「露天風呂の日」の2022年6月26日に、黒川温泉郷で露天風呂巡りを楽しめる「入湯手形」がリニューアルされました。手形のデザインが刷新されたほか、黒川温泉街の一部店舗で地域通貨として使用できる機能を追加。発売37年目を迎えた黒川温泉郷の入湯手形は、露天風呂巡りをより一層楽しめるアイテムとなりました。
黒川温泉郷では、軒を連ねる約30軒の宿と、その背景となる里山の風景を合わせて「一つの旅館」としてとらえています。このような理念のもとで地域が一体となり、1986年にスタートしたのが、各宿の露天風呂を自由に巡ることができる黒川温泉郷の「入湯手形」です。長年多くの人に利用されてきたこの手形は、コロナ禍において大きく変化した時代と向き合い、新たに3つの魅力を備えて生まれ変わりました。
刷新後に加わった新たな3つの魅力
新たに加わった3つの魅力のうち1つ目が、入湯手形が地域通貨となり、旅館や飲食店、商店など黒川温泉街全域の所定の店舗で利用できるようになった点です。
そもそも「入湯手形」は、大人用が1枚1,300円で販売され、黒川温泉郷にある27カ所の露天風呂から好きな温泉を3カ所選んで入浴できるというものでした。この仕組みに新たに加わったのが、入浴する露天風呂を2カ所とし、残りの1カ所分を、黒川温泉街での買い物や飲食に充てることができます。
2つ目の魅力は、利用後の入湯手形が自分だけのオリジナルデザインとして完成する点です。
新しい入湯手形の表面には、「巡」りの文字と「くろ川」の文字を組み合わせた温泉マークのデザインが施されています。手形を使用するとそこに各旅館などのオリジナルスタンプが押印され、3カ所巡り終わると、温泉マークのまわりを3種類のデザインの判子が飾る自分だけの手形が完成するのです。利用後の手形は、旅の記念に持ち帰るほか、黒川温泉街にある地蔵堂へ奉納することもできます。
入湯手形の売上の一部が環境保全活動に貢献
3つ目の魅力は、入湯手形の売上の1%を自然資源の保全活動に還元している点です。黒川温泉観光旅館協同組合では、「入湯手形」を軸とした「人」「自然」「社会」が協調し、循環する仕組みを作り上げたいと考えていました。
そこで新しい入湯手形の材料として活用したのが、小国郷の密林で木々の成長を促すために伐採された杉や檜(ひのき)の間伐材です。また、手形の製作工程に老人会をはじめとする地域の事業者が関わることで、地域資源の循環や地域経済への還元を試みました。今後はさらに、黒川温泉郷の景観づくりのほか、川の流量を安定させる源流域の水源かん養や温泉資源の保護など、黒川温泉郷にとって不可欠な自然資源に関わる包括的な取り組みに「入湯手形」の売上の一部を投じていく方針です。
リニューアルされた黒川温泉の「入湯手形」を利用して、露天風呂巡りを楽しみながら、温泉の維持活動に貢献してみてはいかがでしょうか。
黒川温泉
- 住所
- 熊本県阿蘇郡南小国町満願寺
- 料金
- 入湯手形:大人 1,300円、こども 700円
※購入から6カ月間有効 - アクセス
- 【電車】JR豊肥本線「阿蘇」駅より産交バス杖立線路線バスで約53分、「南小国町役場前」バス停下車、タクシーで約10分