提供:ことりっぷ
美術館や動物園などが集まるレジャースポットの王道、上野公園にある「東京国立博物館」。広々とした敷地には7つの建物がゆったりと配置され、紅葉や桜も楽しめる庭園もあります。日本の美術・工芸品が展示されている本館を中心に、話題を集める特別展以外にも魅力がたっぷりとつまった東京国立博物館を歩いてみましょう。
質・量ともに日本一のコレクションを誇る東京国立博物館
本館手前左の木はシンボルツリーのユリノキ
東京国立博物館は、1872年に湯島聖堂で開催された博覧会に展示するために国内から集められた貴重なコレクションを恒久的に展示する施設として誕生しました。その後1882年に現在の上野の地に移転。日本でもっとも長い歴史がある博物館で、「東博(とうはく)」という愛称で親しまれています。日本の美術、工芸品を展示する「本館」、特別展を行う「平成館」、東洋美術を展示する「東洋館」などテーマごとに展示する建物があります。
まずは日本有数の美術品が集まる「本館」へ
本館エントランスの大階段は、映画・ドラマなどで目にしているかも?
正門をくぐり、水盤の奥におごそかに立つのが本館です。日本の貴重なコレクションを展示する「日本ギャラリー」の本館に入ってみると、数々の映画・ドラマの撮影地としても利用される大階段が目の前に。天井も高く、大理石でできた重厚感に圧倒されます。
2階では縄文時代から江戸時代までの日本美術の変遷を知ることができます。教科書に載るような誰もが知る有名作品の展示もあり、実際の作品の持つ迫力を感じられます。鑑賞を楽しんだあとは大階段横のミュージアムショップも立ち寄ってみましょう。展示にちなんだユニークな切りくちのオリジナルグッズや、日本の伝統工芸の魅力を新たに感じられる商品が豊富に並びます。
本館奥に広がる庭園で季節を感じたい
本館のモダンな建物と自然の調和を楽しむことができる
本館と東洋館の間の小路を通り、庭園を訪れてみましょう。東博の敷地はその昔は寛永寺の境内でした。現在その面影は一部を残すのみですが、敷地内には桜や紅葉をはじめ季節の花々や蓮の咲く池などがあり、季節ごとに表情を変える自然を楽しめます。あたりの静けさも相まって、ほっと一息をつくことができる憩いの場所になっています。
茶室「九条館」は赤坂の九条侯爵邸から移築されたもの
東博敷地内の美しく由緒ある建築物
表慶館は1909年に開館した東博でもっとも古い建物
本館の左手に立つ、青緑色のドームの屋根が目をひく「表慶館(ひょうけいかん)」は、迎賓館なども手がけた宮廷建築家の片山東熊(とうくま)が設計した日本初の本格的な美術館。特別展やイベント開催時のみの開館ですが、当時の洋風建築を代表する建物を外からも楽しみましょう。
外から見た黒門。正門の左ならびにある
敷地内を南西の方向に歩き進めます。「法隆寺宝物館」に向かう途中にある「黒門」は、かつての鳥取藩池田家江戸上屋敷の正門。宮家の門として使用された歴史もあり、1954年に東博に引き継がれたもので、江戸時代末期の大名屋敷のあつらえを見ることができます。
東博の穴場スポット「ホテルオークラ ガーデンテラス」でひと休み
テラス席で風を感じながらコーヒータイムを
作品を味わい、自然に包まれながらたくさん歩いてきたのでコーヒータイムに。前面に水盤がある「法隆寺宝物館」の中の「ホテルオークラ ガーデンテラス」でひと息いれましょう。ホテルオークラが運営するこのカフェでは、見た目も上品なフレンチトーストがおすすめです。特製の卵液に一昼夜浸して焼いたフレンチトーストは、ほのかな甘さとしっかりとしたパンの食感が特長。メープルシロップやバニラアイスとともに味わいます。
コーヒーは深煎りのコクがありながらあと味がすっきりとして食事にもスイーツにもぴったり。また、特別展ごとに登場する展示の内容にちなんだ見た目にも華やかな限定メニューも人気です。
フレンチトースト季節のフルーツを添えて(1500円)
一日では回りきれないほどに楽しみ方がいっぱいの東京国立博物館。特別展など展示替えでの内容の変化はもちろん、季節ごとに自然もさまざまな表情を見せてくれます。都心で味わえる静けさと開放的な空間を楽しみに訪れてみませんか。
文:五箇貴子 撮影:依田佳子