開業から30周年に向けて「ウェスティンホテル東京」が大規模なリニューアルを実施。その対象は1階ロビーから始まり、ゲストルーム、最上階のクラブラウンジまでの全フロアに至ります。従来のヨーロピアンクラシカルを踏襲しつつ、恵比寿の原風景を表す豊かな緑や水など自然の要素もデザインに反映。ウェスティンホテルならではの多彩なウェルビーイングを体験できる、都会のウェルネスホテルの新たな章が始まります。
目次
ロビーでは圧巻の巨大アート「Cascade」がお出迎え
東京都渋谷区の恵比寿駅から歩くこと約7分、にぎやかな駅前とは裏腹にヨーロッパの町並みを彷彿させる恵比寿ガーデンプレイスが見えてきます。「ウェスティンホテル東京」があるのは、その一角。
一歩足を踏み入れれば天井高約10mのロビーラウンジが目の前に広がり、重厚感と開放感が織りなす空間に早くも胸の高鳴りが。
開業以来からホテルの象徴として知られる大理石の柱は、リニューアル後も変わらず健在。そしてウェスティンホテルの代名詞でもあるホワイトティーの香りも。
そこに新しく加わったのが、中央のアート「Cascade(カスケード)」です。滝という意味で、この地に湧き出る豊かな水が流れ落ち、舞い上がる様子を表現。水資源に恵まれたことでビール工場が建てられた恵比寿の歴史が垣間見える作品です。
1階全体は、西洋の室内温室「オランジュリー」がコンセプトとなり、随所に置かれた観葉植物やモネの「花の庭」にインスパイアされたラグが癒やしの空間を演出。
「ウェスティンガーデン」に面した「ザ・ラウンジ」は、以前より床の高さを上げたことでより外の世界が身近に感じられ、室内から庭園へとシームレスにつながっています。
すでにリフレッシュ気分を味わいながら、奥のレセプションでチェックイン。フロントデスクの後ろも緑の自然が広がり、ここが東京だということを忘れてしまいそうです。
客室「エグゼクティブルーム」で自然と都会の両方を満喫
お部屋は16階以上の高層階が確約された「エグゼクティブ」。約42平米のお部屋はナチュラルカラーのやわらかな色あいで、よりくつろげそう。
和紙で表現した桜の枝がのびやかに壁をつたい、その先に飾られた絵画には満開の桜にツバメの来客も。桜並木で有名な目黒川も徒歩圏内という近さ。壁紙や家具は一新され、じゅうたんからフローリングに変わったことで、室内でも自然のぬくもりが感じられます。
とは言っても、ここは東京。それなら都会らしい風景だって堪能したいです。窓からは東京タワー、スカイツリー、日本一の超高層ビルとなった麻布台ヒルズなど数多のビル群と住宅が大地を埋め尽くす様子は圧巻。
「窓の周りはあえて額縁のように装いを変えています。さながら絵画を見るように東京の風景をお楽しみください」と、広報の長田(おさだ)さん。
ウェスティンがうたう、幸福や健康を意味するウェルビーイングは6つの柱があり、その中の「Sleep Well(よく眠る)」を叶えているのが、雲の上の寝心地と称される「ヘブンリーベッド」。今回のリニューアルで最新式が導入され、より身体全体が包み込まれる感触を味わえるようになりました。
またパジャマは、ワンピースタイプのボタニカル柄をあしらったものがあります。
お部屋にはミネラルウォーター、コーヒーメーカー、湯沸かし器など、ひと通りのものがそろっているほか、冷蔵庫にはドリンク(有料)も。ホワイトティーをイメージしたオリジナルのクラフトジンは、ここでしか味わえない希少なものです。
「Feel Well(心地よさ)」を体験できるバスルーム
モノトーンで洗練されたバスルームは、お部屋の雰囲気とは一転して大理石をしつらえた贅沢な造りとなっています。
ホワイトティーの華やかな香りにアロエの保湿成分が入ったバスアメニティに加え、歯ブラシセット、カミソリ、ヘアーブラシ、シャワーキャップといったアメニティも。ドライヤーは髪の状態に合わせてモードを使い分けられるcadre(カドレ)。
レインシャワーの感触は繊細で、ふわふわ生地のバスローブはやさしく包み込まれる心地よさ。ベッドと同様に「ヘブンリーバス」と表現されているバスルームにも癒やしの要素が詰まっています。
最上階にオープンした「ウェスティンクラブ」へ
お部屋でひと段落したら、眺望が抜群と評判の「ウェスティンクラブ」へ。クラブフロアとスイートルームの宿泊者のみ利用できるラウンジで、17階だったのが22階に移動しました。
広さも拡張され、カウンター席でテレワークしたり、ソファ席で会話を楽しんだりと思い思いの過ごし方ができます。
さらに朝食、アフタヌーンティー、イブニングカクテルと時間ごとに異なるサービスが受けられるのも魅力。刻一刻と変化する東京の景色を楽しみに、何度も訪れたくなる場所です。
「ル・スパ・パリジェン」で最高の癒やし体験を
今日は思い切り自分をいつくしもう!そう思ったのなら、「ル・スパ・パリジェン」ほどお似合いの場所はありません。パリ生まれという名前の通り、現地のアパルトマンを模した空間はホテルとは一味違う、かわいらしい印象。
アロマオイルを使用し、筋膜にアプローチしていく「ファーシャ ボディーワーク」は開業時より人気のトリートメントです。
ジェットバス、スチームサウナ、ドライサウナ(男性エリアのみ)が備わったアクアエリアもあり、トリートメントを予約したら無料で利用できるのもポイント。予約時間きっちりではなく、45分ほど前に訪れれば身体が温まった状態でトリートメントを受けられます。
心身ともにほぐれたら、最後はリラクゼーションラウンジへ。カーテンでさり気なく仕切られた場所にはゆったりとしたソファが設けられ、そこでいただくハーブティーは滋味深く、満ち足りた気持ちにしてくれます。
インターナショナルレストラン「ザ・テラス」のディナービュッフェ
夕食はホテルならではの豪華な料理が集結したディナービュッフェをいただきに1階「ザ・テラス」へ。
こちらも水と緑をイメージしたデザインで、外とのつながりを感じる大きな窓が特徴。オープンテラスもあります。
バラエティ豊かな前菜、新調したての窯で焼くピッツァ、蒸気がたちのぼる天津など、多種多様なメニューが並びます。
思わず目を引くのが巨大な塊のローストビーフとラム。お肉の香ばしさとやわらかさのバランスを見極めながら、2時間半から3時間かけて低温調理しているとのこと。その甲斐あってお肉は口の中でとろけ、ふくよかな味が余韻を残します。
朝食ビュッフェで話題のおにぎりは実はディナーにも登場。五ツ星お米マイスターの八代目儀兵衛が目利きしたお米は、お米本来の味を楽しめ、さらに具材や海苔のおいしさも引き立てる逸品。
目の前で握ってもらえて、具材も約10種類。サイズが小ぶりなのもうれしい配慮です。
出来立てを味わえるのはヌードルステーションも同じ。麺とスープそれぞれ2種類ずつから選べて、トッピングの薬味も豊富。人気は担々麺で、ラー油とタレに漬け込んだうずらの卵はともに自家製。麺との相性も抜群です。
満腹になりつつも、食事の最後はデザートで締めくくりを。王道のショートケーキ、濃厚なメープルプリン、レモンのカッサータなど20種類近くもあり、どれにしようか苦渋の決断を強いられます。※時期により内容は変わります
一日の終わりは、スカイバー「エスカリエ」で
日が暮れて空が暗くなるほどに街の灯りは輝きを増し、いっそう華々しくなります。東京の夜はこれから。最上階にある隠れ家バー的な「エスカリエ」からの景色が1日のうちで最も美しく見える時間のはじまりです。
店内には白く揺らめく幻想的なオブジェが飾られていますが、これはビール工場の煙突から沸き立つ煙をモチーフにしたもの。親しみと原点回帰の意味を込めて、ホテルで一番高い場所のバーも煙突をテーマにしたのです。
世界一のバーとして受賞経験がある「The SG Club」が、ここだけのために創作したカクテルやモクテル、総料理長が手掛ける大人のデザートなど、個性豊かなメニューを用意。
「煙に巻く」とネーミングにも遊び心が感じられるカクテルは、最後にスモークを焚くのが特徴。香ばしさの後に爽やかな甘さが広がる、味わい深いカクテルです。
ほかにも、映画のタイトルにちなんだモクテル「午後の網目」(写真 左)、りんごを様々な形で使用した「泡立ったリンゴ達」(写真 中央)、定番のカクテルを異次元に昇華させた「ピニャコラーダ2.0」(写真 右)も人気。
「非日常感に包まれた空間を存分に楽しんでいただきたいです。初めての方も大歓迎ですので、心よりお待ちしています」と、マネージャーの前沢さん。
東京ならではの絶景と大人のたしなみを堪能して、今日は気持ちよく一日を終えられそうです。
が、もし不安に思ったら、ルームサービスのスリープウェルメニューをチェック。オートミールやハーブティーなどがあり、睡眠を促進し疲労を回復する料理をオーダーできます。
フィットネススタジオで気持ちよく一日をスタート
気持ちよく起床し、足取りも軽やかにウェスティンワークアウト フィットネススタジオへ。TRXなど運動器具が充実していて、朝の景色を眺めながらの運動は気分をより清々しくしてくれます。
こちらには、おすすめのランニングコースが記されたカードも用意されています。QRコードを読みとるとコースが表示されるので初めての場所でも安心。渋谷や六本木など東京の名所を走りながら巡ることができます。
少しでも荷物を軽くしたいのなら、シューズをレンタルする方法も。「ギアレンディングサービス」を利用すれば、Onシューズ、Balaスカルプト&フローキット、Hypericeをそれぞれワンコイン(500円)で利用可能。気になっていたアイテムをお手軽価格で試せると好評なのだとか。
のんびりと「ウェスティンクラブ」で朝食
落ち着いてゆっくりと朝食をいただけると聞いたので、朝食は「ウェスティンクラブ」へ。
選りすぐりの食材が並ぶビュッフェラインはレストラン並みの品ぞろえで、和食から洋食まで幅広い好みに応えてくれます。
エッグステーションではオムレツ、スクランブルエッグ、目玉焼きから選べて、その場で調理するから熱々をいただけます。
ペストリーも充実していて、ジャムはすべてホームメイド。その横には巣に貯蔵したままのハチミツ(巣みつ、コムハニー)も。空気にふれなかったハチミツは鮮度も味も抜群で、サクサクのクロワッサンにぴったりです。
ドリンクにはフルーツジュースのほかにオリジナルのスムージーも用意。野菜とフルーツの甘さがブレンドされたスムージーは飲みやすく、身体の隅々まで染みわたっていきそう。
「ウェスティンガーデン」を散歩
お腹が満たされたら、朝の光でまばゆい「ウェスティンガーデン」で食後の運動を。国際ガーデニングショーの最高峰「チェルシーフラワーショー」で金賞を何度も受賞した石原和幸さんがデザインした庭園は、300種類以上の植物が植えられビオトープを取り入れています。
自然に近い状態なので、夏には小川で蛍が飛び交い、サギも訪れるとのこと。
春は金沢の兼六園から株分けされた菊桜、初夏は木々の新緑、秋の紅葉、冬さえもシクラメンや白梅が咲く庭園は一年を通して、大都会でも移ろう四季の美しさを私たちに伝えています。
自分や大切な人に贈りたい「パティスリー・バイ・ウェスティンホテル東京」
まさに英気を養った滞在も、そろそろ終わりのころ。チェックアウト前後に訪れたいのが「パティスリー・バイ・ウェスティンホテル東京」です。以前はレストランに併設していましたが、満を持して独立しました。
ケーキも8種類ほど並んでいて、旬の食材を使ったケーキのほか、人気のシグネチャーシュークリームや季節のフルーツポンチは通年で購入できます。
チョコレートやケーキは、まるでアート作品のよう。チョコレートは8種類あり、オリジナルフレーバーを4個と8個のボックス入りで販売しているほか、自分で選んで梱包してもらうことも。
「ウェスティンホテル東京」のリニューアルは、「Heritage and Reinvigoration(継承と再生)」というコンセプトで進められました。「これまで大切に紡いできた歴史や価値を継承し、時代の変化に合わせながら進化していくという意味が込められています。お客さまにはホテルならではのウェルビーイングを体験していただき、いらっしゃった時よりも元気になってお帰りいただきたいです」と、語る長田さん。
実はHeritageという言葉には「遺産」という意味も。この言葉ひとつにも、30年間の歴史に対するホテルの想いが感じられて、帰るころにはもっと好きになっている自分がいました。
ウェスティンホテル東京
- 住所
- 東京都目黒区三田1-4-1 恵比寿ガーデンプレイス内
- アクセス
- JR山手線「恵比寿駅」東口下車、恵比寿スカイウォークで約7〜10分
- 駐車場
- あり(300台・3,000円/泊)
- チェックイン
- 15:00
- チェックアウト
- 12:00
- 総部屋数
- 438室
撮影/岡村智明 取材・文/浅井 みら野