪能してみてください。
取材・撮影・文/岡本大樹