提供:ことりっぷ
長崎港の西、約100kmの海上に、大小約150の島々からなる五島列島。その中心は、五島市の福江島。美しいビーチをはじめとした自然の景観が魅力のこの島で、ぜひとも訪れてみたいスポット&おすすめアクティビティをご紹介します。
日本最西端のワイナリーは温泉も楽しめる小さな王国
広大なリゾートの敷地内にある五島ワイナリー
五島の島旅の拠点になる福江島「五島つばき空港」までは、長崎空港からわずか30分。福岡空港からも約40分でアクセスできます。この島には豊かな自然ととともに、遣唐使やキリシタンが紡いだ独特のカルチャーにひかれ、最近では年間200人以上もの移住者があり、ワーケーション・スポットとしても注目されています。
一番左が、オレンジ色が美しい「キャンベル・アーリー」
そんな五島市でまず訪ねてみたいのが、日本で最も西に位置するワイナリー「五島ワイナリー」。長崎県内や島で採れたブドウを使い、年間約2万本のワインを醸造しています。この辺りは日照時間が長く、水はけのよい火山灰の土壌と潮風の影響もあり、ミネラル豊富なブドウが育つのだとか。
国内のワインコンペティションで数々の受賞歴があるなか、おすすめはスパークリングワイン「キャンベル・アーリー」。五島産のブドウ100%と、島に自生する椿から採取された「五島つばき酵母」を使って造るワインは、フレッシュな果実味と心地よい泡の飲み口が、女性にぴったり。
ニュージーランド出身の醸造責任者アーロン・ヘイズさん。敷地内には温泉も
ワイナリーがあるのは、福江島のシンボル鬼岳(おにだけ)のふもとに広がる「五島コンカナ王国ワイナリー&リゾート」内。ここでは試飲と醸造所の見学ができるほか、敷地内にはコテージタイプのホテル、レストラン、日帰り入浴ができる温泉棟もあり、名前のとおり小さな王国です。
お散歩気分で自然のなかをのんびり走るサイクリング
車体が軽くて扱いやすく、乗り心地がいいスポーツバイクを使用
日本有数の美しいビーチに囲まれた福江島。緑のツリートンネルを抜け、ビーチサイドを自転車でのんびり走るのが、ウィリアム・リュウ(通称ウィル)さんと行くサイクリングツアーです。ニューヨーク生まれのウィルさんはプロのサイクリングチームに所属したこともあるサイクリングガイド。福岡を拠点にして活動中に五島を訪れ、この島の環境にひかれて移住したといいます。
人気のベーカリーカフェが集合場所。パンもおやつにいただける
今回のツアーの集合場所は、古民家のベーカリー「wondertrunk & co. travel・bakery(ワンダートランク・トラベル・ベーカリー)」。天然酵母のパンは午前中で売り切れてしまうこともある、島で人気のパン屋さんです。ここでコースの概要を説明してもらって、いざサイクリングへ!
ツアーは所要3~5時間。申し込み時に時間と希望するコース、体力やレベルを伝えて相談できるので、自転車に乗れればスポーツが苦手でも問題ありません。使用する九州生まれのスポーツバイクは軽いのに安定感があり、気軽に乗りこなすことができます。途中、景色のいい場所で休憩し、ウィルさんおすすめの隠れ家スポットではコーヒー&おやつタイムも。木々の匂いや潮風にリフレッシュできること間違いないです。
手ぶらでOK! クルーズついでに釣り体験はいかが?
釣り人の聖地で、釣りガール気分を味わって
近ごろ巷で増えている釣りガール。五島は釣り人があこがれる聖地だって知っていましたか? クルーズに出かけるみたいに気軽で、手ぶらで楽しめるのが「五島市体験交流協議会(株式会社JSH)」が主催する釣り体験です。
「釣り方がわからない」「生きた魚に触るのは、無理!」という人もご心配なく。釣り竿など必要な道具はそろっていて、ベテラン漁師さんが親切に教えてくれます。エサ付けはもちろん、大物が釣れた場合もすべて漁師さんが対応してくれ、至れり尽くせり。まさに、お姫様気分の釣り体験です。
釣れたのは、高級魚のアオハタ
この日は波もほとんどなく、絶好のクルーズ日和。釣り始めて30分もしないうちに、大物がかかりました。竿に伝わる豪快な引きを楽しむだけでも、十分価値があり。休憩時間には、さっきまで生け簀で泳いでいたイカをさばいてお刺身にして食べさせてくれることもあります。「釣りなんて、まったく興味なし!」と言っていた人も、この楽しさと美味しさを一度体験すれば、またチャレンジしたくなるかもしれません。
天井に浮かぶ、美しい天女にうっとりする古刹
五島といえば、世界文化遺産にも登録されている教会群が知られていますが、島の歴史を物語る由緒あるお寺にも立ち寄ってみたいもの。重要文化財に相当する天井画を見せていただけるのが、「明星院(みょうじょういん)」です。江戸時代、福江島を納めた五島藩主代々の祈願所で、現在の本堂は18世紀後半に建立されたといわれています。
五島最古の木造建造物が残る「明星院」
本堂の格天井に残っているのが、121枚の花鳥画。狩野永徳のお弟子さんで、大坪玄能(げんのう)の作といわれています。赤色が鮮やかなツバキをはじめとした四季の花々や小鳥、アケガラスなどが描かれているなか、ひときわ目を引くのが4隅にある天女の絵。およそ350年前ものとのことですが、鮮やかな色彩と美しい姿にうっとり。
350年前のものとは思えないほど美しい天井画
ここは「空海ゆかりのお寺」ともいわれ、約1200年前、遣唐使船に乗って唐へ渡った空海が帰途に立ち寄ったと伝わっています。山門が開いている間は自由に拝観でき、事前に連絡しておけば名物ご住職による楽しいトークで、お寺の由来や歴史について講話を聴くことができますよ。
五島産椿オイルのヘッドスパでつやつやの髪の毛に
買い物の合間に立ち寄れるショッピングモール内
五島は椿の島。島内に自生するヤブツバキの種子から搾った椿オイルは、皮脂と同じ成分を含み肌になじみやすいことから、有名コスメブランドのヘアケア商品にも取り入れられています。そのオイルを使ったヘアトリートメントを行っているのが、ヘアサロン「椿のこころ」。
天然の椿オイルをふんだんに使う、ぜいたくなヘッドスパ
ヘッドスパメニューは、20分(3300円)から60分(6600円)。終了後はシャンプー&ブローの仕上げ付き。“天使の輪”が輝くつやっつやの髪の毛になるばかりか、頭が軽くなり、心なしかフェイスラインも引き締まった感じがします。日頃の疲れやストレスの解消、旅の合間のリフレッシュにもおすすめです。
神秘的な星空と月の光に癒されるナイトツアー
「鬼岳星空ナイトツアー」ではリクライニングチェアでガイドの解説を聴く
空気が澄んでいるうえ、人工の明かりが少ない五島市は、星空が美しい島としても知られています。また、日本の西側に位置しているため、関東や関西では見ることができない星が見えることも魅力。その星空をガイド付きで楽しめるのが、五島市観光協会で申し込める「鬼岳星空ナイトツアー」です。
集合場所は、最初に紹介した「五島ワイナリー」に近い鬼岳中腹にある「鬼岳天文台」。ここから星空ガイドさんの案内で2~3分歩くと、眼下に海に浮かぶ漁火が、頭上には満天の星が広がるスポットに到着。冬の星座のオリオン座、その肩に光るベテルギウスと、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンが描く冬の大三角もくっきり。
九州でも有数の大口径望遠鏡を備える鬼岳天文台
星空観測の後は、天文台に設置された天体望遠鏡で月や星のライブ映像を鑑賞します。天文台スタッフによるユーモアたっぷりの解説もわかりやすく、土星の輪、木星の縞模様まで見えたときには思わず歓声が上がります。冬は星空観測にもってこいの季節。防寒対策は必要ですが、コートの上からはおれる防寒着も用意されているので、寒さの心配はいりません。終了後は、コンカナ王国の温泉で温まるのがいいですね。
長崎空港から福江島へは、プロペラ機の空中散歩でアクセス(片道9100円~)
九州の離島、五島市の福江島には、ここでしか見ることができな自然や体験がいっぱい。小さなプロペラ機に揺られる空中散歩も楽しく、眼下に広がる海の色にも感動すること間違いなし。冬の島旅で、心も体も癒されてみてはいかがですか。
文:永田さち子