織物の里として知られる京都北部の丹後地方で、約300年にわたって受け継がれている絹織物の伝統技術「丹後ちりめん」。
その工程のひとつである「精錬加工」の見学ツアーや、加工体験、ワークショップなどを楽しめる施設「TANGO OPEN CENTER」が、2024年6月24日に京丹後市にオープンします。
表面のシボが美しい絹織物の伝統技法「丹後ちりめん」
京都・丹後地方は、約1300年前に聖武天皇へ献上された絹織物「あしぎぬ」をはじまりとする、絹織物の一大産地。現在国内で生産される和装用の後染絹織物(製織後に友禅などの染色を施す白生地織物)のうち、実に約7割が丹後地方で作られています※。
※日本で生産される和装用後染織物(表地)の数量、一般社団法人日本絹人繊織物工業会の資料に基づき試算
なかでも享保5(1720)年、京都西陣でちりめん織りの技法を研究・発展させた丹後の職人たちが故郷に持ち帰った織物技術が「丹後ちりめん」のルーツとされ、撚り糸を使って自在に生地を織る高度な職人技や絹本来の光沢感を出す精錬加工によって、個性的な生地が生み出されます。
厳しい検査を経た高品質な製品だけがブランド認定される丹後ちりめんは、立体的で表情豊かな表面のシボ(生地の凹凸)が最大の特徴。その意匠は、京都の伝統工芸品として府知事が認定する「京もの指定工芸品」に選ばれているほか、生産拠点の地域一帯も「300年を紡ぐ絹が織り成す丹後ちりめん回廊」として日本遺産に認定されています。
丹後ちりめんの重要工程「精錬加工」を間近で見られる見学体験
丹後織物工業組合加工場に開設される「TANGO OPEN CENTER」は、丹後ちりめんの生地が完成する前の最も重要な工程「精錬加工」の様子を見学できる、常設のオープンファクトリーです。
精錬加工とは、織り上がった後染絹織物の繊維に含まれる不純物や、「セリシン」と呼ばれるたんぱく質を取り除き、シルク本来の美しさと光沢を発揮させる工程のこと。これにより、ドレープ性に優れた柔らかい風合いの生地や、シャリ感のある生地など、さまざまな特徴を持ったテキスタイルが誕生します。
精練加工場見学 オープンファクトリー “精練の世界”
- 見学日
- 平日(月〜金曜)
- ツアー時間
- 10:00~/11:00~/13:30~/14:30~/15:30~ 計5回
※見学時間は約45分、要事前予約 - 見学料
- 18歳以上 1,000円、18歳未満 500円
また、加工場では本格的な精錬・染色や、ハンカチ染めの体験コースも。見学するだけではなく、伝統技術の一端を自らの手で感じ取ることができる貴重な機会になりそうです。
加工場 丹後ちりめん精練・染色体験
- 営業日
- 平日(月〜金曜)
- 時間
- 午前の部 10:00〜/午後の部 14:00〜
- 内容・料金
- 丹後ちりめん精練・染色体験(約2時間) 5,500円
ハンカチ染め体験(約1時間30分) 3,300円
丹後ちりめんの魅力に触れる直営ショップもオープン
施設内には織物製品の直営ショップも設けられています。丹後ちりめんを使ったさまざまなプロダクトのほか、丹後地域の名産品などが並べられます。
また直営ショップでは、気軽に丹後ちりめんの面白さに触れられるワークショップも開催。例えば写真の「カップチリメンワークショップ」では、織ってすぐの状態の丹後ちりめん(ポリエステル)をお湯で縮め、おにぎりをイメージしたかわいらしい巾着袋を製作します。
ファクトリーSHOP(直営ショップ)・ワークショップ
- 営業日
- 平日(月〜金曜)
- 営業時間
- 10:00〜16:30
- ワークショップ
- カップチリメンワークショップ(約30分) 2,500円
※要事前予約
日本の和装文化を支え、絹織物の技術において世界最高水準とも評される丹後ちりめん。その舞台となる京丹後の地で、300年余りにわたる織物文化の歴史を肌で感じてみませんか?
TANGO OPEN CENTER
- 住所
- 京都府京丹後市大宮町河辺3188 丹後織物工業組合 加工場
- 開館日
- 平日(月〜金曜)
- 開館時間
- 10:00〜16:30
- アクセス
- 【電車】京都丹後鉄道「京丹後大宮」駅からタクシーで約7分
【車】京都縦貫自動車道「京丹後大宮」ICから約10分 - 駐車場
- あり(無料)
- 詳細
- 「丹後織物工業組合」公式サイト
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