提供:UMKテレビ宮崎
宮崎有数の観光地、青島。その一帯に広がる通称「鬼の洗濯板」は、国の天然記念物に指定されて今年で90年。今回は、青島の「鬼の洗濯板」について、宮崎県総合博物館の学芸員 赤崎広志さんに解説していただきました。
鬼の洗濯板?洗濯岩?どっちが正しい?
地理や地質の世界では、昔から「洗濯岩」が使用されており、国土地理院のホームページでは「洗濯岩」と書いてあります。しかし宮崎県議会で「洗濯板」の方が言葉としての通りがいいので、観光業界では「洗濯板に統一」ということになっています。
青島一帯に広がるこの波状の岩は一体どのように作られたのでしょうか?
天然記念物に指定されている波状の岩は、正式名を「青島の隆起海床(りゅうきかいしょう)と奇形波蝕痕(きけいはしょくこん)」といいます。洪水などで、泥と砂が一緒に海の深いところへ落ちていく時に、砂の方が粒が大きいので先に沈み、その後に泥が溜まると、地層が出来上がります。
さらに、陸側が持ち上がり地層が斜めになることで隆起が起こり、その後、海の波で削られ平らになります。潮の満ち引きで、水が上がったり下がったりする時に柔らかい泥岩だけが削られ砂岩が飛び出したことで、鬼の洗濯岩が出来上がるのだそうです。日本で広く波状岩が見えるのはここだけということです。
鬼の洗濯板に隠されたミステリーを解明!
青島神社へ橋を渡ってすぐ、よく見ると周りとは一見違う岩の層が……
砂岩と泥岩の他に、ザラザラしたキラキラ光るものが入っている岩があります。
これは火山灰が固まった凝灰岩の層で、岩の中のジルコンという鉱物を分析したところ、650万年前ぐらいに溜まったのだろうということが分かりました。
鬼の洗濯板に生えるように存在する「キノコ岩」と呼ばれているコンクリーション。
650万年前、生き物が腐った時に発生する石灰分で固いボールのような砂岩ができたといいます。その後、波によって周りが削られ、残ったものが宙に浮いたキノコのような形になったのだそう。数週間〜1カ月ぐらいで出来上がったと言われています。650万年前の海の底の環境をギュッと閉じ込めたタイムカプセルのような、ロマンあふれるキノコ岩です。
青島の洗濯板を使う鬼がいるとすれば、その鬼の身長は?
洗濯板の10の凹凸を基準に計算してみると、 鬼の身長は330メートルとなりました!(東京タワーと同じくらい)
【話:宮崎県総合博物館の学芸員 赤崎広志さん】
青島は、鬼の洗濯板の他にもコンクリーションがあったりセイコン化石という昔の生き物の巣穴があったり、火山灰もあります。いろいろな地質の事象がたくさん詰まった宝石箱のような青島なので、楽しんで観察してみてはいかがでしょうか。
※この記事は、2024年7月13日にテレビ宮崎「U-doki」で放送された内容を転載したものです。
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