提供:北日本放送
歴史と文化が香る町、富山県高岡市。加賀藩主の前田利長が町を開いた際に鋳物師を招き、手厚い保護を与えて産業を発展させたことから、銅器づくりを中心に金工や漆芸が盛んになりました。
そのはじまりの地となったのが、市中心部の金屋町。千保川の豊富な水や川砂が使えることから400年前に招かれた鋳物師が工房を構えたまちで、現在でも石畳の通り沿いに格子造りの家や工房が軒を連ね、風情あるまちなみは観光スポットにもなっています。
金屋町で今も続く鋳物工房やギャラリーの中には、製作の様子を見学したり、体験できたりするところもあります。明治初期から100年余り続く「鋳物工房 利三郎」もそのひとつです。
金屋町で100年余り続く「鋳物工房 利三郎」
「鋳物工房 利三郎」は、初代の利三郎が外型と中子型を使って金属を流し込む双型(そうがた)鋳物を始めて以来、伝統的な技法に新しさを加えながら、一つひとつ手作りで商品を製造している老舗の工房です。
店内には工房で作られたものを中心に、高岡近辺の地場産の茶道具や花器、風鈴なども販売されています。
店内は金屋町のまちなみと同じく情緒ある雰囲気で、品物の表情を手に取って確かめながらゆっくりと時間を過ごすことができます。
また、店の奥には明治初期に建てられた土蔵が残っていて、往年の鋳物生産の雰囲気も伝わってきます。
風鈴やぐい呑み、箸置き…実際に鋳物ができる「体験工房」も
そんな「鋳物工房 利三郎」では、実際に錫(すず)製品を作る鋳物体験ができます。
観光客だけでなく、地元の小学生らも授業の一環として体験に訪れるなど、高岡の伝統産業の歴史と文化をより深く知ることができる人気のスポットです。
鋳物体験で作ることができるのは、風鈴やぐい呑み、箸置きなど。
今回は風鈴作りを例に、作業手順をご紹介します。
まずは用意された砂型に下絵を描き…
くぎを使って掘っていきます。
砂型は外型と内側に入れる中子型のふたつがあります。
ふたつの型を合わせると隙間があり、そこに金属を流し込むと風鈴ができるという仕組み。そのため、模様は外型のほうに掘っていきます。
くぎで掘った部分に錫が入り込むため、表面に凸状の模様を作ることができます。
模様は反転するため、文字を掘る場合は鏡文字にして掘ります。
あらかじめ透明フィルムを用意してあるので、一度、完成バージョンの文字を書いてから裏返してお手本にすると、小さな子供でも簡単に作業することができます。
型ができたら、次はバーナーで錫を溶かします。
錫は、鉄などの金属に比べると融点が約232℃と低いため、バーナーを使うとチョコレートのように簡単に溶けていきます。が、溶かした錫は冷えるとすぐに固まってしまうので、手早く砂型に流し込むのがコツなんだそう。
錫が固まるのを待ってから、ハンマーで砂型を割って風鈴を取り出し…
水につけて洗い、内側に残った砂を落とします。
あとは、音を鳴らすための部品、舌(ぜつ)を内側につけ、ひもや短冊をつければ、やさしい音色の錫の風鈴が完成です。
体験時間はおよそ1時間。
ぐい呑みは4,800円(税込)、そのほかの風鈴や箸置き(2個)などは3,500円(税込)で体験することができます。
思い出作りにもぴったりな鋳物体験。まち歩きと合わせて楽しんでみてはいかがでしょうか。
鋳物工房 利三郎
- 住所
- 富山県高岡市金屋町8-11
- 営業時間
- 10:00~18:00
- 定休日
- 第4日曜日
- 電話番号
- 0766-24-0852
- 公式サイト
- 鋳物工房 利三郎
※この記事は、2024年7月12日に放送したKNBテレビ「いっちゃん☆KNB」をもとに、2024年8月10日に北日本放送「nan-nan」で公開された記事を転載したものです。