東京にいながらも一歩足を踏み入れると、別世界へ誘ってくれるラグジュアリーホテル。ウォーターフロントにそびえる「コンラッド東京」も、日本を代表するラクジュアリーホテルです。
浜離宮恩賜庭園や東京湾とそこにかかるレインボーブリッジを一望できる絶好の眺望。都内最大級を誇る広々とした客室と、数々の賞を受賞するシェフの料理……。最上級の環境で過ごした、1泊2日の極上ステイをレポートします。
東京の魅力を存分に満喫できる、最高のロケーション
コンラッド東京は、JR「新橋」駅や大江戸線「汐留」駅と直結し、東京駅からも電車でわずか約10分の距離にあるビルの、28~37階に位置します。東京屈指のビジネス街・丸の内、旅のハブとなる東京駅、銀座をはじめとした観光やショッピングエリアへも好アクセス。
コンラッド・ホテルズ&リゾーツは、世界でも指折りのホテルグループ「ヒルトン」のラグジュアリーブランド。世界5大陸に40軒以上のホテルを展開しています。ここ、コンラッド東京は、コンラッド・ホテルズの格式と和のデザインの融合がコンセプト。それをベースにした最上級の空間づくりやおもてなしが世界の人々を魅了し、数々の受賞歴を持ちます。
気鋭の日本人アーティストの作品と一体化した空間
さっそく、ホテルのエントランスをくぐると、一気に静寂した世界に。ひときわ目を引くのが、フロアの中央に配置された朱色のアート。こちらは、アーティスト田中信行氏による作品「Purification(ピュリフィケーション、浄化の意味)」で、日本の伝統工芸・漆で仕上げられています。
その名の通り、「訪れる人々の心が浄化できる場になるように」という思いが込められているそう。独特のフォルムに誘われ作品の周りをぐるっと一周する人は少なくないそうですが、見る位置によって表情が変わるのもこの作品の特徴です。
エントランスのガラス一面を覆う装飾にも、目を奪われます。これは竹林を模したもので、隙間から入る光で映し出された、壁の影がとても幻想的。時間によって光の差し込み方が変わるので、その時々で違った世界が楽しめます。
コンラッド東京を訪れると、「まるで美術館のよう」という印象を受ける人が多いそうですが、それもそのはず。館内には、日本の気鋭のアーティストの作品が要所に配置されていて、客室内の作品も含めると、その数はおよそ100点にも及ぶそうです。特に、「門」と「墨絵」はアートのキーアイコンになっていて、篠田桃紅(しのだ・とうこう)氏が墨で描いた『人よ』は、そのコンセプトを象徴するものです。
限られたゲストのみが足を運べる最上階フロアで、チェックイン
この日、チェックインに向かったのは最上階37階のエグゼクティブラウンジ。エグゼクティブフロアに宿泊するゲストのみが足を運べる特別な空間で、滞在中いつでも利用が可能です。
人気の席は、眺めのいい窓際です。エグゼクティブラウンジは通路を挟んで2つのフロアがあり、こちらは高層ビルが一望できる「シティビュー」のフロア。汐留のビル群が目の前に立ち並ぶ姿は、まさに都心!圧巻の光景です。
ウェルカムドリンクをいただき、まずは一息。落ち着いたところで、専任スタッフがチェックインの対応をしてくれました。
ラウンジにはビュッフェ形式のアフタヌーンティーも
ラウンジにはコーヒー、紅茶、ソフトドリンクが常時用意されていますが、チェックイン時刻頃の15:00~17:00には、アフタヌーンティーがセットされ自由にいただくことができます。
ビュッフェ台にサンドウィッチやスコーン、ケーキなどがズラリ。メニューは日替わりなので、連泊しても飽きずに楽しむことができるそうです。フードも、スイーツも小腹を満たすのにちょうどいいプチサイズ。チェックイン後にこれらをお供に一息というのが、エグゼクティブラウンジ宿泊者のお決まりコースです。
庭園と東京湾の大パノラマに囲まれた優雅な空間で、アフタヌーンティー
28階の「トゥエンティエイト」でいただくアフタヌーンティーも、この日の楽しみのひとつです。やってきたのは、天井高約8mの窓から入るふんだんな光が空間を通り抜ける、バー&ラウンジ。穏やかで洗練された空気感を作り出しています。
窓際の席からは、浜離宮恩賜庭園、東京湾やレインボーブリッジを一望。37階のラウンジよりも地上が近くなった分、浜離宮庭園の緑がより鮮やかに目に映り、まるで自然と一体化したような感覚に。水面もきらめき、優雅な気持ちに浸れます。
運ばれてきたのは、いちご尽くしのスイーツとセイボリー。2種類のスコーンと、紅茶もセットに。ドリンクは約20種用意されていて、好きなものを好きなだけいただけます。
コンラッド東京のアフタヌーンティーは季節ごとにテーマが変わりますが、2021年12月~2022年2月まで提供されているのが、ハチミツとストロベリーをテーマにした「Bee My Honey(ビー・マイ・ハニー)」ストロベリーアフタヌーンティー(スタンダード1名 6,500円~)。ほんのり渋みの残る栗のハチミツが上品な甘さを引き立てるハチの巣型のレモンクリームが乗ったタルト、ケイジャンスパイスで味つけしたサーモンコンフィとの相性が抜群ないちごのパンのオープンサンドなど、一つひとつが繊細かつ華やかで、食べてしまうのがもったいないと思うほど!
バー&ラウンジ「トゥエンティエイト」
- 営業時間(アフタヌーンティー)
- 11:00~16:30
天井高3mの開放的なゲストルーム。最高の眺望が、ゲストをお出迎え
今回宿泊したのはベッドルームとリビングルームがセパレートになった「エグゼクティブベイビュースイート」。36階のフロアに位置するので、最上階37階のエグゼクティブラウンジへも好アクセスです。
部屋に入ってまず驚いたのが、感激を覚える天井の高さ。約72平米もある広々した客室ですが、天井高が約3mもあり、一層の開放感があります。また、重厚なブラウンと軽やかなベージュが織り成すモダンなインテリアも心地よく、ここにしかない極上の空気感に気持ちも高揚。
そして、なんといっても素晴らしいのが眺望です。天井まで続く大きな窓のカーテンを開けると眼下に広がるのは、緑鮮やかな浜離宮恩賜庭園。さらに、前方には東京湾とレインボーブリッジを擁する絶景が。この迫力ある景色を独り占めできるのも、ウォーターフロントに位置するこのホテルならではです。
部屋の窓際にはパソコンを開いても十分な広さがあるデスクと、機能的なイスがセットされているので、ワーケーションの利用にもぴったりです。
ベッドルームもゆったりとしたつくりに。リビング同様46インチのテレビが、こちらの部屋にも設置されていました。カーペットやベッドヘッドの和を感じさせる木々の絵が、安らぎの時間を紡いでくれます。
ベッドヘッドの梅の木に目を向けると、小鳥がポツンととまっていることに気づきます。これは、彫刻家・小林且典(こばやし・かつのり)
氏が制作した想像上の小鳥「シオドメチドリ」。今にも飛び立ちそうなシオドメチドリは、宿泊するゲストの未来への夢、希望を象徴しているそうです。
ベッドの上では、コンラッド・ベアとコンラッド・キングダックがお出迎えしてくれます。愛らしいこのおもてなしも、コンラッド・ホテルを象徴するサービスのひとつ。「ぜひ、一緒に連れて帰ってあげてください」というメッセージが添えられていました。
コンラッド・ベアは、世界各地のコンラッド・ホテルで用意されているものですが、宿泊地やシーズンによって柄やサイズが異なります。和柄をあしらった体長10cm程度のミニサイズのベアは、現在はコンラッド東京とコンラッド大阪のみで展開されているもの。
長さも深さも充分なバスタブが置かれたバスルーム。レインシャワーも備わっています。洗面台にはシンクがふたつあるのも、うれしいポイント。2人でも、ゆったり使うことができます。アメニティも充実。バスアイテムはもちろんですが、マウスウォッシュやマスク、消毒スプレーなども、揃っていました。
フランス製のバスローブは、動きやすい軽やかな着心地。多くの美容家も愛用している高級ドライヤー「レプロナイザー 4D Plus」も完備されています。
淹れたてのコーヒーが味わえる「ネスプレッソ」や、ラグジュアリーティーブランド「TWG」の紅茶、オリジナルの緑茶のティーバッグなどが、フリードリンクとして用意されていました。
スタンダードルームも都内最大級の48平米。ガラス張りのバスルームも魅力
コンラッド東京のゲストルームは、スタンダードでも都内最大級を誇る48平米。こちらは、36階の「エグゼクティブベイビュールーム」。スイートルームと同様にデスクやチェアもあり、ここならではの絶景が広がる、機能美にすぐれた空間です。
夜は窓の外のきらびやかな夜景を眺めながら、バスタイムを。
ディナーは、クリエイティビティに溢れたモダンチャイニーズ
コンラッド東京には、現在4つのレストランと1つのバー&ラウンジがありますが、どれも、美食家たちをうならせる名店ばかり。今回ディナーをいただいた中国料理「チャイナブルー」が、そのひとつです。
窓際は客室同様、圧巻の眺望。少し早めのディナーならば、次第に夜景へと移ろいでいく美しい情景を楽しむことができます。
約8m先の天井へと続くワインセラーもレストランのシンボル。見上げるほどにどこまでもワインが連なる光景はまるでアートのよう。圧巻の存在感に、思わず息を飲みます。
店内の奥には、3つの個室も。こちらは、2面の大きな窓から東京のベイエリアを望むことができる円卓の個室です。
香港やシンガポールの有名レストランで名を馳せてきた料理長のアルバート・ツェさんが生み出すモダンチャイニーズは、おいしさはもちろんのこと、見た目の美しさもため息もの。一皿一皿美しさを追及した斬新で洗練された料理が、心とお腹を満たしてくれます。
最初にいただいたのは、開業当時から愛され続ける逸品「鴨肉のライスクレープ包み(チャイナブルー北京ダック)」。サンチュ、揚げ湯葉のミルフィーユ、パイナップル、鴨肉を、季節ごとの食材が練り込まれたクレープでくるくると巻いていただきます。パイナップルの自然な甘みと、揚げた湯葉のパリパリとした食感がアクセントとなり、鴨肉のうま味をさらに引き立てます。
こちらは、点心の盛り合わせ。点心というと、せいろに並べられた料理をイメージしますが、サーブされたのはそれとは一線を画したクリエイティビティ溢れる一皿。
茄子と揚げた鱈を、チリソースでいただく一皿。上にトッピングされたのは、竹炭を練り込んだクレープ生地を細く切ったもの。鱈のやさしい風味が、ふわっと口いっぱいに広がります。
コンラッド東京のシグネチャースイーツのひとつ「アボカドムース ココナッツの器で」。
アボカドのムースの上に乗るのは、ココナッツアイスとナタデココ。さっぱりとしたムースと、爽やかでやさしいココナッツの甘さが絶妙なハーモニーを織り成します。
中国料理をベースに、世界各国の技法や食材を取り入れた独創的な料理は感動の連続。豊かな色彩と美しいデザインが、洗練された味わいと共に心に残る大満足のディナーでした。
チャイナブルー
- 営業時間
- ランチ:11:30~14:30(LO 14:00)
ディナー:17:30~21:00(LO 20:00)
※諸般の事情を鑑み、営業時間が変更になる場合があります。 - 料金
- ディナーコース1人14,800円~(アラカルトメニューもあり)
ルームサービスでも、できたての本格的な料理を堪能できる
今回は、レストランでディナーをいただきましたが、ルームサービスが充実していることもコンラッド東京の魅力のひとつです。できるだけ人との接触は避けたい、プライベートな空間を楽しみたいという人は、部屋でのディナータイムもおすすめ。各レストランのシェフが一つひとつていねいに作り上げたメニューをできたてで、部屋まで運んでくれます。
部屋からの夜景を存分に眺めながら、最高級の料理をゆっくりいただくのも素敵なひととき。最高のプライベートな時間になることは、間違いありません。
エグゼクティブラウンジで、夜景をバックにイブニングカクテルを
ディナーのあとは、最上階のエグゼクティブラウンジへ。チェックインのときは「シティビュー」のフロアでくつろぎましたが、今回は、「ベイビュー」フロアを選択。昼間は自然光が燦々と入る明るい空間でしたが、夜になると温かみのある照明に包まれた、落ち着きのある空間にシフト。
18:00~20:00の間、ビュッフェ台には、アルコールやフードが並べられ、自由にいただくことができます。もちろん、このサービスを利用できるのも、エグゼクティブフロア宿泊者のみ。限られたゲストだけの特別な空間で、カクテルを飲みながら今日の思い出を振り返ります。
ノンアルコールカクテルをリクエストすることも可能。鮮やかな青色をしたオレンジ果皮風味のシロップをグレープフルーツジュースとクラブソーダ割った「Shiodome Blue(シオドメ・ブルー)」は、夜景のお供にぴったりです。
外には、やさしい光がほのかに揺らめく都心の夜景が待っています。都会の喧騒をすっかり忘れる静粛の空間にいながらも、ここが東京であることを認識。それと共に、東京の夜景の美しさを改めて実感します。
細やかな気遣いに感動。「ターンダウンサービス」
コンラッド東京のおもてなしのひとつに、ベッドメイクをはじめ就寝の準備をしてくれる「ターンダウンサービス」があります。ラウンジから戻ると部屋の中は、間接照明の温かい光が照らす、リラックスモードの空間に変わっていました。
コーヒーテーブルの上にはTWGのカモミールティーと南部鉄器の茶器が用意されていました。
ベッドの上には上下別でふわふわな肌触りのパジャマが置かれ、さらにベッドサイドには水とグラスも。さり気ない気遣いに、心も安らぎます。
朝食は出来立ての逸品料理が並ぶバラエティに富んだビュッフェ
ホテルステイの楽しみのひとつである朝食は、カジュアルなオールデイダイニング「セリーズ」で。ビュッフェスタイルの朝食がいただけます。都内ラグジュアリーホテル随一のメニューの多さを誇るとだけあって、和食、洋食、エスニックなど幅広い料理がズラリ。
ヨーグルトやドライフルーツ、ビタミンたっぷりのジュースやスムージーなど、ヘルシー志向の人も喜ぶメニューもたくさん。朝の爽やかな光も差し込み、優雅な気分を盛り上げてくれます。
ビュッフェに加え、シグネチャーメニューの中から好きな一品を選ぶことも可能。どれも、オーダーしてから作ってもらえます。
人気メニューは「ロブスターオムレツ」。ふわふわのオムレツの上には、ロブスターの大きな身がごろりと。そこに旨味がぎゅっと詰まったオマール海老のビスクソースを添えた、朝から贅沢な一品です。
オールデイダイニング「セリーズ」
- 営業時間
- 朝食:7:00~10:30
ランチ&ディナー:11:30~18:30(LO 18:00)
スイーツビュッフェ:12:00~16:00
※諸般の事情を鑑み、営業時間が変更になる場合があります。
和の安らぎに包まれた空間。スパ&フィットネスで、体と心をメンテンナンス
月の満ち欠けに合わせた安らぎのスパトリートメント
チェックアウトまでの時間は、29階にある「水月スパ&フィットネス」へ。東京のホテルとしては最大級の約1,400平米の広さを誇るこちらには、スパ、プール、フィットネスジム、スタジオ、ジェットバス、サウナなども完備されています。
和をイメージしたスパの施術室には、ひのき風呂のほか、シャワールームも完備しています。水月スパを代表するコース「ミズキスピリット」では、ひのき風呂でのバスタイムの後、バンブーを使ったオリジナルマッサージで血行を促進し、オールハンドのボディ・フェイシャルトリートメントで全身の活性化を促します。
エッセンシャルオイルは、シグネチャーである「ひのきと柚子」と、すっきりと香る「クロモジ」がセットされていました。安らぎの香りに、体と脳の緊張がほぐれていくのを感じます。
体を動かすなら、開放的なプールと最新マシーン完備のフィットネスへ
25mの室内プールも、宿泊者は無料で利用することができます。天井高約7mの窓にダイナミックなシティビューが広がる開放的なプール。底のタイルは、墨絵をモチーフにしてデザインされているそう。プールサイドのソファでゆっくりくつろぐこともできます。
最新のトレーニングマシーンを完備したフィットネスジムは、24時間利用が可能。Tシャツやハーフパンツ、シューズ、スイムウェアなどの各種レンタル(有料)もできるので、手ぶらでも大丈夫です。
楽しかった滞在のお土産に、コンラッドオリジナルのフレグランス
ラグジュアリーホテルに行くと、その「ホテルの香り」が記憶に残ります。ここ、コンラッド東京のロビーやエレベーターホール、客室フロアの通路などでもふわっと香ってくるのは、オリジナルのエアアロマ「Experience(エクスペリエンス)」。ベルガモットなどの柑橘系に、ラベンダーやバイオレットなどのフローラル系、グレイアンバーとパチョリの香りなどがブレンドされています。宿泊中はいつも、このエレガントな芳香が、心と体を癒してくれました。
この香りのアロマアイテムは、28階のフロントで購入もできるので、楽しかった滞在のお土産に手にしてみては(アロマオイル 4,400円、ルームスプレー 5,500円など)。
ウォーターフロントに位置するホテルだからこその贅沢な眺望、アートと一体化したラグジュアリーな空間、至極の料理の数々、最高のおもてなしを心ゆくまで堪能した2日間。また訪れたい!と思う気持ちと共に、チェックアウトをしました。
日常を忘れてリラックスできるのがラグジュアリーホテルです。ぜひ、東京屈指の最上級ホテルで、眺望を独り占めしながら贅沢な時間を過ごしてみませんか?
コンラッド東京
- 住所
- 東京都港区東新橋1-9-1
- アクセス
- 汐留駅直結、新橋駅徒歩約7分
- 客室数
- 291室
- 駐車場
- 250台 1泊につき3,000円 ※予約不要
写真/布川 航太 取材・文/柿沼曜子