(空港外観写真 提供:熊本国際空港)
2016年の熊本地震で被災し、建て替え工事が進められてきた「阿蘇くまもと空港」。2023年3月に熊本地震からの創造的復興のシンボルとして、国内線・国際線が一体となった新たなターミナルビルが誕生しました。
リニューアルで延べ床面積は以前の約1.4倍に拡張。セルフチェックイン機器やスマートレーンなど最新の機器や設備が導入されたほか、保安検査後に滞在できる搭乗待合エリア「滞在型ゲートラウンジ」の充実ぶりも話題になっています。今回は、「世界でいちばん居心地のいい空港」を目指している「阿蘇くまもと空港」に潜入して、その魅力や楽しみ方をご紹介します。
目次
- 1.見送りの方も地域の人も自由に利用できるオープンエリア
- ∟パイロット姿のくまモンと会えるイベントスペース
- ∟飛行機をより間近に!花道を設けた「展望デッキ」
- ∟2024年秋にはさらに新エリアが誕生予定
- 2.旅立つ人の特権!大充実の搭乗待合エリア
- ∟熊本グルメが勢ぞろいのフードコート&デパ地下ゾーン
- ∟熊熊本ならではのお土産が並ぶ個性豊かなショップたち
- ∟大人も子どもも遊べるゲームスポット「GiGO」
- ∟落ち着いた空間でゆったり過ごせる「ラウンジASO」
- 3.利用者のニーズに応えたお役立ち設備も!
- ∟子ども連れにうれしい便利スポット
- ∟忙しいビジネスパーソンにお役立ちのワークスペース
- 4.快適な旅をサポートする便利なサービスも充実
1.見送りの方も地域の人も自由に利用できるオープンエリア
熊本城の黒漆・漆喰をイメージしたモダンなデザインが特徴的な阿蘇くまもと空港。エントランス側に長さ100mにわたって延びるひさしなど、熊本や九州の木材もふんだんに使用されているそう。
館内の1階が到着口、3階が出発口。1階には、「タリーズコーヒー」「和食りんどう」といった飲食店や、お土産が購入できる「ASORAロビー店」 、コンビニエンスストアがあり、誰でも利用することできます。
館内のサインには、湧き出す水の波紋や加藤清正の家紋「蛇の目の紋」などをモチーフとしたドーナツ型の円がアイコンとして多用されています。随所に感じられる「クマモト愛」が素敵ですね!
ほかにも1階の到着口には、熊本を流れる白川の砂利を使った「阿蘇五岳の壁面アート」が施されていたり、熊本県八代市の名産「い草」を使用したベンチが置かれているなど、地域の魅力やアイデンティティが伝わるような工夫が散りばめられています。
パイロット姿のくまモンと会えるイベントスペース
同じく1階にあるイベントスペースにはテーブルとイスが設置されていて、休憩などで利用することも可能です。
近づいてみると、熊本県の営業部長兼しあわせ部長を務める「くまモン」を発見! しかも貴重なパイロット姿とあり、一緒に写真を撮る人も多いフォトスポットとなっています。
さらに毎週土曜日の13:00からは、「くまモン」がステージに登場! 来場者に直接、熊本の魅力をPRしてくれるとあり、くまモンファンにはたまらないひと時です。
熊本県出身の漫画家、尾田栄一郎さんが手がける『ONE PIECE』のキャラクターパネルも勢ぞろい。現在「ONE PIECE 熊本復興プロジェクト」のもと、県内各所に「麦わらの一味」の仲間の像が10体設置されているそうなので、ぜひ探して会いに行ってみてくださいね。
飛行機をより間近に!花道を設けた「展望デッキ」
空港のお楽しみのひとつと言えば、飛行機の離発着をすぐ側で堪能できる展望デッキ。阿蘇くまもと空港のデッキは4Fにあり、エレベーターで行くことができます。
展望デッキに通じる通路からは、保安検査場を通過した後の搭乗待合エリアが見渡せるつくり。旅立つ人を搭乗ギリギリまでお見送りすることも可能です。
阿蘇くまもと空港のデッキは、飛行機をより近くから眺められるように滑走路側へせり出した「花道型」となっているのが最大の特徴。
雄大な自然とコラボした、迫力ある飛行機の姿を存分に楽しみましょう。離発着だけでなく、飛行機を飛ばすために駐機場や誘導路で働く空港職員の一連の作業を間近で見ることができるのもポイントです。
2024年秋にはさらに新エリアが誕生予定
2023年11月現在は、搭乗者以外が立ち入ることのできるスペースが限られていますが、工事は現在も進行中。2024年の秋頃には搭乗の有無に関わらず誰でも利用可能な、「商業棟」や「にぎわい広場」などがオープン予定です。
こちらは第2工期完成後のパースイメージ。地域の人も楽しめる要素が増えて、熊本県の新たなレジャースポットとして話題になりそうですね。
2.旅立つ人の特権!大充実の搭乗待合エリア
ここからは阿蘇くまもと空港の「世界水準」を実感できる搭乗待合エリア「滞在型ゲートラウンジ」をご紹介。保安検査場を抜けた後に広がるエリアで、小国杉を使ったデザイン性の高い天井も実にスタイリッシュ。国内線だけでなく国際線利用の方も入ることができ、出発ギリギリまで時間を余すことなく楽しめる画期的な空間となっています。
大きな窓越しに飛行機が眺められるカウンター席やベンチシートには、コンセントや USBも備わっていて便利です。
熊本グルメが勢ぞろいのフードコート&デパ地下ゾーン
まずはグルメから。搭乗口の目の前のエリアでは、熊本ならではの一品をフードコート形式で楽しめるようになっています。加えて、スイーツやお惣菜などを販売するショップも数多く、まるで「デパ地下」さながら。気になるものをピックアップして食べ比べといきましょう。阿蘇くまもと空港限定のグルメも多いので、お腹を空かせて挑んでください!
①馬肉料理 菅乃屋
熊本グルメの代表格、馬刺しを味わうならこちら。栄養豊富な牧草と名水、こだわりの自家製飼料で肥育したブランド「鮮馬刺し」を提供する専門店「菅乃屋(すがのや)」です。
おすすめは、部位ごとの異なる食感や旨みを楽しめる「馬刺し盛合せ5種」(2,300円)。
馬肉料理 菅乃屋
- 営業時間
- 11:00~20:00
②あか牛食堂よかよか
赤身が多くヘルシーな「あか牛」も熊本の特産です。阿蘇の自家牧場で育てられたあか牛メニューを提供する「あか牛食堂よかよか」でいただくことができます。
ミディアムレアに焼き上げたあか牛を丼いっぱいに敷き詰めた「あか牛丼」(2,290円)。空港限定メニューの「あか牛挽肉カレー」(1,800円)も人気です。
あか牛食堂よかよか
- 営業時間
- 10:00~20:00
③鮨 福伸
県の南西部・美しい海に囲まれた天草地方で獲れた旬の地魚を中心に、新鮮魚介を味わえる「鮨 福伸」。店舗内には特設カウンターが7席あり、目の前で職人が握ったお鮨を味わえるという、空港内とは思えないぜいたく感に浸ることができます。
天草産の鮨ネタにこだわるなら「天草づくし(四貫)」(1,980円 ※ネタは日によって異なります)をどうぞ。12月頃からは天草で獲れた魚介の王様「本まぐろ」も登場予定。地酒と一緒にたしなむ至福のひと時に酔いしれてください。
鮨 福伸
- 営業時間
- 10:00~20:00(店内カウンターは11:00~)
④PREMIUM TENTE
続いてはスイーツをチェック! 「PREMIUM TENTE」は、熊本県産のフルーツやミルクなどを使ったソフトクリームやスムージー、ジュースが人気のフルーツパーラーです。
濃厚でコク深い阿蘇のジャージー乳を使用したソフトクリームに、メロンをてんこ盛りに乗せた「熊本県産おにもりメロンソフトプレミアム」(800円)。そのビジュアルはSNS映え間違いなしです。
冬場はメロンに代わってイチゴバージョンが登場。滴るほどみずみずしくジューシーなフルーツと滑らかなソフトのコラボが最高!
PREMIUM TENTE
- 営業時間
- 10:00~19:00
⑤米白餅本舗
熊本で110年以上も続く老舗餅屋「米白餅本舗」では、名物の「いちご大福」をはじめ、熊本県産のもち米100%で作るモチモチの生地を使った季節のフルーツ大福を販売しています。
食べるのがもったいないほどかわいい「くまモンのいちご大福」(1個 480円 ※季節によって、いちごの種類・大きさ・価格変更あり)。生地といちごと餡のバランスが絶妙で、お茶にもコーヒーにもマッチします。お土産にはもちろん、待合スペースでのデザートタイムのお供にいかがでしょう。
米白餅本舗
- 営業時間
- 8:00~19:30
⑥珈琲回廊
縄のれんの特徴的な外観が目をひく「珈琲回廊(コーヒーギャラリー)」は、熊本市の城下町に1号店を構える珈琲豆屋。生豆から焙煎し、鮮度の高い珈琲豆を扱っています。空港店ではこだわりのコーヒーを楽しめるほか、ドリップバッグをはじめオリジナルアイテムも販売しています。
ブラジル産の豆を使用し、苦みとコクがあるしっかりとした味わいの「くまモンDRIP BAGセット」(2,200円)は空港限定の商品です。空港店では、水出しの「コールドブリュー」(650円)のペットボトル販売もあり、機内で楽しむことも可能。移動先に持っていけるのがありがたいですね。
珈琲回廊
- 営業時間
- 7:00~19:00
⑦お酒の美術館
お酒を片手にゆっくりと旅の余韻に浸りたいなら、バー「お酒の美術館」へ。洋酒(ウイスキーやブランデー)やカクテルのほか、熊本県産のフルーツを使ったビール、県産食材で作った空港限定のおつまみもあり、チャージ無料で楽しむことができます。ゲートラウンジ内で購入したおつまみを持ち込むのもOKですよ。
ここでのみ取り扱っている「限定 オリジナルブレンド樽」の「阿蘇くまもと」(900円)は、樽の香りと調和の取れた柔らかな味わいが特徴で、ハイボールにもぴったり。そのほか熊本産の日本酒やウイスキー、焼酎もそろっています。
お酒の美術館
- 営業時間
- 10:30~20:00(ラストオーダー19:50)
熊本ならではのお土産が並ぶ個性豊かなショップたち
馬刺しやラーメン、お酒、お菓子などみんなに喜ばれる熊本定番のお土産から、ほかでは手に入らないユニークなオリジナルグッズまで、何でもそろう幅広いラインナップの物販店にも注目です。
①ASORAゲート店
熊本銘菓の専門店が集結!特にくまモンデザインのお菓子は、大人から子どもまで人気を集めています。空港初のブランドやラーメン・お酒・雑貨もセレクトされていますよ。
あずき餡でやわらかな求肥を包んだ熊本の代表銘菓「誉の陣太鼓」のハーフサイズを、くまモンパッケージに詰め込んだ「ハッピー陣太鼓くまモン」(8個入 1,394円)。
阿蘇小国ジャージー牛乳と熊本県産の米粉を使用したくまモン型のフィナンシェ「くまもと ミルク&バターフィナンシェ」(4個入 756円)。しっとり優しい口あたりです。
ASORAゲート店
- 営業時間
- 6:30~最終便出発まで
②くまもと旬彩館
熊本県内外の銘菓・銘酒をはじめ、工芸品や特産品、トレンドを取り入れた「旬」のアイテムを発見できるお土産屋さん。店舗デザインは熊本城から鶴崎にのびる豊後街道をモチーフにしていて、まるで城下町を散策するような気分でショッピングが楽しめます。
一角には、ワンコイン(100円)で球磨焼酎を楽しめる焼酎ディスペンサーも設置されています。気になるものを飲み比べして、お土産の焼酎選びに役立てましょう!
くまもと旬彩館
- 営業時間
- 6:30~最終便出発まで
③MIYABIクマモト マーケット
少し人と差をつけたお土産選びがしたいなら、「MIYABIクマモト マーケット」へ。熊本のニッチなお土産や若手作家の作品などを取り扱うセレクトショップです。
各種くまモングッズのほか、天草陶石で作られた白磁のフラワーモチーフアクセサリーも人気だそう。大切な方への贈り物や、自分への旅の思い出にぴったりです。
MIYABIクマモト マーケット
- 営業時間
- 10:00~20:00
④JAL PLAZA
熊本の名産品が豊富にそろうお土産店。空弁・空スイーツも販売しているほか、空港ならではのJALグッズも取り扱っています。
旅の証となる空の御朱印「御翔印」(350円)もこちらでゲットできます。御翔印を保管できるアルバムタイプの「御翔印帳」(2,000円)と合わせていかがでしょう。
JAL PLAZA
- 営業時間
- 6:30~最終便出発まで
このほか紹介しきれなかったショップもたくさんあるので、搭乗前の時間をたっぷり確保してショッピングを楽しんでくださいね。
大人も子どもも遊べるゲームスポット「GiGO」
搭乗待合エリア内には、熊本ご当地景品のクレーンゲームやプリントシール機が並ぶアミューズメント施設「GiGO」もあります。
パイロット気分を体感できるフライトシミュレーターゲームもあります。搭乗ギリギリまで遊べるのがうれしい!
GiGO
- 営業時間
- 10:00~20:30
落ち着いた空間でゆったり過ごせる「ラウンジASO」
航空会社の上級会員や特定のクレジットカード保有者が利用できる空港ラウンジ「ラウンジASO」は、集中して仕事を進めたい人や、出発前のひとときをゆっくり過ごしたい人におすすめです。
カウンターデスク、テーブルやソファースペースなど約180席が備わった、壁のないオープンな空間。各座席のテーブルにコンセントやUSBポートがあり、暗号化されたラウンジ専用のWi-Fiも用意されています。
ドリンクサービスも充実しており、なかでも阿蘇の天然水でつくったサントリープレミアムモルツは大好評です。受付で専用のコインを受け取ったら、キンキンに冷えたグラスに自分でサーブするスタイル。そのほか、ハイボールや焼酎、ソフトドリンクのサーバーもありますよ。
個室のワークスペース(有料)も完備。オンライン会議の際などにも重宝しそうです。
ラウンジASO
- 営業時間
- 6:30~最終便出発まで
3.利用者のニーズに応えたお役立ち設備も!
子ども連れにうれしい便利スポット
靴を脱いで遊べるキッズコーナーも3F搭乗待合エリア内にあります。もちろん無料で利用でき、かわいいくまモンと一緒に遊べるので、子どもたちも大喜び!
授乳室は、旅客ターミナルビル1Fと、3Fの搭乗待合エリアに設置されています。おむつ台や給湯機も自由に利用できます。
キッズコーナー
- 営業時間
- 6:30~最終便出発まで
忙しいビジネスパーソンにお役立ちのワークスペース
空港に到着後、すぐに仕事を片付けなければならない…なんて人も大丈夫。旅客ターミナルビル1Fと3F(誰でも入れるエリア)にある「エアポートワーク」は、テレワークブースやコワーキングスペースなどが15分単位で利用できます。
LINEで「熊本空港(エアポートワーク・貸会議室)」をお友達登録すれば、事前予約から決済、利用時のスマートロック施解錠までアプリ1つで行えるので便利です。
エアポートワーク
- 営業時間
- 6:30~21:30
4.快適な旅をサポートする便利なサービスも充実
出発時だけでなく熊本到着時のサポートもバッチリ。1Fには、案内所をはじめコインロッカーや手荷物宅配のカウンター、銀行ATMなど旅行者にありがたいサービスが一通りそろっています。
また案内所のすぐ近くには、タッチパネル式のデジタルサイネージ「くまモンのデジタル観光案内所」もあります。観光スポットやホテル・グルメの情報について、くまモンがナビゲートしてくれますよ。
新しく生まれ変わった阿蘇くまもと空港の旅客ターミナル。特に出発で利用する際の搭乗待合エリアは見どころいっぱいなので、予定より1~2時間早めに空港へ向かうことをおすすめします。さらに2024年秋に向けて、搭乗客以外でも楽しめるエリアが拡張しバージョンアップしていく予定なので、今後も目が離せません!
阿蘇くまもと空港
- 住所
- 熊本県上益城郡益城町大字小谷1802-2
- 開館時間
- 旅客ターミナルビル 6:30~21:30
※フライトスケジュール変更及び遅延便の発生等により開館時間や閉館時間が変わる場合があります。テナントの営業時間は各店舗により異なります - アクセス
- 【空港リムジンバス】「熊本桜町バスターミナル」から約50分、熊本駅前から約60分
- 公式サイト
- 阿蘇くまもと空港
取材・写真・文/吉野友紀(写真は一部提供あり)