野生のイルカに会いに行こう!天草&南島原の「イルカウォッチングツアー」

通詞島イルカ

熊本県・天草と長崎県・島原半島に囲まれた早崎海峡の通詞島(つうじしま)沖には200頭以上の野生のミナミバンドウイルカが定住しています。船から見えるイルカたちの姿は、まさに壮観。ミナミバンドウイルカは人懐っこく、水面をジャンプしたり、船のすぐそばを泳いだり、さまざまなパフォーマンスを見せてくれます。一年を通して高確率で野生のイルカに会える「イルカウォッチングツアー」をご紹介します。

 

 

イルカに会える島「通詞島」

通詞島俯瞰画像

熊本県天草地域と長崎県の島原半島は、雲仙天草国立公園にも指定されている美しい海と大自然に恵まれたエリア。天草下島北端の通詞島沖を中心に、天草地域と島原半島に囲まれた早崎海峡には野生のミナミバンドウイルカが約200頭定住しており、通詞島は通称「イルカに会える島」と呼ばれています。

 

通詞島イルカ 船と一緒

野生のイルカが、人が暮らす場所に近い内海に200頭の大きな群れで定住するのは、世界的に見ても希少なこと 。イルカが通詞島沖に定住した主な理由は、この地域の漁業が一本釣りや素潜りを主とし、イルカを大切にして共生してきたことです。

 

世界中のイルカたちのすべてが人間と共生してきたわけではありませんが、天草市五和町二江(いつわまちふたえ)の漁師さんたちはイルカを排除することなく、共存してきました。漁師さんの努力により、野生のイルカたちが通詞島沖に定住し200頭近くの大きな群れになったのです。

 

通詞島海の青さ上から

この野生イルカを目の前で見られる「イルカウォッチングツアー」の船が、天草や南島原から数多く出航しています。今回は、通詞島と同じ天草市にある「道の駅 天草市 イルカセンター」のイルカウォッチングツアーを詳しくご紹介します。

 

天草観光の拠点「道の駅 天草市 イルカセンター」

道の駅天草市イルカセンター外観

「道の駅 天草市 イルカセンター」は、天草の豊かな海の象徴であるイルカと漁業者の共存をテーマにした2019年オープンの観光拠点施設。天草空港から車で約15分の場所に位置しています。イルカウォッチング体験を始め、天草観光スポットのひとつとして、気軽に立ち寄れる施設です。

 

施設内にはイルカウォッチングツアーの総合受付や、イルカの生態などをデジタルコンテンツで学べるプレイルーム「ドルフィンスクエア」、漁協直営レストラン、お土産も購入できる「物産コーナー」などがあり、出港までの待ち時間やツアー後の時間も楽しく過ごすことができます。(施設紹介は後述)

 

道の駅天草市イルカセンター受付

イルカウォッチングツアーへ参加したい人は、まず電話(0969-33-1500)や公式サイトで予約しましょう。空きがある場合は当日予約も可能ですが、週末や夏休みなどは満席になることもありますので事前に予約しておきましょう。
ツアー料金は、中学生以上の大人1人3,000円、小学生1人2,000円、幼児1,000円、2歳未満は無料。出航スケジュールは、午前と午後で合計5回、乗船時間は約1時間です(天候や季節により変動あり)。

 

ツアー当日は開始15分前までに、館内1階にあるインフォメーションで受付をおこないます。

 

道の駅天草市イルカセンター 船の種類
道の駅天草市イルカセンタ- イルカウォッチングの楽しみ方

インフォメーションの横にはツアーで乗船する船やイルカに関する豆知識、五和町二江の海で見られるイルカたちの名前を紹介した展示などがあり、ツアー出発10分前から説明会がおこなわれます。早崎海峡で見られるイルカのことを知っておくと、ツアーをもっと楽しめます。

 

説明会の後、係の人の指示に従い桟橋へと向かいます。

 

イルカウォッチングツアーに出発!海の上で感じる、生き物とのつながり

イルカウォッチング船乗降場
イルカウォッチング服装

「道の駅 天草市 イルカセンター」の前にある桟橋から、イルカウォッチングツアーの船に乗り込みます。

 

ツアー参加時の服装は普段着で大丈夫。足元は、ヒールの高い靴や滑りやすい履物を避けましょう。船内に入るとライフジャケットが配られ着用しますが、波しぶきがかかる場合もありますので、ウインドブレーカーやぬれても構わない服装がおすすめです。

 

夏は日焼けや暑さ対策のために日焼け止めクリームやサングラスなど、冬は厚手のダウンジャケットやニット帽、手袋、船酔いしやすい人は酔い止めの薬も用意しておくと安心です。

 

イルカウォッチング 船

水族館のイルカとは違い、野生のイルカは広い海を自由に泳ぎまわっています。イルカは季節や時間帯によっている場所が変わりますが、この施設は通詞島から近いので、運が良ければ5〜10分ほどでイルカたちがいるスポットへ到着できます。

 

早瀬海峡は内海のため、波が穏やかな日が比較的多いのもうれしいポイント。雨の日でも、波が高くなければ出航します。

 

息をのむようなイルカたちのドラマ

 
通詞島イルカkey画像クローズアップ
イルカ船近く集合俯瞰

イルカのいるスポットに近づくと、スタッフが甲板へと誘導してくれます。甲板へと一歩踏み出すと、水面からはね上がるイルカたちの姿が目に飛び込んできます。1頭、2頭と数え始めると、あっという間にその数は増えていき、やがて何頭ものイルカたちが周囲を埋め尽くします。

 

イルカたちは群れを作り、船を取り囲むように泳いでいるのです。その姿はまるで私たちを歓迎してくれるかのよう。船の真横まで近づいてくるかわいいイルカたちに、誰もがキュンと心を奪われます。

 

イルカもぐりこむ様子
イルカ後ろ姿

時折、水面からジャンプするイルカたち。普段は時速約15kmで泳いでいますが、獲物を追いかける時は時速約40kmまで加速して泳ぐことも。白いしぶきをあげて、生き生きと泳ぐ様は圧巻。その勢いと美しさに息をのみます。

 

魚をくわえるミナミバンドウイルカ
魚をくわえながら泳ぐミナミバンドウイルカ

口にくわえた魚を自慢げに見せびらかすイルカを見つけられることも。イルカはエサをかまずに丸のみするので、魚を口にくわえたまま泳ぐことがあるのです。

 

噴気孔から潮を吹くミナミバンドウイルカ
噴気孔から潮をふく若いミナミバンドウイルカ

イルカは哺乳類。呼吸をする時に頭の上にある鼻(噴気孔)からプシューと息をはいて、一瞬で空気を吸い込みます。この息をはく時に、時折白いしぶきをあげることがあります。晴れた日には太陽の光を反射して、まるで虹がかかったかのようにキレイに光るのです。

 

噴気孔は海の中で泳いでいる時は閉じていますが、海面に頭を出して呼吸する時だけ開きます。鼻の穴までしっかり見えるほど、イルカたちは近くに寄ってきてくれますので、ぜひ観察してみてください。

 

背びれに傷があるミナミバンドウイルカ
背びれや体に傷が多い大人のミナミバンドウイルカ

イルカを背びれの角度や切れ込みや傷を利用して、1頭1頭を見分けます。背びれや体に傷が多いのは、大人のイルカ。体が細く、傷が少ないのが若いイルカです。

 

ミナミバンドウイルカ母親

春にはミナミバンドウイルカは出産期を迎えるため、運が良ければお母さんイルカのそばを泳ぐ赤ちゃんのイルカを見られることもあります。生命の営みの大切さを感じることができるでしょう。

 

複数イルカクローズアップ

この海域でのイルカの遭遇率は約90%! 春から秋にかけては確率が高まります。30~40頭のイルカの群れに、次から次へと出会える日も少なくありません。

 

イルカとふれあえる施設は他にもありますが、1年を通して高確率で野生のミナミバンドウイルカに出会えるのは通詞島沖ならでは。ぜひイルカウォッチングツアーに出かけて、イルカたちが織りなす自然のドラマをご覧ください。

 

ツアー後もイルカを楽しもう!「道の駅 天草市 イルカセンター」での3つの楽しみ方

イルカウォッチングの後はお土産コーナーへ

道の駅天草市イルカセンター 二江市場
道の駅天草市イルカセンタ- お土産コーナー

イルカウォッチングツアーから帰ってきても、まだまだ楽しみは尽きません。施設内を巡ってみましょう。

 

1階の物販コーナーには、天草や熊本の名産品やお土産物が並んでいます。二江漁港で水揚げされた新鮮な海鮮や加工品が、お手頃価格で手に入るのも魅力です。

 

道の駅天草市イルカセンター物産コーナーテイクアウト

物産コーナーの一角ではソフトクリームやスムージーなども販売されていますので、ひと息つくのにもぴったりです。

 

新鮮な海の幸を味わえる「漁協レストラン」

道の駅天草市イルカセンタ- 漁協レストラン入口
道の駅天草市イルカセンタ- 漁協レストラン入口

2階にある「漁協レストラン」では、二江漁港で水揚げされた海の幸を使ったメニューが味わえます。食券機で食券購入するセルフサービス方式のレストランで、席も自由に選べます。

 

道の駅天草市イルカセンター 漁協レストラン店内雰囲気1
道の駅天草市イルカセンタ- 漁協レストラン店内雰囲気2

レストランは2階バルコニーに面しており、明るく開放的な空間で食事ができます。
イルカウォッチングツアーの日の昼食は、ぜひここで海を眺めながらおいしい海鮮料理を味わう、至福の時間を過ごしましょう。

 

道の駅天草市イルカセンタ- 漁協レストラン刺身料理
刺身1,300円(魚の種類はその日の水揚げ状況などにより変わります)
道の駅天草市イルカセンタ- 漁協レストラン海鮮丼
海鮮丼(みそ汁、小鉢、漬物付)1,800円

メニューは刺身や海鮮丼、二江うに丼、地元の素潜り漁師が採っためかぶ入り海鮮丼、アラ煮定食、お子様ランチなど、豊富に取りそろえています。漁業協同組合直営店ならではの、新鮮で彩り豊かな海の幸が自慢です。

※仕入れ状況などにより欠品、内容が変更になる場合があります

 

絶景の展望デッキからイルカを再び観察

道の駅天草市イルカセンタ- 展望デッキ

2階の展望デッキは早崎海峡を一望できる絶景テラス。有料の望遠鏡も設置されています。ツアー前や、ツアーが終わってもまだまだイルカが見たいという方はぜひ足を運んでください。運が良ければ、イルカたちが泳いでいる様子を観察することができるかもしれませんよ。

 

楽しみながら学べるプレイルーム「ドルフィンスクエア」

道の駅天草市イルカセンタ- ドルフィンスクエア

漁協レストランの隣には、プレイルームの「ドルフィンスクエア」があり、イルカについて楽しみながら学べるいろいろなコンテンツが用意されています。

 

道の駅天草市イルカセンタ- ドルフィングリーティング

まずは「ドルフィン・グリーティング」を体験してみましょう。大きなスクリーンの前に立ち、いくつかの動きにあわせてイルカが反応。イルカトレーナー感覚でイルカたちと遊べます。

 

道の駅天草市イルカセンター VRイルカウォッチング
道の駅天草市イルカセンタ- VRイルカウォッチング体験

窓際は「VRイルカウォッチング」のコーナー。360度VRでイルカウォッチングを実際に体験しているかのような映像体験ができます。

 

イルカウォッチングツアーに参加しなかったり、天候による欠航などでイルカに出会えなかったりした場合でも、VRでイルカと出会った気分を味わえます。イルカウォッチングツアー体験直後に、この「VRイルカウォッチング」をするのもおすすめ。興奮して見逃してしまった場面も冷静に見ることができ、実際にイルカに会った時の感動が鮮明によみがえります。

 

道の駅天草市イルカセンター デジタル水族館入口
道の駅天草市イルカセンター デジタル図鑑
道の駅天草市イルカセンタ- デジタル水族館デザイン生き物

「デジタル図鑑」ではイルカの生態から二江で獲られる魚まで幅広く学べ、「デジタル水族館」では、海の生き物を好きな色でデザインし、テーブル上に泳がせることができます。自分でデザインした生き物が泳ぐ姿を見れば、よい思い出が作れることでしょう。

 

イルカや二江の海をもっと好きになれる「ドルフィンスクエア」で、さまざまなコンテンツにチャレンジしてみてください。

 

野生のイルカたちと出会える旅へ

イルカ水面様子

熊本県・天草と長崎県・島原半島の間にある早崎海峡に定住しているイルカは野生なので、必ずイルカと出会うことができるとは限りません。それでも平成5年から始まったイルカウォッチングツアーは、高確率で野生のイルカに会えるということから、全体で年間10万人が訪れるほど人気を博すようになりました。

 

イルカの生態系などを守るために、6市町村の関係団体が集まり、「野生のイルカに餌付けはしません」、「ウォッチング中の船とイルカの群れとの距離は、群れの方から船に接近する時を除いて30m以上の距離をおいて操縦します」などの自主ルールを作り、野生のイルカがいつまでも定住してくれるように努力を続けています。

 

イルカ真上様子

こうした多くの人たちの努力の積み重ねや観光客の協力があるからこそ、私たちは早瀬海峡でかわいらしい野生のイルカたちの姿を見られるのです。イルカウォッチングツアーを体験する時はルールを理解して、野生のイルカが暮らすテリトリーに「お邪魔します」という気持ちで会いに行きましょう。

 

次の旅行には、大自然の中でイルカたちとの出会いを楽しみ、地元の食材を堪能できる、天草と南島原のイルカウォッチングツアーをリストに入れてみてはいかがでしょうか?

 

道の駅 天草 イルカセンター

住所
熊本県天草市五和町二江4689-20
営業時間
9:00〜18:00(冬季11月~2月末17:00閉館)
漁協レストラン11:00~15:00(L.O.14:30)
予約
電話(0969-33-1500)または、公式サイト 
定休日
年始年末
アクセス
【車】天草空港より約15分
【バス】本渡バスセンターより約30分
駐車場
あり
※天候により欠航になる場合もあります。

 

 

2022/08/25
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(撮影・取材・文/北川りさ) 

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