提供:ことりっぷ
湘南エリアの中でも、ローカルでくつろいだ雰囲気が流れる茅ヶ崎。JR茅ヶ崎駅からのアクセスも良い茅ヶ崎市美術館は、緑に囲まれ光にあふれた気持ちの良い美術館です。アートに親しんだ後は、緑の中を散歩したり、美術館カフェで地元の食材をいただいたりする楽しみもあります。小旅行気分で、アートな時間を過ごしに出かけてみませんか。
美しい緑に囲まれた美術館
飛び立つ鳥の翼や、波、潮風といった茅ヶ崎の自然をイメージした美術館の建物
「茅ヶ崎市美術館」は、1998年に開館した市営美術館です。JR茅ヶ崎駅からおしゃれなカフェなども軒を連ねる高砂通りを歩くと、8分ほどで到着します。美術館の入り口までは、高砂緑地(たかすなりょくち)と呼ばれる気持ちの良い木立の中を進みます。
ここは明治期の俳優・川上音二郎とその妻・貞奴が暮らした自宅や、実業家・原安三郎の別荘といった、瀟洒な建物があった場所。茶室・書院の松籟庵(しょうらいあん)も外から見学することができます。
ロビーからも高砂緑地の豊かな緑がのぞめる
光の変化を感じられる展示室では、現在ミュシャ展を開催
写真は、フランシス真悟「Exploring Color and Space-色と空間を冒険する」の展示の様子(展示会は終了)
美術館は1階と地下が展示室、2階はカフェとワークショップなどを行うアトリエになっています。地元茅ヶ崎に住む建築家が設計した展示室は、展示内容により自然の光を取り込んでいるのが印象的です。季節や一日の光の変化とアートとの競演を感じることができるのも楽しいですね。
地下の展示室でも、開閉可能なルーバーで自然光を取り入れることができる 1階には図書コーナーもあり過去の展覧会の図録や美術雑誌、画集などの閲覧が可能 優美なミュシャの作品は女性ファンも多い画家。ポスターや装飾パネルのほか、切手や香水瓶などの展示も。《夢想 シャンプノア》 1897年 OGATAコレクション
常設展はなく、現代美術から西洋美術まで、さまざまな展覧会を行っています。2024年6月18日から8月25日までは、アール・ヌーヴォーを代表する画家ミュシャの展覧会「アルフォンス・ミュシャ展 アール・ヌーヴォーの美しきミューズ」を開催中です。毎年1~2月頃には収蔵作品展が開催され、茅ヶ崎ゆかりの作家の作品を紹介しています。
木々の揺れる姿に癒される美術館カフェ
屋内のどの席からも緑が見える。カフェだけの利用も可能
2階にある「カフェ・ルシュマン」は、高砂緑地の木々を大きな窓から見渡せる、すがすがしい美術館カフェです。バレエの先生がオーナーをつとめ、隅々まで美しさがいきとどいています。各テーブルには季節の花が生けられ、美術鑑賞の余韻にひたるのにぴったりの空間です。
屋外にもテーブル席がふたつ用意されている
地元の食材を使った、ガラスの器も素敵なカフェメニュー
色鮮やかなルシュマンセット1,650円(お漬物、果物、ポットのお茶付き)。リゾットやカレー、パスタメニューも
カフェのメニューには地元の食材を多く使っています。例えば、サラダプレートには近隣の農家から仕入れた野菜を花のように盛り付けて提供。茅ヶ崎のハム工房ジローの無添加ハムを使っています。ミニトマト専門農家の石井農園のトマトは、ソースとして使われます。
茅ヶ崎の北村牛肉店の味噌漬け豚肉を、ごはんと野菜でサンドした「ルシュマンセット」は味も見た目も楽しめる一品。ほどよい塩気の豚はやわらかく、食欲をそそります。
デザートは市内の洋菓子店「マカロナージュ」のガトーショコラやマカロンなどが楽しめます。
カフェの料理やスイーツのほとんどに繊細なガラスの器を使用。きらきらと反射する光が、さらに華やいだ気持ちにさせてくれます。
温かいフォンダンショコラ800円は、背の高いグラスで優雅に
自然とアート、優雅なカフェでの食事など、「茅ヶ崎市美術館」は都心から電車で1時間ほどで小旅行気分を味わえる場所です。徒歩15分ほどで海まで歩けるので、さらに散策をしてみるのもおすすめですよ。
文:金村朝実 撮影:依田佳子