提供:ことりっぷ
北鎌倉の古刹・明月院の6月は明月院ブルーとして知られる青いアジサイが境内を埋めつくします。咲きはじめから徐々に色が濃くなり、一雨ごとに深みを増していく青色のアジサイは凛とした美しさがあり、時に神秘的な印象も与えます。今がちょうど見頃の明月院でアジサイの散策を楽しんではいかがでしょうか。
自然豊かな北鎌倉の谷戸にたたずむ古刹
明月院の総門(拝観料500円)
緑に囲まれて北鎌倉のしっとりとした空気に包まれる明月院。四季折々の花が咲く境内を6月はアジサイが彩ります。花頭窓のある総門から入山して桂橋を進むと、まるでたわわに実る果実のようにアジサイの咲く山門が見えてきます。
背の高い木々に覆われる桂橋を渡って山門へ
明月院ブルーに埋もれる山門前の参道
山門は北鎌倉を代表するアジサイの人気スポット
風情ある山門の前は茎をのびのびと伸ばしたアジサイが参道を覆いつくすかのように咲きそろいます。茎の先に手毬のような花をつけ、薄い水色から濃い青、紫色などブルーの色合いはさまざま。太陽の光が当たるとまた違った色にも見え、鎌倉石の参道を華やかに彩ります。
幾重にもかさなり雪崩れるように咲く
境内に咲く約2500株のアジサイのほとんどは日本古来の品種・ヒメアジサイで、日本の植物学の父と呼ばれる牧野富太郎氏によって名付けられました。この美しい青色はいつしか明月院ブルーと呼ばれるようになり、神秘的な色合いが訪れる人々を魅了します。
山門付近の水鉢にも
本堂でお参りをして北鎌倉の自然にふれるひと時
「方丈」と呼ばれる本堂
山門からさらに参道を進んだ先に本堂があります。明月院は臨済宗建長寺派のお寺でご本尊は聖観世音菩薩、1160年に創建された「明月庵」が前身です。
枯山水庭園
本堂の前に整備させているのは白砂水流を表す砂紋が美しい枯山水庭園。仏教の教えの中で世界の中心にそびえるといわれる須弥山(しゅみせん)をかたどっていて、仏教観を表現しているのだそう。
丸窓のそばには境内に咲く季節の花が活けられる
本堂には丸窓がしつらわれ、悟りの窓とも呼ばれています。初夏の新緑や木々が赤く染まる秋の紅葉など、本堂のさらに奥に広がる本堂後庭園(ほんどううしろていえん)の四季を切りとるかのように、あざやかに映し出します。
本堂後庭園(6月の花菖蒲開花期と12月紅葉期に期間限定公開 ※別途500円が必要)
透明感のある明月院ブルーが織りなす小径
青色のグラデーションが見事
アジサイは一雨ごとに色が濃くなるといわれていて、5月下旬ごろから6月末までその美しい色合いが楽しめます。咲きはじめの薄い水色から、日にちが経つにつれ徐々に青みを増していくのだとか。
山門前の咲きはじめのアジサイ
風の小径などアジサイ鑑賞の散策路が整備される境内は、毎朝竹ぼうきで掃き清められ厳かで神聖な空気が流れます。小鳥のさえずりが響き渡り、小川のせせらぎを聞きながらの散策は日常のあわただしさを忘れさせてくれる贅沢な時間になりますよ。
たっぷり水分を含んだみずみずしい青
歩いても歩いても、もこもこと小径のギリギリまでアジサイの咲く境内。まるで壁のように高く成長しているエリアもあります。お気に入りの明月院ブルーを探しながら散策を楽しんで。
ますます深い青へ
可憐なお花を抱える姿に心が和むお地蔵さん
花想い地蔵
いつも境内に咲く季節の花を抱える「花想い地蔵」もこの時期手にするのはアジサイ。優しい表情にアジサイと同じ色のピアスとネックレスがよく映ります。
花想い地蔵のそばに建つ開山堂
良縁や願望成就の願をかけてアジサイの絵馬を奉納
「御朱印」(500円)
参拝のあとは本堂脇の朱印所で明月院ご本尊の聖観世音菩薩の御朱印がいただけます。一期一会のご縁をぜひ結んでくださいね。
「絵馬諸願成就」(800円)
絵馬やお守りもアジサイがモチーフに。縁結びにご利益があるといわれている2枚貝をモチーフにしたお守りは青や紫をはじめ黄色や赤などカラフルに6色。重なり合う様が縁結びにつながるといわれています。
お守り「幸せの鈴」(500円)「貝守り」(300円)
かわいいうさぎのお話でほっこりとした気分に…
総門横の茶々橋ではうさぎと亀の石像がお出迎え
明月院はその名称に月の文字が入っていることから、月とかかわりの深いうさぎにもご縁のあるお寺です。寺院としては珍しく3羽のうさぎを飼育し、そのなかのご長寿うさぎ・モモちゃんが絵本の主人公になりました。
「モモちゃんの15分の夢」(1500円)
絵本「モモちゃんの15分の夢」は、明月院の四季を真っ白なうさぎのモモちゃんが見た夢として話が進みます。満月の夜のアジサイをクラシカルな色使いで描いた表紙も素敵です。
深い青色へと変化する魅惑の明月院ブルー
総門まではJR北鎌倉駅から徒歩約5分
何度訪れても時期や天気などでその時々の表情を見せる明月院のアジサイ。6月中旬以降はますます青みを増していきます。ぜひ北鎌倉へ足を運んでくださいね。
文:髙橋茉弓