「星空保護区」は「星空版の世界遺産」と称されている認定制度。2021年11月1日(米国アリゾナ州現地時間)、岡山県井原市の「美星町」が星空保護区のコミュニティ部門にアジアで初めて認定されました。
「星空保護区」って何?
世界最大規模のNPO団体・国際ダークスカイ協会(IDA)が認定する「International Dark Sky Places(和名:星空保護区)」とは、「光害の影響のない、暗く美しい夜空を保護・保存する優れた取り組みをおこなっている地域」のこと。認定には「屋外照明に関する厳格な基準のクリア」「暗い夜空を保護する地域の取り組み」「人々がその夜空を体験できる環境整備」などが求められます。
現在「星空保護区」には5つのカテゴリーがあり、IDAが認定した数は2021年11月1日時点で21カ国187カ所。美星町が認定されたカテゴリーは「市」や「町」などの自治体単位が認定対象となる「ダークスカイ・コミュニティ」で、美星町を除くと世界で認定されている地域は35カ所です。
ちなみに美星町のある「井原市」は、広島県との県境に位置する自然豊かな町。人口38,965人(2021年9月30日時点)、面積243.54平方キロメートルで、主な特産品には「井原デニム」「明治ごんぼう」「ぶどう」「豚肉加工品」などがあげられます。染料にこだわった「井原デニム」は世界的有名ブランドの製品にも使われており、「デニムの聖地」としても有名です。
中でも流れ星伝説が残る「美星町」はその名の通り星空が美しく、別名「願いかなう町」と呼ばれています。そして井原市では「美星町のきれいな星空」を守るため、30年以上前に「光害防止条例」を制定。町内の屋外照明環境の整備や住民への啓発など、地域一丸となって「星が見えやすい」環境づくりに取り組んできました。長年に渡る住民の弛まぬ努力と活動が、今回「星空保護区」の認定に繋がったのではないでしょうか。
また井原市では認定を機に、市民参加型の地方創生プロジェクトを始動。「市の魅力」をより発信していくのが目的で、井原市への想いや愛着をラブレター形式で募集する「1万人のラブ☆レタープロジェクト」を開催中です(2022年2月28日まで)。他にも井原の魅力を詰め込んだフォトブックを制作する「カメラ女子によるステイケーション」や、天文を学んで星空を愛でるバスツアー「星空ピクニック」など様々なプロジェクトもおこなう予定。気になる人はぜひチェックしてみてください。
「アジアでトップクラスの星空環境の保全に取り組んでいる町」として世界から認められた井原市美星町。一度訪れれば、星空保護区に認定された理由が分かるかもしれません。