長野県の南端に位置する、阿智村(あちむら)。2006年に環境省が実施する全国星空継続観察で「星の観察に適していた場所」の第1位として認定されたことから「日本一の星空の村」として知られています。
そんな阿智村の星空を堪能できる「天空の楽園 ナイトツアー」が、高原リゾート「富士見台高原 ヘブンスそのはら」で例年4月中旬から翌3月下旬まで開催されています。標高1,400メートルの位置にある会場からは、手が届きそうなほど大きく輝く星を眺めることができます。
12シーズン目となる2023年には、新たに3つのゾーンが整備され、好みに合わせて星空観察ができるようになりました。今回は、そんなパワーアップした星空ツアーの見どころとおすすめの過ごし方をご紹介します。
いざ!星のまたたく世界へ
ツアー会場「富士見台高原 ヘブンスそのはら」へのアクセス
「天空の楽園 ナイトツアー」の会場は「富士見台高原 ヘブンスそのはら」敷地内にある「山頂駅」付近。ロープウェイでしか行けないため、まずは麓にあるロープウェイ乗り場「山麓駅」を目指しましょう。
名古屋方面から車で行く場合、名古屋高速「小牧IC」から中央自動車道「園原IC」を利用して所要時間は約1時間10分。高速バスで向かう場合は「名鉄バスセンター」から「園原バス停」までの直通バスを利用し、そこから無料送迎バス(完全予約制)に乗り換えて山麓駅へ到着(所要時間約1時間40分)。
※無料送迎バスについての詳細は、「富士見台高原ヘブンスそのはら」のアクセスページ にてご確認ください。
東京方面から向かう場合は、車だと長野自動車道「岡谷IC」から中央自動車道「飯田山本IC」を使って約3時間40分です。高速バスの場合はまずは「新宿高速バスターミナル」から「飯田駅前」へ行き、そこから路線バスに乗り換えて「昼神温泉郷」へ。温泉郷からはタクシーで約10分です。合計の所要時間は5時間ほどかかります。
星空観察に向けて準備するべきものとは?
標高約1,400メートルのツアー会場は夏でも涼しいため、夜は肌寒く感じることがあります。寒さ対策に上着を持参しましょう。また、星空観察では、地面に仰向けになって空全体を眺めるので、レジャーシートなど敷物が必須です。
ゴンドラに乗って標高1,400メートルまでの星空遊覧
山麓駅に到着したら、全長2,500メートル、高低差600メートルをつなぐロープウェイに乗って山頂へ。
宇宙船を思わせるゴンドラに約15分乗車して、山頂駅へ出発!ここからナイトツアーの始まりです。
阿智村の街並みや夕焼けや星空といった美しい景色を見ることができます。
ゴンドラ
- 営業時間
- グリーンシーズン(4月〜11月) 17:00~20:00上りゴンドラ運行、下りゴンドラ常時運行
ウィンターシーズン (12月〜3月):18:00~19:30上りゴンドラ運行、下りゴンドラ常時運行
※15分、もしくは30分間隔の乗車時間指定制
星空観察が思い思いに楽しめる3つのゾーン
「山頂NorthBase専用受付」に立ち寄って当日の情報をチェック
山頂駅を降りて南へ進むと「INFOMATION(インフォメーション)」と書かれた「山頂North Base(ノースベース)専用受付」が見えてきます。
ここでは、当日の星空解説の開始時刻の確認や、大人のための謎解き「星降る夜に君にさよならを」(本編2,000円、EXTRA500円)の参加キット、レジャーシート(200円)などの購入が可能です。
「星降る夜に君にさよならを」は、体験型コンテンツ「リアル宝探し」の企画・制作・運営を手掛ける株式会社タカラッシュと共同で開催している、阿智村の美しい星空をテーマとした大人のための謎解き。
参加キットを購入したら、物語を読みながら携帯アプリを使って謎を解き進めていきます。謎を解くごとに次の指定場所があらわれ、会場内を散策と謎解きを同時に満喫できる仕様です。
全ての謎を解くのに約1時間30分~2時間ほど要するので、興味がある人は早めに訪問しましょう。
光の演出が迎える「Entrance Zone(エントランスゾーン)」
ゴンドラ山頂駅を降りてすぐ、「山頂NorthBase専用受付」がある「Entrance Zone」は、光の演出が美しいゾーン。ここには、阿智村の豊かな自然を大画面で見られるシアタールームなどを備えた「North Base」という施設があります。
建物を入って左手にある「ACHI 180°Theater(アチ180ドシアター)」。春の花桃や秋の雲海など、阿智村で出会える美しい自然の数々が約5分間の映像に映し出されます。※12月~3月のウィンターシーズンはクローズ
美しい映像を鑑賞した後は、階段を上がって2階へ。
階段の踊り場に設置されたスクリーンでは、季節の星座が紹介されています。取材時は、夏の大三角を構成する「こと座」、「はくちょう座」、「わし座」などが流れていました。のちほど屋外で星空を観察する際には、ここで紹介された星座たちを探してみるのも楽しそうです。
2階フロアの奥にあるのは、星と笑顔がつながる場所と題された「Planet Photo Flowing(プラネット フォト フロー)」。当ツアーにこれまで参加した人たちが投稿した、会場や阿智村での思い出の写真がスクリーン内の宇宙空間に映し出されています。
写真は専用の投稿用サイトから送信可能です。サイトへの投稿とスクリーンへのアップロードにかかる時間はそれぞれ5分程度。写真が宇宙空間を漂っているかのような、幻想的な様子を見ることができます。
神秘的な映像を鑑賞した後は、再び1階へ。階段を下りた左手には、宇宙や星関連のグッズが豊富にそろう「カプセルトイエリア」があります。宇宙航空研究開発機構 JAXA(ジャクサ)が監修したものもあり、ナイトツアーを訪れた記念になりそうです。
「North Base」を出て南西へ向かうと、右手には光り輝くプロジェクションマッピングが。周辺では、大道芸やパフォーマンスなども行われています。
アクティブに星空を楽しむ「Experience Zone(エクスペリエンス ゾーン)」
「Entrance Zone」から約5分下ると見えてくるのは「Experience Zone(エクスペリエンス ゾーン)」。ここではさまざまな体験型コンテンツを楽しむことができます。写真は「森の散歩道」への入り口です。
散歩道沿いに浮かぶのは、かわいらしい動物たちと「かわうそ」の物語。きれいな水辺にしかいない、動物のカワウソの姿をした妖怪です。水面に写った光が「かわうそ」の妖術で飛び出し、舞い踊ります。臨場感のある音楽が流れ、大人も子どもも世界観に引き込まれる物語です。
森の散歩道を抜けてから1分ほど歩くと、「星紙くじ」(1回100円)が引ける「星空のおみくじ」エリアに到着。
光の鳥居をくぐって建物の入り口へ向かいましょう。
この「星紙くじ」は、「天空の楽園 ナイトツアー」会場からもほど近い「信濃比叡 廣拯院(しなのひえい こうじょういん)」のご祈祷を済ませた由緒正しいおみくじです。
おみくじには吉凶のほかに、自分と相性の良い「運命星」の記載も。
建物内には、おみくじを星型に折る方法も紹介されています。丁寧に説明されているので、ぜひチャレンジしてみてください。
星空おみくじの場所から来た道をもどると、星空解説が行われる「屋外イベント会場」へとたどり着きます。
解説が始まるまでは場内が明るく照らされていますので、その間にレジャーシートを敷くなど、観察の準備を済ませておきましょう。
案内役のカウントダウンとともに、場内の照明が一斉に消えると、頭上に満天の星空が。
約20分間行われる星空解説では、レーザーで星を指してくれるので、分かりやすく説明を聞くことができます。日ごろ何となく眺めていた星たちのストーリーに触れることができる、贅沢な時間です。開始時間は季節によって異なるので、公式サイトを確認しましょう。
満天の星空に想いを馳せる「Silent Zone(サイレントゾーン)」
星空解説会場から南西へ下って約4分。常に照明の光が届かない「Silent Zone(サイレントゾーン)」は、自分のペースで星空を眺めたい人や、撮影をしたい人に最適なゾーン。
そこの奥にある「Zero Gravity Stargazing(ゼログラビティ スターゲイズ)」には、40台の「DXフリーリクライニングチェア」が。まるで無重力のような、極上の座り心地を体感しながら星空観察ができます。さらに、天体望遠鏡も常設されているので、月面や惑星を見ることも可能です。
Zero Gravity Stargazing
- 利用料金
- 1回1,000円
- チケット購入方法
- 利用日の2週間前の午前10時より公式サイトで販売
※空席がある場合に限り、ZeroGravity Stargazing受付にて当日券を販売 - 備考
- 期間限定のため、実施期間は公式サイトにて要確認
「Silent Zone」を満喫した後は、帰りのゴンドラに乗車するためふたたび山頂駅へ。もちろん来た道を歩いて登ることもできますが、「宙遊覧リフト」(定員2名)で向かえば、さらなる特別感が味わえます。乗り場は「Zero Gravity Stargazing」から歩いて2分ほどの場所です。
リフトの足元には、天の川を思わせる光の道が。地上と頭上、2つの星を眺めながら約6分で山頂へ戻ることができます。
宙遊覧(ソラユウラン)リフト
- 利用料金
- 500円(大人、小人共通)※乗り場にて現金で受付
- 備考
- 12月~3月のウィンターシーズンはクローズ
ツアー後は「STAR SHOP」でお土産選び
宙遊覧リフトの空中遊覧を体験した後は、再び山頂駅からゴンドラを利用して下り、山麓エリアへ。
ゴンドラを降りてすぐにあるのは「STAR SHOP(スターショップ)」。星や宇宙をテーマとしたグッズのほか、阿智村のオリジナルグッズなどが販売されています。
阿智村の隣・飯田市の酒蔵が作るシードル「星の香」(600円)やスパークリング清酒「星の音」(680円)、星柄のパッケージがかわいいお菓子など。
星座をプリントした「日本一の星空 星座プリントクッキー」(710円)、星の村の親善大使「リトルツインスターズ キキ&ララ」が描かれた「キーホルダー」(550円)や「入浴剤」(230円)などのオリジナルグッズは旅の記念にぴったり。今回の星空ツアーを記念して自分用に購入するのもおすすめです。
STAR SHOP
- 営業時間
- 17:00~ ※12月~3月のウィンター営業となり営業時間は変動
天空の楽園 NIGHT TOUR Season2024
- 会場
- 富士見台高原ロープウェイ ヘブンスそのはら
- 住所
- 長野県下伊那郡阿智村智里3731-4
- 開催期間
- 2024年7月20日(土)~2025年3月30日(日)※9/2 日~9/13・9/17 ~9/20・11/18 ~12/20・2025/1/14~1/24 を除く
- ツアー料金
- 大人・高校生2,400円~、小・中学生1,200円~、未就学児無料
※ゴンドラ往復乗車料金込み。
※料金変動制のため、公式サイトの料金カレンダー・チケット購入案内ページを確認 - 時間
- 上りゴンドラ運行17:00~20:00、下りゴンドラ常時運行
※12月~3月はウィンター営業となり、営業形態を変更
※ガイドによる星空解説の時刻は季節により変動。詳細は公式サイトにて要確認 - 備考
- チケットの購入はオンラインで利用日の2週間前の10時より可能
- アクセス
- 中央自動車道「園原」ICから車で約5分
- 公式サイト
- 天空の楽園 日本一の星空ツアー スタービレッジ阿智
夜空を埋め尽くす無数の星たち。季節によって観察できる星座はさまざまです。四季折々の夜空を楽しむのはもちろんですが、屋外のイベント会場では、野外映画際やアニメ、ゲームなどとコラボしたイベントも盛りだくさん。イベント情報は公式サイトなどで告知されているので、ぜひチェックして、思い思いに阿智村で日本一の星空を堪能してください。
また、「ヘブンスそのはら」のそばには南信州最大規模の温泉郷「昼神温泉郷」もあります。ぜひ星空ツアーのあとは宿泊して、阿智村の自然に囲まれながら、身も心も癒やされるひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
取材・文/児玉さつき 撮影/石井 伸明
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