仙台や松島からもアクセス良好!港町・塩竃の名所&グルメを楽しむ観光モデルコース

宮城県のほぼ中央に位置する塩竃(しおがま)市は、「鹽竈神社(しおがまじんじゃ)」の門前町として栄えた港町。日本有数の水揚げ量を誇る生マグロをはじめ、新鮮な海の幸が豊富に獲れることから寿司の街としても知られています。

街の中心部には、歴史ある建物を利用したカフェや美術館、老舗の酒蔵に菓子店など、趣あふれるスポットが軒を連ねていて、歩いて巡れるのもうれしいところ。

そんな塩竃市の王道スポットを楽しみ尽くす、一押しの観光モデルコースをご紹介します。

 

 

塩竈までのアクセス

東京から塩竃に向かうには、東京駅から東北新幹線に乗車し、最短1時間30分で仙台駅へ。そこからJR仙石線に乗り換え、約30分で本塩釜駅に到着します。

ちなみに、同じ宮城県の人気観光地・松島がある松島海岸駅へも、本塩釜駅からJR仙石線を利用して10分ほどで着きます。

 

塩竃の王道スポットを巡る!おすすめモデルコース

志波彦神社 鹽竈神社

志波彦神社 鹽竈神社

塩竈の観光スポットとして外せないのが「鹽竈神社」です。ここは陸奥国一之宮(福島県、宮城県、岩手県、青森県の中でもっとも格が高いとされた神社)として、1200年以上の歴史を有している神社。海上安全や大漁祈願、安産の神様として、長い間親しまれています。

 

志波彦神社 鹽竈神社

参道は202の石段が続く「表参道(表坂)」、坂道の少ない「東参道(裏坂)」、七回折れながら坂をのぼる「七曲(ななまがり)坂」の3つ。一般的に使用されているのは「表参道」なので、初めての人はここを通るのがおすすめです。

石段を登ると「別宮(べつぐう)」と「左右宮(さゆうぐう)」が鎮座する社殿に到着します。正面に建つ左右宮につい足を向けてしまいそうになりますが、まずは右手側に位置する別宮から参拝しましょう。

別宮は主祭神である「鹽土老翁神(しおつちのおじのかみ)」を祀る特別な宮とされています。鹽土老翁神が海難を背負うために、海を背にした方角に建てたのだとか。

 

志波彦神社 鹽竈神社

境内には、農耕守護の神様を祀る「志波彦(しわひこ)神社」も建っており、漆塗りの拝殿は見ごたえがあります。

 

志波彦神社 鹽竈神社

ほかにも、境内には国指定重要文化財や鹽竈神社の歴史資料を展示する「鹽竈神社博物館」や、天然記念物に指定される鹽竈桜など見どころが満載。参拝後はのんびり散策を楽しみましょう。

 

志波彦神社 鹽竈神社

住所
宮城県塩竈市一森山1-1
時間
拝観自由
[鹽竈神社博物館]12月~1月/8:30~16:00、2月~3月・10月~11月/8:30~16:30、4月~9月/8:30~17:00
料金
[鹽竈神社博物館]一般・大学生200円、中学・高校生150円、小学生80円
アクセス
JR仙石線「本塩釜駅」かより徒歩約15分
公式サイト
志波彦神社・鹽竈神社

 

旧亀井邸

旧亀井邸

せっかくなので、帰り道は別ルートから。東参道(裏坂)を通ると脇道に「旧亀井邸」が見えてきます。ここは、電力供給が不安定な時代にろうそくの製造や販売を手掛け、塩竈の発展に貢献した「亀井商店(現・カメイ株式会社)」創業者の邸宅。1924年に建てられ、現在は歴史的建造物として一般開放されています。

 

旧亀井邸
旧亀井邸

趣のある建物は、伝統的な日本建築に西洋建築の技法を取り入れた和洋併置式住宅。植物の枝や蔓(つる)をイメージさせるアールデコ様式の丸窓をはじめ、建物の随所に見られる意匠は、現在の左官技術では再現が難しい、貴重なものだそう。

 

旧亀井邸

見学の際は、ふすまや障子に取り付けられた引手にも注目。カメイと親交のあった日本石油の社章・コウモリをモチーフにしたものや、七宝焼きの取手など、多彩なデザインが用いられています。

館内には、ボランティアガイドが常駐しているので、気になることは何でも尋ねてみましょう。

 

旧亀井邸

住所
宮城県塩竈市宮町5-5
開館時間
10:00~15:30
休館日
火~木曜日、年末年始 
※月によって異なる場合あり
入館料
無料
アクセス
JR仙石線「本塩釜」駅より徒歩約10分

 

カフェ はれま

カフェ はれま

ランチタイムには、レトロなたたずまいが目をひく「カフェ はれま」へ。「旧亀井邸」から徒歩約4分。東参道を抜けて、信号を渡った先に位置します。

 

カフェ はれま

ここは、明治初期に建築された木造の旅館をリノベーションし、1階をカフェ、2、3階を博物館として営業しているお店です。アンティークの家具が並ぶ店内は、ノスタルジックな空間。古物商である店主が集めた小道具が至るところに飾られており、値札のついたアイテムは購入することもできます。料理を待つ間に、気になる逸品を探してみるのも楽しいひとときです。

 

カフェ はれま

ランチのおすすめは、塩竃の特産である藻塩(もじお)を使ったおむすびに、地元産の練り物などのおでんが付いた「おむすびセット」(850円)。まろやかな藻塩の風味が広がるおむすびは梅と鮭の2種類。旨みたっぷりのおでんは、練り物そのもののおいしさはもちろん、出汁がきいた汁の滋味深い味わいに、心も体も癒やされます。

スイーツメニューには地元の銘菓もラインナップ。塩竃のおいしさを存分に感じられるでしょう。

 

カフェ はれま

住所
宮城県塩竈市本町3-9
営業時間
11:00~17:00(11~2月は~16:30)
定休日
水・木曜日(ほか不定休あり)
アクセス
JR「本塩釜」駅より徒歩約7分

 

塩竈市杉村惇美術館

塩竈市杉村惇美術館

「カフェはれま」から徒歩約2分、小高い丘の上を登った先に建つ「塩竈市杉村惇(すぎむらじゅん)美術館」は、1950年に建設された公民館を改修した美術館。塩竈ゆかりの洋画家・杉村惇氏の作品を常設展示するほか、企画展やワークショップなども開催しています。

建物の外観には、現在は採掘されない地場の石材・塩竈石が配され、市有形文化財にも指定されているスポットです。

 

塩竈市杉村惇美術館

2階では杉村氏の油彩画を常設展示。市場に水揚げされた鮮魚や捕鯨船が浮かぶ港の光景など、塩竈らしさあふれる作品も並びます。絵のモチーフになった人形やランプなどが展示されているのもおもしろいところ。「静物学者」と称された杉村氏の世界観を堪能できます。

 

塩竈市杉村惇美術館

また、高さ9.7mのアーチで構成された大講堂も見どころのひとつ。建築美が際立つ真っ白な空間は、この場所そのものがアート作品のよう。

大講堂はイベントやワークショップの会場になることも多いので、日程を確認して訪れるのがおすすめです。

 

塩竈市杉村惇美術館

住所
宮城県塩竈市本町8-1
開館時間
10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日
月曜日(祝日の場合は翌日休館、長期連休は除く)、年末年始
入館料
一般200円、高校生100円、中学生以下無料(企画展は別途定める)
※企画展示室のみ別途、観覧料が必要
アクセス
JR仙石線「本塩釜」駅より徒歩約10分
公式サイト
塩竈市杉村惇美術館

 

 浦霞 酒ギャラリー

浦霞 酒ギャラリー

「塩竈市杉村惇美術館」を出て、再び「カフェ はれま」の方角へ約3分歩くと「浦霞 酒ギャラリー」が見えてきます。ここは、宮城県を代表する銘酒「浦霞(うらかすみ)」の蔵元・株式会社佐浦の本社に併設されたギャラリー。

 

浦霞 酒ギャラリー

1724年の創業以来、塩竈神社の御神酒酒屋として上質な酒を作り続けている佐浦。ギャラリーの中では、佐浦の宮城県限定商品などを販売しています。季節限定を含む約30種類のお酒がラインナップするほか、県内在住の作家による酒器やお酒のお供にぴったりな地元グルメも並びます。

ほかにも、お猪口と専用コインのセット(300円~)を購入することで試飲ができる「コイン式きき酒用サーバー」や、スタッフが蔵の歴史などを案内してくれる「蔵ガイド」といったコンテンツも用意。日本酒好きにはうってつけです(※蔵ガイドは2024年6月現在、休止中)。

 

浦霞 酒ギャラリー

お店の一押しは、「きょうかい12号酵母」を使用した酒造りを復活させた「純米吟醸 浦霞No.12」(720ml 1,848円、1,800ml 3,465円)と、穏やかな香りとふくよかな味わいのバランスが見事な「純米吟醸 浦霞禅」(300ml 924円、720ml 2,552円)。どちらも魚料理との相性が抜群。贈り物はもちろん、自分用のお土産にもおすすめです。

 

浦霞 酒ギャラリー

住所
宮城県塩竈市本町2-19
営業時間
10:00〜17:00(12月30日は16:00まで)
定休日
日曜日、年末年始(そのほか臨時休業あり)
アクセス
JR仙石線「本塩釜」駅より徒歩約7分
公式サイト
酒ギャラリー | 浦霞醸造元 株式会社佐浦

 

Natural born Style.(ナチュラルボーンスタイル)

Natural born style.

散策のひと休みに立ち寄りたいのが、コーヒー店「Natural born style.(ナチュラルボーンスタイル)」。「浦霞 酒ギャラリー」を出て、左手に約1分歩いた場所にあります。

地元の常連客や観光途中に訪れた旅行客がコーヒー片手に会話を楽しむ、アットホームな雰囲気が魅力のお店です。

 

Natural born style.

鮮やかな黄色と青をベースにした店内は、カウンター席を配したカジュアルな空間。店主の気さくな人柄もあり、初めて訪れた人でもほっと一息つけそう。

 

Natural born style.

ここで味わえるのは、深煎りと中深煎りから選べるオリジナルのブレンドコーヒー(550円)。豆はメキシコ産のスペシャルティコーヒーを使っています。

この日は深煎りをオーダー。苦みが強いイメージのある深煎りですが、飲みやすくブレンドしているため、コクがありながらもマイルドな味わいです。芳ばしい香りも心地よく、じっくりと堪能したくなります。

また、マイボトルを持参すればコーヒーが50円引きに。おいしいコーヒーをお得に味わえます。

 

Natural born style.

おやつには、ひと口サイズのスイーツ「コーヒーの脇役シリーズ」(180円)がおすすめ。生チョコレートやチュロスなど、コーヒーと相性ぴったりな4種類がそろいます。

 

Natural born style.

住所
宮城県塩竈市本町4-2
営業時間
11:00〜18:00(L.O.17:00)
定休日
月・火曜日
アクセス
JR仙石線「本塩釜」駅より徒歩約4分

 

梅花堂 塩釜本町店

梅花堂 塩釜本町店

おいしいコーヒーを堪能した後は、塩竈らしいお土産を買いに行きましょう。

地元銘菓が購入できる「梅花堂(ばいかどう)塩釜本町店」は「Natural born style.」を出て、右手側へ徒歩約1分。1918年の創業時から手作業で作り続けている和洋菓子は、地元の人に愛され続けています。

 

梅花堂 塩釜本町店

塩竃土産に最適なのが、サクッとした軽やかな食感が特徴の「藻(も)なかさぶれ」(5枚入り775円)です。生地には宮城県産の米粉のほか、塩竃産の藻塩と海藻を使用。藻塩のほどよい塩気とゴマの風味がサブレの甘みを引き立てます。

 

梅花堂 塩釜本町店

しっとりとした食感の「東太平洋」(5枚入り650円)も人気の商品。ラム酒の華やかな香りが広がる大人味のバタークッキーです。生地に練り込んだスライスアーモンドの香ばしさがアクセントを加えます。

 

梅花堂 塩釜本町店

ほかにも、焼き菓子やケーキ、おまんじゅうなど、バラエティ豊かなお菓子がずらり。かわいい見た目の上生菓子をはじめとした季節限定品も要チェックです。

 

梅花堂 塩釜本町店

住所
宮城県塩竈市本町2-5
営業時間
9:00~18:00
定休日
1月1日
アクセス
JR仙石線「本塩釜駅」より徒歩約5分
公式サイト
梅花堂 塩竈の文化を今に伝える銘菓

 

塩竃すし哲 本店

塩竃すし哲 本店

港町の塩竃は、寿司の名店が多いことでも知られています。なかでも特におすすめなのが「塩竃すし哲 本店」。「梅花堂 塩釜本町店」からJR本塩釜駅に向かって徒歩約3分の場所にあります。

建物1~3階の客席は、休日になれば常に満席。塩竃を代表する寿司を求め、日本のみならず海外からの旅行客も多数訪れます。

 

塩竃すし哲 本店

「塩竃 すし哲」が心がけているのは総合力。ネタの鮮度はもちろん、シャリや器、接客、店内の空間と、何一つ欠けることなく細部にまでこだわっています。

 

塩竃すし哲 本店

看板メニューの「すし哲物語」(4,580円)は、ぜひ味わいたい逸品です。有田焼の皿に盛り付けられた寿司は、つい見とれてしまうほど。

口どけのよい本マグロの中トロ、旨みが凝縮された煮だこ、プリッとした食感が心地よいホッキ貝など、どれも口の中に残る余韻まで楽しめるおいしさ。契約栽培のササニシキを使い、空気を含ませるように握ったシャリのほろりとした食感と旨みが絶妙です。

 

塩竃すし哲 本店

刺身や焼き物などの一品料理も充実しています。おすすめは、「かつをの酢のもの」(大980円、小680円)。たっぷりと盛られた大根おろしやミョウガ、大葉などを出汁で割った甘酢にかきまぜ、カツオを浸して味わいます。

地酒やワインも味わいながら、港町・塩竃のディナータイムにふさわしい至福のひとときを過ごせるでしょう。

 

塩竃すし哲 本店

住所
宮城県塩竈市海岸通2-22
営業時間
11:00~15:00、16:30~21:00(土・日・祝日は11:00~21:00)
定休日
木曜日(祝日は営業)
アクセス
JR仙石線「本塩釜」駅より徒歩約2分
公式サイト
握る手に心。塩釜すし哲

 

足をのばして訪れたい!そのほかの人気スポット

塩釜水産仲卸市場

塩釜水産仲卸市場

生マグロの水揚げ基地として知られる塩釜港。水揚げされた旬魚を気軽に味わえるのが、東北最大級の規模を誇る仲卸市場「塩釜水産仲卸市場」です。

場内には約100店舗が軒を連ね、鮮度抜群の魚介や水産加工品を販売。早朝から大勢の人でにぎわいます。

 

塩釜水産仲卸市場

塩釜水産仲卸市場の名物といえば、「マイ海鮮丼」づくり。好みの海産物を購入したら、6号売り場にあるマイ海鮮丼コーナーで「ごはんセット」(400円)を注文。ご飯の上に魚や貝を盛り付ければ、自分だけの海鮮丼の完成です。

お店によっては、マイ海鮮丼用に小分けの切り身を販売しています。塩竃自慢の海の幸を盛って、旬のおいしさを心ゆくまで満喫できるでしょう。

 

塩釜水産仲卸市場

住所
宮城県塩竈市新浜町1-20-74
営業時間
平日/3:00~13:00、土曜日/3:00~14:00、日・祝日/6:00~14:00 
※食事処は店舗により異なる
定休日
水曜日
アクセス
JR仙石線「東塩釜」駅より徒歩約15分
公式サイト
塩釜水産物仲卸市場

 

マリンゲート塩釜

マリンゲート塩釜

海に面したロケーションに建つ「マリンゲート塩釜」は、飲食店や物産館を有する観光施設。塩竃と松島の間をつなぐ観光遊覧船の起点にもなっています。

クラフトマルシェをはじめとしたイベントを毎月開催したり、例年2月と10月にはマグロの解体即売会が開かれたりと、お楽しみ満載のスポットです。

 

マリンゲート塩釜

3階のオープンデッキは、塩釜港を一望する絶好のビューポイント。大小さまざまな船が行き交う、港町らしい景色を一望できます。ちょっとしたひと休みに、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

 

マリンゲート塩釜

住所
宮城県塩竈市港町1-4-1
営業時間
9:00~18:00 ※飲食店は店舗により異なる
定休日
無休
アクセス
JR仙石線「本塩釜駅」より徒歩約10分
公式サイト
マリンゲート塩釜

 

紹介したスポット以外にも、塩竃には見どころがいっぱい。例年7月に開催される一大イベント「塩竈みなと祭」や、9月中旬~12月下旬の期間に味わえるブランドまぐろ「三陸塩竃ひがしもの」など、旅の目当てになる楽しみが多彩なのも魅力です。

また、塩釜観光とあわせて仙台や松島へも訪れれば、より充実した旅となるはず。ぜひ思い出に残る、楽しい旅の時間を過ごしてください。

取材・文/菅原 聡子 撮影/株式会社Harty 澤田 千春

 

 

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