香川県の西部にあり、瀬戸内海に突きだしたツノのような形の荘内半島は、インスタ映えする絶景スポットが多く、カメラ女子に人気のエリア。
米紙NYタイムズに写真が掲載された「紫雲出山(しうでやま)」や、英紙ガーディアンに夕陽が美しい場所として紹介された「父母ヶ浜(ちちぶがはま)」、ブイ(浮き)アートが楽しい「粟島」など、カメラを持って旅に出たくなる、世界が注目する西讃・三豊(せいさん・みとよ)の自然豊かなフォトジェニックスポットをご紹介します。
目次
香川県の高松空港から西に向かって車で約1時間。瀬戸内海にツノのように突き出た形の三豊市の荘内半島に、標高約350mの紫雲出山(しうでやま)はあります。
浦島太郎が住んでいたとされる三豊市詫間(たくま)町には、今も玉手箱を開けた場所が「箱」という地名になって残っており、そこから煙が紫の雲になって山にたなびいたことから、紫雲出山と名付けられたのだそう。
駐車場から山頂までは、きちんと整備された遊歩道をのんびり歩いて7分程度。 眼下には美しい瀬戸内の海の景色が広がり、桜と紫陽花の名所としてシーズンには多くの人が訪れます。
NYタイムズで「2019年行くべき52カ所の旅先」の7位に瀬戸内の島々が日本で唯一選出。瀬戸内の島々を代表する場所として、ここ紫雲出山の写真が掲載されました。
山頂から眺める瀬戸内の自然と多島美が世界の絶景のひとつに選ばれたことで、ますます紫雲出山の人気は高まっています。
春のシーズンには約1000本の桜が咲き、瀬戸内の海と空の青を背景にピンクに染まる春の紫雲出山は、まさに絶景で息を飲む美しさ。
満開の桜の下、瀬戸内の海を眺めながら語り合う人々。春の紫雲出山は、どこを撮ってもフォトジェニックです。
山頂にある紫雲出山遺跡館(しうでやまいせきかん)では、弥生時代の高地性集落の竪穴式住居や高床式倉庫を復元。隣の喫茶コーナーでは、約2000年前の土器や石器の展示をしています。
桜のシーズンだった取材時、遺跡館前ではさくらもちや和三盆、香川のお菓子「おいり」などが販売されていました。
眺めのよい喫茶コーナーでは、クッキー付きのコーヒーセット(500円)やシフォンケーキなどのメニューを販売。山歩きの疲れを癒すことができます。
窓際のカウンター席にはこのような島案内が置かれているので、向こうに見える島影がどこの島なのかを照らし合わせて楽しめますね。
塩飽(しわく)諸島が一望できる紫雲出山。めずらしい野鳥も生息しており、双眼鏡を持っていればより楽しめそうです。
紫雲出山遺跡館には、2枚合わせると幸せになれるとされる「縁結びの貝」が置かれています。地元の方が作っているロマンチックなこの縁結びの貝の値段は決められておらず、自分が思う代金を箱の中に入れて一組いただいてくるシステムになっています。
紫雲出山遺跡館喫茶コーナー
- 住所
- 香川県三豊市詫間町大浜乙451-1
- 営業時間
- 9:30~17:00
- 定休日
- 不定休
- アクセス
- ・(高松方面から)三豊市鳥坂ICより車で約45分。山頂駐車場より徒歩で約7分。
・JR詫間駅より車で約30分。山頂駐車場より徒歩で約7分。
紫雲出山から車で約20分。荘内半島の付け根あたりに「日本のウユニ塩湖」と呼ばれ、天空の鏡のような美しいリフレクションの写真が撮れると大人気の、「父母ケ浜(ちちぶがはま)」があります。
英紙ガーディアンに夕陽が美しくインスタ映えする場所として掲載され、世界中からカメラ片手にたくさんの人が集まってくる、今では香川を代表する人気のスポットです。
元々父母ケ浜は約1kmの長さを誇る美しい砂浜が自慢の海水浴場ですが、干潟に現れる潮だまりに写った天空の鏡のような写真がSNSで評判となり、近頃は観光バスで外国人ツアー客もやってくるほどの人気ぶり。
風のない穏やかな干潮時、空を映し出す大きな鏡のような潮だまりが干潟に現れたら、フォトジェニックな一瞬をカメラに収めるチャンスです!
「日本の夕陽百選」にも選ばれている父母ケ浜
西海に面した父母ケ浜は、「日本の夕陽百選」にも選ばれるほどの美しい夕陽が見られる場所。
夕陽とシルエットだけでも十分絵になりますが、「これぞ父母ケ浜!」というようなリフレクションを狙うなら、なるべく水面が波立たない場所を選びましょう。
フォトジェニックな写真を撮るコツ
風や潮の影響を受けにくい潮だまりを見つけたら、水面が映るように低い位置にカメラを構えます。できるだけ地面スレスレで撮ることが、きれいなリフレクションを収めるコツ。
スマホでの撮影なら、グッと水面ギリギリまで近づけてみましょう。水たまりの中に入ってしまえばより面白い写真が撮れるので、長靴や濡れても平気なサンダルを履いて行くのがおすすめ(駐車場には無料の足洗い場もあります)。濡れた足を拭くタオルもあると便利です。
日没前後のマジックアワーには、こんな天空の鏡のような水面に太陽が残したオレンジの光がピンク色から紫へと徐々に変わっていく美しい空の様子が映し出され、とても幻想的です。
ただそこで佇んでいるだけでも絵になりますが、傘やビーチボールを飛ばしてみたり、
ジャンプしたり、大人数でポーズをつけたりして、よりフォトジェニックな1枚を狙ってみるのも面白いですね。近くの売店には傘や浮き輪などの撮影小物のレンタル(200円)もあります。
父母ケ浜
- 住所
- 香川県三豊市仁尾町仁尾乙203-3
- アクセス
- ・三豊鳥坂ICより車で約20分
・JR詫間駅より車で約12分
- HP
- http://www.mitoyo-kanko.com/chichibugahama/
見頃のタイミングは三豊市観光交流局のサイトをチェック。
見てよし!食べてよし!のかき氷「KAKIGORI CAFE ひむろ」
「父母ケ浜といえば、ひむろ!」と即答する人が多い、地元産のフルーツを使った手作りシロップが有名なかき氷カフェ。
ポイセンベリーやチョコバナナなどの定番メニューのほか、その時々の三豊のフルーツを使用した旬の味も季節ごとに登場。さらに日によっては限定のイベントメニューなどもあるので、ついつい立ち寄りたくなってしまうお店です。
写真は春の季節に一番人気、インスタ映えする見た目が可愛いふわふわのかき氷「生いちご(850円・春期限定販売)」と、「ミックスジュース(550円)」。
父母ケ浜が眺められる店内には、ポストカードなどの記念グッズも並んでいます。
KAKIGORI CAFE ひむろ
- 住所
- 香川県三豊市仁尾町仁尾乙202
- 営業時間
- 11:00~18:00(11~2月は17:00まで)
- 定休日
- 月曜・火曜(祝日の場合は営業)
- アクセス
- ・三豊鳥坂ICより車で約20分(父母ケ浜隣接)
・JR詫間駅より車で約12分
父母ケ浜の目の前という、ロケーション抜群の場所に2018年秋オープンした「BAKE STUDIO OKAZAKI・岡崎製パン所」。地元産の麹を使って発酵させた、製パン所ならではの自家製バンズを使った、ボリューミーなハンバーガーやサンドイッチが人気のお店です。
写真は、牛肉100%の分厚いパティにスモークの効いたソース、もちっとしたバンズのハーモニーが絶品の「スタンダードハンバーガー(単品:900円)のサラダとドリンクのセット(+350円)」。
人気のピリ辛バーガー「ハラペーニョチリバーガー(1,100円)」も、ジューシーなパティとチリの辛さが絶妙。かなりのボリュームですが、ペロリといける旨さです。
アメリカンな雰囲気の店内。店の入り口に並んでオーダーしてから1組ずつ入店できるシステムなので、落ち着いて過ごせます。
父母ケ浜が見渡せる窓際のカウンター席。天気のよい日は、屋上のテラス席からも素晴らしい景色を楽しめます。
BAKE STUDIO OKAZAKI・岡崎製パン所
- 住所
- 香川県三豊市仁尾町仁尾乙274-9
- 営業時間
- 11:00~20:00(売り切れ次第閉店)
- 定休日
- 不定
- アクセス
- ・三豊鳥坂ICより車で約20分(父母ケ浜隣接)
・JR詫間駅より車で約12分
父母ヶ浜や紫雲出山に続いて、新たなフォトスポットとして人気急上昇中なのが、荘内半島の南に位置する、三豊市の隣町・観音寺市にあるこちらの「天空の鳥居・高屋神社」。
高屋神社は、標高404mの稲積山の山頂に本宮がある格式高い神社。地元の方からは、「稲積(いなつみ)さん」とも呼ばれています。
四国八十八景にも選ばれている本宮の鳥居からは、三豊平野と燧灘(ひうちなだ)の大パノラマが広がります。右下に見える香川独特の円錐形をした緑の山は、讃岐七富士のひとつ、標高153mの江甫草山(つくもやま)。
高屋神社は金運のパワースポットなので、近くにある観光スポットの銭型砂絵「寛永通宝」と合わせてお参りすれば、大きなご利益がいただけそうです。
天空の鳥居の写真を撮った後は、本殿へお参りも忘れずに。
本宮の駐車場から天空の鳥居まではこのカーブを登ればすぐに到着。ただし、かなりの急坂なのでゆっくりでないと登れません。(所要時間3分程度)
高屋神社 本宮
- 住所
- 香川県観音寺市高屋町2800
- アクセス
- ・さぬき豊中ICより車で約20分
・JR観音寺駅より車で約13分
父母ケ浜が位置する半島の西側から、東側の付け根部分へと北上したところにあるのが詫間町の須田港。「瀬戸内国際芸術祭2019」の舞台にもなるアートな島「粟島」へは、ここから渡し船で約15分です。
以前から粟島は夜の海で神秘的に光る海ほたるが観察できる島として知られていましたが、近頃はブイ(養殖業などで使われる浮き)を利用したカラフルなアートの島として、カメラ女子の注目を集めています。
粟島港近くにあるレンタサイクルは、セルフシステム。左に見える看板娘、大口しま子の口が料金投入口になっており、500円を払って自転車を借りる仕組みです。
さて「ブイアートは?」と周りを見渡せば...いました! ブイ(浮き)だけあって、水に浮かぶクジラとカメです。
魚を入れるイケスなどを浮かすための漁具であるブイ。いらなくなったブイをそのまま放っておくとゴミになってしまいますが、粟島ではかわいくペイントされ、アートとなって島の風景に溶けこんでいます。
いらなくなったバスタブや子どもの乗用玩具も、ブイと一緒に上手にペイントして再利用している島の人のセンスはさすが!アートの島ですね。
粟島神社の前にも置いてあるブイアート。
色々な場所に、島の人のぬくもりが感じられるブイアートが佇んでいます。
カラフルなブイアートが集まる「ふれあいパーク」には、ゾウやキリン、力士がいるほか、顔出しパネルまであります。
フォトジェニックなスポットがいっぱいの粟島
生きたブイアートのような猫を、島のあちこちで見かけます。
観光客が迷わないよう住民の方が作ってくれた表示板やお花畑など、アートの島「粟島」にはフォトジェニックな風景がいっぱい。
2013年の瀬戸内国際芸術祭の作品のひとつ「漂流郵便局」は、毎月第2・第4土曜日の13:00〜16:00のみ開局。
開局中は郵便局内に保管されている、行き所のない心の想いが綴られた漂流郵便物を読むことができます。
漂流郵便局
- 住所
- 香川県三豊市詫間町粟島1317-2
- 営業時間
- 毎月第2・第4土曜の13:00~16:00
- 料金
- 入場無料
- アクセス
- 粟島港より徒歩で約5分
レトロな雰囲気漂う「粟島海洋記念館」は、日本初の地方海員養成学校だった建物。国の登録有形文化財に指定されており、海員学校に関する歴史資料や船舶の模型などが展示されています。
粟島海洋記念館
- 住所
- 香川県三豊市詫間町粟島1541
- 営業時間
- 9:00~16:00
- 休館日
- 月曜(祝日の場合は翌日休み)
- 料金
- 入館無料
- アクセス
- 粟島港より徒歩約5分
粟島港から徒歩15分ほどの西浜から眺めると、暗い雲さえもなんだかフォトジェニック。向こうに見えるのは紫雲出山がある荘内半島です。
地元の特産品や木の香り漂うグッズが揃う「DEMI 1/2」
(▲左より:田淵養蜂場のビワはちみつ(2,000円)、荘内半島オリーブオイル・ルッカ大(4,200円)、荘内半島オリーブオイル・ミッション、ルッカ小(各1,400円)、14種類のハーブが入ったM’s cocinaのソース(350円)
三豊市詫間町にあるおしゃれなインテリアのショールーム「DEMI 1/2(デミニブンノイチ)」では、はちみつやいりこだしみそ、和三盆など、こだわりのある地元産の特産品がずらり。とくに近頃製品化されたばかりという荘内半島産のオリーブオイルは、新たな三豊土産として注目度大!オリーブで有名な香川県ですが、ほとんどが東讃の小豆島産。荘内半島にはオリーブ農園は1軒しかなく、かなりの希少品なのです。
店内では、インテリアのショールームらしい、季節を感じる置物やカッティングボードなどの木工雑貨も販売。
DEMI 1/2
- 住所
- 香川県三豊市詫間町詫間 890-1
- 営業時間
- 9:30~18:30
- 定休日
- GW、お盆、正月
- アクセス
- ・さぬき豊中ICより車で約20分
・JR詫間駅より徒歩で約20分
自家農園で育てた、フルーツ使用のフレッシュなスイーツが味わえる「annfarm」
(▲左より:すもものジャム・ポイセンベリーのジャム(各756円)、マンゴーのパウンドケーキ(190円)、ドライフルーツティー(594円)
香川県三豊市はフォトジェニックなスポットが多いだけでなく、実は「フルーツ王国」とも呼ばれるほど果樹栽培が盛んな場所。
荘内半島より讃岐山脈の麓の財田町方面へと車を走らせれば、農家カフェ「annfarm(アンファーム)」に到着。ここでは、自家農園で採れたフルーツを使ったスイーツやジャムなどが販売されています。
右側部分のカフェでは、5~8月の旬の時期のみ味わえる「自家農園の完熟マンゴーパフェ」や、ランチタイムにはおまかせランチなどが楽しめます。フルーツ狩りなど、季節のイベントも受け付けているそう。
annfarm(アンファーム)
- 住所
- 香川県三豊市財田町財田上6476-1
- 営業時間
- 9:00~17:00(10~3月は10:00~16:30)
- 定休日
- 水曜日(4、9月) 、無休(5~8月)、水・木曜日(10~3月)
- アクセス
- ・さぬき豊中ICより車で約20分
・JR高瀬駅より車で約24分
インスタ映えを狙える、カラフルな西讃土産がいっぱい!道の駅「たからだの里さいた」
最後にご紹介するのは、annfarmから車で5分程度のところにある「たからだの里さいた」。温泉施設やパークゴルフ場が併設された道の駅で、物産館では地元産の農産物などの特産品が販売されています。
▲左より時計回りに:おいり(350円)、四国カルッテベイク(600円)、えびパレット(324円)
ここでおすすめしたいのは、西讃地方の伝統菓子「おいり」や観音寺市のえびせんべいメーカー志満秀の「えびパレット」などのカラフルなお菓子。旅行から帰った後にも、食べながらインスタ映えが狙えてしまいますね。
道の駅「たからだの里さいた」
- 住所
- 香川県三豊市財田町財田上180-6
- 営業時間
- 8:00~18:00
- 定休日
- 月曜(祝日の場合は営業)
- アクセス
- ・さぬき豊中ICより車で約20分
・JR高瀬駅より車で約22分
「瀬戸内国際芸術祭2019」も始まり、世界中からフォトジェニックな光景を求めて観光客が訪れる、香川県にある荘内半島。自然豊かでいつ訪れても四季折々の表情を見せてくれる素敵な場所ですが、やはりおすすめしたいのは瀬戸内の海が一番輝く夏の季節です。ぜひこの夏は、カメラ片手に素晴らしい景色を撮影しに訪れてみてください。
取材・撮影・文/林ぶんこ
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