都内から電車とバスで約2時間半と、意外とアクセスしやすいのが茨城県の「国営ひたち海浜公園」。特に例年4月中旬~ゴールデンウィーク(GW)の頃に見られる、あたり一面を青に染めるネモフィラは人気が高く、GW周辺のピーク時期は多い日で10万人もの観光客が訪れるといいます。そこで今回は、大混雑のGWでも楽しめるコツや穴場スポット、おすすめの訪問時間帯など「GWのひたち海浜公園必勝法」をご紹介いたします。
「みはらしの丘」に咲き誇るネモフィラの花が大人気!
国営ひたち海浜公園(以下、ひたち海浜公園)は、茨城県ひたちなか市の太平洋岸にある都市公園。有名な春のネモフィラと秋のコキアをはじめ、夏はヒマワリやジニア、冬から初春にかけてはアイスチューリップに早咲きスイセン……と四季を通じて色とりどりの花々が楽しめるようになっています。中でも4月中旬から5月上旬にかけて咲き誇るネモフィラは必見! 園内の「みはらしの丘」一面を青く染める約450万本のネモフィラを一目みようと、県内外からたくさんの観光客が訪れる大人気スポットです。
ただ、そんな美しいネモフィラですが、満開の時期は大混雑! 特にGWに見頃の時期が重なると混雑度はさらに増します。一昨年は、ピーク時はなんと1日に約10万人が同園を訪れたのだとか。同園では毎年、「ネモフィラハーモニー」の開催時期が近づくと、公式サイトで開花予想やその日の花状況を公開しているので、こうした情報を参考に旅行プランを考えるといいでしょう。
ひたち海浜公園は都内から日帰りで訪れることも可能なため、ピーク時期の日中は園内だけでなく周辺道路も渋滞になるほどの混雑ぶり。そこで今回ご紹介するのは「勝田・水戸で前泊し、繰り上げ開園後早めの時間帯に入園する」という方法。例えば、前日に勝田駅や水戸駅周辺を観光し、一泊して早朝のひたちなか海浜鉄道で同園最寄りの阿字ヶ浦駅へ向かい、午前中の早い時間帯に同園を見学する……というルート。次からはこのルートを前提に、ピーク時期のひたち海浜公園を楽しむための方法をご紹介します。
ひたち海浜公園「みはらしの丘」へ好アクセス!「ひたちなか海浜鉄道」
ひたち海浜公園への玄関口となるのは、JR常磐線とひたちなか海浜鉄道湊線とが運行している「勝田駅」。ここから終点の阿字ヶ浦駅まで「ひたちなか海浜鉄道湊線」で移動します。GW時期も運行スケジュールに変更はなく、平日は朝5時半から運行しています。土日祝日は一部運休になるため、GWに乗車する場合は、事前にひたちなか海浜鉄道の公式サイトで時刻表を確認しておくと安心です。
また、勝田駅からは通常、ひたち海浜公園西口・南口までバスで移動するルートがあります。その際は勝田駅東口2番乗り場から乗車し、「海浜公園西口」までは約15分。「海浜公園南口」までは約20分です。ネモフィラが見頃となる4月20日~5月6日には、期間限定の直行バスも運行する予定で、勝田駅東口~海浜公園西口を結びます。
ひたちなか海浜鉄道が発着する1番線ホームは、JR常磐線2番線ホームの水戸方面の一部を使用しています。湊線は勝田駅から終点の阿字ヶ浦駅まで10駅に停車します。
勝田駅の駅名標。ひたちなか海浜鉄道の各駅に設置されている駅名標は、ひたちなか海浜鉄道湊線や大学教員、アーティストなどによる現代アートプロジェクトの「みなとメディアミュージアム」で制作されたアート作品で、駅によって異なるデザインが描かれているのが特徴です。勝田駅の場合は、勝田駅前のビル群とひたちなか海浜鉄道のシンボルの日の出が描かれています。
4人掛けの座席が並ぶ、ひたちなか海浜鉄道湊線の車内。窓からは広々とした田園風景や木々の間を走り抜ける景色が眺められるなど、ローカル鉄道ならではの旅情が満喫でき、気分が高揚すること必至!
おすすめは、車内後方の横並びの座席。広々とした窓からは遠ざかっていく景色が楽しめます。
終点の阿字ヶ浦駅までの乗車時間は約26分。駅名標には周辺の温泉や、釣り針と海藻、茨城県の代表的な食材のあんこうが描かれています。駅名標はどの駅も可愛らしいデザインなので、各駅に停車の際、撮影してコレクションしてみるのも楽しいかもしれません。
終点の阿字ヶ浦駅には小さな駅舎があるのみで、駅前も店などはなく、ほのぼのとした一帯。ネモフィラが見頃となる時期は、ここから無料の臨時シャトルバス「ネモフィラシャトルバス」がひたち海浜公園の海浜口まで毎日運行します。2019年の運行期間は4月13日から5月12日までを予定しています。
写真はGW時期の阿字ヶ浦駅前。「ネモフィラシャトルバス」は阿字ヶ浦駅前から発車します。2019年は、1日に最大70人が乗車できるバスを含め、15本程度が運行する予定です。「ネモフィラシャトルバス」の阿字ヶ浦駅の始発は7時23分。勝田駅を6時53分に発車するひたちなか海浜鉄道湊線に乗車すると阿字ヶ浦駅に7時20分に到着するので、到着後すぐにシャトルバスに乗り込める……というわけです。なお、阿字ヶ浦駅からひたち海浜公園の海浜口までは、当日の道路状況にもよりますが、約10~15分といったところでしょうか。
シャトルバスは、ひたち海浜公園の中でもネモフィラが咲く「みはらしの丘」に最も近い、海浜口ゲート前に到着します。右奥にみえる券売機で入園券を購入してゲートから入り、ネモフィラが咲き誇る「みはらしの丘」を目指します。入園料金は大人450円、2日通し券は500円。中学生以下は入園無料で、65歳以上は210円となっています。
海浜口から「みはらしの丘」を目指そう
さて、海浜口ゲートから入園したら、いよいよネモフィラが咲く「みはらしの丘」を目指します。海浜口ゲートから「みはらしの丘」までは、徒歩約10分といったところ。ゲートから写真右奥にみえる道を、ひたすら右方向へ進んでいきます。
園内にはいたるところに道案内の標識が設置されているので、迷う心配はありません。「みはらしの丘」へは園内を右へ右へと進んでいくイメージです。
歩き始めて7~8分で、前方に高い塔のようなものが見えてきます。ここまで来れば、「みはらしの丘」はもう目の前!
写真は2月下旬の「みはらしの丘」。4月中旬には、視界が一面ネモフィラの青に染まります。
くねくねと曲がりくねった道を上っていきます。
3~4分ほど歩くと、見晴らしのいい広場に到着。広場からは広々とした園内の風景や太平洋などが見渡せ、開放的な気分が味わえます。
実はこの「みはらしの丘」は、ひたちなか市内で一番標高の高いエリア。丘の頂上の標高は58メートルとなります。
ネモフィラだけじゃない! ひたち海浜公園の楽しみ方
ネモフィラと秋のコキアが有名なひたち海浜公園ですが、春の名物はネモフィラだけではありません。特に女性客に人気というスポットが、西口・翼のゲートから近くの「スイセンガーデン」と「たまごの森フラワーガーデン」。「スイセンガーデン」では3月下旬からネモフィラが咲き始める4月中旬まで、約550品種100万本のスイセンが咲き、黄色のじゅうたんを作り出します。
こちらは「たまごの森フラワーガーデン」のチューリップ。見頃は4月中旬〜4月下旬と、ネモフィラの時期にもぴったり重なります。約230品種25万本ほどの色とりどりのチューリップが咲き誇る姿は幻想的な趣すら漂わせています。
開花状況をこまめにチェック!
2019年のGWは4月27日から10連休。ネモフィラがピークを迎えるのは4月中旬から5月上旬までの3週間ほどなので、4月下旬~5月上旬のGWの時期には大勢の観光客で賑わうことが予想されます。ただ、必ずしもGWが混雑のピークとは限らず、ひたち海浜公園職員の方によると、花の開花状況が影響してくるのだとか。同園では4月に入ってから、公式サイト(外部リンク)で開花状況を公開しているので、こまめにチェックしてみるのがおすすめです。
混雑しにくいおすすめの時間帯はいつ?
ネモフィラの見頃時期に合わせて例年開園時間が繰り上げとなり、早朝7時半からオープンする予定です。繰り上げ開園が実施されるのは、2019年は4月27日~5月6日の期間。ですので、たとえば勝田駅を早朝6時53分に発車するひたちなか海浜鉄道で阿字ヶ浦駅に7時20分に到着し、7時23分発のシャトルバスで海浜口へ……という「朝イチプラン」も可能です。
ただ、開園時刻は例年、大勢の観光客で混み合うため、おすすめは早朝の混雑がひと段落する、午前8時半~9時半ごろ。また、夕方も観光客が帰り始めるので狙い目ですが、17時閉園なので、ネモフィラに絞って見物するとしても1時間半はみておきたいところ。園内はとにかく広いので、時間に余裕を持って計画を練ることをおすすめします。
ひたち海浜公園でおすすめの休憩スポットは?
開園面積約200ha、東京ドーム43個分に相当するという、とにかく広大なひたち海浜公園。当然ながら、散策には相応の時間がかかるため、どこかで休憩をいれつつ楽しみたいもの。そこで、ここでは園内のおすすめ飲食スポットをご紹介します。まず押さえておきたいのが、「みはらしの丘」から徒歩約6~7分のところにある「記念の森レストハウス」。ここは2017年の3月にリニューアルオープンしたした「記念の森」の中にたたずむカフェテラスで、木を効果的に使った店内は落ち着いたトーンでまとめられたおしゃれな雰囲気。カウンター席からは木々が眺められ、大自然の中にいるような感覚でくつろぐことができます。
おすすめは通年楽しめるノンカフェインの「ネモフィラブルーティー」(500円)や、オリジナルのブレンドコーヒー「海浜公園ブレンド」(ホット450円、アメリカン400円)など。ひたちなか市に本店を構える「サザコーヒー」の協力を得て、トレーニングを受けたバリスタが、丁寧に一杯ずつハンドドリップで淹れたコーヒーを楽しめます。
爽やかな香りが特徴の「ネモフィラブルーティー」は、レモングラスと青い花のハーブ・バタフライピーのハーブティーで、ティーパックを入れてから数分待つと、カップの中で色がブルーに変化していく様子が楽しめます。同店では、ほかにも抹茶ラテ(550円)や「豆乳ラテ」(同)、「カフェラテ」(480円)など、さまざまなラテ類も充実しているので、ぜひお気に入りのメニューを探してみてください。
今回はもう一店、休憩にぴったりの場所をご紹介します。ここ「グラスハウス」は、海浜口そばにある海が見えるガラス張りのカフェテラス。「みはらしの丘」からは距離があるため、実は穴場のスポットなのだとか。ここでも「ネモフィラブルーティー」が楽しめるほか、フォンダンショコラ(400円)やかぼちゃのチーズケーキ(同)などのスイーツ、ナポリタン(640円)などのフードも味わえます。
カフェからは手前の池ごしに太平洋がのぞめ、景観も抜群! 「みはらしの丘」からは少々遠いですが、海浜口から帰る際はぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
現地で見つけよう! 「ネモフィラ」コラボ商品いろいろ
実は「ネモフィラコラボ」商品は、ブルーティーだけではありません。ひたち海浜公園ではネモフィラにちなんだ商品を多数手掛けており、ここではその一部をご紹介します。
まず筆頭が、一目見たら忘れられない強烈なビジュアルの「ネモフィラカレー」(800円)。見慣れたカレーがネモフィラの青一色に染まっており、インスタグラムなどに思わずアップしたくなってしまうインパクト! 園職員の方によると、「みはらしの丘」をイメージして作られたそうで、言われてみればたしかに丘っぽいかも? 味はローズポーク入りの甘口カレー。このメニューはネモフィラの季節限定で、今年は4月1日から提供を開始します。中央ゲート近くの「ガーデンレストラン」で食べられますので、ぜひチャレンジしてみてください。ちなみに、レストラン近くの売店「ショップサンサン」ではお土産用のカレー(480円、4月1日より550円に改定)も販売しています。
続いてはこちら、「ネモフィラブルーラテ」(550円)。バタフライピーで色付けしたラテで、もちろん色はネモフィラをイメージしたもの。こちらは前出の「記念の森レストハウス」でネモフィラの季節限定で登場します。そのほか、ソフトクリーム「ネモフィラブルーソフト」(400円)もおすすめ。「みはらしの丘」そばに設置される特設の売店で買うことができますので、ネモフィラ見物のあとにでも、チェックしてみてください。
広大な園内を移動するコツは?
広大な園内を効率的に回るコツは、レンタルサイクルを利用すること。園内には専用のサイクリングコースが用意されており、快適に移動することができます。自転車が借りられるサイクルセンターは中央、西、南、海浜口の4か所にあり、料金は大人が3時間400円。1か所のサイクルセンターで約300~400台を用意しています。ただ、繁忙期になると開園早々にすべて借りられてしまい、最短で30分、長ければ2時間程度待つこともあるので、時間に余裕を持って計画に組み込みましょう。
国営ひたち海浜公園
- 住所
- 茨城県ひたちなか市馬渡字大沼605-4
- 開園時間
- 9:30~17:00(4月27日~5月6日は7:30開園)
- 休園日
- 3月23日~5月31日は毎日開園 ※通常は毎週月曜(祝日の場合は翌日の火曜)、12月31日、1月1日、2月の第1火曜からその週の金曜まで
- 電話番号
- 029-265-9001
- アクセス
- 4月13日~5月12日はひたちなか海浜鉄道湊線阿字ヶ浦駅から臨時シャトルバスで約10分
前泊して勝田&水戸観光も楽しもう!
朝イチでひたち海浜公園に遊びに行く前に、せっかくだから前泊する勝田や水戸も楽しみたいもの。そこで、最後に水戸や勝田での魅力的な観光スポットを紹介します。まず勝田駅周辺でおすすめしたいのは、丁寧に淹れた本格コーヒーが楽しめる「サザコーヒー本店」。勝田駅から徒歩約7~8分と好立地にある、南米・コロンビアなどで自社のコーヒー農園を経営する人気コーヒー店です。先ほど紹介した「記念の森レストハウス」で提供されているコーヒーも、こちらの店の協力を得ているもの。
豊富なメニューの中でも、お店の一番人気は深煎りのフレンチローストのコーヒーと温かいミルクがセットになった「徳川将軍珈琲」(720円)。徳川慶喜公がコーヒーにミルクを入れ、カフェオレにしながら飲むことを好んだという逸話に基づいて考案されたメニューで、コクのある濃いめの味とミルクを入れてまろやかになった味の両方が楽しめます。
店内は広々としてゆったりくつろげる造り。すべて自家製というケーキ類もバラエティ豊かで、こだわりのイチゴとカステラを使った「カステラショートケーキ」(600円)が人気です。
サザコーヒー本店
- 住所
- 茨城県ひたちなか市共栄町8-18
- 営業時間
- 10:00~20:00
- 定休日
- なし
- 電話番号
- 029-270-1151
- アクセス
- ひたちなか海浜鉄道湊線勝田駅から徒歩約7~8分
水戸では、ちょっと足を伸ばして偕楽園に行ってみましょう。偕楽園は天保13(1842)年に水戸藩第九代藩主徳川斉昭によって造園されたという、長い歴史を持つ観光地。金沢の兼六園、岡山の後楽園とならぶ「日本三名園」のひとつに数えられています。
梅の名所としても知られる偕楽園。GWごろには梅の時期は過ぎていますが、キリシマツツジやドウダンツツジなど約380株が咲き誇ります。
偕楽園
- 住所
- 茨城県水戸市見川1-1251(公園管理センター)
- 開園時間
- 6:00~19:00(2月20日~9月30日)
7:00~18:00(10月1日~2月19日)
- 電話番号
- 029-244-5454
- アクセス
- JR常磐線水戸駅下車、水戸駅北口より偕楽園行きバスで約20分
ひたち海浜公園の春の目玉、ネモフィラ。視界一面を青く染めるその美しさは、やはり生で見たいもの。GWはその美しさを一目みようとたくさんの観光客が訪れますが、比較的スムーズに過ごせる方法を調べてから向かえば大混雑も怖くありません。夏は緑、秋は赤のコキアがカラフルな風景を作り出し、冬から初春はアイスチューリップや早咲きスイセンが園内を彩り……と、見どころ満載のひたち海浜公園。GWはもちろん、そのほかの季節にも訪れたいスポットとして「ひたち海浜公園」を加えてみてはいかがでしょうか?
取材・写真・文/カワハタユウタロウ
※掲載内容は公開時点のものです。ご利用時と異なることがありますのでご了承ください。
※表示価格はすべて税込価格です。
※掲載画像は過去の開花時のものです。