立山黒部アルペンルートでは、2024年4月15日(月)〜6月25日(火)の間、アルペンルートの最高地点、標高約2,450mに位置する室堂エリアを中心に「立山黒部・雪の大谷フェスティバル」を開催しています。
巨大な雪の壁を歩く「雪の大谷ウォーク」を中心に、イベント期間を1stと2ndの2つに分け、コンテンツが盛りだくさん! 会場までのアクセスやイベントの見どころなど、存分に満喫する楽しみ方をご紹介します。
富山と長野をつなぐ「立山黒部アルペンルート」
「立山黒部アルペンルート」とは、標高3,000m級の北アルプスを貫く、富山と長野を結ぶ世界有数の山岳観光ルートです。富山県側の立山町「立山駅」から長野県側の大町市「扇沢駅」まで、ケーブルカーやトロリーバス、ロープウェイなどの乗り物を乗り継ぎながら、雄大な大自然を満喫できます。
富山から?長野から? 立山黒部アルペンルートへのアクセス
立山黒部アルペンルートへのアクセスは、富山側「立山駅」から入るか、長野側「扇沢駅」から入るかで、出発地点までのルートが異なります。東京発着の場合、北陸新幹線か特急あずさの利用が便利です。
富山側からの場合、東京駅から「北陸新幹線」に乗車し富山駅で下車、「富山地方鉄道」に乗り換え、電鉄富山駅から立山駅まで向かいます。(所要時間:約3時間30分)
長野側からの場合、新宿駅から「特急あずさ」に乗車し信濃大町駅で下車。信濃大町駅から「路線バス」に乗車し、扇沢駅まで行くことができます。(所要時間:約3時間45分)
※時間帯によって新宿〜信濃大町の直通がないので、その場合は松本駅まで特急あずさ、大糸線で信濃大町駅まで行く必要があります。
富山/長野のどちらから入っても、その後「立山黒部・雪の大谷フェスティバル」の会場までは乗り物を乗り継ぎ、1時間〜1時間30分かかります。そのため、富山か長野で前泊するのがおすすめです。筆者は富山駅周辺に前泊し、始発に乗って出発したので、会場に9時前に到着しました。
「立山黒部・雪の大谷フェスティバル」とは
「立山黒部・雪の大谷フェスティバル」は、毎年4月15日から6月25日にかけて、立山黒部アルペンルートの立山室堂エリアを中心に開催されるイベントです。各種コンテンツを通して、世界有数の豪雪地帯・立山の魅力を体験できます。
今年は、イベント期間が大きく2つに分けられています。
4月15日〜5月31日の1st STAGEでは「春の立山を楽しもう!」をテーマに、雪壁を崩す体験や雪山に設置されたテラスから景色を眺められるコンテンツを開催。
6月1日〜6月25日は、立山室堂平のメインの観光スポットであるみくりが行け展望台の少し先にある、みくりが池温泉で期
間限定の「みくりが池」カードをゲットするみくりが池ウォークを開催します。
アルペンルート富山側の出発点「立山駅」
今回は富山側からイベント会場に向かいました。立山駅から「立山ケーブルカー」に乗車し、美女平まで向かいます。立山黒部アルペンルートの乗車券は、その都度買うこともできますが、そのまま長野方面に向かうのであれば、通しの乗車チケットを買うのがおすすめです。
立山駅から扇沢駅まで抜ける場合、あわせて6種類の交通手段を乗り換えます。朝のきっぷ売り場は混雑するので、事前にWEBきっぷを購入するとスムーズ。
「立山ケーブルカー」は、立山駅と美女平間の1.3km、標高差約500mを7分かけて一気に登ります。車窓からは低山帯の森林から山岳帯の森林への変化を楽しめます。(所要時間:7分)
美女平到着後、「立山高原バス」に乗り換え、イベント会場のある室堂へと向かいます。美女平から室堂までは23kmの移動。標高差約1,500mの大自然の変化を感じます。(所要時間:50分)
車内ではアナウンスが流れ、車窓からの見どころを教えてくれる他、観賞ポイントが近づくと徐行もしてくれます。
立山黒部・雪の大谷フェスティバルのメインイベント「雪の大谷ウォーク」
立山有料道路を除雪した際に現れる巨大な雪壁「雪の大谷」。その景色を間近に楽しめる雪の大谷ウォークがイベントの目玉です。室堂ターミナルから会場がスタートし、約500mのコースを歩いてめぐります。早速、最高地点目指して出発!
取材日は東京では20度を超える天気でしたが、山の上なので−4度! 日中は日差しも出ていて暖かかったですが、寒暖差があるので防寒対策はしっかりと。
参考までに筆者が着ていた服を紹介すると……インナー、タートルネック、薄手のセーター、折り畳めるダウン、ウィンドブレーカーでした。歩くと暑くなるので脱ぎ着できる服装がおすすめです。
雪の壁の高さに圧倒されます。手を伸ばしても上までは全く届かない……! 迫力があります。
雪壁の断面から調べた降雪時期などの情報も展示されています。どのように雪が降り積もったか、雪壁はどのように作られたかなどを、クイズを通して学べます。
歩くこと10分、ついに最高地点に到着! 13mの雪壁がそびえ立ち、カメラにも中々収まりません。最高地点では、撮影するために多くの人が並んでいるので、この看板と一緒に撮影したい方は列に並びましょう。
バスが通ると、より雪壁の高さがわかりますね。お昼を過ぎると混雑してくるので、なるべく早めに向かうのがおすすめです。
5月6日まで楽しめる「パノラマロード」
雪の大谷の外側に広がる、雪上の遊歩道も開放されます。立山連峰の名峰・剱岳を望むことができる、春の絶景スポットのひとつです。
雪の大谷入り口から200m程歩いたところに入り口があるので、パノラマロードへと入り、パノラマ広場でUターンすると雪の大谷に戻って来ることができます。
除雪車展示やおみくじもある
入り口付近には、雪の大谷を作るために欠かせない、ロータリ除雪車と除雪用ブルドーザの展示もありました。
立山の湧水を使ったおみくじも発見。1回500円で、雪解けの湧水に浸すとおみくじの結果が出てきます。
来場者のための写真撮影サービスもあります。左は無料で、右は雪の大谷の台紙付きで1枚1,500円。旅の思い出にもなるので、撮影してみてはいかがでしょうか。
立山黒部アルペンルートの最高地点「室堂」
室堂ターミナルに戻ったら屋上へ向かい、標高2,450mからの絶景を堪能しましょう。アルペンルートの観光の要として、雪解けが始まる5月下旬頃からはトレッキングを楽しむ人も多く集まります。
360度ぐるりと雪に囲まれていて、その先には大日岳、剣岳、雄山などが広がります。
登山をせずとも、この壮大な景色が見られるのはうれしいですよね。ここを拠点に、バックカントリーを楽しむ人もいて、時折スキーヤー/スノーボーダーが滑り降りてくる姿を見ることができます。
日本の名水100選にも選ばれている「立山玉殿の湧水」。雪解け後のお楽しみということで、6月頃から飲めるようになるそうです。
雪壁をより間近に感じる「雪の回廊」
室堂屋上から立山自然保護センターを結ぶ通路を除雪してつくった、小さい雪の大谷。小さいとはいえ、雪壁の高さは8mを超え、本家よりも通路が狭いので、ダイナミックに感じます。
雲上グルメを楽しむ
室堂ターミナルはレストランや売店も充実しています。SNSでバズった「大谷チュロス」(700円)は、1階「味覚コーナー」で販売。雪の大谷の前で、チュロスを持ってW大谷で撮影してみてはいかがでしょう。
他にも1階には、そばやおやきを提供する「立山そば」、2階には、白エビ唐揚げ丼やアルペンカレーを提供する「レストラン立山」があります。
売店コーナーで限定お土産をゲット
1階、2階にはそれぞれ売店コーナーがあり、お土産や軽食などを販売しています。雪の大谷限定のお菓子もあるので、チェックしてみてください。
防寒具の用意もあるので、軽装で来てしまった……なんて場合は、売店を覗いてみてくださいね。
室堂駅の隣、大観峰駅で「雪のポケット」と「雪のトンネル」をチェック
室堂駅から「立山トンネルトロリーバス」に乗って、大観峰駅に向かいます。3,003mの雄山の直下を貫通している、立山トンネルを走る日本唯一のトロリーバス、ここだけの特別な体験ができます。(所要時間:10分)
大観峰駅に着いたら、屋上展望台へと向かいましょう。黒部湖や後立山の大パノラマを望むことができます。巨大かまくら「雪のポケット」もここにあります。
5月中旬〜6月中旬には、展望台までの通路に積もった雪をアーチ状に除雪した「雪のトンネル」も出現します。フォトジェニックな写真が撮れること間違いなし。
6月1日からは「2nd STAGE」がスタート
「初夏の立山室堂平を歩こう」をテーマに、6月1日〜6月25日に2nd STAGEが開催されます。春から夏にかけて、雪に隠れていた景色や生き物が少しずつ姿を見せはじめます。期間限定の「みくりが池カード」を手に入れてみましょう!
絵葉書スタンプラリー
室堂駅周辺の4カ所に設置されたスタンプを集めると、ひとつの絵が浮かび上がる特別なスタンプラリーです。専用のスタンプ台紙は絵はがきとして利用できるので、大切な方に立山の楽しい思い出を届けることもできます。
専門のスタンプ台紙(絵はがき)は、立山山頂簡易郵便局で販売されています。
初夏の立山室堂の魅力
立山に生息する、国の特別天然記念物「ライチョウ」
立山霊山では昔から「神の使い」とされ、大切にされてきたライチョウ。珍しい鳥なので、普段は中々目にすることができませんが、5月下旬〜6月下旬頃になると、繁殖のために一年で最も活発に動き回ります。
北アルプスで最も美しいと言われる火山湖「みくりが池」
春先は雪に覆われていますが、雪解けが進む6月頃から、室堂ターミナルから遊歩道を歩いていくと、青く澄んだ「みくりが池」が現れます。(片道15分程度)
透き通るような青い湖面とそこに浮かぶ白い氷雪は、初夏にしか見られない風景。水面には 周囲の約3,000m級の山々が映り込んで、見事な景観を観賞できるので、晴れた日にはぜひ足を延ばしてみましょう。
足を伸ばして黒部ダムへ
時間に余裕がある方は、黒部ダムまで足を伸ばしてみましょう。室堂から「立山トンネルトロリーバス」で大観峰へ(所要時間:10分)、その後「立山ロープウェイ」に乗り黒部平へ(所要時間:7分)、さらに「黒部ケーブルカー」へと乗り換え黒部湖に到着します(所要時間:5分)。堰堤を歩いて反対側に行くのに15分ですので、黒部ダムに行くまでであれば、黒部湖でケーブルカーを降りてすぐになります
黒部ダムの観光を楽しんだ後は、行きと同じ道程で帰るか、黒部ダムから「関電トンネル電気バス」に乗り扇沢まで行き(所要時間:16分)、長野側から帰るか検討しましょう。
大迫力の雪壁の間を歩く、貴重な経験のできる「立山黒部・雪の大谷フェスティバル」。イベントが魅力的なのはもちろんのこと、そこまでに至る行程も楽しめます。土日祝は混雑しますので、事前にWEBきっぷの購入を忘れずに。
2024 立山黒部・雪の大谷フェスティバル
- 住所
- 立山室堂エリア(富山県中新川郡立山町芦峅寺室堂)
大観峰エリア(富山県中新川郡立山町芦峅寺大観峰) - 料金
- 無料
※会場までの運賃は別途必要、一部料金が必要なイベントあり - 営業時間
- スポットにより異なる
- 開催期間
- 2024年4月15日~2023年6月25日
- アクセス
- 【電車】富山地方鉄道「富山」駅より「立山」駅まで約1時間
【車】北陸自動車道「立山」ICより「立山」駅まで約40分「立山」駅ケーブルカー乗り場へ - 詳細
- 2024立山黒部・雪の大谷フェスティバル特設サイト
取材・写真・文 加藤あやな
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