世界遺産「古都奈良の文化財」の一角をなす東大寺や興福寺、春日大社を抱える奈良公園で、夏の夜をろうそくの明かりで照らす恒例行事「なら燈花会(とうかえ)」が、2024年8月5〜14日まで開かれています。
また、高円山(たかまどやま)に「大」の文字が浮かぶ「奈良大文字送り火」など、お盆期間の奈良市中心部ではさまざまな伝統行事が開催され、歴史都市・奈良が晩夏の風情に包まれます。
夜の奈良公園一帯がろうそくの明かりに照らされる「なら燈花会」
毎年8月に開催されている「なら燈花会」は、美しい「灯の花」に見立てた約2万本のろうそくが奈良公園の周辺を照らす夏の風物詩で、今年で26回目を迎えます。
「燈花」とは灯心の先にできる花の形をしたロウのかたまりを意味し、これができると縁起が良いとされています。奈良を訪れた人々の平穏や幸せを祈る「なら燈花会」は、例年8月上旬からお盆期間までの10日間にわたって行われ、広大な奈良公園がろうそくの花いっぱいに包まれます。
会場では設置された明かりを眺めるだけではなく、来場者自身がろうそくに火をともす「一客一燈(いっきゃくいっとう)」も開催。好きな場所に置き、自分だけの祈りを込めたろうそくで会場に彩りを加えるという風流な企画です。参加には協力金(500円)が必要で、集まった協力金は来年の燈花会のろうそく代として活用されます。
なら燈花会
- 開催期間
- 2024年8月5〜14日
- 点灯時間
- 19:00〜21:30
- 開催場所
- 奈良公園周辺
浮雲園地/浅茅ケ原/浮見堂/興福寺/猿沢池と五十二段/奈良春日野国際フォーラム甍(いらか)/奈良国立博物館前/東大寺鏡池周辺(13〜14日のみ)/春日大社参道 (14日のみ) - 詳細
- 「なら燈花会」公式サイト
お盆の奈良を幻想的に包み込む伝統行事
春日大社「中元万燈籠」
奈良公園内の春日大社では8月14〜15日にかけ、約3,000基にもおよぶ境内の灯籠に火をともし、参拝客の諸願成就を祈る「中元万燈籠(ちゅうげんまんとうろう)」が開催されます。
それぞれの灯籠には、平安末期以降の各時代を生きた貴族、武士、庶民などが、家内安全や商売繁盛、武運長久を願って奉納してきたという歴史が詰まっています。数え切れないほどの釣灯籠に明かりがともされた朱塗りの回廊は、まるで王朝絵巻のような圧巻の光景に。
中元万燈籠
- 開催場所
- 春日大社(奈良市春日野町160)
- 開催日・時間
- 2024年8月14〜15日 19:00頃〜21:30
- 拝観料
- 500円 ※3,000円以上の初穂料で献燈も可能
- アクセス
- JR「奈良」駅・「近鉄奈良」駅からバス(春日大社本殿行)で約15分「春日大社本殿」バス停下車すぐ
- 詳細
- 「春日大社」公式サイト
東大寺「万灯供養会」
同じく奈良公園にある東大寺では8月15日の夜、諸霊供養を祈る「万灯供養会(まんとうくようえ)」を開催。大仏殿に続く石畳に約2,500基の灯籠が整然と並べられ、幻想的な光景を作り出します。
当日は大仏殿の観相窓が開かれ、普段は建物の中に入らないと見られない大仏さまのご尊顔を参道から拝むことができます。
また、8月13~14日には夜間拝観が実施され、19:00~21:00の間、無料で参拝できます。
万灯供養会
- 開催場所
- 東大寺(奈良市雑司町406-1)
- 開催日・時間
- 2024年8月15日 19:00〜21:30
- 拝観料
- 800円
- アクセス
- JR「奈良」駅・「近鉄奈良」駅から市内循環バスに乗り換え「東大寺大仏殿・春日大社前」バス停下車 徒歩約5分
- 詳細
- 「東大寺」公式サイト
高円山「奈良大文字送り火」
そして、奈良のお盆を締めくくるのは、毎年8月15日に行われる伝統の「奈良大文字送り火」です。
戦争で亡くなった人々の魂を慰めるため、昭和35(1960)年から始められた行事で、現在は亡くなられた全ての人々の慰霊と世界平和への祈りを込め、高円山に「大」の文字に火を焚き上げます。山肌に浮かび上がる送り火は、奈良公園や平城宮跡など市内各所から見られます。
奈良大文字送り火
- 開催日
- 2024年8月15日(荒天の場合は中止)
- 点火時間
- 20:00
世界遺産・古都奈良の夜を光で包む伝統行事の数々。優しいともしびに包まれた奈良の夜を散策しながら、夏の終わりを感じてみてはいかがですか。
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