近年、地元の人しか知らない穴場の観光スポットが、SNSをきっかけに脚光を浴びることが多くなっています。香川県観音寺(かんおんじ)市の「高屋神社(たかやじんじゃ)」も、そのひとつ。あまりにも美しい景色から「天空の鳥居」とも呼ばれ、注目を集めています。今回は、そんな高屋神社の魅力やアクセスに関してご紹介します。
香川の観音寺市にある「高屋神社」とは?
「高屋神社」は、香川県の西部にある観音寺市北部に位置する神社。稲積山(いなづみやま)の頂上に本宮があることから、「稲積神社」「稲積さん」などと呼ばれることもあります。稲積山は、標高404mとそれほど高い山ではないため歩いて登ることも可能で、絶景を目当てに平日休日問わず多くの人でにぎわっています。
もともとは地元の人にしか知られていない穴場スポットでしたが、SNSで注目を浴び、写真映えするスポットとして全国各地から人が押し寄せるようになりました。鳥居の向こうに瀬戸内海が広がる絶景から「天空の鳥居」とも呼ばれているため、そちらで記憶している方も多いかもしれません。
「高屋神社」は少し変わった遍歴を持ちます。というのも最初は山頂にありましたが、1600年頃に山の中腹へ、さらに1760年頃には山麓へ移され、現在と同じ山頂に本宮が戻ったのは1831年のこと。3回もの移転の末、ようやく元の場所に戻ってきたのです。
実際に山の麓にある下宮から本宮までの登山道を歩いて、歴史を感じてみましょう。下宮周辺は住宅地でもあり狭い道が多くあるため、間違って私道や私有地に入り込まないように気をつけましょう。
下宮から本宮までは徒歩50分ほどの道のり
下宮の境内から本宮までは徒歩50分ほどで、登山道の開始からかなりの急勾配が続きます。登山道の入り口には木の杖がおいてあるので、持参のストックがなく足腰に不安がある方はぜひ活用しましょう。
途中には中宮など見どころもありますが、自動販売機などはないため、登山の際はあらかじめ水分補給ができるよう準備をしておきましょう。
登山道はほとんどが坂道で、最後の一部は階段です。その段数はなんと270段ほどありますが、ここまでたどり着けば鳥居も見えてきてもう少しで到着です。
なお、階段の中盤で必見なのが「ゆるぎ石」です。これは指で押すとゆらゆらと動くものの、絶対に土台からは落ちないと言われる不思議な石。ゴールする前にぜひチェックしてみてください。
ついに到着!天空の鳥居の絶景を堪能しよう
真っ直ぐな石段を登り切れば、ついに本宮へ到着です。まずは本宮からの景色を楽しみながら休憩しましょう。登ってくる途中で少し海が見えるところもありますが、やはり本宮からの景色は格別です。鳥居付近には、東屋やベンチも設置されています。旅の疲れを癒やしながらゆっくり景色を堪能しましょう。
拝殿は立派な注連縄(しめなわ)が特徴的。高屋神社は「稲の神様」として地元で親しまれてきたこともあり、麓の水田で育った古代米を使った注連縄が奉納されているそう。本宮と下宮のものが隔年で掛け替えられているので、チェックしてみてください。
ゆっくりと参拝を終えたら、もう一度鳥居と瀬戸内海の景色を存分に堪能しましょう。鳥居の向こうには香川県西部から愛媛県につながる県境の方面が望め、手前には観音寺市の道路や田んぼが広がります。麓にはかつて山城のあった江甫草山(つくもやま・江甫山、九十九山とも言われる)があり、遠くには伊吹島が浮かんでいる様子も見えます。
ここまで来たのだから、絶景に写る自分の写真を撮りたいところでしょう。「高屋神社」は、常に多くの人でにぎわっています。三脚を使って自撮りするために他の人たちを待たせるよりも、近くにいる人に撮影をお願いした方が早いことも。状況に応じてマナーを守った撮影をしましょう。
誰もいない写真や、じっくり時間をかけて写真を撮りたい場合には、人の少ない早い時間帯がおすすめです。なお、昼以降は鳥居の向こうに太陽が昇るので、逆光での撮影となります。光のあふれる神々しい写真を撮れる利点もありますが、海は太陽光が反射してしまい、白っぽくなるので注意しましょう。
「高屋神社」は金運のパワースポットとしても知られています。本宮は無人のため売店はありませんが、少し変わった自動販売機が設置されていて、金運のお守りや地域のご当地銘菓の「おいり」などが並んでいます。山の上にこういった販売機があるのは珍しいので、チェックしてみてください。
気軽なアクセスには車やシャトルバスの利用を
ここまでは下宮から徒歩でのアクセスをご紹介しましたが、実は高屋神社は平日であれば車でのアクセスも可能です。本宮から徒歩数分の場所に駐車場があり、車で来ることができます。
土日祝日は車での乗り入れが禁止のため、シャトルバスを利用しましょう。バスは高屋神社と有明グラウンド間を約25分で結んでおり、9:00~17:30までの間で1時間に2本程度運行されています。乗車券は有明グラウンドから徒歩約5分の「道の駅ことひき」にある観音寺市観光協会で購入できます(往復・大人1,500円、こども700円、未就学児1人無料)。詳しい時刻は観音寺市の公式サイトを確認してください。
なお、駐車場までは麓から車で15〜20分ほどですが、道があまり広くないため、十分に注意してください。舗装されている道路ではあるものの、車がギリギリすれ違う程度の幅のため対向車が多いときにはかなり運転に神経を使います。実際に側溝への脱輪や事故も頻繁に起こっているため、運転に慣れていない方はタクシーなど別のアクセス方法も検討するようにしましょう。
同エリアの写真映えスポットは「高屋神社」以外にも
駐車場側に降りていく途中には、「仁尾方面展望所」というスポットもあります。「天空の鳥居」側とは違った景色が見えるので、こちらも最後に楽しみましょう。
ちなみに「高屋神社」のお隣の三豊(みとよ)市には、同様にSNSで人気となり“日本のウユニ塩湖”と呼ばれる「父母ヶ浜(ちちぶがはま)」があり、多くの方が合わせて訪れています。香川旅行の思い出づくりに、高屋神社や父母ヶ浜を訪れて、自分だけの素敵な一枚を撮ってみてはいかがでしょうか。
高屋神社
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