提供：ことりっぷ
アートの町、長野県軽井沢にはミュージアムがたくさん。その中に一人の画家の作品を集めた美術館もあります。「軽井沢安東美術館」は画家・藤田嗣治（ふじたつぐはる）の作品のみを集めた美術館で、猫と少女の絵画を中心に展示しています。軽井沢でお気に入りの絵画を探してみませんか。
レンガが目印のガラス張りの美術館へ
レンガがアクセントになったガラス張りの美しい美術館
JR軽井沢駅北口から徒歩8分ほどの場所にある「軽井沢安東美術館」。大通りから外れ、近くには矢ヶ崎公園もある落ち着いた雰囲気のエリアに、2022年10月にオープン。軽井沢のなかでも比較的、新しい美術館になります。
建物の右側が美術館、左側にミュージアムカフェとして「HARIO CAFE 軽井沢安東美術館店」があります。美術館入口にはミュージアムショップも併設。1階にはしゃれたサロンがあり、コレクションの解説動画が流れています。ここではピアノリサイタルが行われることもあるそうです。まずは、中庭を眺めながら、2階の展示室へ向かいましょう。
ヴィンテージのピアノが置かれた「サロン ル ダミエ」。軽井沢の自家焙煎コーヒー店がブレンドしたコーヒーのサービスもあります
藤田嗣治の作品のみを常時鑑賞できるのは国内でもここだけ
展示室2には藤田嗣治が渡仏した時代の作品が並ぶ
「軽井沢安東美術館」は、美術館オーナーの安東夫妻が約20年かけて集めた藤田嗣治の作品のみを展示する私設美術館です。画家の藤田嗣治（1886～1968）は、パリに最も愛された日本人画家といわれています。26歳で渡仏し、藤田の代名詞といわれる「乳白色の下地」という技法で裸婦作品を描き、一躍有名になりました。
美術館のコンセプトは「自宅のような美術館」。安東夫妻が集めた作品をほかの人にも見てほしいということから、安東邸に招かれたようにくつろいで鑑賞できるようデザインや配置になっています。中庭があり、外壁にレンガを用いているのも、緑から始まり、黄、青、赤と展示室がカラフルなのも、安東邸をイメージしているからだそうです。
展示室3には《メキシコの男》（1933 水彩、墨・紙）などが展示されている 
展示室4の中央には《金地の聖母》（1960 油彩・キャンバス）が飾られている
2階にある色鮮やかな展示室は、藤田嗣治の人生を追いながら鑑賞できる構成になっています。最初の緑の部屋は1920年代の初期の作品。ここには透明感あふれる「乳白色の下地」を代表する作品が展示されています。黄色い展示室は中南米や日本にいた時代の作品が主にあり、自画像も飾られています。
青い展示室は戦争に翻弄され、日本に二度と戻らないと決意したあとの作品になります。フランス人「レオナール・フジタ」として生きていくことにし、癒やしを求めて想像上で子どもや聖女、聖母子像を描いていました。展示室も軽井沢彫のベンチを置き、教会のような雰囲気を醸し出しています。
猫と少女に魅了される赤色の展示室
安東邸にいるような展示室。天井にはバカラのシャンデリアも
赤い展示室はリビングをイメージした設えになっています。座って鑑賞できるようソファも置かれています。藤田嗣治の作品に描かれていたヴァンドーム広場の猫に魅せられ、初めて藤田の絵を購入した安東夫妻。以来、猫や少女の作品を中心に集めたそうで、この展示室にはお気に入りの作品がずらりと並びます。
猫の作品は《猫の教室》（1949 油彩・キャンバス）が代表作。猫らしいしぐさや表情を人間のようにユーモラスに描き、じっくり表情が見たくなる作品です。藤田はパリで足にすり寄ってきた猫や拾ってきた猫を描いていたといいます。
猫や少女の絵が飾られた展示室。フォトジェニックなソファにも座れる
年3回の企画展があり、収蔵作品をテーマに合わせて入れ替え、200点ほどのコレクションから、現在は約150点を展示しています。また、どの展示室も作品を1フレームに3点以上入れて写すなら撮影もOK。お気に入りの絵画を探してみましょう。
かわいい猫と少女の絵がそろうミュージアムショップ
1階と2階の2か所にあるミュージアムショップ
作品を堪能したあとは、ミュージアムショップへ立ち寄りましょう。人気の猫と少女の作品をモチーフにしたさまざまなアイテムがそろっています。人気なのがチケットフォルダーやアクリルキーホルダー。《猫を抱く幼いグレコ》（1953 墨・紙）のトートバッグは女性に人気があるそうです。少女と猫が描かれたかわいらしいバッグは使い勝手もよさそうです。
「アクリルキーホルダー」450円、「オリジナル缶」950円、「チケットフォルダー」500円 
「トートバッグ 猫の教室」5,500円、「トートバッグ 猫を抱く幼いグレコ」1,200円
夏の旅で軽井沢を訪ねたら、「軽井沢安東美術館」でアートを楽しみながら、ゆっくり過ごしてみてはいかがでしょうか。アート鑑賞のあとは美術館オリジナルのグッズも販売する、併設の「HARIO CAFE」もおすすめですよ。
文：文：細江まゆみ、撮影：加藤熊三
