美しい紅葉を見るなら、全国でも指折りの紅葉スポット「耶馬渓(やばけい)」へ! 大分県中津市にある耶馬渓は山水画のような絶景が見られる名所。かつてこの地を訪れた幕末のベストセラー作家・頼山陽が、奇岩と渓谷が織りなす自然美に驚嘆し「耶馬渓」と名づけたと言われています。
特に紅葉時期の景色は美しく、毎年10月下旬から深耶馬溪の木々が色付きはじめ、11月中旬まで紅葉の景観が楽しめます。
耶馬渓ではドライブはもちろん、レンタサイクルでの観光もおすすめ。エリア一帯には、鉄道の廃線跡を利用した自転車専用道路「メイプル耶馬サイクリングロード」もあり、多くの景勝地を走り抜けることができます。緩やかな勾配なので、日頃から自転車に乗り慣れていない人も気軽に楽しめます。
目次
- 1.耶馬渓ダム記念公園「溪石園」
- 2.水の音を聞きながら散策! 川と岩が織り成す「猿飛千壺峡」
- 3.水上アトラクションを遊び尽くそう!「耶馬溪アクアパーク」
- 4.ドライブも楽しい秋の「ひさしもみじ」
- 5.深耶馬溪を代表する景勝地「一目八景」
1.耶馬渓ダム記念公園「溪石園」
溪石園(けいせきえん)は、12万個もの石とダムの水を利用して耶馬渓の渓流を再現した日本庭園。2万平米の敷地には、100種、31,000本以上の樹木に、池、岩、滝などが配置され、四季折々の自然と見事に融合しています。
毎年秋になるとライトアップも行なわれ、昼と夜、違った趣を堪能することができます。
耶馬渓ダム記念公園「溪石園」
- 住所
- 大分県中津市耶馬溪町大字大島2286-1
- 公式・関連サイト
- 耶馬渓ダム記念公園「溪石園」
2.水の音を聞きながら散策! 川と岩が織り成す「猿飛千壺峡」
※「猿飛千壺峡」は2023年7月の大雨被害のため、橋のところまでは観光可能ですが、対岸の遊歩道は現在観光することができません。(2024年10月時点)
「猿飛」という名前、少し変わっていると思いませんか? これは昔、山猿が岩から岩へ飛び回っていたことから名づけられたそうです。
猿飛千壺峡(さるとびせんつぼきょう)は、渓流が岩を侵食してできた大小無数の甌穴(おうけつ)が約2kmに渡って続く峡谷です。水は川底まで透きとおり、とても清らか。遊歩道をのんびりと歩くだけで清々しい気分に。
猿飛千壺峡の見所の1つが、約1.5Km先にある「魔林峡(まばやしきょう)」。岩と岩の間が狭く、石橋アーチが特徴の「念仏橋」が架かるスポットは撮影スポットとしても人気を集めています。(念仏橋を渡ることはできません。遊歩道からの撮影は可能です)
猿飛千壺峡
「猿飛千壺峡」は2023年7月の大雨被害のため、橋のところまでは観光可能ですが、対岸の遊歩道は現在観光することができません。(2024年10月時点)
- 住所
- 大分県中津市山国町草本
- 公式・関連サイト
- 猿飛千壺峡
3.水上アトラクションを遊び尽くそう!「耶馬溪アクアパーク」
耶馬溪には、広大なダム湖を活用したアクアパークもあります。
自治体が運営する全国でも珍しい水上スキー場で、水上スキー、カヌー、湖面遊覧、SUP、ウエイクボード、バナナポートなど水上スポーツを楽しめます。天候にもよりますが、カヌーとサップ以外は前日まで電話予約が可能です。
きらめく湖面から眺める、耶馬溪の景色も趣があります。
インストラクターが遊び方を丁寧に教えてくれるので、初心者でも安心して挑戦することができますよ。
耶馬溪アクアパーク
- 住所
- 大分県中津市耶馬溪町大字山移2704
- 電話
- 予約:0979-54-3000
※カヌーとサップ以外は、前日まで電話予約可能
※水曜は定休日のため予約の受付もお休みとなります - 営業時間
- 9:00~17:00
- 定休日
- 水曜、12/29~1/3
- 公式・関連サイト
- 耶馬溪アクアパーク
4.ドライブも楽しい秋の「ひさしもみじ」
耶馬溪アクアパークから、耶馬渓の代名詞でもある「一目八景(ひとめはっけい)」展望台へ向かう途中に「ひさしもみじ」があります。
名前のごとく「ひさし」のように道路に張り出したもみじが約100m続く名所です。
新緑と紅葉の時期にはライトアップも開催。漆黒の夜に鮮やかに浮かび上がる紅葉のトンネルも見ごたえがあります。
ひさしもみじ
- 住所
- 大分県中津市耶馬溪町大字深耶馬 県道28号線沿い
- 公式・関連サイト
- ひさしもみじ
5.深耶馬溪を代表する景勝地「一目八景」
深耶馬溪の代表的な景勝地「一目八景(ひとめはっけい)」。風光明媚な景観が見られるスポットで、特に紅葉の時期は赤や黄色に彩られた木々が岩肌に映えより一層美しい眺めが楽しめます。
展望台からは、群猿山(ぐんえんざん)、鳶ノ巣山(とびのすやま)、 烏帽子岩(えぼしいわ)など風流な名前の8つの奇岩や断崖を一度に仰ぎ見ることができます。ここに訪れたらカメラの準備もお忘れなく!
展望台周辺の道沿いには飲食店が軒を連ねているので、このエリアで食事をとることもできます。
一目八景 展望台
- 住所
- 大分県中津市耶馬溪町大字深耶馬3152
- 公式・関連ページ
- 一目八景 展望台
6.知る人ぞ知る、フォトジェニックなスポット「御霊もみじ」
御霊(ごりょう)もみじの見頃は、晩秋。耶馬渓の紅葉が終わりを告げる頃、入れ替わるように御霊神社内にある秋景色は美しさを増します。
苔むした参道の両脇にある紅葉やイチョウが彩るトンネルは、色とりどりの落ち葉で敷き詰められ、どこを撮っても写真映えすること間違いなし!
神社の成り立ちは、黒田官兵衛&長政親子が豊前の国を治めていた大名・宇都宮鎮房(うつのみやしげふさ)をだまし討ちした時に、鎮房に仕えていた12人の侍女たちが逃げる途中にここで命を落としたことが起因。当時の人々がこの出来事を哀れみ、御霊を慰めたことが御霊神社の始まりといわれています。
御霊もみじ(御霊神社内)
- 住所
- 大分県中津市耶馬溪町大字戸原2176
- 公式・関連ページ
- 御霊もみじ
7.耶馬渓のお土産は、地元の酒屋さんで。「三福屋 台酒店」
大分県の焼酎をメインに、清酒やビールなど約100種類のお酒をそろえる「三福屋 台酒店」。
おすすめは、地元・中津の焼酎「耶馬美人」。 米と麦があるので、2種類購入して飲み比べてみる楽しみ方もあります。
店内には、耶馬渓産の木炭を使って七輪で焙煎した「スミビ珈琲」(1,000円)や、かき餅と揚げ餅を使ったお菓子「たべちさくれ」(各350円)、「虹色ラムネ」(各165円)などがあるので、ドライブ中の方やお子さまの休憩にもぴったり。
三福屋 台酒店
- 住所
- 大分県中津市耶馬溪町大字三尾母4-1
- 電話
- 0979-54-2117
- 営業
- 7:00~21:00
- 定休日
- 無休
- 公式・関連サイト
- 三福屋 台酒店
8.国の登録有形文化財「平田宿場(旧耶馬溪平田駅)」
耶馬渓には、かつて中津駅と守実温泉を結んだ耶馬溪鉄道と呼ばれる大分交通の路線がありました。1913年に開通したこの路線は、沿線に青の洞門や羅漢寺などの観光地を有していましたが、沿線の過疎化と道路整備が進んだことにより1975年に全線廃止。
大正3 (1914)年に竣工した石造プラットホームは、今も現存。国の登録有形文化財に指定されています。駅舎は休憩スポット「平田宿場」として活用されており、ベンチで休憩可能。トイレも利用できます。
平田宿場(旧耶馬溪平田駅)
- 住所
- 大分県中津市耶馬溪町大字平田1361-3・4
- 公式・関連サイト
- 平田宿場(旧耶馬渓平田駅)
9.手作りハムとソーセージの専門店「耶馬の森」
小腹が空いてきたら、手作りハムとソーセージを販売する「耶馬の森」へ。
お店にはイートインスペースがあり、ホットドッグなどを味わうことができます。
店内にある17~18種類のハムやソーセージの中でも、ひと際珍しかったのが「手羽焼き」(4本入り650円)。
皮がパリッとしていて、身がふっくら!4日間じっくりタレに漬け込んだというこだわりの一品。しっかりとした味わいでビールやごはんとの相性もよさそう。おみやげにするのもいいですね。
耶馬の森
- 住所
- 大分県中津市本耶馬溪町曽木1618-1
- 電話
- 0979-52-3356
- 営業時間
- 9:00~18:00(ホットドッグの提供は11:00~17:00)
- 定休日
- 水曜
- 公式・関連ぺージ
- 耶馬の森(楽天市場)
10.通称オランダ橋!国の重要文化財「耶馬渓橋」
日本が自動車交通に対応し始めた頃の1923年に竣工し、現在は国の重要文化財に指定。長崎の石橋によく見られる石積み工法を採用していることから、「オランダ橋」の愛称でも広く親しまれています。
現存する石造りの8連アーチ橋は、国内ではココ、耶馬渓のみ! 日本一の長さ(約116m)を誇っています。
橋のたもとでは、カエルの親子がお出迎え。気持ちがほっこりしそうです。
耶馬渓橋
※「耶馬渓橋」は2023年7月の大雨被害のため、現在橋を渡ることはできません。橋下から観覧は可能です。(2024年10月時点)
- 住所
- 大分県中津市本耶馬渓町曽木・樋田
- 公式・関連サイト
- 耶馬渓橋
11.約1kmの集塊岩や奇岩群「競秀峰」
11の峰や岩が競い合うように約1km連なる「競秀峰(きょうしゅうほう)」は壮観な眺めです。1818年にこの地を訪れた頼山陽(らいさんよう)の『耶馬渓図鑑』によって、競秀峰の名が広く知られるところとなりました。
競秀峰
- 住所
- 大分県中津市本耶馬渓町曽木
- 公式・関連サイト
- 競秀峰
12.手彫りのトンネル「青の洞門」
耶馬渓橋の方から競秀峰へ歩いていくとトンネルがあり、中をくぐって少し歩くと、「青の洞門」と呼ばれるトンネルが現れます。
かつてこの地は断崖絶壁の難所で、通行人が命を落とすことが度々あったとか。この話を聞いた旅の僧は地元の石工たちを雇い、ノミと鎚(つち)だけで全長342m(トンネル部分は144m)の洞門を30年間掘り続けました。
これが青の洞門で、当時の手彫りのノミの跡を見ることができます。
青の洞門
- 住所
- 大分県中津市本耶馬渓町曽木
- 公式・関連サイト
- 青の洞門
13.耶馬渓へのアクセス&掲載中のスポット一覧MAP
【耶馬渓へのアクセス】
- 羽田空港~大分空港
- 約1時間40分
- 大分空港からJR中津駅
- リムジンバスで約1時間50分、車で約1時間10分、JRで約1時間半~2時間
- 福岡からの移動
- JR博多駅~JR中津駅(約1時間~1時間半)
福岡市(天神・博多)~耶馬渓(車で約1時間半~2時間)
渓谷と奇峰が連なり、迫力ある絶景が点在する耶馬渓。秋は深紅や黄色の世界が広がり、春はネモフィラが競秀峰の周囲を青く染め上げ、夏は清涼感満点の峡谷で涼やかさを楽しめるなど、いつ出かけても自然美を満喫することができます。
中津は福沢諭吉の出身地で、諭吉は競秀峰の景観を守るために私財を投じ、3年がかりで競秀峰一帯を買収したとか。現在、私たちが競秀峰の姿を見ることができるのは、福沢諭吉のおかげということも知りました。耶馬渓を訪れるなら、自然だけでなく、その歴史にも目を向けてみると、より面白い旅が味わえます。
取材・文/原口 可奈子 撮影/井上 由紀子
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