一関・厳美渓を散策し、名物グルメを堪能!奇岩連なるダイナミックな渓谷美を楽しむ

岩手県観光の南の玄関口・一関(いちのせき)市。一関藩三万石の城下町であり、市内には歴史あるスポットが点在。雄大な自然にも恵まれています。駅から少し足をのばした先には、四季の美しさに彩られた絶景の渓谷・厳美渓(げんびけい)がお目見え。爽やかな風が吹く渓谷沿いを歩きながら、岩手が誇る美景をのんびり楽しみましょう。

 

 

一関市・厳美渓へのアクセス

JR「一ノ関」駅までの片道は、東北新幹線を利用すると「東京」駅から約2時間。「仙台」駅からは約30分、「盛岡」駅からは約40分を要します。一ノ関駅から厳美渓まではバスで約20分。車なら東北自動車道「一関」ICから国道342号線で10分ほどで到着します。

 

変化に富んだ絶景が続く、岩手県一関市・厳美渓

厳美渓は一関市内を流れる磐井川の浸食によって形成された約2kmの渓谷。エメラルドグリーンの水流と大小さまざまな奇岩が織りなす変化に富んだ景観を楽しめます。荒々しくも美しい渓谷を生み出したのは、約900万年前に発生した栗駒山の火山活動。噴火によってこの地に積み重なった岩石が市内を流れる磐井川の急流に削られ、今の厳美渓を形成したといわれています。

また、厳美渓に来たら味わいたいのが、「空飛ぶ団子」の異名で知られる名物のだんご。カゴに入っただんごが渓谷を飛び交う様子は、撮影必須ですよ。

 

厳美渓

厳美渓

岩手、宮城、秋田の3県にまたがる名峰・栗駒山を水源とする渓谷「厳美渓」。奇岩や怪岩とエメラルドグリーンの水流とのコントラストが素晴らしく、国の名勝及び天然記念物に指定されています。

 

厳美渓

渓谷沿いには散策路が設けられており、往復45分ほどで巡ることができます。上流と下流で景観ががらりと変わる厳美渓。その違いをよく感じ取れるのが、散策路にある吊り橋「御覧場橋(ごらんばばし)」からの眺めです。上流では、水が岩間を勢いよく流れる姿が見られます。

 

厳美渓

一方、下流に目を向けると、穏やかな水面が広がります。橋を境に変わる光景に、初めて見る人は驚いてしまうかもしれません。

 

厳美渓

また、薄紅色の桜が咲き誇る春、水墨画のような雪景色が広がる冬と、四季折々の景観も見事。なかでも、木々が深紅に染まる紅葉の美しさは格別です。見頃を迎える10月下旬から11月上旬は特に艶やかな光景を楽しめます。

 

厳美渓

住所
岩手県一関市厳美町滝の上地内
アクセス
一ノ関駅から車で約16分

 

郭公屋

郭公屋

厳美渓の名物として知られているのが、渓谷沿いに建つ茶屋「郭公屋(かっこうや)」の“空飛ぶだんご”。そのユニークな異名は、渓谷にかかるロープでだんごを運ぶという斬新な提供方法からきています。

 

郭公屋

まずは渓谷の中心に位置する「天工橋(てんぐばし)」のたもとにある東屋へ向かいましょう。東屋のそばに設置されたカゴにだんごの料金を入れて木板を叩くと、カゴはみるみるうちに対岸の茶屋へ。実は木板の音を合図に、茶屋の店員さんが人力で引っ張っているのです。

しばらくするとだんごとお茶、おつりが入ったカゴが到着。渓谷を勢いよく上り下りするカゴは、まさに空飛ぶだんご! 

 

郭公屋

箱の中には、みたらし、ごま、あんこの3種類のだんごが入っています。だんごというと丸い形を想像しがちですが、こちらのだんごは表面が真っ平ら。棒状に伸ばしただんごを糸や包丁で切ることから「糸切りだんご」と呼ばれ、一関ではだんごといえば古くからこの形がおなじみです。

そんな伝統のだんごは、ふんわりとやわらかな食感。タレの風味の良さも相まってペロリと食べられます。売り切れ次第終了のため、早めに訪れるのがおすすめです。

 

郭公屋

住所
岩手県一関市厳美町滝ノ上 211
営業時間
9:00~15:00 ※売り切れ次第終了
定休日
不定休※12月~3月上旬は休業
アクセス
一ノ関駅から車で約16分

 

一関市博物館

一関市博物館

厳美渓から徒歩15分ほどの場所に建つ「一関市博物館」。一関市の歴史や文化を証する資料を5つのテーマに分けて常設展示しています。

 

一関市博物館

例えば「玄沢と蘭学」では、日本の近代科学の発展に貢献した一関出身の蘭学者・大槻玄沢の業績や、蘭学の展開を貴重な資料とともに紹介。「一関のあゆみ」では、国宝「中尊寺」の荘園であった骨寺村の成り立ちから終焉までを貴重な資料とともに伝えています。

 

一関市博物館

常設展示の「舞草刀(もくさとう)と刀剣」も人気で、見所は日本刀のルーツのひとつに数えられる舞草刀です。貴重な刀剣を間近で見学できるとあって、全国各地から刀剣ファンが訪れているそう。舞草刀をはじめ、展示される一関ゆかりの刀剣の数々はどれも迫力があり、つい見入ってしまうことでしょう。

 

一関市博物館

住所
岩手県一関市厳美町沖野々215-1
開館時間
9:00~17:00(入館は16:30まで)
定休日
月曜日(祝日の場合は翌日)、12月29日~1月3日
詳細
一関市博物館公式サイト
入館料
一般300円、高校生・大学生200円、小学生・中学生無料
アクセス
一ノ関駅から車で約16分

 

一関のお土産・グルメ・日帰り温泉

サハラガラスパーク

サハラガラスパーク

世界中から集めたガラス工芸品を展示・販売する「サハラガラスパーク」は、おみやげ選びにぴったりのスポット。カラフルな装飾がきらめくアーチやガラス作品が飾られた「ガラスの小道」など、お店に入る前から心奪われるポイントが満載。レトロな佇まいは、フォトスポットとしても人気を集めています。

 

サハラガラスパーク

店内には、日常使いに最適なグラスやアクセサリー、ガラスアート作家が手がけた小物など、約10万点もの商品が並びます。グラスひとつをとっても数え切れないほどたくさんの色や形がそろい、見ているだけでわくわく。所狭しと並ぶ商品の中からお気に入りを探す時間も楽しいひとときです。

 

サハラガラスパーク

併設の工房では、宙吹きガラスの技法を用いたガラス制作の様子を見学できます。予約不要、常時行っているので気軽に立ち寄りましょう。また、事前予約でオリジナルガラスの制作体験も可能。旅の記念に、素敵な作品を作ってみるのもいいですね。

 

サハラガラスパーク

住所
岩手県一関市厳美町滝の上263-1
営業時間
9:00~17:30 ※12月~3月は17:00まで
定休日
なし
入館料
無料
アクセス
一ノ関駅から車で約16分

 

道の駅 厳美渓

道の駅 厳美渓

一関市博物館の隣に建つ「道の駅 厳美渓」。ジャムにスイーツといった持ち帰りやすい商品もあり、自分用のおみやげ探しにもおすすめです。

 

道の駅 厳美渓

産直コーナーには採れたての旬野菜やフルーツ、加工品が勢ぞろい。お店のいちおしは、季節のフルーツを使った「大福」。素材のおいしさを引き立てるよう、保存料などは使わずに作っています。お昼前に売り切れてしまう日もあるというから驚きです。

 

道の駅 厳美渓

ランチには、館内のレストラン「ぺったんくん」で自慢の餅料理を堪能しましょう。いちばん人気は、納豆やごまなど5種類の餅を味わえる「もち本膳」。毎朝店内でつく餅は、こしが強く食べ応え抜群です。ほかにも、「力餅ラーメン」や「もっちーずカレー」など、多彩な餅料理がラインナップ。毎月第4金曜日の12時から14時限定で行うもちバイキングも好評です。

 

道の駅 厳美渓

住所
岩手県一関市厳美町沖野々220-1
営業時間
9:00~18:00(11月~3月は17:00まで) ※レストランは10:30~16:00
定休日
第3水曜日 ※3月~10月は無休
アクセス
一ノ関駅から車で約16分

 

厳美渓温泉 滝の湯 いつくし園

厳美渓温泉 いつくし園

厳美渓の畔に建つ「厳美渓温泉 滝の湯 いつくし園」はロケーションの良さが魅力の宿。日帰り入浴の利用もできるため、散策途中にはぜひ立ち寄りたいスポットです。

 

厳美渓温泉 いつくし園

温泉は大浴場と露天風呂があり、木々に抱かれた桧露天風呂は開放感たっぷり。耳元に届く渓流のせせらぎが、疲れた体を癒やしてくれます。「厳美渓温泉 いつくし園」のお湯に含まれるメタケイ酸には、新陳代謝を促進する効果があるのだとか。じっくり浸かれば、肌も心も潤いそうですね。

 

厳美渓温泉 滝の湯 いつくし園

住所
岩手県一関市厳美町南滝ノ上15
営業時間
日帰り入浴11:00~15:00
定休日
無休
入浴料
大人700円、小人(3~11歳)500円
アクセス
一ノ関駅から車で約18分

 

ポラーノ

ポラーノ

おやつには手作りアイスクリームの専門店「ポラーノ」へ。県内の牧場で放牧され、のびのび育った乳牛のミルクをベースに、地元産のフルーツや野菜を使ったオリジナリティあふれるアイスクリームを販売しています。

「ポラーノ」という店名は、岩手県出身の童話作家・宮沢賢治の著書『ポラーノの広場』が由来。地域の人たちが気軽に集える場所になるようにという想いが込められています。

 

ポラーノ

アイスクリームは常時約20種類がラインナップ。春はいちごやよもぎ、ふきのとう、秋にはぶどうにクルミ、えごまと、地元食材を加えた期間限定のフレーバーもあります。なかでも、夏に登場する「冷や奴アイス」はファンの多い人気の一品。地元産の豆腐を混ぜ込んだアイスクリームに醤油を垂らして味わうのですが、「もっと醤油をかけて」と、追い醤油をオーダーする人が多いのだとか。

 

ポラーノ

訪れた日はブルーベリーをチョイス。ミルクのフレッシュな甘みとブルーベリーの酸味のバランスが良く、後味さっぱり。ブルーベリーの食感も楽しい一品です。どれにしようか迷ったときは、ダブルにして食べ比べをしてみては。

 

ポラーノ

住所
岩手県一関市厳美町入道178-3
営業時間
10:00~17:00
定休日
木曜日
アクセス
一ノ関駅から車で約23分

 

中世の景観が残る史跡に赴き、往時に想いを馳せよう

骨寺村荘園遺跡

骨寺村荘園遺跡

かつて「骨寺村(ほねでらむら)」と呼ばれ、中尊寺の経蔵別当の所領であった厳美町の本寺地区。中尊寺に残された二枚の絵図「陸奥国骨寺村絵図」に描かれた村の景観が今なお残ることから、2005年に国史跡「骨寺村荘園遺跡」として指定。田園が広がる本寺地区の農村景観は、国の重要文化的景観にも選定されています。

田んぼの中にぽつんと佇む「若神子社(わかみこしゃ)」をはじめとした遺跡を巡り、中世の村の雰囲気を想像しましょう。

 

骨寺村荘園遺跡

散策前には骨寺村荘園内にあるガイダンス施設「骨寺村荘園交流館 若神子亭」に立ち寄るのがおすすめ。館内では、パネル展示やシアター映像などを通し、骨寺村荘園遺跡の歴史と価値を解説しています。気になることは常駐するボランティアガイドへ気軽に尋ねてみましょう。散策時に役立つ骨寺村荘園遺跡のマップもこちらに置いています。

 

骨寺村荘園遺跡

館内には産直コーナーとレストランもあり、本寺地区の特産品である「南部一郎かぼちゃ」の加工品や地元の新鮮な野菜などを販売しています。おすすめは、産直コーナーで販売する「かぼちゃマドレーヌ」。生の南部一郎かぼちゃは、例年10月から3月頃まで店頭に並びます。

 

骨寺村荘園交流館 若神子亭

住所
岩手県一関市厳美町若神子241-2(骨寺村荘園交流館)
営業時間
見学自由 ※骨寺村荘園交流館は9:00~17:00
定休日
なし ※骨寺村荘園交流館は火曜日(祝日の場合は翌日休)
見学料
無料
詳細
骨寺村荘園遺跡公式サイト
アクセス
一ノ関駅から車で約26分

 

栗駒茶屋 本店

栗駒茶屋 本店

骨寺村荘園遺跡エリアを巡っていると、一際趣のある建物が目にとまります。お店の名前は「栗駒茶屋 本店」。昭和初期に建てられた旅館をリノベーションした古民家カフェです。

 

栗駒茶屋 本店

紺色の暖簾をくぐり、店内へ。階段を上り2階のカフェスペースへ向かうと、風情あふれる重厚な空間が広がります。大きな窓からは四季の美しさに彩られた豊かな自然を一望。すぐそばを流れる磐井川のせせらぎや鳥のさえずりも心地よく、不思議と懐かしい気持ちになります。

 

栗駒茶屋 本店

名物は、やわらかな口溶けが特徴のかき氷「一ノ関雪氷」。味の決め手となる氷には、瞬間冷凍した岩手県産の牛乳を使っています。

真っ白な氷をスプーンですくうと、粉雪のようにサラサラ。口に運べば一瞬にしてふわりと溶け出します。舌の上に続くやさしい甘みの余韻に、思わず笑顔になってしまいますよ。コクのある黒蜜、香ばしいきなことの相性もぴったり。トッピングのだんごも絶品です。

 

栗駒茶屋 本店

住所
岩手県一関市厳美町若井原162-3
営業時間
10:00~17:00(L.O.16:30)
定休日
不定休 ※11月上旬~3月は休業
公式サイト
栗駒茶屋公式サイト
アクセス
一ノ関駅から車で約27分

 

檜内風呂付き客室のある温泉宿で旅の疲れを癒やして

~世界遺産の隠れ宿~果実の森

~世界遺産の隠れ宿~果実の森

宿泊は「~世界遺産の隠れ宿~果実の森」へ。37部屋の客室すべてが源泉掛け流しの檜内風呂付きと、贅沢なひとときを過ごせます。

 

~世界遺産の隠れ宿~果実の森

 

~世界遺産の隠れ宿~果実の森

1階の客室のみ、檜内風呂と露天風呂の2つの温泉を楽しめます。露天風呂の浴槽は信楽焼や天然大理石でできていたり、コーヒーカップの形をしていたりと、部屋によって異なるのもおもしろいところ。

 

~世界遺産の隠れ宿~果実の森

岩手のブランド牛・前沢牛や、三陸産の新鮮な魚介、自家菜園で栽培した有機野菜をふんだんに盛り込んだ創作料理も好評。素材のおいしさを最大限に引き出した料理を心ゆくまで味わいましょう。

 

~世界遺産の隠れ宿~果実の森

夏から秋にかけての時期には、敷地内の庭園で桃やりんごなどのフルーツの収穫体験を実施しています。収穫したばかりのフレッシュなフルーツは、その場で味わえるだけでなく、リクエストすれば食事で堪能することも。

温泉付き客室に地場食材で作る食事、季節のアクティビティと、魅力たっぷりの「~世界遺産の隠れ宿~果実の森」に泊まれば、素敵な旅の思い出をつくれそうですね。

 

~世界遺産の隠れ宿~果実の森

住所
岩手県一関市赤荻笹谷393-6
総部屋数
37室
駐車場
あり(60台・無料)

 

 

厳美渓や一関観光の際は、一ノ関駅周辺をのぞき車での移動がベター。今回ご紹介したスポットを含む市内の観光スポットをお得に移動できるオンデマンド交通「よぶのる一関」の利用も便利です。歴史を感じる遺跡や趣のあるカフェ、贅沢な気分を堪能できる温泉など、厳美渓の周辺には魅力的なスポットが盛りだくさん。週末や連休に、足を運んでみてはいかがでしょうか。 

 

 

 

取材・文/菅原 聡子、星 真知子
撮影/株式会社Harty 佐々木 俊祐、古澤 麻実

 

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