京都「大徳寺」で秋の特別公開実施!一休さんゆかりの塔頭の一般公開も

大徳寺 塔頭「真珠庵」方丈障壁画『楽園』

京都の禅宗寺院「大徳寺(だいとくじ)」で、2024年8月31日から秋季特別公開がスタートします。

境内にある通常非公開の歴史的建造物や文化財を数多く拝観できる貴重な機会で、なかでも今年はとんちで有名な「一休さん」ゆかりの塔頭(たっちゅう)「真珠庵」が3年ぶりに一般公開されます。

 

織田信長や豊臣秀吉など戦国武将ゆかりの地「大徳寺」

大徳寺・唐門

京都市の大徳寺は、鎌倉時代末期の正和4(1315)年に創建された臨済宗大徳寺派の大本山。室町時代、応仁の乱によって一時荒廃したものの、「一休さん」の呼び名で親しまれる型破りな禅僧・一休宗純(いっきゅうそうじゅん)和尚が再興させたという逸話があります。

境内には、織田信長や豊臣秀吉、前田利家など、戦国時代を駆け抜けた名だたる武将たちゆかりの塔頭(=寺院内にある独立した小院)が建立されています。また、そうした武将たちに仕えた千利休や狩野永徳など、中世日本を代表する文化人に多大な影響を与えた場所でもあります。

 

一休さんゆかりの塔頭「真珠庵」が3年ぶりに一般公開

大徳寺「真珠庵」茶室「庭玉軒」全景

今年の秋季特別公開では、一休宗純和尚を開祖とする「真珠庵」が3年ぶりに一般公開されます。

真珠庵は、一休和尚の没後10年が経った延徳3(1491)年に堺の豪商・尾和宗臨(おわ そうりん)によって建てられた寺院で、大徳寺中興の祖である一休宗純にゆかりがあることから、大徳寺の中でもとりわけ別格扱いされている塔頭です。

大徳寺 塔頭「真珠庵」方丈障壁画『楽園』

真珠庵の見どころのひとつは、2018年に約400年ぶりに新調されたという方丈襖絵。

『釣りバカ日誌』で有名な漫画家・北見けんいち氏や、ゲーム『ファイナルファンタジー』シリーズのアートディレクターを務めた上国料勇(かみこくりょう いさむ)氏など、日本カルチャーを代表する現代絵師たちが手がけた襖絵が、本堂内をダイナミックに彩っています。

大徳寺『源氏物語図屏風』(左)
大徳寺『源氏物語図屏風』(右)

真珠庵の一般公開に合わせ、貴重な特別展示も行われます。17世紀の作品として伝わる寺宝『源氏物語図屏風』が、今回初めて公開されることになりました。

『源氏物語』といえば、現在NHK大河ドラマ『光る君へ』でも話題の紫式部が、平安時代に執筆した長編物語。実は真珠庵は、境内に紫式部が産湯として使用したと伝えられる井戸が現存するなど、意外なつながりがある場所なのです。

大徳寺「真珠庵」書院「通僊院」と茶室「庭玉軒」

平安時代から戦国の世まで、さまざまな時代を象徴するキーパーソンたちの記憶が詰まったこの塔頭。ほかにも、重要文化財に指定されている書院「通僊院(つうせんいん)」や茶室 「庭玉軒(ていぎょくけん)」など、見どころが盛りだくさんです。

 

大徳寺 塔頭「真珠庵」特別公開

公開期間
2024年9月20日~12月8日
※10月21日、11月24~26日は休止
拝観時間
9:30~15:30(受付終了)
拝観料
大人 2,000円、高校生 1,000円、小中学生 500円(保護者同伴)

 

ほかにも通常拝観できない塔頭が順次特別公開

大徳寺では毎年春と秋に「黄梅院」、「興臨院」、「総見院」の特別公開も行われていて、今年も8〜12月にかけて順次拝観が受け付けられます。

 

大徳寺 塔頭「黄梅院」

大徳寺「黄梅院」直中庭

塔頭「黄梅院(おうばいいん)」は、織田信長が創建し、後に豊臣秀吉が増築したとされる寺院。茶聖・千利休が66歳の頃に作庭したと言われる「直中庭(じきちゅうてい)」があることでも有名です。例年11月中旬頃からは、見事な紅葉に包まれます。

大徳寺「黄梅院」庫裏
大徳寺「黄梅院」雲谷等顔筆 本堂障壁画(複製)

黄梅院では、禅宗寺院として現存する最古の庫裏(くり=僧の居住空間)、狩野永徳や長谷川等伯と並ぶ桃山時代の絵師・雲谷等顔(うんこく とうがん)の本堂障壁画(複製)といった重要文化財の数々も一般公開されます。

 

大徳寺 塔頭「黄梅院」特別公開

公開期間
2024年10月5日~12月8日
※10月28日は休止、ほかにも休止日が増える場合あり
拝観時間
10:00〜16:00(受付終了)
拝観料
大人 800円、中高生 400円、小学生以下 無料(保護者同伴)

 

大徳寺 興臨院

大徳寺「興臨院」

「興臨院(こうりんいん)」は、大永年間(1521~1528年)に能登の戦国武将・畠山義総(はたけやま よしふさ)が創建した寺院。その後、豊臣政権で五大老を務めた加賀藩の前田利家が本堂屋根の葺き替えを行い、一族の菩提寺としたことから、前田家とも深いゆかりを持つ名刹です。

大徳寺・唐門
大徳寺「興臨院」方丈庭園

重要文化財に指定されている本堂や唐門は、落ち着きある室町時代の建築様式を今に伝えているほか、境内では「昭和の小堀遠州」とも称された作庭家・中根金作(なかね きんさく)が復元した桃山風の石組みが美しい方丈庭園なども見どころです。

 

大徳寺「興臨院」特別公開

公開期間
2024年8月31日~9月21日、9月28日~12月15日
※ほかにも休止日が増える場合あり
拝観時間
10:00~16:30(受付終了)
※12月2日以降は16:00受付終了
拝観料
大人 800円、中高生 400円、小学生 300円(保護者同伴)

 

大徳寺 総見院

大徳寺「総見院」

「総見院(そうけんいん)」は、本能寺の変に倒れた信長の追善菩提のため、羽柴(後の豊臣)秀吉が建立した寺院。信長亡き後の後継争いの中、秀吉がその主導権を握る狙いで建立したという政略的な側面も持ち、当時の歴史的背景が興味深い寺院です。

大徳寺「総見院」木造織田信長公坐像

境内には、信長の葬儀に際して作られたという重要文化財「木造織田信長公坐像」が安置されています。慶派の仏師・康清(こうせい)の作とされ、高さは坐像として等身大の三尺八寸(約115cm)。その鋭い眼光からは、信長が持つ唯一無二のカリスマ性が伝わってきます。

大徳寺「総見院」茶室
大徳寺「総見院」信長墓碑

茶の湯との関わりが深い総見院には茶室が3つ並び、かつて秀吉が大茶会として茶席を設けたという記録も残っています。

また境内には、信長やその息女・徳姫、正室だった濃姫、側室のおなべの方など、一族7基の墓碑が並んでいます。

 

大徳寺「総見院」特別公開

公開期間
2024年10月7日~11月30日
※11月21〜22日は休止、ほかにも休止日が増える場合あり
拝観時間
10:00〜16:00(受付終了)
※11月3日は11:30受付開始
拝観料
大人 800円、中高生 400円、小学生以下 無料(保護者同伴)
大徳寺「黄梅院」破頭庭

真っ赤に色づき、優美さと静けさが共存する荘厳な雰囲気をまとった秋の大徳寺。普段足を踏み入れることができない歴史的建造物に触れながら、時の英傑たちの面影を感じられる地で、壮大な歴史ロマンに浸ってみてはいかがでしょうか。

 

大徳寺

住所
京都府京都市北区紫野大徳寺町53
アクセス
市バス「大徳寺前」バス停から徒歩約10分

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