秋から冬にかけてが旬とされるサバ。兵庫県姫路市の坊勢島(ぼうぜしま)では、ブランド魚として人気の寒サバ「ぼうぜ鯖」の水揚げが最盛期に入っています。
今シーズンからぼうぜ鯖の旬を告げる解禁日が設定され、11月1日に初解禁を迎えました。姫路市内の宿泊施設では、ぼうぜ鯖などの地魚や地酒を提供する飲食店で使える1,000円分のクーポン付き宿泊プランを用意するなど、市内全域で秋サバの季節到来を満喫できます。
偶然の発見が生んだ絶品ブランドサバ「ぼうぜ鯖」
「ぼうぜ鯖」の産地・坊勢島は、姫路港から船で約30〜40分の位置にある瀬戸内海の小さな島です。島民約2,000人の7〜8割程度が漁業関係に従事し、島内の漁船数は実に800隻以上。1漁港当たりの漁船数が日本一の規模と言われる漁業の島です。
島では、春の味覚として「白鷺(しらさぎ)サーモン」や「華姫(はなひめ)さわら」、夏には「白鷺鱧(しらさぎはも)」、冬は「ぼうぜがに」など、数多くの水産ブランドを持っていて、秋が旬の「ぼうぜ鯖」もそのひとつです。
ぼうぜ鯖誕生の背景を紐解くと、島内で行われているアジの畜養に、よくサバが紛れ込んでいたことがそもそもの始まりだったそうです。
そのサバを地元の漁師たちが食べてみると、予想以上に美味だったことから、「これはチャンスかもしれない」と、2001年からサバの本格養殖に着手。全国のブランドサバの先駆けとして育成の研究が重ねられ、2022年に商標登録へと至りました。
ぼうぜ鯖の最大の特徴は「天然」と「養殖」のハイブリッドという点。例年5〜6月に播磨灘を回遊する真サバの稚魚を捕獲し、海上の大型いけすに入れ、自然界に近い環境下で約半年間養殖・育成します。
ぼうぜ鯖の養殖では、天然サバの成育環境と同様にイワシなどが主な餌として用意され、天然サバに負けないうまみと養殖サバ特有の脂のりという、まさに「良いとこ取り」の味を楽しめるのです。
また、アニサキス対策として一度冷凍処理された餌のみを与えているため、天然サバでは避けられない寄生虫のリスクが限りなくゼロに抑えられているそう。
さらに、サバは人の体温でもやけどすると言われるほどデリケートな体表を持つため、捕獲から畜養、出荷まで、一貫して人の手が触れないよう品質管理も徹底されています。
“足が速い”サバを新鮮な状態で味わえる地元・姫路へ
ぼうぜ鯖は、天然サバと同じく11〜2月頃に旬を迎えます。「最も脂のりが良くおいしい時期に味わってほしい」という思いから、坊勢漁業協同組合では2024年からぼうぜ鯖の解禁日を設定。
初年度となる今シーズンは11月1日に解禁を迎え、姫路市内の飲食店でぼうぜ鯖の提供がスタートしています。
「鯖の生き腐れ」とのことわざがあるように、サバは足が速い(腐りやすい)ことで知られます。そのため鮮度が良いぼうぜ鯖を食すには、やはり産地の姫路に足を運ぶのが一番。
とりわけ新鮮な状態だからこそ楽しめる刺身は、脂がのっていて臭みもない、まさにぼうぜ鯖の真骨頂と言える食べ方です。そのほか、刺身とはまた違った食感でさっぱりとした味わいがたまらないしゃぶしゃぶも地元では親しまれていて、姫路を訪れた際にはおすすめです。
また、播州平野は山田錦の全国生産量の8割を占め、良質な酒米と水に恵まれた環境から、姫路にはおいしい地酒もそろっています。
ぼうぜ鯖のシーズン中、姫路市内の宿泊施設では、地魚や地酒を扱う飲食店で利用可能な1,000円分のクーポン「地魚・地酒千円クーポン」が付いた宿泊プランを用意。対象施設のチェックイン時に、1泊につき1,000円分のクーポンがもらえるお得なキャンペーンで、ぼうぜ鯖など姫路で水揚げされた魚や地酒を楽しめるチャンスです。
※クーポンの配布は1回の宿泊予約で最大3枚まで
※1人1回につき、3,000円分(3枚)まで利用可能(クーポン利用額以上の支払いのみに利用可能)
ぽってりと脂がのったぼうぜ鯖のとろけるような食感は、寒くなる季節にはたまらない至福の味覚。観光はもちろん、出張などビジネスで姫路を訪れた際も、仕事から解放された夜には地元の食事処ののれんをくぐり、秋冬ならではの海の幸に舌鼓を打ってみてはいかがですか?
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