猫好きたちを魅了する、楽天トラベルの「全国の宿 自慢の看板猫ランキング」。毎年2月22日の「猫の日」にあわせて開催していますが、2023年、堂々1位に輝いたのは、大分県別府温泉エリアにある「新玉旅館(あらたまりょかん)」のおもちくん。同じ部屋に暮らす弟や妹の面倒見もいい、優しくおっとりした性格のお兄ちゃん猫です。
別府温泉郷のアクセス拠点となるJR別府駅へは、大分空港から空港特急バスエアライナーで約50分、福岡からは車または列車(特急ソニック)で約2時間。おもちくんが暮らす「新玉旅館」は、別府駅のお隣、東別府駅から歩いて約6分の別府浜脇温泉エリアに位置しています。東別府駅は、1911(明治44)年に建てられた木造駅舎。レトロな雰囲気で、写真に収めたくなる素敵な建物です。
目次
約80匹の猫が暮らす、通称「にゃんたま旅館」
別府八湯のひとつ浜脇(はまわき)温泉は、浜から温泉が湧き出る様子から「浜脇」という地名になったと伝えられています。東別府駅からのどかな町並みを眺めながら歩いていくと、建物の壁に猫のマークを発見!
近づいてみると、まさしくここが新玉旅館。ニャンとも分かりやすい案内版です。
玄関へ向かう途中、ふと視線を感じて窓を見ると猫ちゃんの姿が。お出迎えしてくれているみたいでうれしい!
新玉旅館は100年以上の歴史を持つ宿ですが、20年ほど前に建替えしているそう。約80匹の猫が暮らしていることから、通称「にゃんたま旅館」と呼ばれています。
ルールを守って楽しむ、猫とのコミュニケーション
最初に挨拶してくれたのは、玄関を入ってすぐ右手の部屋に暮らす2匹の白猫・オットとスノウ。気品漂う佇まいに、思わずお辞儀をしたくなります。
新玉旅館には客室とは別に、猫たちが暮らす専用の部屋が10室あります。そのうち3室は宿泊客が猫と直接触れ合える「にゃんこ部屋」、そのほかの部屋はクリア板越しにコミュニケーションを取ることができるようになっています。
クリア板で仕切られた部屋の奥に、2022年「看板猫ランキング」で2位になったシカマル(写真上)を発見。その存在感は健在です。
実は、ここに住む猫は女将の後藤藤恵さんが地域猫の活動を通じて出会った子たちで、その多くは疾患や障害を抱えているのだそう。写真のベンガル猫・モーガンくんも、てんかんとアレルギーを抱えています。館内には治療や投薬が必要な猫もたくさんいるため、病気や感染症に配慮して以下のようなルールを設けています。猫ちゃん達が安心して暮らせるように訪れる際は、あらかじめチェックをお忘れなく。
「にゃんこ部屋」で猫ちゃんと触れ合うためのお願い
①「にゃんこ部屋」入室用のお着替えとして、長袖、長ズボン、靴下など猫ちゃんの毛がつきにくい素材の服をご持参ください。
②猫ちゃんと触れ合うために、手洗いや消毒をしてください。
館内には、いたるところに粘着クリーナーや消毒剤が設置されています。
にゃんこ部屋① ついにおもちとご対面!
「にゃんこ部屋」での触れ合いタイムは3室のうち1室を選んで、60分1組の貸し切りで楽しめます。
早速、それぞれの「にゃんこ部屋」をご紹介していきましょう。新玉旅館では猫たちの様子を動画で24時間ライブ配信しており、おもちくんがいる2階のお部屋も配信部屋となっています。
22匹が暮らす賑やかなこの部屋は「譲渡部屋」と呼ばれていて、その名の通り家族として迎えてくれる里親さんを待っている猫たちがほとんどです。元気なニャンズたちが思い思いに遊んでいますが…さて、おもちはどこに…?
いました! おもちくん。小さい頃は丸々太ってモチモチだったので、この名前が付けられたそう。ほっこり甘え上手な癒やし系男子として、宿泊客やライブ配信の視聴者から人気を集めています。
面倒見の良さで、ほかの猫たちからも頼られる存在。窓辺では、仲良しのアズくんと密談中。
時には外を眺めてパトロール。あるいは…窓に映る自分の姿に見惚れているのかも!?
女将をみつけて、特等席を陣取るおもちくん。人の膝の上が大好きなのだそう。
人前でも自然体で寛いでくれる親近感が魅力。肉球まで愛くるしい!
おもちくんだけでなく、ほかの猫たちもここぞとばかりに甘えてきてくれます。黒猫のフクくんも人懐っこさは負けていません。
イケメンのジンくんとオルガくんは大の仲良し。いつも一緒にいます。
猫たちと遊ぶ際は、追いかけたり大きい声を出したりするのはNGです。床に座って自然に猫が来てくれるのを待ちましょう。部屋にあるオモチャで遊んだり、一緒にまどろんだり…ここは最高のニャンダーランド!
にゃんこ部屋② ハチワレ猫が勢ぞろい
続いてのにゃんこ部屋は、額に八の字のような模様が入った「ハチワレ猫」がメインのお部屋。現在19匹が暮らしており、こちらもライブ配信されています。
この部屋のほとんどの猫たちは家族で、みんな仲良し。似ているのでなかなか見分けがつきませんが、館内に貼られた相関図を参照にしながら呼びかけていくと親近感もアップしそうです。
初対面でもリラックスした姿を見せてくれる、かりんくん(たぶん)。人への警戒心が少ないのは、普段からたっぷり愛されている証拠です。
にゃんこ部屋③ カゴでまどろむ癒やし猫たち
最後は1階奥にある、おっとり猫たちのにゃんこ部屋。カメラは設置されていないので、ライブ配信に映りたくないという方はこの部屋を選びましょう。カゴの中でぎゅうっと身を寄せ合って眠る姿がたまりません。
「ニャンだキミは」と言いながら、カゴから出て寄ってきてくれたイマルくん(中央)。まだ1歳の甘えん坊です。
この部屋のボス・モカくんものっそりと近づいてきてくれました。そのツンデレ感が愛おしい! 安らぎを求める方には特におすすめのお部屋です。
猫と触れ合うにゃんこタイムは、今回ご紹介した3つのお部屋からひとつを選ぶスタイルです。迷うこと必至ですが、女将と相談しながら決めるのもいいかもしれません。
1人旅もウェルカム!の清潔な客室
新玉旅館には全国から猫好きが集まるとあり、男性ひとりでの来訪も多いそう。6室ある客室は部屋によってそれぞれ1名~4名まで宿泊できます。
こちらは和室6畳で2名まで対応。冷蔵庫や電子レンジは廊下に設置されています。
洋室シングルのお部屋。「ここで仕事をしたい」というお客様のリクエストで大きなデスクを設置。ワーケーションで利用したい人にもぴったりです。
広々とした和洋室はグループやご家族におすすめです。
和洋室の窓からは宿の横を流れる朝見川が眺められ、遠くには別府湾も見えます。お食事付きのプランもありますが、歩いて10分ほどの別府市街地には、「別府冷麺」や大分名物の「とり天」や「だんご汁」、新鮮な海鮮料理などを楽しめる飲食店も多いので、ご当地グルメを楽しみながらの散策もおすすめです。
源泉かけ流しの湯を貸切風呂で堪能
新玉旅館の自慢のひとつが、自家源泉による100%かけ流しの温泉です。別府でもめずらしい、ナトリウム塩化物炭酸水素塩泉で、神経痛・関節痛のほか美肌効果も期待できるそう。岩・石・檜の3タイプのお風呂がどれも貸し切りで利用できるとあり、贅沢な湯浴みが叶います。
岩づくりの「玉の湯」。浴槽はどれも2~3人用のサイズ。窓からは緑が見えます。
檜づくり「歩の湯」。入浴は18:00~23:30、6:00~9:30の間で自由に利用でき、混みあう場合のみ予約制となります。
オリジナルの猫グッズもたくさん。サポーターも募集中!
別府八つの温泉郷を巡るスタンプラリー「別府八湯温泉道」に参加した人がゲットできる、新玉旅館オリジナルの入湯記念印。宿泊の思い出として、手帖に押してもらうこともできます。
玄関前には、おもちくんキーホルダーや缶バッヂ、クリアファイルなどのオリジナルグッズが並んでいます。売上は猫たちの餌代や治療代に充てられるので、応援の気持ちも込めてお土産にいかがでしょう。
新玉旅館では毎週日曜、譲渡見学用の時間も設けています。
旅館を営みながら、24時間365日猫たちのお世話に奔走する女将の後藤藤恵さん。「ここにいる猫たちは、地域の方々からのレスキュー要請や助けを求める声に応じて保護された猫たち。お世話が難しい子も多いですが、みんな自分の子どものような存在です」と朗らかに話してくれました。活動を支援する「にゃんたまサポーター」も随時募集中とのこと。おもちくんをはじめ、個性豊かな猫たちに会いに出かけてみませんか。
新玉旅館
- 住所
- 大分県別府市浜脇2-1-13
- アクセス
- JR日豊線「東別府駅」より徒歩約6分
- 客室
- 6室
- チェックイン
- 16:00 (最終チェックイン:21:00)
- チェックアウト
- 10:00
観光地・別府には立ち寄りスポットもたくさん
国内外からの観光客で賑わう別府には、旅の思い出づくりに魅力的な場所も多いので、宿泊の前後に別府めぐりを楽しんでください。
別府温泉のシンボル的存在「竹瓦温泉」
JR別府駅前には昭和の雰囲気が残る町並みが広がり、地元の方に愛される共同浴場も点在しています。その代名詞と言えるのが明治12(1879)年に創設された「竹瓦温泉」。何度か改築され、現在の建物は昭和13(1938)年築のもの。外観にもロビーにも歴史の温もりが感じられ、ノスタルジックな気分に浸ることができます。普通浴のほか、浴衣を着て砂の上に横たわる名物の「砂湯体験」もおすすめ。新玉旅館からは徒歩約13分のロケーションです。
竹瓦温泉
- 住所
- 大分県別府市元町16-23
- 営業時間
- 普通浴 6:30~22:30、砂湯 8:00~22:30(最終受付21:30)
- 定休日
- 第3水曜(祝日の場合は翌日)
- 料金
- 大人300円、小人100円、砂湯1,500円(6歳以上入浴可能)
- アクセス
- JR別府駅から徒歩約10分
※新玉旅館からは徒歩約13分 - 公式サイト
- 竹瓦温泉
創業43年の手作り味噌の名店「坂本長平商店 長寿味噌」
見るからに味のある店構えのこちらは、麹から作る手作り味噌の店。店舗の奥に麹室があり、昔ながらの製法で伝統の味を守り続けています。別府市内の宿泊施設や飲食店でも多く使われており、少量生産のため一般にはあまり出回っていないのだとか。店頭では麦赤・太白・合わせなど約8種類の味噌やもろみ、甘酒を販売しています。麹の香りがやさしく漂う飽きのこない味噌を、別府の思い出と共に自宅でも味わってみてください。
坂本長平商店 長寿味噌
- 住所
- 大分県別府市千代町1-25
- 営業時間
- 9:00~17:00
- 定休日
- 日曜、祝日
- アクセス
- JR別府駅から徒歩約10分
※新玉旅館からは徒歩約10分
海の生き物たちの魅力を体感!「うみたまご」
「動物たちとなかよくなる」をテーマにした水族館で、館内ではさまざまな海の生きものたちを飼育しています。メイン水槽の「大回遊水槽」には約90種類、1,500尾の魚たちが生き生きと泳ぎ回り、まるで海中にいるかのような臨場感を体感できます。イルカやセイウチによる笑いあり感動ありのパフォーマンスショーのほか、魚たちに直接触れることができる「タッチプール」、自然のままの動物の姿に出会える「あそびーち」など、見どころも盛りだくさん!
大分マリーンパレス水族館「うみたまご」
- 住所
- 大分県大分市高崎山下海岸神埼字ウト3078-22
- 営業時間
- 9:00~17:00(期間限定で時間延長有り)
- 定休日
- 年2日程度(メンテナンスの為)※その他は無休
- 料金
- 大人2,600円、小人1,300円、幼児850円
- アクセス
- JR別府駅前バス停より大分交通路線バス「大分駅行」で「高崎山自然動物園前」にて下車徒歩約3分
※新玉旅館からは車で約5分 - 公式サイト
- 大分マリーンパレス水族館「うみたまご」
取材・写真・文/吉野友紀