源氏物語起筆の地として知られる滋賀県大津市。2024年大河ドラマ『光る君へ』では、放送が終わるたびにSNSで話題になります。「でもどこに行ったらいいの?」「効率よく観光名所を回りたい!」という人のために、おすすめモデルコースをご紹介します。
目次
10:00 まずはここから!紫式部が源氏物語を書き始めた「石山寺」
まず向かうのは、大本山 石山寺。紫式部が『源氏物語』を書き始めた場所として知られています。最寄り駅は京阪石山寺駅。東京から向かう場合は3時間弱で行けるので、少し早起きして直接向かってもよいですし、ホテルで一泊した後に朝早くから訪れるのもおすすめです。京都駅からは30分あまりで着くので、京都からの観光にもぴったり。
こちらが京阪石山寺駅。駅の壁面には石山寺所蔵の紫式部の絵が大きく飾られていました。ホームの屋根や柱などはすべて紫一色。駅に到着時からテンションが上がります! 石山寺への道中では、同じく紫式部の絵が全面に描かれた郵便ポストや垂れ幕なども見つけることができました。
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徒歩約10分
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時は寛弘元(1004)年。観音信仰が盛んだった当時、西国観音霊場を巡拝し、参籠(さんろう)する貴族や文学者が多かったようです。紫式部もその一人で、新しい物語を執筆するため石山寺に7日間こもっていたのだとか。石山寺の一室から琵琶湖に映る十五夜を眺めていたときに『源氏物語』の構想をひらめき、筆を走らせ始めたと言われています。
紫式部がこもったとされる、「源氏の間」がこちら。
紫式部の息遣いまで聞こえてきそう。本堂の周りや境内を散策していると、至るところで美しい木々や花々を望むことができます。式部も同じ景色を見ていたのかと思うと、感動もひとしおです。
また、3月16日からは「石山寺と紫式部展」も開催されます(2024年12月1日まで)。紫式部の足跡をたどる、趣深い時間をぜひじっくりと味わってくださいね!
大本山 石山寺
- 住所
- 滋賀県大津市石山寺1-1-1
- アクセス
- 京阪電車 石山寺駅から徒歩約10分
- 参拝時間
- 8:00~16:30(最終入山 16:00)
- 料金
- 石山寺入山料/大人・中高生600円、小学生250円
石山寺入山セット券(入山・本堂内陣拝観)/大人・中高生1,000円、小学生・未就学児 無料
10:45 大河ドラマの世界へ!「光る君へ びわ湖大津 大河ドラマ館」
さらに、大河ドラマファンなら見逃せない催しが2024年1月29日から2025年1月31日まで開催されています。
ひとつは、「光る君へ びわ湖大津 大河ドラマ館」。ドラマの世界を体感できる展示や映像を石山寺明王院でじっくり堪能できます。
主人公の紫式部(まひろ)演じる吉高由里子さんが実際に身に着けていた衣装や撮影で使われた小道具が展示されており、ドラマの世界に迷い込んでしまったような錯覚に。
登場人物の相関図や説明、出演者たちの直筆サインも飾られていました。また、独自インタビューやメイキング映像が見られる4Kシアターも。大河ドラマの世界を思う存分楽しめます。
光る君へ びわ湖大津 大河ドラマ館
- 開館期間
- 2024年1月29日(月)~2025年1月31日(金)
- 開館時間
- 9:00~17:00(最終入場16:30)
※期間中は原則無休 - 会場
- 石山寺境内 明王院(滋賀県大津市石山寺1-1-1)
- アクセス
- 京阪電車「石山寺」駅から徒歩約10分
- 入館料
- 大人(中学生以上)600円/小人(小学生)300円/未就学児 無料
※源氏物語 恋するもののあはれ展と共通 - 主催
- 大津市大河ドラマ「光る君へ」活用推進協議会
11:15 平安時代の恋を令和風に描く!「源氏物語 恋するもののあはれ展」
明王院のすぐ隣、世尊院では「源氏物語 恋するもののあはれ展」が同時開催されています。こちらでは、色・花・香りを通して平安時代の文化を体感できるスペースと、イラスト&音楽で『源氏物語』の和歌が表現されたスペースが。
新しいのにどこか懐かしいレトロな雰囲気が漂う素敵なイラストは、人気イラストレーター日菜乃さんによる描き下ろし。和歌の内容を令和風に解釈、表現されています。いつの時代も変わらない、恋する気持ちに胸がぎゅっと切なくなってしまいました。
会場内に流れていたのは、注目のバンド・あたらよのオリジナル楽曲。いつまでも聴いていたくなる澄んだ歌声は、日菜乃さんのイラストにピッタリ。
会場で撮影した写真をSNSにアップすると、展示イラストのシールがもらえる来場者限定特典もあるので、こちらもぜひチェックを。
源氏物語 恋するもののあはれ展
- 開館期間
- 2024年1月29日(月)~2025年1月31日(金)
- 開館時間
- 9:00~17:00(最終入場16:30)
※期間中は原則無休 - 会場
- 石山寺境内 世尊院(滋賀県大津市石山寺1-1-1)
- アクセス
- 京阪電車「石山寺」駅から徒歩約10分
- 入館料
- 大人(中学生以上)600円/小人(小学生)300円/未就学児 無料
※光る君へ びわ湖大津 大河ドラマ館と共通 - 主催
- 大津市大河ドラマ「光る君へ」活用推進協議会
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徒歩約10分+電車「石山坂本線」坂本比叡山口行き約20分+徒歩約5分
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12:15 三井寺の正面にある「れすとらん風月」で名物料理に舌鼓&お土産選び
続いては、石山寺から移動時間35分ほどで行ける三井寺(みいでら)へ向かいます。
……とその前に、ちょうどお昼時なのでお腹を満たすのが先! 三井寺正面にある「れすとらん風月」でランチをすることにしました。
迷った末に注文したのは、「点心三井の晩鐘」(2,500円)。三井寺を象徴する「三井の晩鐘」をかたどったお重は三段重ねです。
一の重は、里芋や近江八幡名物赤こんにゃくなどの煮物。二の重はお刺身、三の重は鮭や海老などの焼き物と笹の葉にくるまれたお餅。見た目も鮮やか、味も上品でおいしい!
「三井寺力餅」(600円、テイクアウトは6本780円)。三井寺と弁慶の怪力にちなんで生まれた餅で、たっぷりかかった黄緑色のきな粉は青大豆と抹茶がブレンドされています。上品な甘さでペロリと食べてしまいました。
もうひとつ、れすとらん風月の名物と言えば「三井寺ひきづり鐘まんじゅう」です。
三井寺初代の梵鐘「弁慶の引き摺り鐘」をモチーフにした自家製のお饅頭(1個130円)。毎日店内で丁寧に焼き上げられていて、生地とこしあんの甘みが最高のハーモニーを奏でます。こしあんと季節限定の桜あん、栗あんの3種類。こちらはお土産として持ち帰れます。
お腹もいっぱいになったら、次はお土産選び! 源氏物語に関連したアイテムを見つけたので、ご紹介します。
左が「源氏窓」(小920円、大1,750円)。石山寺の「源氏の間」の窓をかたどったお干菓子。阿波徳島の和三盆と葛が使用されています。
右は、「夢恋の月 紫いもタルト」(780円)。紫いものクリームとタルト生地がピッタリの組み合わせ。
こちらは『光る君へ』の御朱印帳(2,500円)。左は藤原道長、右は紫式部をイメージした紫色を基調としている美しいデザインです。これを機に、御朱印集めを始めてみるのもいいですね。
お腹も心も満腹になったら、三井寺へ向かいましょう!
れすとらん風月
- 住所
- 滋賀県大津市園城寺246
- アクセス
- 京阪電車 三井寺駅から徒歩約5分
- 営業時間
- 9:00~17:00
- 定休日
- 年末不定休
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徒歩約3分
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13:00 紫式部の父・藤原為時が出家した「三井寺」
三井寺は、紫式部の父である藤原為時が70歳を過ぎて出家したと言われているお寺です。さらに、親戚のなかにも三井寺の僧侶になった人がいるのだとか。
境内にある本堂 金堂では、現在大河ドラマ『光る君へ』放映記念として「三井寺 紫式部と三井寺展」が開催されています。源氏物語の注釈書きである「源氏物語湖月抄(こげつしょう)」や「小倉百人一首」など、すべて初公開の展示物ばかり。料金は無料ですので(入山料は必要)、ぜひ貴重な資料の数々に触れてみてくださいね。
また、近江八景のひとつ「三井の晩鐘」として知られる巨大な梵鐘も見逃せないスポット。この鐘、先ほど「れすとらん風月」で見た鐘と同じです!
おみくじも「三井寺鐘みくじ」。引いたおみくじを御籤鉢(みくじばち)に漬けると、中央部分に番号が浮かび上がってくるのだそう! その番号を受付で伝えて、運勢が書かれたおみくじを受け取るというユニークなスタイルです。時間に余裕があれば、ぜひこちらもチェックを。
本朝四箇大寺 三井寺
- 住所
- 滋賀県大津市園城寺町246
- アクセス
- 京阪電車 三井寺駅から徒歩約7分
- 参拝時間
- 8:00~17:00(最終受付 16:30)
※年中無休、文化財収蔵庫は8:30~16:30(受付終了16:00) - 料金
- 大人600円、中高生300円、小学生200円、未就学児 無料
三井寺 紫式部と三井寺展
- 開催期間
- 前期 2024年1月29日(月)~2024年7月31日(水)
後期 2024年10月1日(火)~2025年1月31日(金) - 開催場所
- 本堂 金堂(国宝)
- 料金
- 無料(入山料は必要)
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徒歩約5分
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14:00 「大津市歴史博物館」で『源氏物語』の世界をさらに深掘る!
三井寺から徒歩約5分、最後に立ち寄ったのは「大津市歴史博物館」です。こちらでは、特集展示「源氏物語と大津」が開催されています。
紫式部や『源氏物語』にゆかりの深い資料が1階、2階、そしてロビーにも並ぶ様は圧巻です。また、展示品は約1年間の期間中6期にわけて展示替えを予定しており、訪れるたびに新しい資料が見られる点も注目。
常設展示室内のビデオシアターでは、源氏物語と大津をテーマにした動画が放映されていて、思わず見入ってしまいます。
ロビーにも楽しい展示がいっぱい。石山寺の「源氏の間」を再現したコーナーでは、十二単を来て記念撮影もできます。紫式部になりきってみてはいかがですか?
四季折々の『源氏物語』の世界が体感できるデジタルコンテンツも必見です。小さなお子さんも楽しめそう。
もっともっと『源氏物語』について知りたい人は、今回の特集展示パンフレットがおすすめ。また、オリジナル缶バッジのガチャガチャもありました。旅の記念にぜひ。
※掲載写真は過去開催時のものです。
大津市歴史博物館
- 住所
- 滋賀県大津市御陵町2-2
- アクセス
- 京阪電鉄 石山坂本線「大津市役所前(旧駅名:別所)」駅下車徒歩約5分、JR湖西線「大津京」駅下車徒歩約15分
- 開館時間
- 9:00~17:00(展示室への入場は16:30まで)
- 休館日
- 月曜(祝日を除く)・祝日の翌日ほか
- 観覧料
- 一般330円/高校生・大学生240円/小学生・中学生160円
- 特集展示 源氏物語と大津
- 開館期間:2024年1月10日(水)~2025年2月2日(日)
15:00 「ホテルテトラ大津.京都」で源氏物語の世界観を味わう
せっかくならホテルも紫式部にちなんだプランを選びませんか?「ホテルテトラ大津.京都」は、大津駅南口に直結しているので、アクセス抜群!源氏物語が生まれた地・大津市を回ったあとは、大津産の鮎の塩焼きなど地元の食材を使った松花堂の弁当「源氏物語」を夕食でいただけます。
チェックアウト翌日は、宿泊プランに付いてくる京都市内の地下鉄・市バス一日乗車券を使って日本の古都・京都を巡りましょう。
トータル5時間、『光る君へ』の世界がたっぷり味わえるモデルコースはいかがでしたでしょうか。この旅を機に、もっともっと『源氏物語』のことを知りたくなること間違いなしです。魅力いっぱいの大津市に、ぜひ一度足を運んでみてくださいね。
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取材・撮影・文/水谷映美