東京からもアクセスしやすい栃木県日光市にある「日光東照宮」。江戸幕府初代将軍・徳川家康公を神格化した東照大権現を祀る日光東照宮は、周辺を含めた社寺が「日光の社寺」として世界遺産に登録されています。今回は、日光東照宮の周遊散策コースをご紹介。
パワースポットとしても名高い「日光東照宮」
日光東照宮(にっこうとうしょうぐう)は栃木県日光市にあり、JR日光駅、東武日光駅の2つの駅が最寄り駅となっています。
徳川初代将軍徳川家康公を御祭神にお祀りした神社で、強力なパワースポットとしても有名。世界遺産や国宝にも登録され、国内外から多くの人々が訪れています。
石鳥居を抜け、徳川将軍家の神獣がいる五重塔へ
それでは早速、日光東照宮の参拝へ!まずは参道を抜け、石鳥居をくぐった先にある神域へと向かいます。
神域に入る前には、しっかりと一礼して石鳥居をくぐりましょう。この石鳥居、高さ約9メートルもあります。使われている石材は九州から運ばれてきたのだそうです。
これまで多くの参拝客を迎え入れてきた石鳥居をくぐると、自然と身が引き締まります。
石鳥居を抜けると、すぐ左手に見えてくるのが五重塔。高さ30メートルを超えるこの五重塔は、1650年に小浜藩主酒井忠勝公によって奉納されたものですが、1815年に落雷のために焼失してしまいます。その後1818年に再建されました。
再建された際に用いられた耐震構造は、東京スカイツリーの建設設計にも応用されているという有名なエピソードがあります。
五重塔の初層に注目しましょう。そこには3体の神獣が鎮座しています。3体は右から徳川家康の干支である寅、二代将軍・徳川秀忠の卯、三代将軍・徳川家光の辰。将軍たちが神獣となって参拝客の往来を眺めていると思うと、なんだかかわいらしいですね。
有名な「三猿」は教訓も含めてチェックしよう
五重塔を抜けると、表門に到着します。ここで事前に購入しておいた拝観券を見せましょう。拝観券は日光東照宮入口や東武日光駅の「ツーリストセンター」内で購入することができます。
表門のすぐ左手には東照宮境内唯一の素木造りの建物である神厩舎(しんきゅうしゃ)があります。神厩舎とは、神様に奉仕する馬がいる場所のこと。
ここにいるのがあの有名な「三猿」の彫刻です。
「見ざる、言わざる、聞かざる」すべての猿の彫刻に教訓があります。
こちらの三猿は、「純真で周囲の影響を受けやすい幼いうちには、良いものだけを与えよ。良いものを身につけておけば、悪いものに対しても正しい判断や行動ができる」という教訓です。
中には、お尻が丸見えの猿もいます! この猿は希望をもって空を見上げる青年期のイメージなんだとか。教訓も含めてお気に入りの猿を見つける楽しみがありますよ。
44年ぶりの大修理を終えた陽明門!
三猿を見た後は、そのすぐ先にある豪華絢爛な陽明門へ。この唐銅鳥居から見える陽明門は頭上に北極星を仰いでおり、最強のパワースポットとも言われています。
陽明門は日光東照宮のシンボル的な存在で国宝にも指定。
2017年には44年ぶりの大修理を終え、今は創建当時の姿に生まれ変わった陽明門を見ることができます。まばゆい金と白で彩られた荘厳なその姿は、写真に収めるだけで金運がアップしそう!
ものすごい数の彫刻には、思わず目を奪われてしまいます。
陽明門の彫刻の数はなんと508もあるのだとか。江戸時代当時の最高技術を結集した彫刻や建築模様の美しさは一日中見ていても飽きないとされ、「日暮(ひぐらし)の門」とも呼ばれているんです。
陽明門の左右に鎮座するのは、本殿を守る役割を持つ随身像。虎にまたがっているのがわかります。五重塔でも見た通り、虎(寅)は徳川家康を表しているにも関わらず、なぜ虎を尻に敷いているのか。
そしてこの随身像が着ている袴の家紋は織田家のものとする説もあれば、明智家のものとする説もあるなど、謎が多いと言われています。歴史のミステリーに思いを馳せるのもまた楽しいですね。
どこかしら中国の雰囲気を感じさせる彫刻も。これは、中国の故事を表現したものや中国の歴史上の人物が描かれているもので、中国の教えや知恵が表現されています。
陽明門にはたくさんの龍が彫られていますが、その中でも注目が白い「目貫き(めぬき)の龍」。
目だけが彫られて金色になっているのは、目を入れて完成させてしまったら遥か彼方に飛んで行ってしまうという「画竜点睛(がりょうてんせい)」の故事に由来しています。完成したらあとは老朽してしまうので、あえて未完成の状態にすることで、建物の崩壊を防いでいるとも言われているんだとか。
もう一つの注目が門の通路の天井に描かれている昇り龍と降り龍。別名「八方睨みの昇竜」「四方睨みの降龍」とも呼ばれ、その鋭い目付きには思わずたじろいでしまうほど。現在の天井画は、日光社寺文化財保存会・澤田了司技師によるものです。
陽明門の左右に延びる廻廊の外壁には、花鳥の彫刻がズラリ。1枚板の透かし彫りの技法が使われており、一度間違えたら彫り直しがきかない究極の職人技を眺めることができます。
東照宮の昼と夜を守っている唐門
陽明門のすぐ先にあるのが、同じく国宝に指定されている豪華絢爛な唐門です。唐門は東照宮の本殿を守護している真正面の門で、江戸時代の参拝基準となったとも言われています。
ここより先に行ける人は将軍に拝謁できる身分とされ、幕臣や大名に限られていたそうです。
全体が胡粉(ごふん)という貝殻を焼いて作った白い顔料で塗られた唐門。繊細でかつ荘厳な彫刻は陽明門にも匹敵します。
屋根部分には霊獣がいます。左右にいるのは昼を守護する霊獣の龍、真ん中にいるのは夜を守護する「恙(つつが)」とも言われる唐獅子。これらの霊獣が昼も夜も東照宮を守ってくれているのです。
参道入り口を守る眠り猫
次に向かうのは、東回廊にある坂下門です。坂下門の手前では、三猿と並んで女性に人気の「眠り猫」に会うことができます。
この眠り猫、伝説的な彫刻職人・左甚五郎の作品だと言われています。坂下門の奥には徳川家康の御墓所に続く奥宮があり、眠り猫はその参道の入り口を守っています。
実は眠っているのではなく寝たフリをして敵を油断させて、いつでも飛び掛かれるように待ち構えているそうです。眠り猫の上に彫られている牡丹の花も素敵ですよね。
石段を上って奥宮に行ったら叶杉で願い事を
せっかくなので、眠り猫が守っている奥宮へと続く参道を歩いてみましょう。眠り猫のいる場所から坂下門を抜けていきます。
生い茂った杉の木に囲まれた石づくしの道を歩きます。階段と道がすべて石になっているこの道は別名「石廊下」とも言われています。
東照宮の境内の中でも、異質な空間となっているこの石廊下。澄んだ空気の中を歩いているだけでも神聖な気持ちが溢れ、パワーをもらえそう。
石廊下を抜けると、207段もある長~い階段が。他の参拝客と「疲れましたね」「あと何段続くんでしょう」など、談笑しながら上るのもまた楽しい時間です。
15分ほど階段を上り、やっと奥宮に着きました!まるで修行を終えたような達成感が味わえます。奥宮は拝殿を右回りにぐるっと回って参拝します。
まず見えてくるのが鋳抜門(いぬきもん)。この門の手前には、御墓所を守る蜃(しん)という伝説の生き物がいます。蜃は蜃気楼を作り出すと言われているんだとか。
これが御宝塔。徳川家康のお墓です。さすが、なんとも立派です。
実は一般公開されたのは昭和40年と、長い日光東照宮の歴史からするとつい最近のこと。5段もある石の基盤の上に3段の青銅、その上にさらに宝塔をのせています。
御宝塔の隣には、「叶杉(かなえすぎ)」という杉の木があります。この杉のほこらに向かって願い事を唱えると願いが叶うと言われている、強力なパワースポット!
この叶杉のために長い石段を上る人も少なくないのだとか。東照宮に行ったら、絶対にハズせない場所ですよ。
お土産にしたいかわいいお守り
拝殿に戻る途中には、眠り猫のお守りや絵馬が買えます。絵馬は魔除け。自分用に購入するのはもちろん、お土産にもおすすめです。
例大祭で使われる3基の神輿
奥宮の参拝を終えたら、東照宮の境内もいよいよ大詰めです。陽明門を背にして左手にある神輿舎(しんよしゃ)に立ち寄りましょう。
毎年5月18日と10月17日に行われる例大祭り「春秋渡御祭(しゅんじゅうとぎょさい)」。神輿舎には、この例大祭で使われる3基の神輿が収められています。
中央が徳川家康、右側が豊臣秀吉、左側が源頼朝の神輿。3基の神輿と装束姿の武者たちが隊列を組んで練り歩く「百物揃千人武者行列(ひゃくものぞろいせんにんむしゃぎょうれつ)」は例大祭の見どころです。
ここにも徳川家康の干支の虎の彫刻が。お祭りを楽しんでいるのでしょうか、飛び跳ねてはしゃいでいるような姿は躍動感があります。
陽明門が描かれた鮮やかな御朱印も見逃せない
せっかく日光東照宮に行ったのなら、御朱印をもらうのはもちろん、オリジナルの御朱印帳を購入したいところ。陽明門を背にして右手に窓口があります。
ブルーとゴールドがきらびやかな御朱印帳。陽明門の美しさが表現されています。御朱印帳を持っているだけでご利益がありそうです。
東照宮と奥宮の御朱印をもらいました。2019年は竣功記念シールももらえます。
日本指折りの縁結びスポット「日光二荒山神社」へ!
東照宮から徒歩10分ほどの場所にある「日光二荒山神社(にっこうふたらさんじんじゃ)」。こちら実はものすごいパワースポットなんです。東照宮に行ったら絶対に行きたい二荒山神社についてもご紹介します。
二荒山神社は招福や縁結びの神様である大己貴命(おおなむちのみこと)を祭神としている神社。そのため縁結びにご利益があると言われているんです。
境内を見渡すと、あらゆるパワースポットがあります。これは二荒霊泉。知恵がついたり若返ったりすると言われている不思議な力を持つ水で、実際にひしゃくを使って飲むことができます。
夫婦円満のご神木である夫婦杉(めおとすぎ)。夫婦仲に悩んでいる方はしっかりお参りしたいですね。境内には、一つの根から2本の杉が仲良く寄り添って立っている「夫婦杉」もあり、夫婦円満、恋人との良好な関係を築けるパワーを授かれると言われています。
中をくぐり抜けることでそのパワーを受け取れるという樹齢約550年にもなるご神木。木の幹は胎内に例えられています。割と広く、中腰になれば簡単にくぐり抜けられました。
良縁は好きな人や恋人だけでなく、親友や仕事仲間などにも通じます。素敵な良縁を引き寄せるため、二荒山神社を参拝した最後にはハートの絵馬に願いを書いてみてはいかがでしょうか。
日光二荒山神社
- 住所
- 栃木県日光市山内2307
- 拝観時間
- 4月~10月 8:00~17:00
11月~3月 8:00~16:00
(各期間とも受付は閉門30分前に終了)
- 電話番号
- 0288-54-0535
- 拝観料
- 200円(本社神苑入園料)
ランチタイムに立ち寄りたいおしゃれカフェ
参拝してパワーをいただいた後は一休み。東照宮近辺には数多くのカフェやレストランがありますが、中でもおすすめは「THE STANDARD BAKERS 日光店」。宇都宮など栃木県内に3店舗あるベーカリーです。
店内では、店頭に並ぶパンはもちろん、サンドイッチやパスタ、カレーなどを食べることができます。こちらは「湯葉 豆乳 あさのポークのクリームパスタ」(850円・税抜)。日光名物の1つ湯葉を贅沢に使ったクリーミーなパスタです。あさのポークも栃木県のおいしい水と環境で育った地元素材です。
とちおとめをふんだんに使った「とちおとめパンケーキ」(800円・税抜)など、デザートも充実! 上質なパンケーキは、小麦の風味としっかり焼き上げた生地の香ばしさが味わえます。
THE STANDARD BAKERS 日光店
- 住所
- 栃木県日光市御幸町597-2
- 営業時間
- 8:00〜20:30
- 電話番号
- 0288-25-5531
- 定休日
- 火曜日(不定休あり)
日光東照宮の最寄り駅、東武日光駅近くにあるのが「古民家cafe&Guest house Tora」。駅から徒歩2分ほどの場所にあり、朝も8時からオープンしているので、参拝に行く際に立ち寄れます。
「モーニングセット」(500円)は、おかわり自由のトーストとサラダ、ニンジンのラペ、とちおとめジャム、ドリンクがついてワンコインのお得なセット。他にもサンドイッチやかき氷、ケーキなどカフェタイムに味わいたいメニューが揃っています。
古民家cafe&Guest house Tora
- 住所
- 栃木県日光市相生町5-1
- 営業時間
- 8:00~20:30
- 電話番号
- 0288-25-5205
- 定休日
- 不定休
今回は日光東照宮および日光二荒山神社の参拝ルートをご紹介しました。都心からもすぐ行ける日光東照宮は、数多くのパワースポットや縁結びスポット、そしてかわいらしい神獣たちで溢れていて見所が盛りだくさん。ぜひ週末にふらっと参拝しに行ってみてはいかがでしょうか。
日光東照宮
- 住所
- 栃木県日光市山内2301
- 拝観時間
- 4月~10月 8:00~17:00
11月~3月 8:00~16:00
※受付は閉門30分前に終了します。
- 電話番号
- 0288-54-0560
- 拝観料
- 小・中学生450円、大人・高校生1,300円
- 詳細
- 「日光東照宮」公式サイト
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取材・撮影・文/秋山悠紀
取材協力/日光東照宮